草笛みつからの突然の電話があったのは、木曜の夜のことだった。
「――――だから、私ひとりの手には負えそうにないの」
「で、僕に手伝えと」
眠い目をこすりながら――起きたばかりだった――
桜田ジュンは目の前に持ち込まれかけた厄介事に
どう対処したものか考え始めていた。
「うん。あした午後からお休みとるから、
 そっちにお邪魔してもいいかしら?」
「まあ、いいけど・・・ところでその衣装って、
 なんかデザインとか指定あるんですか?」
「データはそっくりそのまま送ってあるから」
要はハナから僕をアテにしてたのか、とジュンは思った。
「それじゃまた明日。よろしくね」
受話器を置いて、ジュンは自室に向かった。
部屋では、真紅と雛苺がパソコンを弄っていた。
「みっちゃんからめーるきてるの~」
真紅を膝の上に、雛苺を頭の上に乗せてジュンは
椅子に座り、目の前のモニターが映し出すメールの内容を確認した。
草笛みつへの「人間用のドレスを作ってくれ」という依頼――――
そのメールがそっくりそのままジュンのもとに転送されてきていた。
画像ファイルも添付されている。何の気なしに開く。
そこに映し出されてたのは、見慣れたドール。
「どう見ても翠星石ね」
真紅が冷静にコメント。
「本当にありが・・・じゃなくてだな」
ジュンは額に左手をあてた。
依頼人とみつとの間には面識がない筈である。なのにこの偶然。
「まあ、そういう人だとは知っていたけどさ」
転送されてきたその依頼メールの末尾には、
依頼人の名前もその役職名とともにしっかりと明記されていた。

「○月×日 SOS団団長 涼宮ハルヒ」






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