ある日、僕は学校から帰る途中で一匹の白い猫を見つけた。
その猫は、体中に傷があるみたいで、よろよろと歩いては、数めーとるもいかずにパタリッと倒れた。
なんとなく、僕はその猫が心配になった。
このままでは死んでしまう。
そう、思った。

それでも、僕は何もせずにその場から立ち去ってしまった。

あくる日、またその猫はその場所にいた。
フラフラと、あたりを回っていた。
何か、見失ってしまったのかもしれない。
今度は少しだけ、ゆうきを振り絞ってみた。
学校からこっそりもってきたパンをちぎって与えてみる。
 ・・・もしかしたら嫌いで食べれないかもしれない。
その猫は、少しだけ戸惑った様子で、僕を見てきた。
ただし、それだけだった。

その次の日は、雨が降っていた。
また僕はここに来ている。
あたりを見渡すが、あの白い猫はいない。
もしかしたら・・・・、そう思うと自然と足が動いていた。
物陰の奥とか、少し高いところに上ってみて、辺りを見回す。僕は眼がいい
 ・・・それでもみつからない。

少しだけあるく。トボトボとした足取りで
やっぱりなのかも・・・。そう思ってしまう
「・・・・ーっ」

あ、・・・いた。あの白い猫だ。こんなところにいたのか。
そこはさっきの場所から家2軒分ほど離れた路地。
必死でなにかを箱から出そうとしているみたい。
こんな雨の中で。
それは、銀製の少し高そうな檻だった。
鍵が開かないのか、あけ方を知らないのか。
 ・・・・・・・・・・
開けて上げよう
『カチッ』
開いた。中から出てきたのは・・・・。
こっちも白い猫。少し幼そうに見える。
2匹を抱き上げて、元いた空き地にそっとはなす。

あと、僕はもっていたパンを小さくちぎって、地面に置いた


次の日。
その猫たちはいなかった。
その次の日も、その次の日もそれからずーっと後の日も。


でも、僕には分かっていた。
あの猫たちがどこにいるか、あの猫は二匹じゃなかった。

あの日僕は、もう一匹猫が空き地にいたのを知っていた。
もちろん、白い猫。そしてたぶんだけど、
その猫が、一番初めに見た猫だ。

体についていた傷を引きずりながら、こっちに向かってきて、
一言、
「ありがとう」
と、言った気がする。

だから、もう、見ることはないけど、きっと大丈夫。
きっと、あの白い猫たちは、自分の居場所を見つけられたんだろう。
だから、もう見ることはない。

 ・・・・・ちょっとだけ、寂しい

でも、もし逢えたなら、今度は僕が大人になっていても、
とうせんぼをして、水をまいて、追っ払ってやろうと計画している。
僕は、ゆっくりと、瞼をひらく。





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