「……待って」
とある月曜日。
銀杏並木の先にある分かれ道で、ルリは背後から呼び止められた。
アダムの前であったから一瞬使徒に呼び止められたかと思う、そんな錯覚を与える無機的な声だった。
声をかけられたまらず立ち止まり、そうして「……」と上体だけちょっと捻ってかえりみる。
不意のことでも、あわてた様子を見せてはいけない。
ましてや全身で「振り返る」なんて行為、バカまるだし。
とある月曜日。
銀杏並木の先にある分かれ道で、ルリは背後から呼び止められた。
アダムの前であったから一瞬使徒に呼び止められたかと思う、そんな錯覚を与える無機的な声だった。
声をかけられたまらず立ち止まり、そうして「……」と上体だけちょっと捻ってかえりみる。
不意のことでも、あわてた様子を見せてはいけない。
ましてや全身で「振り返る」なんて行為、バカまるだし。
あくまで素っ気無く、そして冷淡に。一番上の人のようにならないように。
だから相手をチラッと見たら、ごきげんよう失礼します――。
しかし残念ながら、ルリの口から「失礼します」は発せられることはなかった。
だから相手をチラッと見たら、ごきげんよう失礼します――。
しかし残念ながら、ルリの口から「失礼します」は発せられることはなかった。
「…………」
その声の主の格好を確認したとたん呆れてしまったから。
「…………」
「…………」
「…………」
「…………」
「…………」
「…………」
「…………」
「あの……。私にご用なんでしょうか」
ルリは尋ねてみた。
彼女の視線の先に自分がいることと、その延長線上に人がいないから仕方が無い。
ルリは尋ねてみた。
彼女の視線の先に自分がいることと、その延長線上に人がいないから仕方が無い。
「……そう。誤りではない」
「持って」
彼女は手にしていた星のついたスティックをルリに差し出す。
訳もわかるず受け取ると、からになった両手でルリの腕をとり、噛み付いた。
「持って」
彼女は手にしていた星のついたスティックをルリに差し出す。
訳もわかるず受け取ると、からになった両手でルリの腕をとり、噛み付いた。
「ちょ、な、なんなんです!?」
「タイの稼動範囲を半永久限定。および属性付加」
「タイの稼動範囲を半永久限定。および属性付加」
「ぞ、属性…?」
「……そう」
「……そう」
「形状記憶とかですか?」
「違う。属性を付加したのは、あなた」
「違う。属性を付加したのは、あなた」
「な、なんの…?」
「動物界脊策動物門脊椎動物亜門哺乳綱ネコ目ネコ亜目イヌ上科イヌ科……たぬき」
「動物界脊策動物門脊椎動物亜門哺乳綱ネコ目ネコ亜目イヌ上科イヌ科……たぬき」