第231話~第240話

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airi-kumai

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だれでも歓迎! 編集
871 :名無し募集中。。。:2009/10/13(火) 01:49:21.61 0
>>870
第231回

「どっからそういうバカみたいな話が出て来るんだか」
「いや、佐紀ちゃんきっともも先輩とお話したいだろなぁって思って。
だから文芸部に誘ってあげたんだよ?わかる?」
「茉麻、いい加減怒るよ」
佐紀ちゃんの目の奥に炎が灯った気がする。
おぉ、怖い怖い。これ以上突っつくと余計怒りそう・・・だけど突っつく私。

「だってほんとのことじゃーん。ね、えりかちゃん」
「え?あ、うん・・・佐紀、あのね、私文芸部に入ることになって」
「はぁぁぁ!?えりか、本気?あの文芸部に?嫌ってたくせに?」
佐紀ちゃんは目を見開いてえりかちゃんに詰め寄る。・・・・素直に、怖いです先輩。
「そうなの。えりかちゃんもさ、佐紀ちゃんに素直になって欲しいんだよー」
「いやいや、素直になりようがないからw」
佐紀ちゃんは鼻で私を笑う。その強がりは一体いつまで続くのか、見物だなぁ。

「まぁ、もも先輩可愛いし性格もいいし佐紀ちゃんが好きになっちゃうのも無理ない!」
「茉麻マジいい加減にしてよ。笑えないから」
声がマジで怒っている。冷たい声になっちゃってる。
黒い佐紀ちゃんレベル5のう4くらいになってきた。でも、ここが攻めどころ!

「でもさ、もも先輩って同じ部の夏焼さんって子が好きみたいだよ。
直接聞いてたわけじゃないんだけどさ、いつもべったりだし、まあの予想外れないし」
「・・・・・あっそ。だからなに?私に関係ないんだけど」
よし、ちょっと表情が変わったかな?余裕ぶっていた顔が一瞬だけ崩れた。
チラっとえりかちゃんを見ると、小さく、頷いてくれる。

「高校生活もあとちょっとなのに、それでいいの?ね、佐紀ちゃん・・・・ま、それだけ。
じゃあ、またね。文芸部はいつでも歓迎だからー。」
私はさっと身を引いて、佐紀ちゃんに手を振った。佐紀ちゃんは何も言わず、下を向いていた。


913 :名無し募集中。。。:2009/10/14(水) 02:19:25.04 0
>>871
第232回

茉麻が帰っていって、私はえりかに詰め寄った。
普段からなに考えてるのかイマイチわかんなかったけど
でも私のこと一番よくわかってる友達だと思ってた。
友達はいっぱいいるけど、でも、その中でも一番の友達だと思ってきた。

なのに、裏切られた。
えりかだって、嗣永のこと嫌いだと思ってた。だからこそあんなこと・・・
なのに、なのに!文芸部に入部した!?どういうつもり!?
えりかは私の味方なんじゃないわけ?千奈美となっきぃまで取られてえりかもだなんて・・・・。

「えりかなに考えてんの?」
「さーね」
「あんたなにやったかわかってんの!?」
「佐紀こそ、入部しなよ」
「はぁ?なんでそうなんのよ!・・・もういい!」

えりかは、私が怒っているのもかかわらず冷静だった。
いつもならなだめたり、まぁまぁ、なんて言ってくれるのに。
なんで、なんでこんなことになったの?

茉麻の姿が浮かぶ。えりかに入れ知恵でもしたんだろう。
何のために?私を文芸部に入れるために?
茉麻は何のために、私に、嗣永のことが好きでしょ、なんて聞きに来たんだ。

絶対にありえないのに。そんなわけないのに。そんなわけない。
私は嗣永なんて嫌いだ。うざったい顔して下向いてイジイジしてる。ださい。
服の趣味だっておかしいし。頭がありえないくらい悪いし。

だから、絶対にありえないのに。なのに・・・なんで。


914 :名無し募集中。。。:2009/10/14(水) 02:20:28.59 0
>>913
第233回

・・・・考えれば考えるほど、むかついてくる。あの女・・・。
生徒会長で成績は学年ナンバー1の私にたてついてきたあの女。

そういえば、中学も一緒だったっけ。あんまり覚えてないけど。

・・・いや、違う。知ってる。よく、覚えてる。
笑顔が可愛くて私もあんな風に・・・・・

違う、違う、違う!
私はあんなやつ大嫌い!

