もしも愛理が熊井ちゃんに恋心を抱いてしまったら

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以下は、http://dubai.2ch.net/test/read.cgi/morningcoffee/1248447202/から引用

 

もしも愛理が熊井ちゃんに恋心を抱いてしまったら2

13 :名無し募集中。。。  2009/07/25(土) 01:44:37.23 0  
前スレ823
第75回

小学校を高学年にもなると「好き」だという感情がどんどん溢れてきて
それを自認して自分がオトナになっていくような錯覚があったんだ。
でも、それと同時にずっと一緒にいると気恥ずかしくなった。
ちょっとしたことに意識しちゃって上手く話せなかった。
だから、必然的に友達が増えて一緒の時間はどんどん短くなっていた。
ももちも、ももちで友達はたくさんいたようだし、昔のような
半ば依存的な、そんな関係はなくなりつつあった。
寂しいなと思うときもあったけど、友達がいればそんなことも考えなくなっていた。

そしてそんな関係のまま、ももちは中学校へ進学した。
・・・想像以上に寂しかった。
生活のリズムが少しずつ違って、それこそほとんど会えなくなって。
でも面と向かって会いたいとも言えず、気まぐれに、遊びに来てくれるのを待っていた。
たまに遊んでくれるとめちゃくちゃ嬉しかった。
結局、うちはその寂しさに負けて、両親が勧めてくれていた
私立中学へは進学せず、地元の、ももちがいる中学へ進学した。

・・・とは言っても、会える機会はそう増えるわけではなかったのだけど
毎朝一緒に学校へ行く、それだけで嬉しかった。
帰りはバラバラだから、昨日あったことをいっぱい話して、ももちの話も聞いて
すごく幸せな時間だった。だから、遅刻なんてほとんどしなかった。
まあ、ももちが遅刻しちゃうことは多かったんだけど。

 

14 :名無し募集中。。。  2009/07/25(土) 01:45:44.68 0  
>>13
第76回

そして2年近くが経って、ももの卒業式が近づいていたある日のこと。
うちはももに気持ちを伝えようと思っていた。
中学に上がったももと会える時間が減っただけで辛かった。
高校へ行くとなるときっともっともっと会えなくなる。
・・・だから、気持ちを伝えてこの胸の苦しさをさっぱり忘れようと思っていた。

自信がなかった。自分なりにそれとなくアピールをしてたつもりだけど
ももちは全然気付いていないようだったし、ももちは恋愛ごとには興味がなさそうだった。
ずっとそんな雰囲気だったものだから、自信なんて全然なかった。

うちは、午前で学校の終わる日、ももを中学校の空き教室へ呼び出した。
3月なのにすごく冷える日だったと思う。空き教室で勝手に暖房を入れることは出来ないから
寒さに震えながら、白い息を吐きながら、ももを待っていた。
そして今日は、ももの15回目の誕生日だった。

ガラガラ、と引き戸の開く音がしてドアを見るとももちが同じく白い息を吐きながらやってきた。
白い頬が赤く染まっている。すごく寒いんだろうなぁ。

「くまいちょ?どした?」
「あ、うん、まあ座ってよ」
「う?ん・・・」
ももちを呼んで、近くの席に座ってもらった。
しんと静まり返った教室の中、外からは微かに生徒たちの声が聞こえてくる。
うちは、ゴクリと息を飲んで話し始めた。

結果は、・・・・まさに玉砕ってヤツで。

きょとんとした顔をして「え?」って言った後、
戸惑いながらももちはごめんねと繰り返した。

 

15 :名無し募集中。。。  2009/07/25(土) 01:46:27.16 0  
>>14
第77回

「ごめん、あの、・・・ごめんね?」
立ち上がったももちはイスに座っているうちの頭を撫で撫でした。
小さな可愛らしい手がうちの髪をなでる。
「・・・いいよ、わかってた」
「あー・・・うん」

ももちはそれ以上何も言わなくて、誕生日プレゼントも渡し損ねて
うちの心はぼろぼろになって、ももとはまともに会話も出来なかった。
なんて最悪な日だっただろう。
忘れるためにと言っておきながら結局傷ついて忘れることすら出来なかった。
理由をちゃんと知りたかった。でも、聞けなかった。
聞いたところでもっと傷つくかもしれなかったから。

