第1話~第10話(AA無)

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airi-kumai

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だれでも歓迎! 編集
62 :名無し募集中。。。:2009/06/29(月) 20:49:32.53 0
「はぁ~熊井先輩って美人だなぁ~」
「あいりんその話もう飽きたんだけど」
「ももはいいよね、先輩と仲良しだもん」
「そ、そんなことないって。ねーそれより今度のコミケなにすんの?
全然決まってないじゃんかーねーもうくまいちょーの写真はいいから!」

愛理が手にとって見惚れている写真の相手はももの後輩兼幼馴染で
愛理の憧れの先輩である熊井友理奈。
2年生ながら生徒会の副会長を務める成績優秀で清純な大富豪のお嬢様。
と、まぁ絵に描いたような人で美人で背も高くて人気がある。

「えーもう今回パス。先輩のことで頭いっぱいだし」
「愛理ぃ~だめだよ。愛理のお話はいつも一儲けできるくらい売れるんだからさー」
「ね、みやは?今日来ないの?」
「また話を変える・・・今日はバイトだって」
「ふーん・・・ね、それより熊井先輩って好きな食べ物なに?」
「それよりって自分で聞いたくせに・・・」

愛理のペースで喋ると疲れるなぁ・・・まあ可愛いから許せるけど。
あ、ももの次に可愛いんだけど。

そんな放課後の文芸部(実態はただの同人サークル)の狭い部室。
そこへ意外な来客があった。
コンコン、とノックをするお客さん。

「ももちぃ、いる?」

噂の相手、くまいちょーだった。



67 :名無し募集中。。。:2009/06/29(月) 23:01:14.37 0
>>62


「ん、いるよー入ってー!」
「え、誰?」

愛理は首をかしげてももを見る。
あぁ、まだ声ではわからないんだなぁってそんなことを考える。
くまいちょーは「うん」と返事をして部室のドアを開けた。

「あ、え、ちょ、もも、これ?」
「びっくりした?」
「き、聞いてない!あたし聞いてない!」
「うん、言ってないし。あ、くまいちょーそこ座って」

愛理の慌てっぷりが面白い。くまいちょーだとわかるや
鏡を取り出して髪を整え始めた。
くまいちょーは不思議そうな顔をしてももが指差したみやのイスに腰掛けた。

「あぁ、後輩の愛理。可愛いでしょ?ももの次に」
「うん。可愛い。ももより可愛い」
「あ、えっと・・・えっと・・・」
鏡を下ろしてくまいちょーを見た愛理は頬を赤らめていて
さらに「可愛い」って言われちゃって倒れてしまいそうな雰囲気だった。
「ちょ、ないから。ももより可愛い人とかいないし。ってそれよりなに?」
「あぁ、えっとさぁ・・・言いにくいんだけど文芸部、廃部だから」
「「えぇぇぇ!?」」

今度はももが驚く番。いや、愛理も同じくらい驚いている。
は、廃部!?なんでどうして!?



71 :名無し募集中。。。:2009/06/29(月) 23:48:19.75 0
>>67
「意味わかんない!なんで!?」
ももはくまいちょーに掴みかか・・・れないから目の前に立って抗議をする。
くまいちょーは申し訳なさそうに自分が座ってるイスを指差した。
「う、うん・・・あ、もう一人の部員は?」
「あ、今日はお休みです」
愛理が照れくさそうに答える。
ってそんな乙女ちっくなことは今はいいから愛理!

「いや実はさ、今部活が多すぎて生徒会でも把握というか整理が大変なの。
部室のない部活もいくつかあって・・・それで、その、ここって3人だけでしょ?部員。
ももち卒業しちゃったら2人になるし、正直増える見込みもあまりないし・・・。
文句って言うかクレームって言うか・・・あんな部いらない部屋がもったいないって意見が出まして。」
「なにそれ・・・・クレームとか知らないし!増えるよ!今年だってまだ増えるかもじゃん!」
いやほんとだめ困る。いや困るとかそういうレベルじゃない。

「それ本当ですか?・・・え、困ったな・・・・」
愛理もようやく乙女モードから困ったさんモードに変わる。
「ほんとは廃部とかうちはノリ気じゃないんだよ?でも、会長がうるさくて。
どうせ同人書いてるだけの連中なんだから適当にどっか教室使えばって言ってた。」
会長・・・あいつか。
あいつは苦手。向こうもきっとももが苦手。

