「第301話~第310話」の編集履歴(バックアップ)一覧はこちら
「第301話~第310話」(2009/12/19 (土) 10:32:15) の最新版変更点
追加された行は緑色になります。
削除された行は赤色になります。
566 :&color(green){&bold(){名無し募集中。。。}}:2009/12/07(月) 23:35:39.25 0
&color(blue){>>565 }
第301回
というのも、はじめは文芸部のみんなとって誘ったんだけど
めぐちゃんが遠慮しちゃったから3人でってなった。
…それに、くまいちょーはよく思っていないみたいだし。
プラス、愛理もか。・・・ちょっと寂しいけど、でも、しょうがないか・・・。
「ごめん、遅くなっちゃった。はい、めぐ」
「え?」
「めぐの好きなやつ、購買部で買って来たよ」
「あぁー!ここのジャムパンめっちゃ好き!みやよく覚えてたね!」
「まぁ、ね」
子どもみたいに無邪気に笑うめぐちゃんが可愛い。
みやも、なんだかんだいって楽しそうだから、ももだって楽しい。
3人でいるなんてすごく久しぶり。・・・嬉しいなぁ。
ももは、めぐちゃんが危険人物みたいに言われるのは嫌だ。
あんな噂、真実じゃない。めぐちゃんは被害者なのに。
そりゃ、勝っちゃったというか15人相手に大暴れなのはまあアレだけど・・・なのに、・・・・なんだかなぁ。
でもめぐちゃんはそういう人たちに否定も肯定もせず何も言わないから
噂だけがどんどん膨らんでいくんだよね。
ももたちにも、「何も言わないで」って言うからそういう噂を聞くしか出来なくて・・・
みやも、ももも、ちょっと悔しい思いをしてる。
…それも、もう慣れて忘れかけていたんだけど・・・そんなときに帰ってきためぐちゃん。
「ももちゃーん、それちょーだい」
「え?あ、うん」
無邪気に、もものお弁当箱からタコさんウインナーを取っていくめぐちゃん。
噂のような、凶暴さもなく暴力的なところもない、普通の女の子。
567 :&color(green){&bold(){名無し募集中。。。}}:2009/12/07(月) 23:36:33.48 0
&color(blue){>>566 }
第302回
◆
「ねぇ、愛理?みやは?」
「あぁ・・・村上さんと食べるって」
「村上ってあぁ・・・みやがいないとつまんないなぁ・・・」
お昼、文芸部のみんなでご飯を食べる。
りーちゃんは、みやがいないからご機嫌ナナメ。
「ね、りーちゃんどう思う?村上さん」
「どうって・・・ちょっと怖いかなぁ。・・・でも」
「でも?」
「悪い人じゃないと思う。優しい人だったよ・・・あのね、朝ね、愛理が行っちゃったあとね、
私、コケかけたの。そしたら、腕引っ張ってくれて『大丈夫?』って言ってくれて・・・。
目が優しそうで、・・・・ももが言うような悪い人には思えないよ?」
「・・・私もね、そう思うの。・・・でも、先輩が近づいちゃダメだって言うから・・・」
そう、ホントはしっかり喋ってみたいって思ってる。
でも先輩の手前、そんなことはできないし・・・
好きだから、心配だから、なんて嬉しすぎること言われちゃったら・・・さ。
私はそんな、モヤモヤした気持ちだった。
595 :&color(green){&bold(){名無し募集中。。。}}:2009/12/08(火) 23:58:17.50 0
&color(blue){>>567 }
第303回
「へぇ、文芸部ってそんなことになってんの。」
「うん、あと2人なんだよね。あとちょっとなんだけど」
「めぐちゃん入りなよーももたち歓迎するよ?」
ちょっと本気でめぐちゃんを誘う。だってそしたらあと1人だもん。
別に名前だけでもいいんだし・・・って言おうとしたら
「だめ。きっと他の子が嫌がる。だから、だめ」
「めぐ成長したじゃん」
「なにそれ人の嫌がる気持ちが理解できるようになったって事?」