中学の最後1年、たくさん思い出も作ったし楽しかったけど
何かが抜け落ちているような、そんな喪失感でいっぱいだった。
ももちとは完全に生活のリズムが違ってて会うことすらもままならなくて
たまに会っても、なんとなくぎこちなかった。
でも、ももは笑顔でうちも笑顔を作って・・・・。

そして、うちはももと同じ高校を選んで進学した。
ぎこちなくたって、それでもいい。それでもいいから、少しでも会いたい、
それがうちの願いだったんだ。

高校へ入学すると、ももとの距離は縮まった。
いや、戻ったって言うべきなのか。小学校のときのような
なんていうか・・・無邪気な感じでももと接することができるようになった。
ももも、ぎこちない感じがなくなって自然体で話してくれるようになった。
なんとなく、笑顔の回数も増えたような、そんな印象だった。

 

16 :名無し募集中。。。  2009/07/25(土) 01:47:09.61 0  
>>15
第78回

告白があって、1年すっぽり抜け落ちて、だからこそ、またもとの幼馴染に戻れた。
この頃には、ももが好きという感情より一緒にいて話したい、遊びたい
そんなそれこそ小学校のときみたいな感情でいた。
ももは告白なんてなかったかのように振舞うからちょっと辛い気持ちもあったけど
それがももなりのやさしさなのだと思って、うちからも何も言わなかった。

そんな関係がずっと続いている。
そして、うちは愛理ちゃんに出会った。
6年間の片思い。実らないってわかってる片思い。
でも、6年もかかった。だから、会ってすぐに好きになるなんて思わなかった。
自分で自分にビックリした。でも、好きだって気持ちは抑えられなくて
今こうしてベッドの中でこんな話をしてる。
だけど実は今朝までずっと迷っていた。
でも、今朝・・・「うちはももが・・・」そう言ったら
ももちは「先に進んで欲しい」って言ったんだ。
だから、うちは決断した。

愛理ちゃん、ごめん。つまらない話かもしれないけど
でも聞いていて欲しかったんだ。ありがとう、ちゃんと聞いてくれて。

「愛理ちゃん、もっともっと君を知りたいし、好きになりたい」
目を見て言うのは恥ずかしいけど、でもちゃんと言わなきゃ。
「・・・先輩、嬉しいです・・・ちょっとショックだけど」
愛理ちゃんは下を向いた。
うちはその顔を覗き込む。すると、愛理ちゃんが上を向いて
唇に柔らかい感触を感じた。

暖かい感触だった。
話してよかった、心底そう思った瞬間だった。

 

54 :名無し募集中。。。  2009/07/26(日) 02:31:28.23 0  
>>16
第79回

明け方、空がどんどん明るくなっていくのが窓から見えた。
私たちはベッドの中で他愛もない話を、とても大切な話をした。
私たちの間にあった、ぽっかりと空いていた心の距離ってものが
すごく近くなったような、そんな気がする。

ショックだったし、辛かったけど、その分嬉しかった。
もっともっと先輩のことを好きになった。
先輩はもものこと6年も好きだった。
絶対越えてみせる。時間じゃなくて、思いの量で。
もっともっと好きになってほしいから・・・。

私は先輩の腕の中にいた。
ベッドに寝転んだまま、なんとなく、すっと引き寄せられて抱きしめられている。
みやは襲われちゃうかも?なんて言ってたけど・・・
私はこれでも精一杯で。ものすごく恥ずかしいんだよ。
先輩の柔らかい身体に全部包み込まれているような、そんな気持ちで、暖かい。

「愛理ちゃん、あのさ」
「あ、・・・呼び捨てしてください」
「え?」
「愛理って呼んで欲しいなぁ・・・なんて」
「じゃあ愛理ちゃんも下の名前で呼んでよ」
「えぇ・・・えっと・・・ゆ、友理奈先輩?」
「先輩はなくてもいいけど・・・まあいいよ。」
「じゃあ、愛理って」
「・・・うぅ、ちょっと恥ずかしいなぁ」