「熊井先輩、私嫌です・・・」
薄っすらと涙を浮かべてくまいちょーを見上げる愛理。
出た、この顔。この顔で落ちた男は数知れず・・・ってそうじゃなくて!
「愛理ちゃんごめん、でも、もう決まっちゃってて・・・いや本決まりではないんだけど
先生方もその意見にまとまりつつあるの。ごめん、うちの力不足で・・・」
熊井ちゃんが愛理に頭を下げた。
「や、やだ!やめてください!そんなの・・・」
憧れの人に頭を下げられて愛理は嬉しいやら困ったやらどうしようやら
複雑な顔をしていた。



75 :名無し募集中。。。:2009/06/30(火) 00:29:25.01 0
>>71

くまいちょーが帰ってももたちは困り果てていた。
「どうするのもも?」
「どうするって・・・」
こういうとき頼りにされるのが部長ってもんでしょ!
・・・でも、困ったねとしか言えない部長でごめん愛理・・・。

「あぁ、でも美しかったなぁ熊井先輩・・・あんな近距離で見られるなんて幸せ!」
うっとりした顔の愛理。
いやいやそういう場面じゃないですから!やばいんだよあいりん!

「はあ?あいりん何言ってんの、くまいちょーはももたちから
この部屋奪おうとしてんだよ!だめ、その写真も没収!」
「えぇ、やだ!だめ!それとこれとは話が別!」
愛理は写真を胸に抱いて抵抗した。
そんなに好きかね、その美人さんが。
「別じゃないし!だいたいこの部屋は歴代の先輩方が綺麗に使ってきた
伝統のある場所なの!机も画材道具も過去の原稿も全部ここにあって歴史を語ってるの!
廃部だなんて冗談じゃないよ、絶対だめ抵抗する!」

本気だった。廃部なんて絶対だめ。許さない。
ってかだいたい顧問は何やってんの!元文芸部所属で卒業生のくせに!

「ね、もも・・・」
「なに!?」
「みやに報告しないと!」
「あ、忘れてた・・・だね。じゃあみやのバイト先いこっか。」

完全に忘れていたもう一人の部員、夏焼雅。
ももと愛理は部室を出てみやのバイト先である喫茶店へ向かった。



78 :名無し募集中。。。:2009/06/30(火) 00:56:48.08 0
>>75

カランコロン、なんてレトロな音が響く。

「次の日・・・っていうのも可哀相だから、みやー遊びに来たよ♪」
「いらっしゃい・・・てか誰に喋ってんのそれ。」
「まあ、ちょっとね。」

みやこと夏焼雅のバイト先はいわゆる普通の喫茶店。
お客は・・・少ないから楽らしい。

ももと愛理はカウンター席に座ってみやにお水を出してもらう。
カウンターって全然足届かないから好きじゃないんだけどね。
・・・ももの足が短いんじゃなくてカウンターが高いんです!


「ってことなわけよ、みや」
「ってことなの、みや」
「・・・いや、別にいいんじゃないの廃部で」
黙って聞いていたみやが感想を述べた。
「いやいやいや!だめですから!無理だよ!」
「いいじゃん、あの部屋古いしちょっとカビくさいし。
うちか愛理の教室だったら新校舎で綺麗だし、サークル活動で十分じゃない?ね、愛理」
だめだ、やっぱりみやには文芸部愛が全然足りてない!
愛理、ビシっと言ってやりなさい!
「うん、あたしもあの部屋そんな思い入れないし。うちの教室なら使えるよ」
ってあいりんも!?なにそれももだけ文芸部愛に溢れてるわけ!?
「そういうことじゃなくて!あの部は伝統の部なの!ももたちが潰すわけに行かないよっ!」

ってあいりん、あんたさっきくまいちょーに「嫌です・・・」とか言ってたのどこいったの!?
・・・鈴木愛理恐ろしい。



124 :名無し募集中。。。:2009/07/01(水) 12:06:29.89 0
>>78
第5回

「ももち!おはよ、ちょ、待って!」
「・・・・・」
ももとくまいちょーのおうちはすぐ近くで家を出る時間は違うけど
一緒になるとよく2人で登校する。
今日も、一緒になった。けど・・・

「ね、待ってよ。もう、ももちってば!」

ももが無視をを続けているとくまいちょーはももの行く手を遮った。
いかんせん大きいから威圧感がたまんない。
あいりんはこんなのが好きだなんてなぁ。信じられない。
成績優秀、頭脳明晰なんて言っても、ももにしてみれば年下のコドモだし
ももの前ではいつもより少し幼いように感じる。
『ももちに合わせてんの!』って言われたこともあるけどそれは今いいの!