「そういうこと」
「うっさいなぁ。でも、そうでしょ。嫌がられてる人たちの中に入りたいとは思わない」
「・・・そうだよね」
と、めぐちゃんの言葉にあっさり納得してしまう。
「ま、ももちゃん頑張ってね」
「うん、ありがと」
なんていろいろ話をしていたら、お昼休みは終わりに近づき、
ももたちは屋上を出て教室へと歩いていく。
好奇な目というのはやはりちょっと怖い。
みんなめぐちゃんを見てコソコソを何か言っている。
当の本人は知らぬ存ぜぬという顔をして平気な感じだけど
でも、・・・ももとみやはやっぱり嫌。
とは言っても、どうしようもないことなんだけど。
596 :&color(green){&bold(){名無し募集中。。。}}:2009/12/09(水) 00:00:23.09 0
&color(blue){>>595 }
第304回
「ももちゃん笑ってよ、笑ってる顔が好きなんだよ?」
「え?」
「さっきから笑ってないよ?」
「・・・そんなこと、ない」
「みやもだぞ」
「・・・うん」
廊下で、そんな話をしていた。そんなとき、向こうから生徒会長がやってきた。
…そういえばめぐちゃんの天敵だっけ。
「村上さん、お帰り」と相変わらずな嫌味っぽい口調。
この間の、勉強を教えて欲しいといったら、一旦はいいよと言ってくれたときの声とは
全然違う。あのときはやっぱりちょっと違うなって思ったんだけど・・・。
難しいけど、なんていうか、・・・優しい目だったんだよなぁ。あのときは。
「・・・・・・どうも」なんて、めぐちゃんは警戒しているのか、ちょっと声が固い。
「あなたいい加減ちゃんと制服着たら?」
「へいへい。・・・相変わらずですね」
「そうでもないの、めぐちゃん!」
ふと、あのときのことをめぐちゃんに言ってあげたくなった。
「ちょ、嗣永?」
「なんかね、最近ちょっと変わったの、生徒会長さん」
「そう?」
「そう!あのね、」
「ちょ、嗣永もうやめて!・・・とにかく、校則は破らないで」
生徒会長さんは強引にももの話を止めて、めぐちゃんにそう言ってどこかへ行ってしまった。
「わかってますよーだ」
めぐちゃんは舌を出して、生徒会長さんの行ったほうを見ていた。
チェッ、せっかくももがいいお話してあげようとしたのに。
「で、なんだったの?」とめぐちゃんに聞かれたけどチャイムが鳴って話は終わってしまった。
597 :&color(green){&bold(){名無し募集中。。。}}:2009/12/09(水) 00:02:17.47 0
&color(blue){>>596 }
第305回
放課後になった。結局クラスの人とは一回も喋らなかったなぁ・・・。
勉強はもっと先をやっていたから問題ないし、まぁいいけどさ。
ももちゃんとみやがいてくれてよかった。学校にこれてよかった。心底そう思っている。
あたしはおじいちゃんの家に行ってから一切連絡していなかったから
本当に嬉しくてホントは2人に抱きつきたいところだけど、気味悪がられると
アレだから・・・まぁ、やんないけどね。
んーっと背伸びをして、みやが迎えに来るまでトイレに行こうと席を立った。
トイレはちょっと遠くて不便だなぁ、なんて考えながら
周囲の雑音を無視しながらトイレを目指す。
ふと、目が止まった。階段を上っていく一人の少女。
見覚えのある少女。・・・・あいつだ。あの子だ。
あたしには気がついていない。
鼓動がどんどん早くなっていくのを感じる。顔まで、熱くなってくる。
呆然として、口は開いたままだらしないことになっている。
その場から動けなくなって、固まってしまった。
どうしてこの学校に?進学校へ進学するって・・・
そりゃここもそれなりだけどもっと偏差値の高い学校はいくらでもあるし・・・
それにあんなことのあった、あたしと同じ高校に進学してくるなんて・・・
親は一体何を考えているんだ・・・どうして・・・・?
