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711 : 名無し募集中。。。 :2009/09/04(金) 01:19:21.32 0
>>669
第171回

そのことに気付いたのは、朝の勧誘を始めて10分ほど経ったころだった。
気付いたときには後のまつり。もう、遅かった。

走って生徒会室へ向かう。ダッシュってそういうレベルじゃないくらい速く。
生徒会室の前に着いて、はぁ、と息をついてガラガラとドアを開けた。
中には、生徒会役員9名がうちのことをジロっと見た。

怖い・・・なんだこの空気は。まずいまずよ・・・これは。
誰も何も言わない、静かな、不気味な空間。

「すいません!あの・・・えっと・・・忘れてて・・・ごめんなさい!」

ドアを閉めて、思いっきり頭を下げた。みんなの顔を見たくないのと言うのが
本音だけどそうもいかず、顔を上げて顔を見ると、はやり
会長の目線が一番怖く、凍てついていた。

「忘れてたってそりゃないよ熊井ちゃん」
会長がすごく怒りながら、でも、ひどく冷静にそう言った。
怒鳴られるより、よっぽど怖い。
「ごめんなさい・・・・」
うちは背中を丸めてごめんなさいとしか言えない。
非はうちにあるんだ・・・。

「やっぱだめだねぇ、掛け持ちって」
「・・・・・・・・」
「どっちかにしなよ、無理だって」
会長の容赦ない言葉が心にグサグサと刺さっていく。


712 : 名無し募集中。。。 :2009/09/04(金) 01:20:01.65 0
>>711
第172回

「・・・・いや、あの、どっちも頑張ります」
と言う言葉にも力がなく、自信もなくなっていく。
「できてないよね、この間の会合だって、途中寝てたもんね」
「あ、あの、それは・・・」
・・・確かに、寝てた。朝が早くて・・・寝不足で。
あれ、やっぱり無理なのかな・・・・う、ううん!できる、できるはず・・・。

「あんなつまんない部なんてどうでもいいじゃん。どうせ無理なのに頑張っちゃって」
「そ、そんなことないです!みんな一生懸命に・・・!」
みんなことをバカにされて私は咄嗟に言い返した。
「私ああいうの嫌いなんだよねぇ、ばっかみたい」
「・・・・・・」
でも、会長は吐き捨てるようにそう言って頬杖をついた。

「熊井ちゃん忘れないでよ、あなたは全校生徒に信任されたからここにいるの。
あんなどうでもいい部とどっちが大切か、頭のいい熊井ちゃんならわかると思うけど」
諭すように、でも、ホントはどうでもいい、そんなニュアンスのこもった言葉。
「・・・・ど、どっちも大切です!」
って反論したけれど、次の瞬間、うちは再び固まった。
「まぁ、いいや。資料出して、時間ない」
「・・・・あ」

「熊井ちゃん、今日の会合はあれがないと話にならないんだ。早く」
今まで黙っていた、会計担当、中島が口を開いた。
「・・・・ご、ごめん・・・なさい」
「えぇ?ちょっと熊井ちゃん冗談きっついよ、それ」
次に口を開いたのは、庶務兼クラスメイトの千奈美だった。
「・・・すいません、完全に忘れてました・・・・」


713 : 名無し募集中。。。 :2009/09/04(金) 01:20:59.63 0
>>712
第173話

全く覚えていなかった。でも、今は「4日後の朝、必ず持ってきます」と
みんなに約束したことを思い出していた。
最悪だ・・・もう、だめだ・・・。
みんなの視線が痛い。もう、辛すぎてなにかいい訳をする気にもならない。

「・・・・熊井ちゃん、さっきも言ったけど熊井ちゃんは選ばれてここにいるの。
やりたくても選挙で落ちた子がたくさんいるの。だから熊井ちゃんには責任があるの。
それも、副会長っていう私の次に責任がある役職なの。