顔はものすごく近いから、先輩の顔が真っ赤になってるのがわかる。
可愛いなぁ。こういうところがすごく好き。

 

55 :名無し募集中。。。  2009/07/26(日) 02:32:55.31 0  
>>54
第80回

「先輩ー」
「・・う、うん・・・あ、あ、・・・あい、り」
「・・・・・・・」
「ど、どうしたの!?」
「う、うれしいなって思って・・・もう一度!」
「うー・・・・あ、愛理」
「えへへ・・・」

眉が下がっているのが自分でわかる。だらしない顔してるんだろうな。
でも、それ以上に幸せそうな顔だとも思う。
「だめ」
「え?」
「可愛すぎる・・・」
「ほえ?」
「・・・・好き過ぎるんだ、ほんと」
先輩が私をぎゅーっと抱きしめた。心地よい感触。
私は先輩に身を委ねた。私たちはそのまま、そうやって過ごした。
恐ろしく幸せな、一日だった。


「みやなんかのどこがいいの?」
「全部」
「・・・そうやって真顔で言われると照れる以上に怖いんだけど」
「なにそれ、褒めてんのに」

ももに引っ張られてバイト先の喫茶店に来た。
美味しいパフェがあるお店で、ももと1つずつ注文して食べながら話す。
告白した側と、された側とは思えない会話・・・。
でも、これがうちらっぽいんだと思う。

 

56 :名無し募集中。。。  2009/07/26(日) 02:33:41.01 0  
>>55
第81回

「愛理はどうなの、味方になりそうなの?」
「愛理の話はいいじゃん、せっかく2人でいるのに」
ももは愛理の話をしたがらない。
「いいじゃん別に。どうなのよ」
「・・・どうかな。ぼけーっとしてたよ愛理」
ももは面倒くさそうに口を開いてそう言った。
「え?」
「衝撃的・・・でもないよね?」
「どうかな。みやは若干引いたけど」
「なにそれーみやひどい」
「だって普通じさ、」
「みや!」
「ご、ごめん・・・・」

ももが大きな声を出してみやを叱った。
確かにここで言うべきじゃなかったかもしれない。
うちは反省してすぐ謝った。

でも、すぐにいつものツグさんに戻ったももはにこにこ会話を楽しんでいた。
難しい子だなぁ・・・って先輩なんだけどさ。

愛理は上手くいったかな・・・告白の結果は・・・。
って心配することない。きっとOKだ。あいつは愛理を好きになってた。
目が、それを物語ってた。
愛理は喜んでいるだろう。目尻を下げて幸せそうにしているだろう。
うちは祝福してあげなきゃいけない。おめでとうって言わなきゃ。

だけど、今すぐには言えないのかもしれない。
生クリームほど、うちの心は甘くないんだ。・・・なんて、かっこつけすぎかな。

 

95 :名無し募集中。。。  2009/07/27(月) 02:11:44.08 0  
>>56
第82回

朝、愛理から先に行ってとメールが来た。
話はお昼休みにねってハートマーク入りで書いてある。

それを見た瞬間、

あー・・・・

って嬉しいのか悔しいのかよくわかんない気持ちがこみ上げてくる。
おめでとうって言えるかな・・・顔を見たら揺らぐかな。
愛理、でも、よかった。ほんと、よかったね。

「・・・・よかったね」

メールの差出人の「あいり」という文字に向かって声をかけた。
当然、返事はなくて虚しい気持ちになった。
途端にぶわぁっと涙が出てきて、家を出る前だってのに
目を真っ赤に腫らすことになってしまった。

昨日泣いてすっきりしたはずなのに。ツグさんに散々慰められて
キスも告白もされちゃったっていうのになぁ。
・・・愛理のこと、思ってた以上に好きだったのかな。

「・・・なーにやってんだ、うち。かっこ悪い・・・ズズッ」
目をゴシゴシと擦って涙をごまかす。
こんなときももでもいてくれたらいいんだけど・・・・。
そう思っているとチャイムが鳴った。まさか・・・・ね?