「憂佳・・・・、そうか、憂佳って名前だったっけ・・・」
今までずっと忘れていたのに。
なのに、あっさりと、自然に、滑らかに、名前は口から零れ落ちていた。
656 :&color(green){&bold(){名無し募集中。。。}}:2009/12/10(木) 23:44:43.09 0
&color(blue){>>597 }
第306回
教室を出て、めぐを迎えに行った。
途中、めぐが廊下に突っ立ってるのを発見して声をかけた。
「めーぐ、なにしてんの」
「・・・・・・・・・・・」
あれ、気付かない?真後ろに立ってんだけどなぁ。
めぐの目線の先、・・・・あれ、前田ちゃん?
面識あったっけ?向こうはお喋りに夢中って感じだけど?
それとも隣の子かな?
「めぐ、ってば」
「え?あぁ、みやか・・・」
「どうしたの?」
「え、いや・・・なんでも。」
「前田ちゃんと知り合い?」
「へ?いや、別に」
「そう?・・・じゃあ、早く行こ?ももがクレープ行こうって言ってたよ」
「・・・・いや、やめとく」
「なんで?」
「なんでも・・・帰る」
「ちょ、めぐ?」
「ごめんみや」
めぐは教室へ戻って、カバンを持って出てきた。
うちにもう一度、ごめんと声をかけて階段を駆け下りて行く。
様子が変だ。目が虚ろだったし・・・どうしたんだろう?
追いかけた方がいいのかな、でも、・・・一人で行ったって事は
一人がいいって事だよね・・・心配だけど放っておこう。
657 :&color(green){&bold(){名無し募集中。。。}}:2009/12/10(木) 23:45:26.42 0
&color(blue){>>656 }
第307回
なんか変だなぁ。こういうことがあっても、じゃあね、で終われた関係だったのに。
めぐの心配なんてしたことなかったのになぁ。まぁ、さすがにアレは特例だけど。
昨日、めぐに言われた言葉がよみがえって来る。
『前なら、あたしの心配なんかしなかったのに』・・・・なんで変わったのかな、うち。
「みやー遅い!」
って少し離れたところから甲高い声が聞こえてくる。
「ごめーん!」って大きな声で返事をする。
…たぶん、もものおかげかな。・・・・なんとなく認めたくないけど、そんな気がする。
人一倍繊細なくせに強がってばっかりいるんだもん、ももってさ。
だから放っておけない存在で・・・めぐもそうだったのかもしれないって思って・・・だから・・・
だから、ありがとうもも。気が向いたら、言ってあげてもいいよ。
◆
みやとももは欠席の中、残りの部員で後2二人どうするかの話し合いをした。
私がなんとなく仕切らなきゃいけない感じで・・・ちょっと緊張したけど
上手くできてよかったぁ・・・。友理奈先輩が助けてくれたからだけど・・・。
でも、結局は何も決まらなかった。今日が火曜日で、期限は日曜日まで。
時間がないのは重々承知してるけど、でも、あと二人がどうしても見つからない。
それぞれ友達を誘ってくれているみたいだけど、なんなら名前だけでもって感じになるんだけど
やっぱりそれじゃぁなぁ・・・って思うし、却下されちゃって、、、。
658 :&color(green){&bold(){名無し募集中。。。}}:2009/12/10(木) 23:46:45.85 0
&color(blue){>>657 }
第308回
話し合いが終わって、先輩と中島徳永両先輩は生徒会の会議へ走っていった。
…掛け持ちなんてすごいなぁ・・・私にはきっと出来ないなぁ・・・。
先輩たちを、そして、グラウンドで汗を流しているさーやを見て思う。
