つぶらな瞳が私を見つめてます。なんて可愛いらしいわんこでしょう。
私は、わんこの前にしゃがみ込むと、なでたい衝動をおさえきれず、
そっと頭をなでてみます。するとわんこは、目を細めて気持ち良さそうに。
私の手が、そっと押し返されます。わんこが頭を押し付けてきてるのです。
まるで、もっとなでて欲しいと言っているよう。
さらになでてあげると、わんこは尻尾を振ってこたえてくれます。
あぁ、とても幸せな気持ちになってきました。
思わずわんこを抱きしめようとしたその時、誰かが私の頭をなでました。
「あ……」
振り向くと、アキトさん。
「やあ、ルリちゃん。猫スーツ着て、何してるんだい?」
あれ?おかしいな。言われて初めて気付きました。
私、猫スーツ着ています。どうしてでしょう?
「その犬どうしたんだい?」
「……頭をなでてあげると、気持ちよさそうにしてくれますので、つい……」
アキトさんを見上げたまま、意味不明なことを言ってしまいました。
何が、つい、なのでしょう。
「ほんとだ、気持ちよさそうだね。じゃあ俺はルリちゃんをなでてあげるよ」
アキトさんまで意味不明なことを言って、私の頭をなでてきます。
自分でもはっきりとわかります。見るみるうちに、頬が赤くなっていくのが。
耐え切れなくてそっぽを向いたけど、その動作があまりに不自然で、
私が照れていることをアキトさんに悟られてしまいそうで、ますます
顔に血がのぼってきます。
犬をなでている私をなでるアキトさん。
不思議な状況のまま、固まってしまいました。
だってこんなの、動けない…………
レイ「ルリが昼寝をしたまま、にやけた顔をしていると思ったら、そういうことだったの」
翠星石「面白いものが見れると呼ばれて来てみたら、予想の枠をはるかに超えたお宝映像ですぅ。
ルリルリはいつもこんな夢を見てるんですか」
有希「夢にしては妄想的な、余りに妄想的な」
レイ「覗かれていることに気付いて目を覚まさないうちに、退散しましょう」