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第281話~第290話」(2009/12/05 (土) 11:11:58) の最新版変更点

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190 :&color(green){&bold(){名無し募集中。。。}}:2009/11/24(火) 16:51:10.65 0 &color(blue){>>189 } 第281回 「知らなくていいよ、愛理」 「でも、先輩」 「愛理、くまいちょーがそう言ってるんだからさ」 「・・・でも・・・・うん」 「ただ、1個言えるのは、近づかない方がいいよってことかな」 「え?」 「これ以上は言わない」 ももがそう言って口をチャックする仕草をした。 ・・・まぁどうせそのうち噂で聞くはずだから、今は知らなくていい。 危険だ、あいつは・・・危険。 危険じゃなきゃ、1対15で勝ったりはしないんだから・・・。 少年漫画みたいな、そんなやつ。それが、村上愛。 260 :&color(green){&bold(){名無し募集中。。。}}:2009/11/27(金) 01:12:16.52 0 &color(blue){>>190 } 第282回 「ふわぁ~・・・・」 「愛理、おっきい欠伸」 「うん・・・・」 「もしかして勉強?」 「うん・・・成績落ちたらシャレになんないもん」 「だね、あたしも頑張る」 「私も!」 駅まで、舞美ちゃんとりーちゃんと歩く。 昨日は結構遅くまで参考書と戦っていたから朝が辛い。 昨日まで3連休で、火曜日の今日からテストまで1週間を切ってる。 時間がない・・・でも、部員も集めなきゃいけなくて。 そっちの方も、実質あと4日くらいしかない。 ・・・問題山積・・・・この間の、村上さんのことも気になるし。 「愛理?」 「え、あ、ごめん」 「最近よくボーっとしてるよ?」 「えぇ、りーちゃんほどじゃないよー」 「ひどーい!舞美ちゃん、愛理がひどーい!」 「あはは、ま、どっちもどっち」 「・・・舞美ちゃんもね」 「うそぉ・・・?」 なんてじゃれ合いながら、駅を目指す。 ホームで電車を待っていたら、いつも時間の電車がホームへ入ってきた。 電車が停止して、ふと車両の中を見ると、村上さんがみやの隣に座ってた。 261 :&color(green){&bold(){名無し募集中。。。}}:2009/11/27(金) 01:12:56.65 0 &color(blue){>>260 } 第283回 「おはよ、みんな」 「みやぁ、おはよぉ」 りーちゃんはみやの隣に座ってご満悦。・・・姉妹みたいで可愛いなぁ。 私は舞美ちゃんと隣同士に座った。 「よっ、愛理ちゃん」 「お、おはようございます」 「うーん、今日も可愛いねぇ。」 組んだ足に肘をついて、村上さんは言った。 「だれ?」 舞美ちゃんが小さな声で聞いてくる。・・・ちょっと声が怖い。 「あぁ、みやの幼馴染でずっと停学で・・・」 こそっと耳打ちしようとした私の声を遮るように、大きな声で村上さんは言った。 「今年の頭から停学食らって今日から復帰の村上でーす」 「へぇ・・・どうも、矢島です」 舞美ちゃんは怪訝そうな顔をして、そう言った。 「ありゃ、随分挑戦的な目しちゃって。ま、いいけど」 「ちょっとめぐ止めてよ、舞美ちゃんゴメン」 「いや・・・いいけど」 みやが慌てて間に入った。・・・舞美ちゃんって怒らない人なのにちょっと怖かった。 それ以上に、村上さんの余裕っぽい態度はなんなんだろう? 先輩は何を隠してたのかな・・・知らない方がいいって言ってたけど・・・でも、知りたい。 みやなら、教えてくれるかな? 262 :&color(green){&bold(){名無し募集中。。。}}:2009/11/27(金) 01:13:37.03 0 &color(blue){>>261 } 第284回 「愛理、おはよ」 「先輩!」 電車を降りて改札を出ると、友理奈先輩がいた。 「迎えにきてみた」 「えへへ、嬉しいです」 私が先輩と話していると、後ろからやってきた村上さんが先輩に声をかけた。 「あっれー、熊井さんじゃーん。おはよー」 「・・・・どうも」 先輩は眉間にしわを寄せてそう言った。あれ、先輩もご機嫌ナナメ? 村上さんのせい? 「いくよ、愛理」 すると、急に先輩は私の手首を掴んで歩き出した。 