玄関にいたのはももで、朝から眩し過ぎる、
悪く言えばウザイほどの笑顔をキラキラ向けてくる。

 

96 :名無し募集中。。。  2009/07/27(月) 02:12:24.41 0  
>>95
第83回

「来ちゃった」
「来ちゃった、じゃないんですけど」
「いいじゃん、怒らないで・・・あれ、目赤いよ」
「ももの家、学校の近くじゃん。あの、ここ5駅ほど離れてますけど」
ももに指摘されてうちはごまかすように話をした。
「まあまあ」
「なに、わざわざ電車乗ってきたとか言うの?」
「・・・だめ?」
「バカだよね、ほんと。」
「いいじゃんようー。みやと電車で行きたかったんだもん。2人きりで」
「愛理いるし」
「来ないよ、もも知ってるもん。くまいちょが愛理と行くからってメール送ってきたし」
「・・・・あっそ。・・・ちょっと待った、一緒ってなに?」
「え、愛理が泊まったってことでしょ?」
「・・・・・・・・・・・・・・え」
そこまで考えてなかった。ただ少し遅れるって意味かと・・・
そっか・・・そうなんだ・・・
昨日言ってたことが本当になるなんて・・・うちってバカだなぁ。

現実をつきつけられて、平気だと、諦めたと言っていた、考えていたものが
どんどん壊れていく。ももには愛理のことはもういいからなんて言ったのに。
格好悪すぎ。情けない。最低だ。

「みや?」
「・・・・・・・・・・・グスっ」
「ちょ、え?」

ももがびっくりしてる。そりゃそうだよね、ごめん。
でも、涙ちょっと止まりそうにないや。

 

97 :名無し募集中。。。  2009/07/27(月) 02:13:26.57 0  
>>96
第84回

「・・・強がりさんだなぁ、みやは」
「う、うっさい」
「ほら、カバン持っておいで。家出ようよ、向こうに河原あるでしょ?そこ行こう」
「・・・・・うん」
ももに言われるまま、カバンを持って家を出て近所の河原へ向かった。
そこにあるベンチに2人して腰掛けて、ただじっと座ってると涙は自然と止まった。
「昨日と一緒だね、これじゃ・・・ごめん」
「いいよ。辛いときは泣くしかないじゃん」
「ありがと・・・もも」
「どういたしまして。・・・どうする?今なら1時間目間に合いそうだけど」
「・・・サボる」
「感心しないなぁ。」
「じゃあ、行けば」
「もう、ひどいなぁ。もも、こうしてるから」
ももはうちにもたれかかってくる。自然な重みが肩周辺にかかる。

「・・・2時間目は出ようね?」
「まあ、気が向いたらね」
「もう・・・」
「ねえ、もも」
「んー?」
「・・・多分、愛理見たらまた泣いちゃうと思うんだよね」
「うん」
「熊井と一緒のとこ見ても泣くと思うんだよね」
「うん」
「・・・そのときはさ」
「一緒にいてあげるよ」
「・・・ありがと。ごめん、なんか・・・」
「いいよ、ももは・・・・・好きなんだから」

 

98 :名無し募集中。。。  2009/07/27(月) 02:14:31.98 0  
>>97
第85回

小さな声で好き、と言われてドキドキした。
自分が想うばっかりだったのに、想ってくれる人がいるなんて。
なんて嬉しいことなんだろう。はっきり、そう思った。
「・・・泣いちゃって、泣いちゃって、早く忘れるのがいいよ」
「うん。」
うちは小さく頷いて、空を見上げた。
真っ青な空が美しかった。

うちとももは、結局2時間目から出席をした。マジメなんだから、ももは。
そして、お昼休み、うちは部室へと向かうのだった。

「ももち!」

ちょうど1時間目と2時間目の間に学校へ到着した。
みやと分かれて、教室へ着くと後ろから呼び止められて教室へ入りかけた足を戻した。
振り返ると、くまいちょーが手を振ってやってきた。

