2005年3月28日株式会社生活と科学社は、楽天株式会社に対し、公開質問状を送付いたしました。以下にその全文を掲載します。


公開質問状

楽天株式会社
代表取締役会長兼社長 三木谷浩史 様

2005年3月28日  
株式会社 生活と科学社
代表取締役 猪ノ口 幹雄






 弊社は貴モール内に「石けん百貨」を出店していますが、オープン当初(2000年9月)から現在に至る5年間で楽天市場のシステムは一方的且つ大幅に変更され、その結果特に料金体系、外部リンク、顧客情報管理において、出店当時に比して出店者には極めて不利な状況になっています。

日本最大のネットショッピングモールとしての楽天市場の将来のため、そして出店している各店がより良い店作りにじっくりと取り組むためには、貴社と出店者とが共存共栄できる環境が何よりも必要です。
 しかし最近の貴モールの方針にはこの視点が大きく欠けているのではないかと疑問に思うことがあり、ここに公開質問状をお送りすることに致しました。
 よろしくご回答をお願いします。
 なお弊社は近く健全なネットショップの構築をテーマとしたサイトを開設し、今後ますます成長を続けるであろうネットビジネスに山積している諸問題を取り上げていきますが、今回の公開質問状および貴社からのご回答をここに公表いたしますので、ご了解くださいますようお願い致します。

1)「楽天憲章」「出店規約・会員規約・サービス利用規約」「各種ルール・ガイドライン」   および規約改定について

 2002年12月1日付け貴社資料「楽天市場憲章・出店者サイト外取引基準・外部リンク例外基準 ガイドライン」には、「楽天の憲章はその名のとおり、日本国における憲法と同様の位置付けであり、この基本理念の下に出店規約・楽天規約・サービス利用規約があり、それら規約をより具体的にまた詳細に例示したものが各種ルール・ガイドラインとなります」と説明され、「楽天市場憲章」は「憲法」、「出店規約・会員規約・サービス利用規約」は「法律」、「各種ルール・ガイドライン」は「政令・省令」に位置するものとされています。
 日本国憲法は「主権在民」「三権分立」を根本的な特色としています。しかし楽天市場に於いては、これまでのところ主権を握るはずである「民」つまり楽天市場に於ける出店者の意向は各種ルールの変更に関して全く無視されているように見えます。

貴社は当時の楽天市場出店規約第25条(規約の変更)を楯に規約の変更を強行されましたが、それは出店者に対する貴社の方針(特に料金体系や外部リンクについて)の無理強いです。
 弊社を含む多くの出店者は、多大な経費と労力を払って貴モール上のショップを核店舗として作り上げて営業しており、最早楽天市場から簡単には撤退出来なくなっています。そのような状況で一方的に不利な条件変更を通知されても、泣き寝入りせざるを得ない店舗が大多数であることは容易に想像できるでしょう。
 規約の変更は「楽天憲章」にも掲げておられるように「法令および健全な商習慣の遵守」に基づかなければなりません。にもかかわらず上記のような手段を取られるということは、貴社は憲章の基本理念を放棄されたのでしょうか。

2)外部リンク禁止措置について

 インターネットの極めて優れた機能である「リンク」によって、お客様は商品に関する豊富な情報を得ることが出来ます。従って外部リンクの制限は、即ちお客様の商品情報取得についての権利の制限であり、更に、URLにWWW(World Wide Web)を冠することにも矛盾しています。弊社の出店当初(2000年9月)、楽天規約には外部リンクについての特別な制約はありませんでした。
 しかし2002年4月の改定で「楽天サイト外に取引を誘導する事」に対し、そして2004年4月の改定では「外部Webサイトへのハイパーリンクを禁止」と次第にその禁止内容がエスカレートしています。
 「楽天市場外へのハイパーリンクは、一律禁止させて頂いております。よって楽天で販売いただく商品は、楽天店舗内で商品説明していただくことが原則となっております。」(楽天株式会社法務審査部部長・S氏)との考え方は、店舗のみならずお客様にとっての不利益でもあるのです。実際の商品を手にとって確かめる事はおろか、リンクを辿って有益な関連情報を得ることすら出来ない、そのようなネットショップが一体お客様にとって魅力的であるかどうか、もう一度良くお考え下さい。

  昨年11月にも朝日新聞で紹介された弊社の自社サイト「石けん百科」は、掲示板「石けん楽会」と共に石けんなどの上手な使い方と正しい知識を提供する場として大きな役割を果たしています。
 石けん百科 http://www.live-science.com/index.html
 石けん楽会 http://www.live-science.com/cgi_bin/bbs2000/wforum.cgi