さーやは今日の話し合いには参加してないけどいつもできるだけいろいろ参加してくれる。
…すごいなぁ。
結局私は一人で家路につく。ちょっと寂しいけど、しょうがないか。
いつもどおり、駅を目指して歩くんだけどなんとなく、すぐに帰ってしまうのは惜しい気がして
ってなにが惜しいのか全然わからないけど・・・寂しいからこそ、すぐ家に帰りたくはないって言うか。
そんな気持ちで、今朝先輩に連れて行かれた公園へと足は向いていた。
ちょっとぼーっとしてみるのもいいかもしれない。
この時間なら、子どもたちがまだ少し遊んでいるだろう。一人でも寂しくない。
公園には、小学生くらいの子どもたちがやはりいて、割と賑やか。
ほっとして、公園の中へ歩いていくと意外な人がベンチに寝転がっていた。
「村上さん?」
「・・・あれ、愛理ちゃんだ。どうしたの?」
村上さんは起き上がって、私の顔を見た。
やっぱり・・・・悪い人には見えなかった。
きょとんとした顔で、ちょっと可愛いとさえ思った。
852 :&color(green){&bold(){名無し募集中。。。}}:2009/12/19(土) 01:56:10.43 0
&color(blue){ >>658}
第309回
「え、あ、えっと」
「ふふふ、可愛いねぇほんとに」
村上さんはにっこり笑って、「こっち座ったら?」と
今まで寝転がっていたベンチをポンポン叩いた。
「・・・あ、えっと」
先輩の、「近づいちゃダメ」っていう声が頭の中に響く。
でも・・・村上さんの笑顔は先輩の言うような危険な感じはなくって・・・。
私は呼ばれるままに、村上さんの横に座った。
「こんなとこでなにしてたの?」
「あー・・・なんか帰るにはちょっと早いかなって。寄り道です」
「そう。あたしと一緒か」
「・・・・あの」
「ん?」
「やっぱいいです・・・」
「なに?噂のこと?ほんっと学校の連中ってバカだよねぇ。
他にする事はないのかね君たち、なんちゃって」
おどけて笑って見せる顔が可愛らしくて、やっぱりあの話とは似ても似つかない。
あの話は歪曲されてるんじゃないかな・・・。それとも、私が騙されているのかな・・・。
「えっと誰だっけ、愛理ちゃんの恋人」
「えっ?」
「アァ、熊井さんだ。あの人、あたしのことめちゃくちゃ嫌ってそうだよねw」
「・・・えっとそんなことは・・・」
「あるでしょ。見ていればわかる。近づくな、とかなんとか言われたんじゃないの?」
853 :&color(green){&bold(){名無し募集中。。。}}:2009/12/19(土) 01:57:24.56 0
&color(blue){ >>852}
第310回
ズバズバとそう言われてちょっと戸惑うというかほんとのことを言っても
大丈夫なのかなってそう思う。
「・・・まぁ、はい」
でも、私はあっさり認めちゃって。
「ま、そりゃそうだ。あたしも逆の立場ならそうする」
村上さんは足を組んで、その足の上で頬杖をついて、考え込んだような顔になる。
気さくで、優しい人。噂とは、違う人。
どれが、本当の村上さんなんですか?
「でね、ももちゃんってドジだからさ」
「あはは、ももらしいwすぐに想像しちゃいました」
「でしょ、でね、みやもバカなの、1年前にさ、」
公園を出て、駅まで一緒に歩いた。
村上さんが一緒に帰ろうと、誘ってくれたから。
ももやみやの話をして盛り上がる。村上さんの話はわかりやすくて、楽しい。
近づくな、と言われた私はそれを思いっきり破ってこうして、一緒に歩いている。
先輩は怒るかな。・・・でも、言わなきゃバレないし・・・。
だけど、バレたら?・・・フラれちゃうかな?