・・・ねぇ、それちゃんと理解してんの!!!??」


冷静な、冷たい声がうちを責める。そして、会長は最後に部屋中に、
いや廊下に響き渡るであろう大声で私を叱責した。

「すいません・・・・・すいません・・・・」

もう謝るしかなくて、散々文芸部ことをなじられたけど全く言い返せなかった。
言い返す資格なんてない。
実際、私は両立できていなくてみんなに多大な迷惑をかけた。
それはつまり、学校全体に迷惑をかけたことにも繋がるんだ。

それが・・・生徒会役員、副会長って役職なんだ。
その責任の重さを痛感してまた、自己嫌悪に陥る。


714 : 名無し募集中。。。 :2009/09/04(金) 01:23:38.40 0
>>713
第174話

結局、お昼休み再び集まることになって資料はそれまで作って来いっていうことになった。
時間は全然ない。でも、やらなきゃ・・・文芸部のことは頭からすっかり消えていて
資料の中身を考えることで頭はパニックになりそうだった。

「・・・熊井ちゃん、あの子、愛理ちゃんと付き合うようになってからおかしいよね。
あの子のせいじゃん、文芸部なんかに入ったのってさ。あんなのやめときな。
向かないよ熊井ちゃんには。無理無理。」

お開きになって部屋から出ようとしたとき、入り口付近にいた千奈美がそう言った。
言うことも、喋り方も会長に似てきた千奈美。

きっと普段のうちなら顔真っ赤にして怒ったかもしれない。
でも今はそんなこと言えるわけもなくてそんな元気もなくて・・・・曖昧に笑ってごまかした。

「茉麻まで巻き込んじゃってさ。熊井ちゃんの居場所はここなんだよ。
あんな小汚い部室どうでもいいでしょ?」
「・・・・・そんなこと、ないよ」
「まぁ・・・資料お願いね。なきゃ話が進まないんだから」
「うん・・・ごめん、千奈美」

小さくそう言って、生徒会室を出た。

教室へ行く途中、愛理に会ったけど話している気分ではなくて
それよりもしなきゃいけないことがあって、挨拶もそこそこにその場から離れた。

・・・今日は、最悪のスタートだった。


64 : 名無し募集中。。。 :2009/09/08(火) 00:28:05.36 0
前スレ >>714
第175話

「ったくもう・・・」
「どしたの、機嫌悪いね」
「え?あぁ・・・うん、ちょっとね」

ほんと、気分悪い。文芸部のせいで最近はイライラしっぱなしだ。
なんであんな1年のクソガキに言い負かされちゃったんだろ。
あのとき、だめなものはだめって言い切ればよかったなぁ。

授業が始まるまで、クラスメイトで友達のえりかに愚痴をこぼしていた。

「ねぇ、佐紀・・・文芸部でしょ?ていうかあの、オンナ」
「え?あぁ、嗣永?あんなのどうでもいいよ。あんな弱虫に興味ないし。」
「じゃあ、生徒人気の高い副会長様?2年のくせに偉そうだよね」
「・・・そのくせ、文芸部に入って生徒会を疎かにしてんだよね。
今日もさ、来いって言った時間には来ないし作れって言っておいた資料も忘れてんの。
ありえなくない?そりゃ不機嫌になるよ。それに、あの熊井の恋人だよ。」
「え?恋人いんの?」
「そうだよ、そいつが元凶だよ。熊井ちゃん変わっちゃった」
「どうすんの?」
「どうしようかねぇ・・・・・」

腕を組んで考え込む。どうしようにも、文芸部は腹立たしいことに着実に部員を増やしてる。
生徒会長としては部活動が盛んになることを喜ぶべきだし、
勧誘に励む文芸部員を褒めてあげなきゃいけないのかもしれない。

