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30 : 名無し募集中。。。 :2009/08/17(月) 02:18:11.81 0
第141回

「・・・・ってことがあって」
「・・・ありゃりゃ」

電車を降りて学校までの道のり、先輩との間にあったことと
舞美ちゃんにされたことの話をした。
みやは静かに聴いていたけど、話し終えたらあちゃーって顔をした。

「ねぇ、ほんとに何もなかったんだよね?その、昔とか」
「ないよ!舞美ちゃんってお姉ちゃんって感じだったし・・・・
それに向こうからそんなこと言って来た事もなかったんだよ?」
「・・・じゃあ、愛理に会いにきたとか愛理のこと、その、抱きしめちゃうとか
熊井ちゃんとのことに嫉妬しちゃってる感じとか・・・おかしくない?」
「だよね?・・・私も合点がいかなくて」
「愛理の好きなんじゃないの?」
「・・・あり得ないと思う・・・。それに私が気になるのは、私に会いにきた、が
転校の理由っておかしくない?そんなの変だよ。
将来はオリンピックまで期待されてたような人なんだよ?・・・納得いかない」
「だね、うちもそう思うよ。・・・とにかく、それも大切なんだけどさ」
「部のこと?」
「そう、そっちも重要じゃん?とりあえず、置いといて勧誘頑張らなきゃ・・・」
「うん・・・・ごめんね、なんか」
「い、いいよ、そんなの・・・」

私がみやに謝ると、みやは照れくさそうにちょっと赤くなって下を向いた。
こういうところが、みやが可愛いなぁって思うところ。
冷静でクールなんていわれるけど、ほんとは恥ずかしがり屋の照れ屋さんなのだ。


31 : 名無し募集中。。。 :2009/08/17(月) 02:18:52.28 0
>>30
第142回

・・・で、舞美ちゃんはと言うと、降りるよってわざわざ起こしてあげたって言うのに
まっっったく起きないから放置してきた。みやも、
「いいよ、放っとこ」って冷たく言うから、腹立ってる私もそれに便乗してきた。

朝の勧誘は気持ちを入れ替えて頑張った。とにかく、一人でも増やさなきゃ・・・
なんだかんだでまだ2日目なのだ。たった、1日しか終わっていない。

でも、先輩も、憂佳ちゃんも来なかった。結局、部は元の3人だけになっていた。
・・・舞美ちゃんは来たけど、正門の閉まる5分前だった。

「・・・来てないじゃん、あのバカ」

昨日の夜、待ち合わせのメールを送った。ちゃんと了解って返事が来てたのに。
なのに、その時間になっても来なかった、くまいちょー。

「怖いのかな・・・」

愛理が。
会うのがきっと怖いんだ。
本当のことを知るのが怖い。
知ったところで何も信じられないから怖い。
逃げてるんだね、くまいちょー。
逃げたっていいことないのにさ、戦わなきゃ。現実と。

ってももだって、事実や現実を知らないからなんともよくわかんないんだけどさ。

結局、来なかった。学校には来たみたいだけど、部室には来なかった。
前田ちゃんも来なかった。また、3人に戻ってしまった。
・・・なーにやってんだろ。減らしちゃったよ・・・なんか疲れるなぁ。


32 : 名無し募集中。。。 :2009/08/17(月) 02:19:49.15 0
>>31
第143回

勧誘活動を終えて、教室へ戻る間にみやが簡単に愛理とくまいちょーの身に起きたことを
話してくれた。なんとも、ややこしそうな話だ。まぁ、くまいちょーの落ち込みっぷりもこれで
ちょっとは理解できるけど・・・でもなぁ。・・・ちょっと叱ってやらないと。
逃げてちゃ、いつまでも真実を知ることができないんだもん。