机に突っ伏して、一人で考えては打ち消しての繰り返し。
朝の時間は数学の勉強をしようと思っていたのに。
もうテストまで2週間を切っているし時間はない。
なのに、何でこんなこと考えなくちゃいけないんだ。
茉麻のせいだ。あいつ、勉強しなくても頭いいからって・・・人のことかき乱すのは止めてほしい。

違う、私はかき乱されてなんかいない。
そんな理由がない。
私が嗣永を好きだなんてこと天地がひっくり返ってもありえない。

そんなとき、ふと、茉麻が夏焼と言っていた人のことを思い出した。
確か茉麻と同じ学年で・・・派手な顔した・・・。
嗣永の好きな人。派手な顔の女。
なんとなく、あの地味な嗣永とは結びつかない。似合ってない。
いやいや、そんなことどうでもいいから。私には関係ない。

・・・・私は一体何をしてるんだろう。
茉麻の言うとおり、高校生でいられるのはあと・・・ちょっとか。


915 :名無し募集中。。。:2009/10/14(水) 02:21:17.05 0
>>914
第234回

佐紀は私に裏切られたと思っているに違いない。
ものすごく怒ってた。でも、茉麻が冷静にしててって言ったから私は取り乱さなかった。

机に突っ伏したまま一切動かない佐紀の背中を見て申し訳なく思う。
私は別に佐紀のこと嫌いなんかじゃない。裏切ったつもりだってない。
でも、佐紀には素直になってほしいって思ってる。
茉麻に押し切られたけど、でも、素直な佐紀が見たいっていうのは私の素直な願望だから。
裏表があるから、黒い佐紀を素直な佐紀だと思う子もいるみたいだけど
そうじゃない。まだ下に何か隠してる。それのことに茉麻はきっと気付いてるんだなぁ。
だから、私もそれが知りたい。・・・・佐紀は知られたくないかもしれないけど、でも、
私は佐紀に全部見せてるつもりだから、もっともっと大切な友達になりたいんだ。

だから、許してね。ごめん。素直に、なってよ。


まぁ、最初はこんなもんかな。煽りに煽って、さっと引く。
続きは、お昼休みにでも。
いや、続きって言うか・・・・次はもうちょっと優しくしよう。

あの様子を見る限り、もも先輩を好きなのは間違いなさそう。
でも、そのことに気付いていない。もしくは認めたくない。そのどっちか。
ん、認めたくないの方が正しいのかな。

「熊井ちゃん、多分、面白い事になるから期待してて」
「え、なに?生徒会長のこと?」
「まぁ、そんなとこ」

熊井ちゃんに声をかけて、席に着く。・・・すごく楽しみになってきた。


54 :名無し募集中。。。:2009/10/17(土) 02:14:06.79 0
前スレ>>915
第235回

「みーや、入ってもいい?」
「ん?いいよ、おいで」

ももと愛理が食堂で何か食べてくる、と部室を出て行って
うちは一人部室に残ってカレンダーと睨めっこしていた。
そこへ、梨沙子がやってきた。
ドアから顔だけ覗かせて、可愛いやつ。

3人だけで話があるからって、部室に入らないように言っていたから。
梨沙子はちょっと遠慮しながら、部室に入ってきてうちの前の席に座った。
さっきまで、ももが座ってた場所だ。

「話し終わった?」
「うん、とりあえずはね。」
「愛理は?」
「食堂行っちゃった。」
「そっか・・・ねぇ、みやってモテるでしょ?」
「なんでそんなこと。うちみたいなの好きになる人はいな・・・いないよ」
「なんとなく、そう思っただけだもん」
「そう・・・まあいいけど」