けど、そんなに私は優しくない。
喜ぶわけはない。褒めるわけはない。
この一件で、同好会の部への昇格及び部室の明け渡しは遅れている。


65 : 名無し募集中。。。 :2009/09/08(火) 00:28:45.86 0
>>64
第176話

それに、単純にむかつく。
あの嗣永が元気なのがむかつく。
あいつはいつも泣いてればいいのに。
泣き顔の方がよっぽどお似合いだ。

「とにかく、熊井ちゃんにはどっちかにしてもらわなきゃだめだね。」
「生徒会か文芸部か?」
「そう、こんなのが続いたら迷惑もいいとこだよ」

チャイムが鳴って、先生が入ってきたところで会話は中断された。
ま、とりあえず勉強に頭を切り替えよう。
成績が落ちたら誰に何言われるかわかったもんじゃないんだから・・・・。


1時間目が終わった後、茉麻が私のクラスを訪ねてきた。
茉麻は去年クラスが同じで仲良くなった。最近はあんまり会ってなかったけど。
なんの話かと思えば、今朝の熊井ちゃんの話だった。

「ちぃ、熊井ちゃんいじめるのやめてよね」

どうやら熊井ちゃんは茉麻に、散々愚痴をこぼしたらしい。
まぁ、わからなくはないけど責任は果たさないと。

「いじめてないもん、叱っただけ。それに一番怒ってたの会長だし」
「めっちゃへこんでるよ。でも、手だけはテキパキ動かしてなんか書いてたけど」
「しょうがないじゃん、言われたことできてないんだから」
「そりゃそうかもしれないけどさ、千奈美あんたは言葉きついんだって」
そんなきついこと言ったかな・・・・って自覚ないのがいけないのかなぁ。


66 : 名無し募集中。。。 :2009/09/08(火) 00:30:03.59 0
>>65
第177話

「熊井ちゃんを思っての言葉なの。それに茉麻だってよく思ってないんでしょ、あの子のこと」
「愛理ちゃんのこと?」
「そう。」
「いや・・・いい子だよ。素直だし、可愛いし、よく働くし。」

言葉じゃ褒めてるけど、どう聞いても本心じゃないのはバレバレ。

「本音に聞こえませーん」
「うるさいなぁ。・・・ま、ライバルだけどね。って千奈美もじゃん」
「どうかなぁ」
「よく言うよ。好きなくせに」
「しらなーい」

最後の最後は誤魔化して、バイバイって言って教室へ戻った。
ライバルねぇ・・・。
・・・そんな風に思ったことはない。
でも、私は熊井ちゃんが好きだから、そうなるのかもしれない。
・・・・鈴木、愛理か。

一度喋ってみたいなぁ。
あんなにふわぁんとした雰囲気の子のどこがいいんだろうか。
・・・接触してみよっかな。


119 : 名無し募集中。。。 :2009/09/09(水) 01:21:50.92 0
>>66
第178話

2時間目が終わって、休み時間。
勉強なんてすっ飛ばしてひたすら資料作りをやっていたわけだけど
まだ半分程度しか終わってない。時間は・・・・やばい、いや、ない。

そんなとき、隣のクラスのなかさきちゃんこと生徒会会計担当が現れた。
会長の手先・・・ではないなかさきちゃんが来てくれてほっとする。
なかさきちゃんは結構きついことも言うけど、基本的にはうちの味方・・・のはず。
会長の目があるから、表立ってはいないんだけどね。

「なかさきちゃん手伝ってよぉ」
ちょっと甘えたように声を出してみる。
「やだ、それ友理奈ちゃんのお仕事だもん」
・・・効果なし。
「そうだけどさぁ・・・これお昼休みまでにやんないと今朝の比じゃない位怒鳴られるんだよ?
そんな友理奈ちゃん見たいわけ?なかさきちゃんは」
「うん、見たいなぁ。」
笑顔で言われてガックリくる。

「・・・で、なんで生徒会のときは熊井ちゃんって呼ぶの?」
って話を変える。
「・・・なんとなく、かな」
「なんだそれ」
「それより早くやりなよ、まだ半分じゃんか」
「わかってるよ・・・でも、・・・」
「・・・はいはい、やるから貸して」
「ほんと?やった、はい!」