「遅刻?」
「あぁ・・・まあね」
「そっか、あのね、話があって・・・」
「うん、じゃあ次の休み時間またおいで。」
「わかった、ありがと」
「ううん、いいよ」
くまいちょーはまた手を振って去っていった。

なにあの嬉しそうな顔は・・・。ニコニコしてほんと幸せそう。
今朝のみやとは真逆だ。あいりんって罪作りなやつかも。ほんとに。
くまいちょー、直接付き合うことになったって言いたいんだろうなぁ。
なんて想像しながら、ももは教室へと入っていった。

 

140 :名無し募集中。。。  2009/07/28(火) 02:10:38.22 0  
>>98
第86回

「・・・と、いうことでして」
「そっか、よかったね。すごい、幸せそうな顔してる」
「そう?」
「うん、ものすごくね」
「えへへ・・・まあ、事実だし」

だらしなく笑うくまいちょー。
ももたちは人通りの少ない階段の踊り場で話をしていた。
だらしくなく、とは言うものの、マジメな子だから真剣ってのは伝わってて
ほんとによかったね、と思えてくる。
みやは傷ついてるだろうけど・・・でも、そのおかげ?でみやに告白できたし。
まぁ、感謝しておこう。

「・・あ、でね、・・・あの、ももちのこと話した」
「え・・・」
「ごめん、勝手に・・・でも、隠し事はしたくなくて・・・」
いいけどさ。愛理のやつ、なんで断るの!?信じられない!とか言いそうだ。
・・・なんで断ったかってそりゃ・・・いや、その話はまた今度にしよう。
「いいよ、気にしないで。とにかくよかったよかった」
「うん」
「あ・・・ところで、・・・えっちした?」
手招きして屈んでもらって、そっと耳打ちをした。
言い終えると、くまいちょーの耳が真っ赤に染まっていくのが見えて笑いそうになる。

「し、し、したわけないじゃん!ばか!ももちのばか!」
「あははーごめんw」
「も、もう・・・」
顔も真っ赤になって怒る様子が、小さな子どもみたいで可愛いやつ。
まぁ、ももより30cmくらい大きいんだけどね、くまいちょー。

 

141 :名無し募集中。。。  2009/07/28(火) 02:11:25.38 0  
>>140
第87回

「あ・・・忘れる前に。」
「ん?」
くまいちょーは妙に真剣な顔になって、人差し指を前に突き出した。
ももは首を傾げて話の続きを待った。
「意見交換会なんだけど、今度の土曜日の放課後に決まったよ」
「・・・出ないって言ってるじゃん」
「いや、会長にも言ったんだけど・・・もう決めたからって。
出席しない部活は無条件で廃部にして活動も禁止にする・・・とか。
ちょっとやりすぎだとは思うんだよね・・・でも、決まったからって言われて・・・。」

かーっと怒りがこみ上げて来る。ばっかみたい!考えられない!
「なにそれ、独裁者じゃん!くまいちょー言いなりなの!?副会長でしょうが!」
「無理だよ・・・ごめん。2年生には何にも出来なくて・・・」
「・・・・はぁ、もう」
どうしよう。なんか・・・もう嫌になってきた。
「と、とにかく出席だけは・・・さ?お願いだよ、うち廃部にはさせないから!」
「・・・何も出来ないって言ったの誰?」
「・・・・・・うぅ、ごめん」
「まぁいいや・・・了解だよ、わかった」
「うん、伝えたからね。詳しい時間と場所はまた言うからさ」
「・・・・うん」
ももたちはそこで分かれてそれぞれ教室へ向かった。

さて・・・どうしたものか。出席・・・したくない。みやだって反対するはず。
どうせ出席だけさせて、廃部免除をエサに部室を奪う気なんだ。
みえみえだよ、まったくもう!
・・・愛理はなんて言うだろう?味方になってくれるかな・・・。
幸せいっぱいな愛理の決心は先延ばしにしてあげるつもりだったけど、もう時間がない。
今日中にでも返事を聞かなきゃ・・・!

