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胆道系の解剖

胆嚢gallbladder

胆嚢は胆汁を貯留する西洋梨形の壁の薄い袋で,長径7~10cm,短径2.5~3.5cm,容量30~50mlである.
胆嚢上面は肝下面に接し,一部胆嚢壁の結合織で胆嚢床に固定され,肝右葉と方形葉の境界をなす.胆嚢遊離面は漿膜に覆われている.
胆嚢は,底部fundus,体部body,頸部neckの3部に区分される.
体部から頸部への移行部の漏斗状の部分は漏斗部infundibulum(Hartmann'spouch)と呼ばれ,しばしば胆石の嵌頓をみる.
頸部はS状を形成し細くなって胆嚢管へ移行する.
○胆嚢の異常
1)形態の異常
  • 屈折胆嚢foldedgallbladder
胆嚢が屈折した形態を示すものをいい,漿膜下型と漿膜型の2typeに分けられる.
1.漿膜下型
体部と底部の間の漿膜下において屈曲し,外見上は正常胆嚢と区別困難なtype
フリージア人のかぶっていた帽子と形が似ていることからPhrygianscapdeformityとも呼ばれる.4%前後の頻度でみられる.
2.漿膜型
体部と頸部の間で漿膜とともに屈曲しているtype
  • 砂時計様胆嚢hourglassgallbladder
体部に全周性の狭窄があり,砂時計様を呈するもので,先天性と後天性がある.
後者の原因として壁内結石,胆嚢腺筋症などがあげられる.
  • 胆嚢憩室diverticulumofgallbladder
先天性または後天性に生じた胆嚢内腔の限局性の拡張.
後天性のものは胆石や胆嚢炎などにより脆弱化した壁に生じると考えられる.
これらの憩室は穿孔の可能性がある.
  • 分葉胆嚢bilobedgallbladder
隔壁胆嚢,分裂胆嚢ともよばれる非常にまれな異形.
隔壁により底部から体部が二分されている隔壁型と,底部が完全に2つになっているV字型の2つのtypeがある.
両者とも共通の胆嚢管を有している.
2)数の異常
  • 無胆嚢症absennceofthegallbladder
先天的に胆嚢が欠損しているもの.成立機序は発生学的に胆嚢原基からの発育過程の異常が原因となり,2つのtypeに
分けられる.
Type1:胎生期に肝憩室hepaticdiverticulumから胆嚢と胆管が発生する過程の異常で,しばしば胆道系の奇形を合併する.
Type2:胆道原基の硬索期から空胞化が起こり内腔を形成する過程の異常で,胆嚢は索状物として遺残する.このtype
の多くは肝外胆管の閉鎖を合併する.
  • 重複胆嚢dupulicationofgallbladder
胆嚢が二個存在するまれな異形で,おのおのの胆嚢からでた胆嚢管が合流し,総胆嚢管を形成するY字型とそれぞれの
胆嚢管が別々に総胆管に開口するH字型がある.さらにまれなものに三重複胆嚢がある.
3)位置の異常
  • 遊走胆嚢floatinggallbladder
胆嚢は胆嚢床に固定されているが,胆嚢壁全体が腹膜に囲まれているものを遊走胆嚢といい4~5%の頻度でみられる.
胆嚢の移動により捻転の原因ともなるため,胆嚢摘出の適応となる.
  • 肝内胆嚢intrahepaticgallbladder
胆嚢の一部または全部が肝内に埋入しているもの.
胎生期に胆嚢は肝原基から発生し,分化とともに肝外に位置するようになるが,この過程の障害により発生すると考えら
れる.肝内胆嚢は生理的機能が不十分なことにより感染や嚢内結石をしばしば合併する.
  • 左位胆嚢left-sidedgallbladder
内臓逆位症に伴う場合と胆嚢だけが左側に位置するものがある.
前者は胆嚢が複腔内の左側に位置するが,肝臓との位置関係は正常と同じである.
後者は肝外側区域の下面に位置する,きわめてまれな変異である.
  • その他の位置異常
胆嚢が肝下面に横方向に付着している横位胆嚢transversepositionや肝上面に位置するsuprahepaticgallbladder,
後腹膜腔内に存在する後退位胆嚢retroplacementofgall-bladder,肝鎌状間膜内や腹壁筋層内に位置するものなどが
ある.
4)その他の異常
  • 胆嚢内異所性組織heterotopia
肝臓,膵臓,胃や腸管粘膜,副腎,甲状腺などの組織が胆嚢内にみられるものでほとんど無症状である.


胆嚢管cysticduct

胆嚢頸部に始まり,胃肝靱帯を走り総肝管に合流するまでの部分を胆嚢管という.
長さ2~4cm,直径0.2~0.3cmで,80%が肝と十二指腸の間で,20%は十二指腸または膵内で総胆管に合流する.
胆嚢管の粘膜面は,螺旋状の強い皺壁があり,螺旋弁spiralvalve,Heister弁Heist-er'svalveと呼ばれ,胆汁の流れを
調節しているといわれる.
胆嚢管の長さと走行には多くの変異が存在し,総肝管右側に急峻な角度をなして合流する鋭角型angulartypeが約65%
で,これが正常型とみなされる.その他の合流形式には,総肝管と並走し下位で合流する並行型paralleltypeが約25%,
総肝管の前方もしくは後方を旋回し内側面に合流する螺旋型spiraltype,上位で合流し総肝管がきわめて短いものなどがある.
まれな異常として,胆嚢管の先天性狭窄症や欠損症がある.