「・・・・もも、決めたの。生徒会が廃部を撤回しない限りくまいちょーとはしゃべんないから」
「はぁ?なにそれ、うちのせいじゃないよそれは」
「でも止めようと思えばできるじゃん、副会長じゃん」
「2年生にそんな権限ないよ、役職なんて名前だけだもん」
「・・・とにかく、話しかけないで。」
「ももち、やだよ、うち喋りたいもん。」
「・・・・・・・・先行く。」
「あ、ちょっと!」

どうしても納得できないんだもん。ううん、生徒会の言う理由は正しいかもしれない。
でも、でも・・・絶対廃部なんて・・・絶対だめ!
ももは先に行くと告げて走って学校を目指した。
くまいちょーは追って来ず、それもなんだか悔しくて学校まで足を止めることはなかった


129 :名無し募集中。。。:2009/07/01(水) 13:58:56.12 0
>>124
第6回

「ももマジショックっぽかったよね」
「うん。まーちょっと可哀相かなぁとは思うよ私も」
「思い入れ半端ないからね、ももは」
「なんか理由あるの?もも、昔の話はあんまりしてくれないから」
「あぁ、うんまあ・・・あるといえばある。ももにとってはあの部室って宝物なんだよね」

みやと登校中、やっぱりももの話になった。
私だって本当は嫌。部室がなくなっちゃうのは寂しい。廃部も悲しい。
ももの気持ちもわかる。
でも、しょうがないっていうのも理解できて、まーサークル活動でもいいかな、って思えちゃう。
みやもきっとそうなんだと思う。ってみやはそもそもあんまり部室には来ないから。

ももが頑なに嫌がるのは何か理由があるのかな?昨夜ずっと考えてた。
けど気付いたら熊井先輩の写真見てて結局何も思いつかなくて
こうしてみやに聞いているところ。

「どういうこと?」
「・・・うちからはちょっと言いにくいから本人に聞いてよ」

みやはズバズバ本音で喋ってくれる人だったのに急に言葉を濁した。
よっぽどの何か理由があるのかな。
そんなことを考えていたら・・・

「愛理ちゃーん!」
「えっ!?」

急に誰かに呼び止められた。振り返って、私は固まってしまう。
私の憧れ、愛しい熊井先輩が私目がけて走ってくる。
みやの存在なんか忘れちゃって私は走ってくる熊井先輩のことを目をキラキラさせながら見つめていた。


143 :名無し募集中。。。:2009/07/01(水) 22:50:05.97 0
>>129
第7回

「愛理?誰?」
「・・・・・・・・(キラキラ)」
「おーい、愛理ー??」
みやの声は聞こえるけど聞こえない。

まあとりあえず、誰ってあんた同学年の人気者すら知らないの!?
生徒会、副会長で美人でお金持ちの熊井友理奈先輩だよっ!?
ってかこの背の高さってそんなにいっぱいいないでしょーが!
って心の中で突っ込んでおいた。

・・・みやは自分にしか興味がないもんね。そりゃ仕方ない。

「はぁはぁ・・・よかったぁ追いついた!おはよ、愛理ちゃん」
「あ、え、お、おはようございます!」
熊井先輩は私に追いつくと息を整えながら言った。
私は先輩の綺麗な瞳に吸い込まれそうになって
ドギマギしてすごくぎこちなくあいさつをした。うぅ、恥ずかしい・・・。

あ、ちょっと待って!今日の髪型なんだっけ?
慌てて自分の髪を触るとツインテールであることを確認する。
ちょっとコドモっぽく見えちゃうけど・・・しょうがない!可愛いし!ももよりも断然!

「さっき、はぁ、見えて、追いかけてきたー。話があって、うん」
「は、話・・・ですか?」

え、なにそれ話ってまさか・・・こ、告白ですか!?
そんなだめです先輩こんな人がいっぱいいるところで・・・
わ、私はどうせなら体育館の裏とか誰もいない教室とかそういうところのほうが・・・


150 :&bold{名無し募集中。。。:2009/07/01(水) 23:14:13.61 0}
>>143
第8回

「ちょ、愛理?誰?こんな友達いた?愛理に」
なんて妄想していたらみやが私に耳打ちをした。んもう、邪魔しないでよねみや。
でもとりあえず言っておかないとみやがうるさそうだからと思って私たち3人は歩き出しながら
先輩にみやを紹介した。
「先輩、昨日お休みしてたもう一人の部員です。2年生の夏焼雅ちゃん」
「どーも夏焼です。」
「あぁ、そうなんだならちょうどよかった・・・あ、えっとうちは生徒会の熊井です2年です」