そう、思っていたら、それはいとも簡単に、現実になった。
「愛理?」
名前を呼ばれて、振り返った先にいたのは、私の大好きな人だった。
566 :&color(green){&bold(){名無し募集中。。。}}:2009/12/07(月) 23:35:39.25 0
&color(blue){>>565 }
第301回
というのも、はじめは文芸部のみんなとって誘ったんだけど
めぐちゃんが遠慮しちゃったから3人でってなった。
…それに、くまいちょーはよく思っていないみたいだし。
プラス、愛理もか。・・・ちょっと寂しいけど、でも、しょうがないか・・・。
「ごめん、遅くなっちゃった。はい、めぐ」
「え?」
「めぐの好きなやつ、購買部で買って来たよ」
「あぁー!ここのジャムパンめっちゃ好き!みやよく覚えてたね!」
「まぁ、ね」
子どもみたいに無邪気に笑うめぐちゃんが可愛い。
みやも、なんだかんだいって楽しそうだから、ももだって楽しい。
3人でいるなんてすごく久しぶり。・・・嬉しいなぁ。
ももは、めぐちゃんが危険人物みたいに言われるのは嫌だ。
あんな噂、真実じゃない。めぐちゃんは被害者なのに。
そりゃ、勝っちゃったというか15人相手に大暴れなのはまあアレだけど・・・なのに、・・・・なんだかなぁ。
でもめぐちゃんはそういう人たちに否定も肯定もせず何も言わないから
噂だけがどんどん膨らんでいくんだよね。
ももたちにも、「何も言わないで」って言うからそういう噂を聞くしか出来なくて・・・
みやも、ももも、ちょっと悔しい思いをしてる。
…それも、もう慣れて忘れかけていたんだけど・・・そんなときに帰ってきためぐちゃん。
「ももちゃーん、それちょーだい」
「え?あ、うん」
無邪気に、もものお弁当箱からタコさんウインナーを取っていくめぐちゃん。
噂のような、凶暴さもなく暴力的なところもない、普通の女の子。
567 :&color(green){&bold(){名無し募集中。。。}}:2009/12/07(月) 23:36:33.48 0
&color(blue){>>566 }
第302回
◆
「ねぇ、愛理?みやは?」
「あぁ・・・村上さんと食べるって」
「村上ってあぁ・・・みやがいないとつまんないなぁ・・・」
お昼、文芸部のみんなでご飯を食べる。
りーちゃんは、みやがいないからご機嫌ナナメ。
「ね、りーちゃんどう思う?村上さん」
「どうって・・・ちょっと怖いかなぁ。・・・でも」
「でも?」
「悪い人じゃないと思う。優しい人だったよ・・・あのね、朝ね、愛理が行っちゃったあとね、
私、コケかけたの。そしたら、腕引っ張ってくれて『大丈夫?』って言ってくれて・・・。
目が優しそうで、・・・・ももが言うような悪い人には思えないよ?」
「・・・私もね、そう思うの。・・・でも、先輩が近づいちゃダメだって言うから・・・」
そう、ホントはしっかり喋ってみたいって思ってる。
でも先輩の手前、そんなことはできないし・・・
好きだから、心配だから、なんて嬉しすぎること言われちゃったら・・・さ。
私はそんな、モヤモヤした気持ちだった。
595 :&color(green){&bold(){名無し募集中。。。}}:2009/12/08(火) 23:58:17.50 0
&color(blue){>>567 }
第303回
「へぇ、文芸部ってそんなことになってんの。」
「うん、あと2人なんだよね。あとちょっとなんだけど」
「めぐちゃん入りなよーももたち歓迎するよ?」
ちょっと本気でめぐちゃんを誘う。だってそしたらあと1人だもん。
別に名前だけでもいいんだし・・・って言おうとしたら
「だめ。きっと他の子が嫌がる。だから、だめ」
「めぐ成長したじゃん」
「なにそれ人の嫌がる気持ちが理解できるようになったって事?」
「そういうこと」