肝内胆管intrahepaticbileduct

      • 肝内へ遡ると・・・
肝内胆管は肝管合流部から上流とされ,第一次分枝は肝管で,第二次分枝の区域胆管は右肝管から前後2本,左肝管からも
2本に分枝し,さらにそれぞれ2分枝して8本の領域胆管(第三次分枝)となる.さらに第四次分枝のの隔壁胆管となる.
通常第二分枝までが肝外に存在する.
      • 肝内から辿ると・・・
毛細胆管bilecanaliculusは2~3個の肝細胞原形質膜から形成される直径約1μmの管である.毛細胆管が集合し細胆管
bileductuleを形成するが,毛細胆管と細胆管の移行部はHering管と呼ばれ,肝小葉からグリソン鞘に移行する部位に
介在する.
細胆管は立方状の固有の胆管上皮を有し,グリソン鞘の肝細胞寄りに存在する.細胆管は小葉間胆管interlobularbile
ductに移行しグリソン鞘内で門脈枝や肝動脈枝と伴走する.直径は40~80μmで立方状から円柱状の上皮からなる.
小葉間胆管は隔壁胆管septalbileductへ移行し,隔壁胆管が集合し左右肝管となり肝外へ出る.

肝管hepaticductおよび総肝管commonhepaticduct

左右肝管は肝門部で合流し,総肝管となる.
肝管の長さは左1.3±0.5cm,右0.7±0.4cmあり,左肝管は右肝管の約2倍である.
総肝管は胆嚢管が合流する部(三管合流部)までをいい,長さは2~2.5cm,直径は0.5~0.6cmで,通常は十二指
腸間膜内を下行して,肝動脈の前面・左肝動脈の右方・門脈前面を走る.(3~5cm,0.4cmとする文献もある)
正常の肝管以外に肝臓から肝外胆管に合流する副肝管accessoryhepaticductと呼ばれる異型があり,約1/5の頻度で
みられる.その多くは総肝管に合流するが,胆嚢管,総胆管,胆嚢に開口するものなど多彩である.

総胆管commonbileduct

胆嚢管と総肝管が合流して総胆管が形成される.総胆管は肝十二指腸間膜内を走行し,肝十二指腸間膜内の位置関係は腹側に
総胆管,左側に肝動脈,両者の背側に門脈となっている.総胆管は胆嚢管の合流部位により異なるが,長さ5~9cm,
直径0.5~0.8cmで直径1cm以上は病的拡張と考えられる.
総胆管は次の四つの部分に分けられる.
1)十二指腸上部parssupraduodenalis
総肝管と胆嚢管合流部より十二指腸上部上縁までの部で,長さ約3.5cm.約20%は合流点がより下部のため欠如する.
2)十二指腸後部parsretroduodenalis
十二指腸上部上縁から膵頭部上縁までの部で,長さは両者の位置により左右される.
3)膵部parspancreatica
膵頭部上縁から十二指腸壁進入部までで,長さは5cm内外.総胆管が膵実質を貫通しているものは約80%といわれる.
4)十二指腸内部parsintraduodenalis
十二指腸壁進入部から大十二指腸乳頭に開口するまでの総胆管末端部で,長さ約1.4cm.総胆管の95%が十二指腸
下行部後内側部で,腸壁に斜めに進入する

乳頭部

総胆管の十二指腸への開口部は乳頭状に隆起し,大十二指腸乳頭majorpapilla,あるいはVater乳頭papillaofVaterと
呼ぶ.なお乳頭部胆管,乳頭部膵管,共通管部,大十二指腸乳頭を総称して乳頭部と呼ぶ.この部分はOddi括約筋sphincter
ofOddiに囲まれている.この部を十二指腸内側からみると,縦に長い口側隆起oralprotrusionがVater乳頭に連なっている.
口側隆起の長さは7.7±2.8mmで,内視鏡的乳頭切開術の切開可能長は平均10.4mmである.
1)Oddi括約筋
Boydenは詳細な解剖学的検索から次の四つに区別している.
a)上総胆管括約筋sphinctercholedochussuperior
総胆管が十二指腸壁を貫通する前の十二指腸壁外に存在し,輪走筋主体で胆管内腔を閉鎖する.
b)下総胆管括約筋sphinctercholedochusinferior
前膨大部に相当する十二指腸壁の窓fenestraから膵管開口部までほぼ一様な強固な輪走筋束よりなり,非食事時には
緊張性収縮により胆汁を十二指腸に流出することなく胆嚢に貯留し,食事期には消化管ホルモンCCK(コレシストキ
ニン)により弛緩し,胆汁を十二指腸に排出する.
c)膨大部括約筋sphincterampullae
共通管commonchannnel,分離開口の場合は乳頭開口部付近の胆管・膵管を取り巻くが,筋層の発育は弱い.
d)膵管括約筋sphincterpancreaticus
十二指腸壁貫通部で胆管・膵管を8字状もしくはS字状に取り囲む筋と乳頭部の最後部で両管を取り巻く筋から成り,
胆管括約筋の収縮時,膵管も同時に圧迫狭小化される.筋層の発育は弱い.
2)膵・胆管の十二指腸開口形式
須田らは,図のように分類している.共通管を形成するものが最も多く約80%を占める.Ⅲ-bは膵・胆管合流異常で
先天性胆道拡張症,膵炎,胆道癌のハイリスクとして臨床上重要である.