で、あの舞美は一体何してんだ。愛理に会いにきたって、なんだそれ。
相変わらず掴みどころのないよくわからない子だ。昔からそういうところがあったけど
拍車がかかっている気がするのは気のせいなのかな・・・。
さて・・・部長はどうするべきかね・・・?お昼休みまでの長い授業の間、そればかり考えていたから
結局勉強なんて出来てなくて、目前に迫るもう一つの課題でもある「テスト」の結果は
目も当てられないことになってしまうだろう、と容易に想像ができた。

授業の合間、前田ちゃんを見つけて声をかけた。
「おはよう」って爽やかに、今朝のことを咎めるような口調にならないように。

「お、おはようございます・・・あの、えっとすいませんでした」
「い、いいよ、朝早いし・・・それにまだ入ってくれたばっかりだし」
「・・・夏焼先輩は、その、」
「ん?」
「・・・自分に人気があるって自覚ありますか?」
「ほえ?」
「ない、みたいですね・・・」
「そ、それが、・・・どうか、した?」

急に話が変わってビックリする。人気?あるわけない。
うちはあの、熊井ちゃんとは違う。人に好かれるような人間ではない。
うちなんかを好きだって言うももがちょっとおかしいんだ。


33 : 名無し募集中。。。 :2009/08/17(月) 02:20:57.40 0
>>32
第144回

「いえ・・・お昼休みには必ず行きます」
「そっか、ありがとね」
「・・・先輩」
「どした?」
「・・・私、今先輩の顔を見て決めました。頑張ります、いろいろ」
「い、いろいろ?」
「あの、じゃあ・・・また」
「へ?あ、うん・・・またあとで」

うちが言い終えると前田ちゃんは頭を下げて教室へ帰って行った。
どういう意味なんだろう?よくわからない・・・。
ちょっと変わった子だなぁ。話が噛み合っていたのか噛み合ってないのか。
・・・わかんないなぁ。

お昼休み、前の授業が早く終わった私は部室に一番乗りをした。
まだ、誰もいない。・・・と、思ったらドアの開く音がして誰かが入ってきた。
振り返って見ると、・・・先輩がいた。

「・・・先輩」
「愛理、今朝は手伝えなくてごめん」

先輩は荷物を置いて、私の目を見てそう言った。
真っ直ぐ見つめられて、すごく・・・なんていうか、ドキドキする。
すぐにでも誤解を解かなきゃってそう思ってるのに、
先輩の眼差しが格好良くて私はしばらくぼーっと先輩を見つめてしまった。


34 : 名無し募集中。。。 :2009/08/17(月) 02:21:38.43 0
>>33
第145回

「・・・・・い、いやそんなの」
「それと昨日は怒鳴ってごめん。連絡もしないでごめん」
「いいんです!悪いのは私で・・・」
「怖かった、何聞かされるのかわかんなくて怖かった。腹も立ってた。
気が動転してて混乱してて・・・とにかく、ごめん・・・」

先輩は頭を下げて、そう言った。私はびっくりしてやめてください、と言った。
傷つけたのは私なのに。謝られるなんて違う。

「・・・先輩、私言ってないことがたくさんあります。・・・聞いて欲しい」
私が先輩の胸元に額をくっつけて小さく呟くと、先輩は私の背中に腕を回した。
そのまま、きつく抱きしめられる。長い腕が、心地よい。
舞美ちゃんとは違う感触。あれはあれで懐かしかったけど、でも、
これが一番落ち着く。一番、幸せ。

「うん、聞く。逃げてたんだ、・・・でも、ももちに怒られた・・・」
「・・・そう、ですか・・・」
「うん。結構、厳しく怒られて・・・」
「・・・ももって思ったより大人ですよね」
「だね、ちっちゃいくせにね」