「うっさいなぁ。でも、そうでしょ。嫌がられてる人たちの中に入りたいとは思わない」
「・・・そうだよね」
と、めぐちゃんの言葉にあっさり納得してしまう。
「ま、ももちゃん頑張ってね」
「うん、ありがと」
なんていろいろ話をしていたら、お昼休みは終わりに近づき、
ももたちは屋上を出て教室へと歩いていく。
好奇な目というのはやはりちょっと怖い。
みんなめぐちゃんを見てコソコソを何か言っている。
当の本人は知らぬ存ぜぬという顔をして平気な感じだけど
でも、・・・ももとみやはやっぱり嫌。
とは言っても、どうしようもないことなんだけど。
596 :&color(green){&bold(){名無し募集中。。。}}:2009/12/09(水) 00:00:23.09 0
&color(blue){>>595 }
第304回
「ももちゃん笑ってよ、笑ってる顔が好きなんだよ?」
「え?」
「さっきから笑ってないよ?」
「・・・そんなこと、ない」
「みやもだぞ」
「・・・うん」
廊下で、そんな話をしていた。そんなとき、向こうから生徒会長がやってきた。
…そういえばめぐちゃんの天敵だっけ。
「村上さん、お帰り」と相変わらずな嫌味っぽい口調。
この間の、勉強を教えて欲しいといったら、一旦はいいよと言ってくれたときの声とは
全然違う。あのときはやっぱりちょっと違うなって思ったんだけど・・・。
難しいけど、なんていうか、・・・優しい目だったんだよなぁ。あのときは。
「・・・・・・どうも」なんて、めぐちゃんは警戒しているのか、ちょっと声が固い。
「あなたいい加減ちゃんと制服着たら?」
「へいへい。・・・相変わらずですね」
「そうでもないの、めぐちゃん!」
ふと、あのときのことをめぐちゃんに言ってあげたくなった。
「ちょ、嗣永?」
「なんかね、最近ちょっと変わったの、生徒会長さん」
「そう?」
「そう!あのね、」
「ちょ、嗣永もうやめて!・・・とにかく、校則は破らないで」
生徒会長さんは強引にももの話を止めて、めぐちゃんにそう言ってどこかへ行ってしまった。
「わかってますよーだ」
めぐちゃんは舌を出して、生徒会長さんの行ったほうを見ていた。
チェッ、せっかくももがいいお話してあげようとしたのに。
「で、なんだったの?」とめぐちゃんに聞かれたけどチャイムが鳴って話は終わってしまった。
597 :&color(green){&bold(){名無し募集中。。。}}:2009/12/09(水) 00:02:17.47 0
&color(blue){>>596 }
第305回
放課後になった。結局クラスの人とは一回も喋らなかったなぁ・・・。
勉強はもっと先をやっていたから問題ないし、まぁいいけどさ。
ももちゃんとみやがいてくれてよかった。学校にこれてよかった。心底そう思っている。
あたしはおじいちゃんの家に行ってから一切連絡していなかったから
本当に嬉しくてホントは2人に抱きつきたいところだけど、気味悪がられると
アレだから・・・まぁ、やんないけどね。
んーっと背伸びをして、みやが迎えに来るまでトイレに行こうと席を立った。
トイレはちょっと遠くて不便だなぁ、なんて考えながら
周囲の雑音を無視しながらトイレを目指す。
ふと、目が止まった。階段を上っていく一人の少女。
見覚えのある少女。・・・・あいつだ。あの子だ。
あたしには気がついていない。
鼓動がどんどん早くなっていくのを感じる。顔まで、熱くなってくる。
呆然として、口は開いたままだらしないことになっている。
その場から動けなくなって、固まってしまった。
どうしてこの学校に?進学校へ進学するって・・・
そりゃここもそれなりだけどもっと偏差値の高い学校はいくらでもあるし・・・
それにあんなことのあった、あたしと同じ高校に進学してくるなんて・・・
親は一体何を考えているんだ・・・どうして・・・・?