梨沙子とは、急激に仲良くなった。ほんとは愛理がそばにいてあげたいんだろうけど、
愛理もなんだかんだで忙しそうだから、気付いたらうちとよく一緒にいるようになった。
ずっと病気してて学校のこともよくわからないみたいだから、
一緒にいていろいろ教えてあげてる。
妹がいないからよくわかんないけど、妹がいたらこんな感じなのかな、って思う。
それくらいよく懐いてくれていて、可愛いなぁって思う。


55 :名無し募集中。。。:2009/10/17(土) 02:15:34.59 0
>>54
第236回

ももは梨沙子は好意があるからって言うけど、でもきっとそんなことないよ。
梨沙子も、きっとお姉ちゃんみたいに思ってくれてるんだ。
それだけなのに、ももってば大袈裟なんだもん。

一緒にいて思うのは、梨沙子は見た目すごく大人っぽいのに
でも実際はすごく子どもっぽいってこと。病気で満足に学校へ通っていなかったみたいだから
ちょっとワガママっぽいところとか、世間知らずで子どもっぽいところが抜けてない感じ。
でも、そういうのちょっと新鮮で余計に可愛く感じる。

みやでいいよって言ったらすぐにみやって呼んでくれたのも嬉しかった。
新しい部員の子はみんな遠慮して先輩、って呼ぶし。ちょっと距離感じちゃうんだ。

そんな可愛い、後輩が菅谷梨沙子。




頭が痛かった。今朝、あんなことがあって、勉強に集中できずに
ついには頭が痛くなって、お昼休みに食堂のいつもの場所に来たはいいけど
ちっとも食欲がわかなくて、お弁当を開きもせずにデーブルに伏せていた。

「佐紀、食べなきゃもたないよ」
って友達は言ってくれるけど今どうでもいい。
えりかや茉麻の言っていたことだけが頭の中を駆け巡る。

嗣永なんてどうでもいい。そう思ってる。あんなやつ嫌いだ。
なのに、こう考え込んでしまう自分が許せない。
なんであんなやつのこと、大事なテスト前に考えなくちゃいけないんだ。


56 :名無し募集中。。。:2009/10/17(土) 02:16:58.27 0
>>55
第237回

そう、思っていると・・・・


「ちょ、あいりんそれももが買ったのー」
「いいじゃん、ほら、これも食べていいから」

嗣永の、特徴的な高い声が耳に届いた。
ハっとして思わずそっちの方向を見ると、嗣永があの、鈴木愛理と何か食べていた。
キャッキャと楽しそうに食べ物の取り合いをしている。

「・・・・・・あー、うざい」

あんな耳障りな声、聞きたくない。耳を塞いでまたテーブルに伏せた。
それでも、さっき見た嗣永の楽しそうな顔が頭から離れなかった。

私はどうしちゃったんだろう。

自分の中での葛藤とか、戸惑いとか、不快感とか、不安感とか
そういうのが怖かった。
茉麻のやつ・・・なんてことしてくれたんだ。
ここにはいない、年下の友達のことを思って、舌打ちをした。

・・・私が、あんな辛気臭いやつを好きだ何てありえない。
ない、絶対にない。
いじめてたのに、好きだったなんてマンガじゃあるまいし。
ない、絶対に絶対にない。

そう言い聞かせて、昼休みを乗り切った。


184 :名無し募集中。。。}:2009/10/20(火) 01:19:33.18 0
>>56
第238回

放課後、生徒会の定期会合。
文芸部やサークル、同好会のことについての最終確認と
生徒会での一番の大仕事、学園祭の話し合いだ。
来週の月曜日でテスト1週間前だから、しばらくは集まれない。

生徒会役員がずらっと10人、楕円形の机を囲んでいる。

なっきぃや熊井ちゃんが持って来てくれたいくつかの資料に目を通す。
大事なことが沢山書いてある、予算のことや去年の総括なんかが
ずらーっと並べてあって、私はそれを読む。

でも、頭に入って来ない。
茉麻のせいだ。もう、朝からずっとそうだ。何をしてても、頭に入ってこない。
気付いたら、嗣永のことを考えてる。この私の動揺っぷり。
だから、もしかして本当に好きなのかもしれないとかそんなことまで考えちゃって。
そのたびにありえねーよって自分に突っ込んで。意味のないことばっかりしてる。