先輩がそう言ったら思わず笑ってしまって、先輩も笑ってくれて
やっと笑顔を取り戻せた、そんな気がした。


35 : 名無し募集中。。。 :2009/08/17(月) 02:23:48.28 0
>>34
第146回

「まだ誰も来ないみたいだから・・・あの、屋上行きませんか?」
「え?」
「その、2人きり・・・がいいなぁって」

先輩に抱きしめられながら上目遣いでそう言うと、先輩は赤くなって頷いてくれた。
勧誘も大切だけど、でも、みやとももごめん。今日だけ、この時間だけ頂戴。
とは、書かないけど、とりあえず伝言を残して、屋上へ向かった。

きちんと話そう。先輩にちゃんと納得してもらえるように。
誤魔化さずに、隠し事はしない。

「話の前に言っておくね」
「はい?」
屋上で、話し始めようと思ったら先輩が切り出した。
「・・・愛理の話がどんな内容でも、・・・うちは愛理を嫌いになったりはしないよ。
愛理はうちのものだ。絶対誰にも渡さない。・・・絶対。」

目をしっかり見て、真剣な顔で、そう言ってくれた。
私は泣いてしまいたくなるほど嬉しかったけど、涙は堪えて話を始めた。
なんて優しいんだろう。なんて、私は幸せ者なんだろう。
心底そう思った。


71 : 名無し募集中。。。 :2009/08/18(火) 01:56:00.98 0
>>35
第147回

お昼休みも終了が近づくころ、愛理と熊井ちゃんが手を繋いで部室へやってきた。
勧誘のチラシやなんかを片付けているときで、
急に現れるから盛大にチラシをひっくり返してしまった。

「あぁ、もう!みや!」
「しょ、しょうがないじゃん!愛理のせい!」
ももに怒られて入ってきたばかりの愛理を指差す。
「え、ち、違うよぉ。みやが勝手に」
「・・・あ、あのね、ももちとみや。うちら仲直りしたんだ」
「そうなの。お互い謝って話をちゃんとした。誤解も、解けたの」
愛理も熊井ちゃんもニコニコしてる。昨日のあれはなんだったのって。言いたい。
ももの話じゃ熊井ちゃんもボロ泣きだったらしいじゃん。立ち直り、仲直りが早すぎる・・・・。

・・・バカップルめ。死語だろうが、なんだろうだ、目の前の2人にはこの言葉しか思いつかない。

「よかったよかった、はいはい、だからそれ手伝って」
散らかしたチラシを指差して2人にも拾ってもらった。
下手に、よかったね、なんてしんみりしたり喜んだりすると二人も気まずいだろうから、
なんてことないことのように、そんな振る舞いをした。
ももだって似たような感じで。・・・結構気を使っているんだよね。まったくもう。
あ、ちなみに前田ちゃんは勧誘を手伝いに来てくれて、次が移動教室だからって早めに戻っていた。

部室を出て、教室まで4人で歩いた。愛理と熊井ちゃんは手を離さずにしっかり繋いでる。
それを見ていると、何があってもそうそう簡単には離れない二人なんだろうなぁと思う。
うちなんかとじゃ、愛理はきっと幸せに、こんな風に笑わなかっただろうな。
それは敗北宣言でもあり、悔しい気持ちであり、・・・すっきりした思いでもあった。


72 : 名無し募集中。。。 :2009/08/18(火) 01:56:41.52 0
>>71
第148回

「みや、・・・寂しいの?だったら、ももが」
「はい結構でーす」
「うぅ、ケチ」
「ケチとかそういう話じゃないの」
「いいもん、みやのばーか」
「ちょ!うちはバカじゃありません!」
「えぇ?前回数学で9点叩き出したの誰だっけ?」
「・・さ、さぁ?ももでしょ?」
「はぁ?自分のくせして何言ってんの!ももは数学19点です!」

・・・・なんて頭の痛くなるような会話だろうか。
でも、楽しいからいい。ももと話していると楽しい気分になる。
ももが意図的にしているのか、天然なのか、バカなのか、それはちょっとわからないけど。