「憂佳・・・・、そうか、憂佳って名前だったっけ・・・」
今までずっと忘れていたのに。
なのに、あっさりと、自然に、滑らかに、名前は口から零れ落ちていた。
656 :&color(green){&bold(){名無し募集中。。。}}:2009/12/10(木) 23:44:43.09 0
&color(blue){>>597 }
第306回
教室を出て、めぐを迎えに行った。
途中、めぐが廊下に突っ立ってるのを発見して声をかけた。
「めーぐ、なにしてんの」
「・・・・・・・・・・・」
あれ、気付かない?真後ろに立ってんだけどなぁ。
めぐの目線の先、・・・・あれ、前田ちゃん?
面識あったっけ?向こうはお喋りに夢中って感じだけど?
それとも隣の子かな?
「めぐ、ってば」
「え?あぁ、みやか・・・」
「どうしたの?」
「え、いや・・・なんでも。」
「前田ちゃんと知り合い?」
「へ?いや、別に」
「そう?・・・じゃあ、早く行こ?ももがクレープ行こうって言ってたよ」
「・・・・いや、やめとく」
「なんで?」
「なんでも・・・帰る」
「ちょ、めぐ?」
「ごめんみや」
めぐは教室へ戻って、カバンを持って出てきた。
うちにもう一度、ごめんと声をかけて階段を駆け下りて行く。
様子が変だ。目が虚ろだったし・・・どうしたんだろう?
追いかけた方がいいのかな、でも、・・・一人で行ったって事は
一人がいいって事だよね・・・心配だけど放っておこう。
657 :&color(green){&bold(){名無し募集中。。。}}:2009/12/10(木) 23:45:26.42 0
&color(blue){>>656 }
第307回
なんか変だなぁ。こういうことがあっても、じゃあね、で終われた関係だったのに。
めぐの心配なんてしたことなかったのになぁ。まぁ、さすがにアレは特例だけど。
昨日、めぐに言われた言葉がよみがえって来る。
『前なら、あたしの心配なんかしなかったのに』・・・・なんで変わったのかな、うち。
「みやー遅い!」
って少し離れたところから甲高い声が聞こえてくる。
「ごめーん!」って大きな声で返事をする。
…たぶん、もものおかげかな。・・・・なんとなく認めたくないけど、そんな気がする。
人一倍繊細なくせに強がってばっかりいるんだもん、ももってさ。
だから放っておけない存在で・・・めぐもそうだったのかもしれないって思って・・・だから・・・
だから、ありがとうもも。気が向いたら、言ってあげてもいいよ。
◆
みやとももは欠席の中、残りの部員で後2二人どうするかの話し合いをした。
私がなんとなく仕切らなきゃいけない感じで・・・ちょっと緊張したけど
上手くできてよかったぁ・・・。友理奈先輩が助けてくれたからだけど・・・。
でも、結局は何も決まらなかった。今日が火曜日で、期限は日曜日まで。
時間がないのは重々承知してるけど、でも、あと二人がどうしても見つからない。
それぞれ友達を誘ってくれているみたいだけど、なんなら名前だけでもって感じになるんだけど
やっぱりそれじゃぁなぁ・・・って思うし、却下されちゃって、、、。
658 :&color(green){&bold(){名無し募集中。。。}}:2009/12/10(木) 23:46:45.85 0
&color(blue){>>657 }
第308回
話し合いが終わって、先輩と中島徳永両先輩は生徒会の会議へ走っていった。
…掛け持ちなんてすごいなぁ・・・私にはきっと出来ないなぁ・・・。
先輩たちを、そして、グラウンドで汗を流しているさーやを見て思う。
さーやは今日の話し合いには参加してないけどいつもできるだけいろいろ参加してくれる。
…すごいなぁ。