 

143 :名無し募集中。。。  2009/07/28(火) 02:18:01.12 0  
>>141
第88回

「・・・愛理、早いね」
「うん、ちょっと早く授業が終わって」
「そっか」

お昼休み、部室に入ると愛理がすでにいて、お弁当を開いていた。
顔見るだけでほんとうに幸せなんだろうなとわかる。
見たことのない、いい顔してる。すごく、可愛い。
今までは見せてくれなかった顔・・・あいつが引き出したんだ。

あー・・・もううちってこんな泣き虫だっけ?泣きそう。
でもだめだ。ももはまだ来てないし、ここで泣くのはみっともない。
必死で堪えて笑顔を作って会話を続けた。

「・・・で、今日は一緒に登校したの!」
「そっか。心配してたから安心した。よかったね、愛理」
「うん!みや、ありがと」
「・・・ううん、みやはなにも・・・」
愛理に手を握られてありがとう、そう言われた。
純粋無垢とはこのことか?ってなくらいキラキラな笑顔を向けてくる愛理。
・・・いいなぁ、幸せって。羨ましい。・・・・そして、悔しい。

「・・・・と、泊まったってさ・・・あの、うちが言ってたような・・・」
「襲われちゃうぞってこと?」
「そ、そう」
「ないよ、そんなこと。あり得ないもん、先輩優しいから」
「そ、そうなんだ・・・へー」

へーなんてごまかしたけど内心ほっとした。そんなことホントにしてたら
愛理の口からそんなこと聞いちゃったら、叫んでしまっていたかもしれない。

 

189 :名無し募集中。。。  2009/07/29(水) 00:56:23.15 0  
>>143
第90回

「お待たせー・・・」

授業のあと、教材を運べって言われて手伝ってたら遅くなっちゃった。
みや、泣いてなきゃいいけど・・・。

「もも、遅いよー」
「遅いぞー」
2人はにこやかに話をしていて、少しだけほっとした。

「あ、あのね、もも」
愛理が顔を赤らめて話し出そうとしている。
「うん」
「・・・先輩と付き合うことになった!」
「おめでとー。さっきくまいちょーに聞いてきたw」
「そっか・・・ありがと!」
愛理は嬉しそうに笑いながら、お弁当のプチトマトを口に入れた。

「で、・・・おめでたい雰囲気の中申し訳ないんだけど・・・」
「「??」」
「・・・生徒会が勝手に意見交換会の開催を決めたんだって。
今度の土曜日放課後。出席しないと無条件で廃部決定・・・」
「はぁ!?なにそれ!?」

みやが途端に怒り始めて、ももとみやはおかしい、とか欠席してやる!とか
そんなことを言い合っていた。
愛理は隣で、どうしたらいいんだろう・・・という迷った困った戸惑った表情をしている。

お願い、味方だと言ってよ愛理。そうじゃなきゃ、困るよ愛理。
ももがそんな目で愛理を見つめると、愛理はゆっくり口を開いた。

 

191 :名無し募集中。。。  2009/07/29(水) 01:05:30.40 0  
>>189
第90回(前回は89回だった)

どうしよう?なんて言えばいいんだろう?
みやも、ももも、私の答えを待ってる・・・でも・・・
生徒会とモメるのはどうかと思うし、先輩もいるし・・・・
廃部になるのはいやだ・・・・
私だけでも出席して・・・でもそれじゃ二人を裏切るような・・・。

もものしてくれた話がよぎる。
・・・なんだか辛い話だった。私まで悲しくなるような・・・。
でも、その苦しい状況からももを救ったのは紛れもなくこの部室なわけで。
あ、あとあの人も・・・か。
ももがこだわる理由も気持ちも良く分かったつもりでいる。

「・・・私は、・・・わからないの」
「なにが?」
ももが優しい声で聞いてくれる。
「何が正解なのかわからなくて・・・」
「正解はないよ。愛理がどうしたいか、それだけ」
みやが鋭い声でそう言った。ちょっと、ビクっとした。
「うん、確かにそうだけど・・・・」
「・・・みやの言うとおりだね。愛理がどうしたいか、だよ」
ももの声は相変わらず、優しい。でも、早くして欲しいという気持ちもこもっている気がした。