120 : 名無し募集中。。。 :2009/09/09(水) 01:23:48.41 0
>>119
第179話

残っているの分の半分を差し出してからまた作業に没頭した。
1年のとき、同じクラスで仲良くなった。
ちょっと生意気だけど、マジメでお勉強ができる子。
実は、うちが生徒会に入ったのはなかさきちゃんに誘われたからだった。
その責任を感じてるのか、こうして手伝ってくれているわけである。
・・・文芸部が悪い、って散々言われながら・・・トホホ・・・反論できない。
だから、ただ黙って手を動かした。

時間目の授業中、試験も近いから勉強に打ち込みたいけれどそうもいかない。
目の前にあるのは教科書と、その下に敷いた作りかけの資料。
友理奈ちゃんにああ言われたら断れない。・・・・嫌だって言って、嫌われたくないんだもん。
だけど、そんな風には言えないから、恩着せがましく言って誤魔化した。

2人でこの量ならきっと終わるはずだ。全く、世話のかかるヤツ。
・・・でも、その原因はあの子だ。鈴木、愛理。
あの子と仲良く、ううん、付き合いだしてから友理奈ちゃんは変わった。
文芸部、文芸部、そればっかり言うようになって付き合いも悪くなった。
・・・・・私が一番先に好きになったのに。千奈美ちゃんや茉麻ちゃんよりも先なのに。
なのに、一番最後に出てきて美味しいとこもって行った1年生。
許せるはずないじゃん。・・・・ってアピールしてきたのに振り向いてもらえなかった私が悪いのかな・・・。

あの意見交換会のあとから生徒会は少しおかしくなっていた。
会長は、あからさまに友理奈ちゃんに冷たくなって他の生徒会役員もそれに追従した。
私はそうしたくなかったけど、先輩たちの手前、そんなことは言えなくて・・・。
友理奈ちゃんが変わったことは確かに嫌なことだけど、でも、嫌がらせみたいなことはフェアじゃないもの。
鈴木愛理のことは許せないけど、文芸部自体が悪いわけじゃないし・・・・実はちょっと頑張れって思ってるし・・・。

なんてぼんやり考えながら授業も聞かずに資料を作っていた。
友理奈ちゃんにありがとうって言って微笑んで欲しくて。・・・・ただそれだけのために。


195 : 名無し募集中。。。 :2009/09/11(金) 01:19:23.45 0
>>120
第180話

私が2回目に先輩に会ったのは、放課後のことだった。
もう結構遅い時間。文芸部のみんなはもう帰った。

りーちゃんは今日一日で随分とももとみやに懐いたみたいで、
2人は「ケーキ食べに行こう」ってりーちゃんをみやのバイト先へ連れて行ったみたい。
ちゃんと家まで送るからってみやが言うから任せてきた。
ちょっと心配だったけど、でも・・・・今朝の先輩が気になって私は学校に残った。

先輩は生徒会室からすごく疲れたような顔をして出てきた。

「あい・・・り?」
「ま、待ってたんです、あの・・・えっと」

待ってたくせに、恥ずかしくなって下を向いてしまう。
先輩は私に近寄ってきて、私の腕を掴んだ。

「へ?あ、あの・・・?」
「ちょっと来て」
って言って先輩が私を連れてきたのは、誰もいないちょっと夕焼けで赤い、教室。
そういえばこんなところで告白されたいなぁ、なんて思ってた理想的な感じ・・・!
ってそういうことではなくて・・・・どうしたんだろう?

「・・・・ごめん、今朝は」
「い、いえ・・・ただ気になって・・・」
「ほんと、ごめんね。必死だったんだ」

先輩は掴んでいた腕を離して、私をすっぽりと腕の中に入れてくれた。
暖かくて優しい心地がする場所。長い腕が私の腰の辺りにまわされてぎゅっと抱き寄せられた。