熊井先輩もみやもなんだかぎこちなさそうにあいさつをした。
同学年なのにね?まー初対面ってこういうもの?
ってちょうどよかったってなに!?みやにも関係あること?
「えっと文芸部のことでちょっと」
「あ、はい・・・」
      • だよねそりゃそうです。先輩が私に用ってそれくらいしかないですよね。
わかってたとはいえ期待してばかでした・・・。

「ももちに朝会ったんだけど、生徒会が廃部を撤回しない限り喋らないとか言われちゃって・・・
でも伝えなきゃいけないことだったから、愛理ちゃんに会えてよかったよ」

もものことは今はどうでもいい。
会えてよかった?わたしに?なにそれ私今口説かれてます?
いやだからそういうのは放課後の教室とかそういう場所の方が・・・

「愛理、ストップ」
「え、あぁごめん・・・」
「え?」
みやに妄想を止められて小さく謝った。先輩は首を傾げて私を覗き見た。
その目が美しくって整った顔がすぐ近くにあって・・・ふわぁっといい匂いがして
私、顔が真っ赤になってしまいました。


162 :名無し募集中。。。:2009/07/01(水) 23:44:41.98 0
>>150
第9回

「で、話って何?熊井さん」
みやが熊井先輩に話を切り出した。小声で「しっかりしなさい」って怒られた。
うん、ごめんみや。でも、みやも勉強しっかりしてね。なんて言えないけど・・・。
「あぁ、えっとね、一応昨日廃部になるかも言ったんだけどやっぱりちょっと一方的過ぎるって
うち抗議したの。ももち可哀相だし・・・・先輩たちは2年生の話なんてあんま聞いてくれないし
副会長って言っても名前だけ・・・・ってそういうことじゃなくて抗議したらね、」

熊井先輩はちょっと悲しそうに下を向いて話を戻した。
そういう憂い顔もステキ!あぁ、どうしよう話をちゃんと聞かなきゃいけないのに
なのに先輩のキレイすぎる顔が気になって話に集中できない・・・
「意見交換会?とかなんとか言う名前の会をやろうって話になったの。」
「なにそれ?って愛理聞いてる?」
「え、あ、き、聞いてるよ?意見陳述?」
「はぁ?なにそれ、意見交換会!」
うぅ・・・またもみやに怒られた・・・。熊井先輩の前で恥ずかしいなぁ。
きっと話を聞かない子って思われちゃった。
あぁもうみやのせい・・・ばか!

「文芸部の部室を欲しがってる部が3つか4つかあるのね。
で、そこの部員集めて話し合い?っていうのかなそれをしようって。
ももちも他の部のこと聞いたら納得してくれるかなぁと思うんだけど・・・
もちろん弁解の余地もあるし・・・廃部は免れることできるかもだし!ね、愛理ちゃんどう!?」
先輩は興奮したように話をしてくれた。私も今度こそはちゃんと聞いて相槌を打っていた。
先輩の情熱って言うか熱意って言うか・・・かっこよすぎる!

「いいです!すごいいいと思います!ね、みやそうだよね!?」
「えぇ?うーん・・・・まあいいと思うけど」
みやはつまらなさそうにそう言ってそれ以上は何も言わなかった。なんでだろ?


169 :名無し募集中。。。:2009/07/02(木) 00:18:02.82 0
>>162

熊井先輩と下足室で別れてからみやの様子が変なことについて聞いてみた。
「ね、みや?」
「なに?」
やっぱりちょっとそっけない。
「なんか変だよ、熊井先輩と喋ってから」
「それは愛理じゃん。浮かれちゃってさ、ばっかみたい」
下を向いて言うみや。えぇ、それってもしかして!!
「なに・・・もしかして!」
「?」
「みや妬いてんの!?そうならそう言ってよーもう可愛いなぁ」
みやってばツンデレすぎ!そういうの愛理ちゃん大好きなの!
みやはもうわかってるなぁ。さすがみや!
大好き!熊井先輩の次に大好きだよみや!

「ち、違うよ!そういうことじゃなくて・・・・もものこと!」
「ほえ?」
ももの名前が出てきて首をかしげた。なんでももが出てくるの?もも関係なくない?
「ももため、とか言っちゃってそんなのツグさん喜ぶわけないよ。
あいつ幼馴染だっけ?全然わかってない。」

みやは吐き捨てるようにそう言った。
じゃあ・・・みやはもものことわかってるのかな?
どうにもみやももも隠し事が多すぎてわかんないことが多い。

「そうかなぁ?存続のチャンス増えて喜ぶんじゃない?」
「・・・愛理もわかってない。もういい、教室行くから。」
みやは怒ったような口調になって言ってしまった。

「・・・言ってくんなきゃわかんないよう、みやのばか」
私の小さな呟きは始業前のベルでかき消された。

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