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「JIKODA!」


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僕は今、トラックに乗せられて戦地へ運ばれている。
周りの皆は拳銃を空に向けて撃ち続けたり、練習なのか双眼鏡を覗いて砲撃要請を連呼している兵士達がいる。
僕はそんなノリに付いていけず、これから始まる地獄を想像すると怖くて仕方が無かった。
ガタガタと震えていると、隣に座っていた大柄な男が話しかけてきた。

「ヘイ、ブラザー!なに死人みたいな顔をしてんだ」
「俺達はこれから敵さんをぶっ殺しに行くんだぜ?」
「なのに殺す前に死んでたら話にならないぜ!」

やたらとテンションの上がってる様子に、引き気味ながらも話を聞いていた。その方が恐怖を忘れられると思ったからだ。

「なんだ初めてか?」
「あぁ・・・」
「そんなに心配すんなよ」
「戦闘が始まったら敵に向かって撃ってりゃいいんだ」
「そうしている内に戦争なんてすぐに終わって、俺もお前も故郷へ帰れるさ!」

そう言うと彼は、親指を立てて片目を閉じた。

「そして故郷へ帰ったら、俺はケーキ屋を開くんだ」
「へぇ、そいつは可愛い夢だな」
「なんだよ馬鹿にしてるな?」
「こんななりしてるが、近所じゃ俺のケーキは評判だったんだぜ」

こんな大柄なやつがエプロンを着けている姿を想像して、少し恐怖が和らいだ。

「俺の事よりお前は故郷へ帰ったらどうするんだ?」
「そうだな、まだ考えてないよ・・・」
「そうか、着たばっかりだし、ゆっくり考えるといいぜ」
「無事に帰れたら俺の店に来いよ、ご馳走してやるからよ」
「あぁ」

気が付くと、肩の振るえが止まっていた。
感謝しなきゃな・・・と思っていると突然誰かが叫んだ!

「敵の潜水艦を発見!!」

場が凍りついた。が、すぐさま

「F1F2!」

このトラックが走っているのは地面の上、潜水艦がいるわけがない。
きっと不安で気が動転して叫んでしまったのだろう。
自分もそうなっていたかもしれない、と思うと何も言えなかった・・・。

 ヒュゥゥゥゥゥゥ・・・ドグォォォォォォォォォォン!!!!

一瞬、何が起こったか理解出来なかった。
トラックに乗っていたのに、そのトラックが目の前で炎上している。
自分の体は地面に倒れていて、周りを見ると血まみれでも必死に立ち上がろうとする者や、背中が燃えているのに叫び声さえ出さない者がいる。

「おい!アレを見ろ!!」

声をした方を見ると、隣に座っていた男だった。
男が指している空を見ると、ジープが空を飛んでいる。
そのジープが変な軌道を描きながらこちらに向かってくる。
男が言った。

「振ってくるぞ!逃げろッ!!」

次の瞬間、激しい閃光を見た気がした。
気が付くと、僕はベッドの上にいた。。

「あら、気が付いた?」

一瞬、天使かと思ったがよく見るとナースだった。

「あなた2ヶ月も眠っていたのよ」
「良かったわね、もう戦争は終わったわ」

2ヶ月!?
戦争は終わった!!??
お前は何を言っているんだ
最初は夢でも見ているのかと思ったが、ナースの説明によると僕が運ばれてきて、そのすぐ後に我が国は敗戦したと・・・。
敵の新兵器によって戦局が大きく変わったらしい。

「そうか、アレが・・・そうなのか」

 ・・・ッ!思い出した。

「そうだ、アイツはどうしたんだ!?」
「え?」
「アイツだよ!俺の隣に座ってた大柄な男だよ!!」

僕はナースの両腕を掴んだ。

「お、落ち着いて!」
「ここにはあなたしか運ばれてこなかったわ」

そんな・・・嘘だろ?
僕のすぐ近くにいたのになんで・・・ッ

「その男の人の名前はなんていうの?」
「わからない・・・」
「そう・・、とりあえず先生を呼んでくるわね」

ナースは部屋を出て行った。
そういえば名前を聞いていなかったんだ。
名前も知らないけど、僕は彼に助けられた。
恐怖に震える僕を助けてくれた。
ちきしょう!なんで俺だけが生き残ったんだ!!
僕は泣いた。
泣きながら、あの瞬間の事を思い出そうとしていた。
たしか、気を失う時に誰かが言っていた。

「JIKODA!」

そうか、アレはJIKOなんだな。
説得力のある言葉にいつしか涙は止まっていた。