結局私は一人で家路につく。ちょっと寂しいけど、しょうがないか。
いつもどおり、駅を目指して歩くんだけどなんとなく、すぐに帰ってしまうのは惜しい気がして
ってなにが惜しいのか全然わからないけど・・・寂しいからこそ、すぐ家に帰りたくはないって言うか。
そんな気持ちで、今朝先輩に連れて行かれた公園へと足は向いていた。
ちょっとぼーっとしてみるのもいいかもしれない。
この時間なら、子どもたちがまだ少し遊んでいるだろう。一人でも寂しくない。
公園には、小学生くらいの子どもたちがやはりいて、割と賑やか。
ほっとして、公園の中へ歩いていくと意外な人がベンチに寝転がっていた。
「村上さん?」
「・・・あれ、愛理ちゃんだ。どうしたの?」
村上さんは起き上がって、私の顔を見た。
やっぱり・・・・悪い人には見えなかった。
きょとんとした顔で、ちょっと可愛いとさえ思った。
852 :&color(green){&bold(){名無し募集中。。。}}:2009/12/19(土) 01:56:10.43 0
&color(blue){ >>658}
第309回
「え、あ、えっと」
「ふふふ、可愛いねぇほんとに」
村上さんはにっこり笑って、「こっち座ったら?」と
今まで寝転がっていたベンチをポンポン叩いた。
「・・・あ、えっと」
先輩の、「近づいちゃダメ」っていう声が頭の中に響く。
でも・・・村上さんの笑顔は先輩の言うような危険な感じはなくって・・・。
私は呼ばれるままに、村上さんの横に座った。
「こんなとこでなにしてたの?」
「あー・・・なんか帰るにはちょっと早いかなって。寄り道です」
「そう。あたしと一緒か」
「・・・・あの」
「ん?」
「やっぱいいです・・・」
「なに?噂のこと?ほんっと学校の連中ってバカだよねぇ。
他にする事はないのかね君たち、なんちゃって」
おどけて笑って見せる顔が可愛らしくて、やっぱりあの話とは似ても似つかない。
あの話は歪曲されてるんじゃないかな・・・。それとも、私が騙されているのかな・・・。
「えっと誰だっけ、愛理ちゃんの恋人」
「えっ?」
「アァ、熊井さんだ。あの人、あたしのことめちゃくちゃ嫌ってそうだよねw」
「・・・えっとそんなことは・・・」
「あるでしょ。見ていればわかる。近づくな、とかなんとか言われたんじゃないの?」
853 :&color(green){&bold(){名無し募集中。。。}}:2009/12/19(土) 01:57:24.56 0
&color(blue){ >>852}
第310回
ズバズバとそう言われてちょっと戸惑うというかほんとのことを言っても
大丈夫なのかなってそう思う。
「・・・まぁ、はい」
でも、私はあっさり認めちゃって。
「ま、そりゃそうだ。あたしも逆の立場ならそうする」
村上さんは足を組んで、その足の上で頬杖をついて、考え込んだような顔になる。
気さくで、優しい人。噂とは、違う人。
どれが、本当の村上さんなんですか?
「でね、ももちゃんってドジだからさ」
「あはは、ももらしいwすぐに想像しちゃいました」
「でしょ、でね、みやもバカなの、1年前にさ、」
公園を出て、駅まで一緒に歩いた。
村上さんが一緒に帰ろうと、誘ってくれたから。
ももやみやの話をして盛り上がる。村上さんの話はわかりやすくて、楽しい。
近づくな、と言われた私はそれを思いっきり破ってこうして、一緒に歩いている。
先輩は怒るかな。・・・でも、言わなきゃバレないし・・・。
だけど、バレたら?・・・フラれちゃうかな?
そう、思っていたら、それはいとも簡単に、現実になった。
「愛理?」
名前を呼ばれて、振り返った先にいたのは、私の大好きな人だった。
表示オプション
横に並べて表示:
変化行の前後のみ表示: