「有希姉、こんな時間までネットですか」
「ハルヒ系二次創作SSをメインとするサイトを閲覧していた」
「いや自慢げにサイトを見せられても。夜更かしを責めてるんですが」
「そう」
「…まあ連休だからいいですけど。それにしてもこのサイトは…」
「私と彼のラブラブSSがほぼ毎日更新される優良サイト。たまにヤンデレハルヒなる異物が混入する以外はほぼ理想的」
「ヤンデレ、って…156あたりのですか。うわ、コメントのほとんどがそのヤンデレを望んでるじゃないですか」
「エラーの蓄積を感知」
「この程度でストレスためないでください。ネットに向いてないです」
「ルリ、ルリ」
「あれ、レイ姉まで起きてたんですか」
「あのサイトは私も知ってる。だけど少しばかり気になることがあるの」
「何です?」
「あのサイトの有希は、何度も涼宮ハルヒに自分たちの仲を見せ付けて挑発しているわ。
そのたびに彼女がキレて、でも何事も起こっていないかのように平和な日常が続くの」
「それは、一話ごとにパラレルな設定なんでしょう」
「有希はパラレル設定じゃなくても問題ないようにする能力があるわ」
「…!? 有希姉が毎度情報改変で事態をなかったことにしていると?」
「そう。そうするとそもそも有希があの彼と恋人になっている設定も、情報改変の賜物かもしれない」
「本当はハルヒさんの方がキョンさんの相手だったってことですか? …無茶じゃないですけど考えすぎですよ。
メインヒロインが決まっている作品でサブキャラと説明無しに恋人になる二次創作なんてよくあるじゃないですか」
「でもあの作品の原作で有希は一度似たことをやってるのだもの。涼宮ハルヒのヤンデレも、本来恋人のはずの彼が取られて、
しかもリセットしているとは言えラブラブを見せ付けられてることで無意識下にストレスが溜まったせいと考えられるわ」
「それじゃ有希姉が凄く嫌なキャラになりませんか?」
「嫌と言うより、そういう視点で見るとあのサイトでは有希こそがヤンデレだと見るわ」
「ヤンデレですか…」
「ヤンデレよ…」
「旬の属性を持てて羨ましいわ」
「羨ましいんかい」
「?」