レイ 「プールに行きましょう」
ルリ 「有希姉、またトーストを食べるんですか?」
有希 「このパンは美味しい」
レイ 「プールに行きましょう」
ルリ 「まったく…それで最後にして下さいね?」
有希 「解った」
レイ 「プール…」
ルリ 「プールに行きたいのは分かりましたが、開園?時間はまだもう少し先です」
レイ 「……行ってくれるの?」
ルリ 「家でエアコンにあたり続けるよりは身体に良いですし
有希姉も来ますよね、プール」
有希 (トーストを食べながら頷く)
レイ 「水着水着…」
プールにやって来た三人
ルリ「さあ泳ぎましょうか」
有希「ルリ、緊急事態発生。レイ姉のプールへの接近を阻止して」
ルリ「?…は、はい。レイ姉、先に売店でヤキソバ買いません?」
レイ「どうしてそういうことを言うの?早く泳ぎたいの」
その時プールから聞こえる歓声。
アスカ「シンジィ見て見て。バックロールエントリー!」
シンジ「あ、あはは」
レイ「………」グォォォォ
ルリ「や、やばっ!」
有希「巨大隕石接近中。サードインパクトまであと180秒」
ルリ「わーマズイ!シ、シンジさん!こっち来て下さい!」
シンジ「わっルリちゃん、なになに!?」
ルリ「いいからシンジさん、レイ姉をギュッってしてあげて下さい!
人類が滅亡しちゃいますぅ!」
シンジ「あっあの、えーと………ギュッ」
レイ「…///ポッ」
有希「隕石、反転。太陽系外に飛び去りつつあり」
ルリ「た、助かった…って、はっ!?」
アスカ「グォォォォ………弐号機カモーン!」
こうして消滅する市民プール
ルリ「ていうかレイ姉はいつからハルヒさんみたいな能力を……」
レイ「……? 言ってる事がよくわからないわ」
ルリ「だから隕石が……」
有希「(そそくさ」
ルリ「ちょっと待ってください、有希姉」
有希「……」
ルリ「まさか、あれは有希姉の仕業ですか?」
有希「宇宙人、うそつかない」
ルリ「ですよねー。確かにあれは『隕石が近づいてる』っていう事実を言っただけで、
誰が原因かはっきり言った訳じゃありませんもんね」
有希「そう」
ルリ「……」
有希「……」
ルリ「…………」
有希「……ついカッとなってやった。変化の無い姉の恋愛事情に変革をもたらしたかった」
ルリ「よろしい」
レイ「……?? さっきから何の話をしてるの? また私をのけ者にするのね。のけもの姫ね」
ルリ「無理にボケて注意ひこうとしなくていいですから。
レイ姉は何も気にしなくていーんです。で、プールは楽しかったですか?」
レイ「人が多くて疲れたわ……。流れるプールって言うの? あれは楽しかった」
ルリ「流れるっていうか、流されるって感じでしたけど。物凄い脱力っぷりで流されてましたから。
レイ姉の周りだけ、妙に空間が空いてたのを覚えてます」
有希「まるでモーゼの十戒のように、プール内の人ごみが開いていった」
レイ「あと、コンクリートの地面が熱くてびっくりしたわ」
ルリ「サンダルは必須ですよ」
有希「カキ氷が美味しかった。アメリカンドッグはイマイチ」
ルリ「味が薄かったり濃かったりするファーストフードに舌鼓をうつのも醍醐味の一つらしいですから」
レイ「今度は海に行きたい。そんなに人が多くなくて、いい所」
ルリ「ハードル上げてきましたね。ま、レイ姉が外界に興味を持ってくれるのは嬉しいですけど」
有希「ならば鶴屋女史に訊いてみるといい。きっと最適な海水浴の場所を提供してくれる」
ルリ「……なんかいやらしいですよ有希姉。嫌な方に人間らしさを感じます」
有希「したたかさも人の持つ特性の一つ。こういう時の鶴屋女史なのは誰もがわかっているはず」
ルリ「ま、そうですけどね。同じお金もちでも、私の知ってる大関スケコマシとは偉い違いです」
レイ「今度は海の家っていう所で、美味しくない焼きそばを食べてみたいわ」
ルリ「どんなズレた願望ですか……まあ、善処します。私は美味しいのがいいですけど」
有希「そこでテンカワ・アキトに作ってもらうという口実ができる」
ルリ「そ、そんな無茶なことしませんよ」
レイ「それも踏まえての私のお願いだったのに……ふう」
ルリ「絶対ウソですよね、それ」
レイ「ええ。有希が言わなきゃ気づきもしなかったもの」
ルリ「ああやだやだ……またまたおバカな夏休みになりそ」