「私は・・・この部室が好き」
「じゃあ、決まりじゃん。・・・でしょ?」
「・・・うん、そうだね」

愛着の湧いてきた、ボロボロの机を見て、好きだと思った。
この机とおさらばするのは寂しい。悲しい。
だから、守ろう。ももの、味方になる。そう、決めた。

 

249 :名無し募集中。。。  2009/07/30(木) 17:56:45.08 0  
>>191
第91回

「・・・で、具体的にどうする?」
みやが腕を組んでそう言った。確かにそうだ。
愛理が味方になってくれた今、私たち文芸部3人はどうすればいいんだろうか。

「・・・うーん。とりあえず、もうすぐお昼休み終わるし、放課後でどう?」
「そうだね、そうしよう」
「私も考えるね」
ももの提案に2人は納得してくれて、頷いた。


ももの味方になるって決めて、この部室を守るんだって決めて、
なんだかもっとこの部と先輩2人と部室が好きになった気がする。

どうすればいいのか、どうすることがいいのか。
授業そっちのけで私はひたすらそのことを考えていた。
そして5時間目の授業も終わったころ、先輩からメールが届いた。

【一緒に帰ろうよ(^-^)b授業終わったらすぐ、帰れそう?】

・・・メールが来るなんて嬉しいなぁ。と素直に喜んだけど
今日はちょっと無理かも。私は部活があることを返信した。
でもすぐに先輩は、待ってるからと返事を送ってきた。
それに今日は生徒会室で作業もあるとのこと。
私は嬉しくなって、楽しみにしています、と送り返した。

だけど・・・私の決定は先輩の立場とは逆の決定だから・・・。
生徒会と対立ってことになっちゃう。
先輩はなんて言うだろう?・・・・ううん、今はそれより
どうするか考えなきゃ・・・どうしよう?

 

250 :名無し募集中。。。  2009/07/30(木) 17:57:27.81 0  
>>249
第92回

「揃ったね、じゃあ、1人ずつどうするか聞かせてよ」
ももは部室に最後にやってきた愛理を見ると、そう言った。
愛理はカバンを机に置いて、いつものようにちょこんと座った。

「・・・私はね、意見交換会出るべきだと思うの」
「「え??」」
愛理がそんなことを言うのでうちも、ももも愛理に聞き返す。

「そりゃあんまり出たくないよ?でもさ、やっぱり部があってこその部室でしょ?
ももは、部の存続をエサにココを取り上げる気だって思ってるじゃん?」
「ん、うん」
「そんなことさせなきゃいいと思うの。」
「へ?どういうこと?」
私は首を傾げてみやに説明を求めた。
「部の存続はもちろん、部室を取り上げさせないってこと。
私たちの人数が少ないのが問題なんでしょ?だったら増やせばいいじゃん」
「いや、愛理そんな簡単に言わないでよ」
うちは愛理の話を聞いて思わずそう言った。
「でも、勧誘活動あんまりしてなかったでしょ?」
「「うぅ」」

痛いところを突かれたかもしれない。
確かにポスター貼って1年生向けの部活紹介やってくらいだしな・・・。
でも、増えすぎちゃ困るでしょってことでうやむやにしちゃってたかも。

「増やすって言おうよ。何人いればいいのかわかんないけど・・・」
愛理は力強くそう言って私たちを見た。
1年生なのに愛理はすごいなぁ・・・・なんてうちは感心していた。

 

251 :名無し募集中。。。  2009/07/30(木) 17:58:35.08 0  
>>250
第93回

「でも、待ってよあいりん。それ無駄とか言われたらどうする?」

愛理の提案も理解できるけど、あの生徒会長がはいわかりましたなんて
そんなこと言うとは思えない。
「しかもあと10人とか言われても・・・無理じゃない?」
「もう!もも、今から無理とか言わないで。やってみなきゃわかんないよ」
「・・・うーん。・・・てかそんな人増えても、ここは入れないよ」
「みや、今そんな話じゃないでしょ?もう」
「ご、ごめん・・・」

「とにかく!出よう?そうするべき!」
愛理は結構強く出席を推している。
でも・・・「廃部にならないだけマシじゃない、所詮同好会レベルでしょ」って言われたら
キレる。いや、絶対言われる気がする。