 上記サイトは「楽天市場・石けん百貨」の発展に欠かせないものでした。しかし貴社はこれらについて弊社店舗での情報をリンクでないにもかかわらず文言の修正や削除を執拗に要求してこられました。
 そしてそれらの情報をお客様に提供したいなら「楽天ゴールド」を利用することを要求されています。しかし実際にその作業を行うには膨大な費用と手間が掛かります。そしてそれを負担するのはもちろん出店者側です。
 弊社は外部リンクへの制限を全面的に否定はしませんが、それは必要最小限にとどめるべきであると考えます。
 貴社は外部リンクに関する変更、削除要求の際には「楽天の機能を利用して、店舗運営をして頂く事が楽天のルールとなりますので他店舗様間の公平を期するためにもご理解、ご協力下さいますようお願い申し上げます。」(楽天法務審査部・K氏)と、「他店舗様間の公平」を持ち出されています。が、実際問題として貴モール内の大部分の店舗が「外部Webサイトへのハイパーリンクを禁止」に賛同されているのでしょうか。もしもそうでないならば、「皆が我慢しているのだから」という理屈は通らないのではないでしょうか。
 楽天憲章に掲げる「出店者共通の財産である楽天市場のコミュニティの発展のために」とする基本理念に忠実であろうとするならば、出店者を楽天モール内に囲い込み、多様で魅力的な店舗作りを妨げる「外部リンク禁止」項目は是非とも見直すべきであろうと考えます。
貴社の見解をお伺いします。

3)顧客情報の管理について

 貴社の顧客管理に関する改定は極めて独善的なものです。
 弊社が貴モールに出店した当時の出店規約ではメールアドレス等の顧客情報は貴社と出店者が共有しそれぞれが責任をもって管理すべきとされていました。
 それが2004年4月1日付の出店規約改訂で、それらの顧客情報は貴社のみの管理下に置かれ、出店者が貴モールを退いた際にはその顧客情報は一切利用できなくなるとされました。メールアドレスを始めとする顧客情報は、出店者が日常の店舗運営や、懸賞サイトや広告料を貴社に払うなど多大の努力を払ってようやく獲得した、店舗にとっての財産です。それを簡単に取り上げられては店舗運営に重大な支障を来します。顧客情報は貴社と出店者が共有しそれぞれが責任をもって管理をする、とする改定以前の出店規約に戻すべきです。
 貴社の見解をお伺いします。

4)料金改定について

 「楽天市場では、月に場所代を5万円払えば、あとは一切かかりません。」(1999年3月朝日新聞)「出店料は月5万円にしました。いくら売れようと出店者から口銭を取ることもしません。」(1999年7月日経PC21)「出店料金体系は月額固定料金となっており、売上マージンはいただいておりません」(当時の貴社の資料より)
 弊社が貴モールに出店した当時の貴社社長・三木谷氏の言葉です。ここにはその後の従量課金制度について一切ふれられていません。
 当時他のモールが100万円以上の初期投資費用を要求していたのに比べて貴社の出店料は圧倒的に安く、これが現在の楽天市場の発展に大きく寄与したことは間違いありません。  しかるに貴社は2002年2月に従来の基本料金に加えて月間の売上高やメール配信数に応じた超過料金を徴収する「新料金体系」を通知し、同年4月から実施しました。
 2001年の年末から貴社のシステムトラブルによる相次ぐサービス停止のため多くの店舗が大幅な売上げの減少を強いられましたが、やっとシステムの安定化の兆しが見え始めた時期における一方的かつ唐突なものでした。

 月額固定料金に従量課金制度が上乗せされるということは、店舗によっては料金がいきなり数倍から10倍以上になったことを意味します。
 また「楽天スーパーポイント利用規約(出店者向け)」(2003年12月26日改定)、「楽天スーパーアフィリエイト利用規約(出店者向け)」(2003年9月1日制定)の改定、制定を行い、それまで貴社が負担してきたポイントの原資とアフィリエイトの提携サイトに支払う報酬を出店企業が負担するように一方的に変更しました。
 更に2004年12月20日には2006年1月からこれまで対象外であった100万円以下の売上げに対しても課金対象とするとの通告も受けています。
 安定的なシステム構築のための料金改定は否定しません。しかし貴社の料金体系の改定はあまりに唐突で程度が激しく、出店者に大きな負担増を強いております。
 これも「楽天憲章」に掲げる「法令および健全な商習慣の遵守」に自ら背くものであり、貴社と出店者とが共存共栄できる料金体系への改善が必要と考えます。
 貴社の見解をお伺いします。

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最終更新:2006年12月02日 10:33