レイ「夏、それは人が一年で一番開放的になる季節」
有希「……」
ルリ「……」
レイ「お願い、反応ぐらいして。ほらルリ、いつものツッコミは?」
ルリ「それは……狙ってやってるんですか?……まぁいいですけど。
で、開放的がどうしたんですか?」
レイ「チャンスの時期到来よ。なんといっても、夏ですもの。
ひと夏の思い出を咲かせるわ。そう、夜空に舞う花火のように」
ルリ「……」
有希「まだ梅雨明けしていない」
ルリ「花火のように咲かせたら、一瞬で消えてしまいます」
レイ「……ずいぶん冷めてるのね。恋する乙女心が分からないの?」
有希「どちらかと言えば姉さんが浮いている。やや暴走気味」
ルリ「それに分からないのはレイ姉の言ってることです」
レイ「ふふ。だんだんツッコミもノッてきたわ。それでこそ私の妹たちよ」
ルリ「そろそろ夕飯の買い物に」
有希「読みかけの本があった」
レイ「あ……逃げないで二人とも」
ルリ「ヒマなんですね?」
有希「碇シンジに相手をしてもらうべき。そうすれば、全て解決する」
ルリ「あぁ、そういうことですか」
レイ「……だから、どうやって誘えばいいのか悩んでるの」
ルリ「なにを今さら。ていうか、だったら最初からそう言ってください」
有希「本当に今さら。いつものように誘えばいい」
レイ「それだと、何だかありきたりじゃない。もっと碇くんの
ピュアでウブなハートを刺激したいの」
有希「そういう趣旨なら、誘い方とともに内容も考慮するべき」
ルリ「ピュアでウブって……」
有希「たとえば夜のデート」
レイ「夜のデート……とても、いやらしい響きね」
ルリ「いやらしいのはレイ姉の頭の中です」
有希「次に会ったときにさりげなく耳元で『今夜、ヒマ?』とささやく。
できれば周りに人がいる中で、内緒話でもするかのように聞くのが望ましい。
碇シンジの返事を待つ間は、潤んだ瞳、上目遣いをすること。
さらに、軽く撫でるような感じで相手の指に触れたりすると尚良し」
ルリ「ゆ……有希姉……?」
レイ「すごいわ有希。それならうまくいきそう……やってみる。ありがとう有希」
翌日
レイ「それじゃあネルフに行ってくるわ。今夜は帰らないかもしれないから……ふふふ……」
ルリ「本当にうまくいくんですか?シンジさん、ああいう誘われ方には慣れてないんじゃ……
それにレイ姉のことですから、たぶんアスカさんのいる前で誘いますよ」
有希「おそらく、惣流・アスカ・ラングレーはすぐに察知する。
そして典型的な三角関係のドタバタコメディーが展開……」
ルリ「……有希姉、楽しんでません?」
有希「大丈夫。レイ姉も、結局楽しんでくれる」
ネルフにて
ミサト「じゃあ今日はもう上がっていいわよ。
お疲れ様」
シンジ「お疲れ様でした」
アスカ「お疲れ~。さーて、帰ろっと」
レイ「碇君・・・・・」
シンジ「ん?どうしたの綾波?」
てくてく、スッ
レイ「ボソッ)今夜、ヒマ?」
シンジ「え・・・・・・・・・・?」
レイ「(成功)」
シンジ「今、何だって?
声が小さくてよく聞こえないや」
レイ「・・・・・・・・・・」
アスカ「あんた達、何してんのよ?帰らないの?」
シンジ「いやぁ、綾波が・・・なんか・・・・・」
アスカ「?」
レイ「(もう一度)
・・・・・今夜、ヒマ?」
シンジ「えっ・・・・・」
レイ「(届いたっ)」
アスカ「な、何ですってぇー!?」
レイ「(しまった。こうなったら・・・・・
そのまま続行)」
シンジ「綾波それってどういう・・・・・」
レイ「・・・・・」←上目使い
シンジ「うっ。
こ、今夜は別に何にも無いけど・・・・・?」
アスカ「な、何言ってんのよ馬鹿シンジ!
あんたは私との約束があるでしょ!」
シンジ「えぇ!?そうだったっけ!?」
アスカ「そうよ!えっと・・・・・その・・・・・
今日はパーティー!そう!パーティーの約束してんのよ!
ハル姉も困ったもんよね~。
祝うことなんて無いのに急にパーティーやるって言うんだもん」
シンジ「そんな約束した覚えが・・・」
アスカ「したのよ!私が言ってんだから間違いないわ!」
レイ「(負けないわ)碇君・・・・・」←まだやってる
シンジ「あ、綾波っ・・・・・
そうだ、それじゃあ・・・・・・・・・・」
3姉妹宅
ルリ「レイ姉遅いですね。
まさか本当に帰って来ないなんてこと無いでしょうね」
有希「それは無い。きっと・・・」
ルリ「有希姉の期待通りですか?」
有希「そう」
レイ「(ガチャ)ただいま」
ルリ「あ、お帰りなさい」
レイ「ということで今夜6時から
お隣さんでパーティーすることになったわ・・・・・(シクシク)」
有希「レイ姉、泣かないで」
レイ「これは涙・・・・・?泣いているのは・・・・・私?」
ルリ「バカばっか」
お隣では
ハルヒ「まったく!なんで急にパーティーするなんていうのよ!
お陰でこっちはてんてこ舞いよ!」
翠星石「そうですぅ!準備するこっちの身にもなれですぅ!」
アスカ「ご、ごめんなさい・・・・・」
有希 「姉さんに言いたい事が」
レイ 「何?」
有希 「碇シンジはバイセクシャルの可能性がある」
レイ 「……何故?」
有希 「彼は姉さんの裸体に動揺しただけなら、普通の男と変わらない
しかし彼は渚カヲルに迫られ、満更でも無い顔をしていた」
レイ 「有り得ないわ
だって、碇くんにそんな甲斐性は無いもの」
ルリ 「何気にヒドイ事言ってますね」
レイ 「碇くん、言葉責めが好きそうだから大丈夫」
有希 「確かに彼は、劇場版で自分を罵って欲しいと、赤い二号に要求していた……」
ルリ 「またオチ無しですか」
ゴメンナサイ