晩秋、三女のルリは一人居間の窓から見える紅葉を眺めていた。既に温度を失った紅茶に口をつけると玄関から扉の開く音。そして随分と冬の匂いを感じさせるようになったやや肌寒い空気が入ってきた。
 カップを置きそちらに目を向けると長女のレイが帰ってきたところだった。
 「…おかえりなさい」
 「…ええ」
 ルリは窓に目を向けなおして最後の一口に口をつける。
 レイは鞄を降ろすとルリの頭を撫でて隣に座り本を開いた。

 

―ガチャ

 僅かな音が無音だった部屋に響く。二人は同時に顔を向け、そこにいる最後の家族を迎える。
 「…おかえりなさい」
 「…」
 最後の家族、次女の有希は無言で居間に向かうと三人分のお茶を用意して彼女らの側に腰掛ける。
 「…飲んで」
 「ありがと、お姉ちゃん」
 「…」
 ルリは言葉でレイは眼で感謝を表す。
 「…いい」
 有希は本を開きながらそう言うと部屋はまた暖かな静寂に包まれた。香りたつ湯気が鼻をくすぐり彼女達はそれぞれにそう思う。

「こんな日々がいつまでも続きますように」

 


おまけ
尚、この穏やかな時間は毎度長くは続かない。
ドンッ
「だだいまー…ってばかーあんた何してんのよ






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