「じゃあももはどうしたいの?まさかずっと篭城する気?
そんなの現実的に考えて無理でしょ?みやは?」
「う、うちは・・・・ごめんいい考え浮かばなかった」
みやはバツが悪そうに下を向いた。そんなことだろうとは思ったけど・・・・。

「もも言ったでしょ?戦おうって。篭城じゃ戦うことにはなんない。
私ね、戦うって決めたんだから徹底抗戦したいの。ね、出てちゃんと自分たちの主張しよう?」
「・・・・うん、でも」
決心がつかない。
「もも!」
愛理がもものことを大きな声で呼ぶ。叱責されちゃってる、2歳も年下の子に。
「・・・わかった、出よう」
ももは迷ってそう言った。愛理の強気な目に押されたから・・・・ううん、ちがう。
・・・戦おうと言った自分が実は現実から逃げようとしていたと気付かされたからだった。

 

264 :名無し募集中。。。  2009/07/31(金) 01:16:15.71 0  
>>251
第94回

先輩と2人、手を繋いで駅まで歩いた。
10分もない距離だけれど幸せな時間だった。

「・・・・そっか、じゃあ愛理とは敵になんなきゃいけないのか」
「ごめんなさい。でも」
「わかってる。わかってるよ安心して」
先輩は優しい声でそう言って、私の髪を撫でた。
「・・・でも、ももはなんであの場所に拘るんだろうね?」
「さぁ・・・」
「そっか、まぁいいや・・・。」

さぁ、なんて。ほんとは、知ってるのに。ウソ、ついちゃった。
先輩は隠し事が嫌いだっていうのに・・・隠し事しちゃった。
でも、これはももの大切な秘密だから・・・言うわけにはいかない。

友理奈先輩、ごめんなさい。
愛理を許してください。と、心の中で小さく呟いた。

「じゃあ、行くね。また明日」
「はい」
「・・・どうしよう?朝駅まで迎えにこようか?」
「あ、いえ・・・朝はみやと一緒なんです」
「そっか。わかった。またメールするね」
「はい。・・・じゃあまた」

私たちは手を振って別れた。私は定期券で改札に入り、後ろを振り返る。
赤くなった空と、先輩がよく似合うっていうか・・・すごく綺麗。
すると、先輩は振り返って私に手を振ってくれた。笑顔はやっぱり美しい。
私はちょっと恥ずかしいけれど、嬉しくてたまらなかった。

 

265 :名無し募集中。。。  2009/07/31(金) 01:17:10.87 0  
>>264
第95回

家に帰って、ベッドに倒れこむ。久しぶり・・・に感じる私のベッド。
先輩のより、ずいぶんと小さく感じる。
実は結局眠ってないからものすごく眠かったりして・・・。

着替えなくちゃ、とか、ママに話さなきゃ、とか、いろいろしなきゃいけないことはあるんだけど・・・
でも、身体が重くて動けない。一日くらい平気なんて思ってたけど
家に帰ってきて気がふっと抜けてしまったみたいだ。
「・・・寝ちゃダメだけど・・・寝ちゃおう・・・」
スカートがシワになる・・・とか思いながら私は目を閉じていった。

そして、私は夢を見た。
ももがあの話をしてくれたときの夢。

すごく辛い話で、ももも辛そうだった。
でも、聞いて欲しいってそう言ってたなぁ。
ももの部室への熱烈な愛着ぶりにも思わず納得せざるを得なかった。
そりゃ・・・そうだよね。とそう言いたくなるような・・・・。
私にはそんなエピソードめいた話はないけど・・・ももにはあるんだ。


「愛理、全然楽しい話じゃないんだよね。それでもいい?」
「・・・うん。」
「ありがと。・・・もも、愛理のこと大切な後輩だって思ってるし、信頼してるから」
先輩とは思えないほど子どもっぽいももだけど、
このときばかりは大人びていてあぁ、年上なんだぁ・・・って感じさせられた。

部室に2人きり。
放課後だし、時間はいっぱいある。
ももの話は始まった。

 

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