って、だめだめ。会議に集中しなきゃ。えっと、今年の予算計画は・・・・

散々叱ったから、熊井ちゃんはこういう資料なんかを忘れたりしなくなったし、
文芸部に入ったなっきぃや千奈美は自覚でも芽生えたかのように張り切ってる。
それもまた腹立つけど、でも、生徒会にとってプラスなら
責めたり怒ったりする必要もないわけで。だけどちょっと、やっぱ、むかつく。

会議の終わりがけ、熊井ちゃんが文芸部のことを話し始めた。
約束した人数まであと2人になっている、とのこと。
知らなかった役員の数人はみんな驚いていた。そんなに集めるなんて思っていなかったから。
だから、きっと部室は死守できるはずです、そう言って私を見てくる。


185 :名無し募集中。。。:2009/10/20(火) 01:20:32.75 0
>>184
第239回

「そっか、おめでと。ま、2人くらいすぐでしょ。頑張って」
「え、・・・でも」
「なーに、私だって努力をバカにしたりするほど悪い人間でもないよ。
ま、少々腹立つことはあったけど。でもまぁ、あと2人ならすごいじゃん。」
「は、はぁ・・・あ、ありがとうございます」
「じゃ、今日は終わり。かいさーん。お疲れ様、テスト頑張ってねー」

パン、と手を叩いて場を締めた。熊井ちゃん以下文芸部に入った二人も
なんとも不思議そうに私の顔をチラチラ見てる。
怒ってるとでも思っていたんだろうか。いや、怒ってはいるんだけど
なんか・・・なんていうか、もうどうでもいいっていうか。
あと2人なら、もう達成するのは目に見えてわかってる。
そんな連中にいまさら目くじらを立ててもしょうがない。そこまで、子どもっぽくない。

ま、ウザイって思ってるし、何青春やってんだキモイ、なんて思う心はどっかにあるけど
だけど、なんて言えばいいのかわからないけど、まあそれもいいだろうと許せてきた。
・・・なんでか、わからないけど。でも、そう思う。

戸締りをして最後に生徒会室を出たところで、後ろから声をかけられた。
聞き覚えのある、特徴的な声。女の子らしい高い声。
振り返りたくはなかった。無視したかった。でも、そうできなかった。

「・・・・生徒会長さん、ちょっと話あるから付き合ってよ」
「私にはないんだけど」
「ももにあるんだから、来ればいいの」
「いや、勉強あるし帰る」
「もう、ももだって好きでやってんじゃないんだから早く、こっち」


186 :名無し募集中。。。:2009/10/20(火) 01:22:29.55 0
>>185
第240回

拒絶しようとしたのに、無理やり手を引っ張られてどこかへ連れて行かれる。
昔なら、逆で、トイレにでも連れ込んで水かけて・・・なんてやってたんだけどな。
まあ・・・ひどいことかもしれないけどあれはあれで楽しくて・・・。
・・・どこ行くんだろう?まさか・・・?

なんて、考えているのに手を振り払えなくて私は引っ張られるままだった。


部室に、愛理と茉麻とうちの3人。

「ねえみやー、大丈夫かなーもも」
愛理がそう呟く。無理もない、だって・・・。
「さぁ、もう茉麻なに考えてんのよ」
うちがそう言っても、茉麻は雑誌から顔を上げずに答える。
「まー待ってればいいじゃん。悪いようにはならないって」
そうは言うけどこっちは心配で仕方ないんだってば。
「てかいまさらなんで生徒会長なんて引き入れるのさ」
うちの質問にも、
「面白いから以外にないじゃん」
なんてそんなことを言う。
「ちょっとまぁ、ももの気持ちも考えてよ」
うちがちょっと怒っても、茉麻は動じなかった。
「きっと、どっちにも大切なことなんだよ」
ただ、そう言ってしばらく黙り込んでしまった。
「なにが?・・・・なんだよもう」
「ま、まあみや落ち着いて」
愛理にそう言われて、うちは尖らせた唇を戻して腕を組んだ。

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