「19・・・へぇ、嗣永さん19点なの?」
「・・・・だったらなんなの?」
後ろからイヤミったらしい声がして振り返ると腕を組んで偉そうにしてるチビがいた。
ももよりちょっとだけ大きい、チビ。・・・・清水。
ももは睨みつけるように清水を見た。
「私、98点だったなぁって思っただけ」
「あっそ」
「3年の1学期でそんな悲惨な成績だったら卒業できないかもね。
無駄なチラシ配ってるヒマあるんだったら勉強しなさいよ。そこの9点さんもね」
「なっ!」
急にうちに向き直って、清水はそう言った。
かーっとなってなんならホントにこの場所で思いっきり殴ってやろうかと思った。
でも、ももに迷惑かけるしそれじゃこいつの思う壺だからできないけど・・・。


73 : 名無し募集中。。。 :2009/08/18(火) 01:57:22.96 0
>>72
第149回

「あんたには関係ない」
ももは冷静だった。キリっとした声でちょっとかっこいい。
「ないわけないでしょう。生徒会長が私になって進学率が下がった、なんて言われるのは
勘弁してもらいたいもの。・・・・ま、せいぜい頑張りなさいよ・・・あ、そうだそこの熊井ちゃん」
少し先を歩いていた熊井ちゃんを、清水が引き止めた。
熊井ちゃんは振り返って、清水の姿を見ると一瞬引きつった笑顔を見せた。

「あなた、文芸部に入ったらしいじゃないの」
「ま、まぁ・・・」
「生徒会の、しかも副会長たるあなたがなんでそんなことを?両方やるつもり?
生徒会も舐められたものね。まったく、あなたには呆れるばかりよ。見損なった」
熊井ちゃんは拳を作って、ぎゅうっと握り締めていた。
でも、もちろん手は出さなかった。
「・・・ちゃんとやります。両方。手を抜くつもりはないです」
「ま、あなたもせいぜい無駄な努力でもしてなさい。じゃあね」

清水はそう言って後ろを向いて歩いていった。なんてムカツクチビ・・・!!!
姿が見えなくなってから、ももは持っていたタオルを思いっきり壁に叩きつけた。
無表情で、怖い。めちゃ、怖い。怒りは、おそらく最大限。

「・・・・あームカツク!!!!くまいちょー!むかつくでしょ!?」
「うん・・・相当きた」
熊井ちゃんの目つきがいつもと違う・・・これは・・・スナイパーみたいな目・・・。
怖い、この2人、怖い・・・。愛理も、隣で怖がっている。

「ぜぇっっったい、認めさせてやる!!!」
ももが大きな声でそう言った。すぐ近くの教室から、「嗣永うるさいぞー」って先生の声が聞こえてきて
ももは慌てて駆け出して教室へ戻っていった。
うちも、絶対に負けない。絶対、ぎゃふんって言わせてやる。・・・まぁ、実際言わないだろうけど。


74 : 名無し募集中。。。 :2009/08/18(火) 02:03:26.29 0
>>73
第150回

なんてことがあって、みんなは愛理と熊井ちゃんに火種をもたらした、あいつ、いや、あいつ自身が火種か。
昼休みも結局姿を見せなかった矢島舞美のことをすっかり忘れているのだった。

そんな、勧誘2日目は放課後を迎える。
放課後の勧誘活動を終えて、今日の成果報告のためにみんな部室に集まった。
舞美ちゃんは結局今日1回も現れなかった。
      • なんかもうよくわかんない。何がしたいんだか・・・・。
私は舞美ちゃんが理解できなくて途方にくれるばかりだった。

そのとき、先輩が一人、私の知らない人を連れて来た。
背は先輩より少し低くて・・・目鼻立ちのくっきりした美人な人。

「新入部員、連れて来たよ」
「お、くまいちょーナイス!」
「えへへ、ほら、自己紹介して」
「え?あ、うん・・・えっと私は」

その人は、ちょっとだけ恥ずかしそうに、話を始めた。