ネルガルから一通の電子メールが届いた。新しい指令だ。
メールには、指定の場所へ向かうようにとだけ書かれていた。
以降の指示はその場でもらえるのだろう。
指定されたのは住宅街にある、古い2Kの木造アパートの一室。
階段をギィギィと鳴らし、上る。
一番奥のドアの前に立ち、部屋の番号を確かめる。確かに、メールに指定されていた部屋だ。
ドアノブを回す。ギギギと音を立てながら、ドアは開いた。
よくこんな建物が潰れずに残っているのもだと、半ば呆れながら中に入る。
玄関には、二つの靴が綺麗に並べられていた。靴の種類は、女性のもの。
小さな玄関のすぐ右手が、二畳ほどのキッチン。奥の部屋とはガラス戸で仕切られている。
左手には洗面台に、お風呂とトイレのドア。
靴を脱ぎ、先客の靴に並べる。
ガラス戸を開ける。畳の部屋で正座していた別々の制服を着た、銀髪と青髪の二人の女性が、同時に私へ顔を向けた。
二人とも、無言のまま。
「あの…」
声を掛けるが、二人とも無言のままただじっと私を見返すばかり。
私は何かいたたまれなくなり、二人の横に正座し、そのまま黙り込んだ。
ぐるりと部屋を見回す。何もない六畳の畳の部屋。角部屋なので、この部屋にも窓が一つ。
奥のもう一つの部屋とは、襖で仕切られている。外からはベランダが見えたので、ベランダと繋がった部屋があるのだろう。
ここでこの二人と何をするのだろうか。
いや、もしかしたらこの二人以外にまだいるのかもしれない。
などと考えをめぐらしていると、銀髪の女性に、トントンと肩を叩かれた。
「何か?」
と聞くと、女性は無言のまま畳の上に、預金通帳と共に置かれていたメモを指差した。
周りばかり気にしていて足元の、こんな目立つものを見過ごしていたとは、迂闊だった。
メモにはこう書かれていた。
『これからしばらくの間、三人は姉妹として生活するように』
これが何を意図したものなのか、想像できない。だが、それが今回の私の仕事なのだ。
「私たちは…姉妹…」
青髪の女性が、小さく呟いた。





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