私はビックリしたけど、話してくれそうもなかったから、みやに声をかけた。 「あ、ちょ、先輩・・・ごめん、みやーりーちゃんのこと頼むね!」 「わかってるよー!」 そう返事が聞こえて、私は安心すると、先輩についていった。 「どうしたんですか?」 「・・・どうしたって・・・ごめん、無理やり」 「いえ、それはいいんですけど・・・」 先輩は足を止めることなく、私を近くの公園へ連れて行った。 着いたところでやっと手を離してくれて、私たちはベンチに座った。 263 :&color(green){&bold(){名無し募集中。。。}}:2009/11/27(金) 01:14:21.96 0 &color(blue){>>262 } 第285回 「・・・あの、あいつ、村上には近づいちゃダメだよ」 「え?」 「みやの幼馴染っていうから、絶対一緒にくると思って迎えに行ったの。 ももちもそうしろって言ってたし。・・・関わっちゃダメ」 「先輩が理由を言ってくれなきゃわかんないです」 「いやそれは・・・」 「確かにちょっと軽い人っぽいけど悪い人には見えないです。 停学って、なにがあったんですか?」 「・・・・わかった、言うから近づかないって約束してね?」 「理由次第です。」 私がそう言うと、先輩はおもむろに私のことをそっと包み込んだ。 なんだかちょっと久しぶりな感覚。 大きな身体で包み込まれる感触、心地よい感触。 「・・・心配なんだ。好きだから、大好きだから、いつもいつも心配なの」 「は、恥ずかしいです・・・・」 きっと今顔は真っ赤なんだろうなぁ。だってすごく恥ずかしい。だけど、嬉しい。 「ちゃんと聞いてね、危ないやつなんだ。近づけたくない。 なんなら毎日車で迎えに行くから。」 そんな・・・って笑おうとしたけど先輩の目が真剣で笑えなかった。 村上さんって何が危ないんだろう、なにやって停学になったんだろう? 私の疑問は膨らんでいくばかりだった。 311 :&color(green){&bold(){名無し募集中。。。}}:2009/11/29(日) 00:28:27.70 0 &color(blue){>>263 } 第286回 「あーももちゃん!おはよー!」 校門をくぐろうとしたとき、声をかけられて足を止めた。 振り返ると、えらく元気なめぐちゃんの姿が。 その隣には苦笑いのみや、そして少し後ろには舞美と梨沙子がいた。 「おはよ、めぐ。なに、学校なんて嫌い、じゃなかったの?」 「え?あぁ、でもさ、ずーっと何ヶ月も来れなかったら、やっぱ来たくなるってもんでしょ!」 「自業自得だけどね」 「ちょっとももちゃんきっつーい!」 「おはよ、もも」 「みやもおはよ」 うん、今日もみやは可愛くてカッコいい。・・・後ろの梨沙子も目がハートだし。 「じゃあ、もも、うちちょっと先生のとこにめぐ連れて行くから・・・」 「うん、わかった」 「えぇ、大丈夫だよ逃げたりしないって」 「いいから、こっち」 みやがめぐちゃんを引っ張って行く。前科あるでしょーが。逃げた。 「ねぇ、もも、あの人なにやったの?」 梨沙子と舞美と3人で部室へ向かう途中、舞美が口を開いた。 「え?」 「熊井ちゃんがさ、駅まで愛理のこと迎えに来てんの。でね、 いくよ、っていって先に行っちゃって・・・警戒してる風だったんだよね。 停学ってそんなやばいことしたの?村上さんって」 舞美に言おうかどうかちょっとだけ悩んで、ももは話し始めた。 349 :&color(green){&bold(){名無し募集中。。。}}:2009/11/30(月) 23:15:07.74 0 &color(blue){>>311 } 第287回 そりゃ、素行不良もあったさ。補導だって、何回かされたことあるし。 でも、悪人じゃないんだよね。そう、自分では思ってるんだけどな。 先生の言うことは理不尽だから嫌い。だから反抗した。 学校のルールも窮屈で嫌い。だから守らなかった。 だけどそれくらい、誰にだって経験はあるじゃん?・・・まあ程度の問題だけど。 1年のときはそれこそ、やりたい放題だったかな。問題児とか言われてもまあ反論できないレベル。 みやもそれなりだったけど、あたしほどではなくて。 あたしはとにかくこの学校が嫌だった。なんで入学しちゃったんだろうって思うくらいに嫌だった。 だからしょっちゅう屋上でサボってた。最初こそ怒られたけど、あとは自己判断というなんというか 好きにしろって感じで怒られることもなくなって、自由に屋上を満喫していた。 思えば、あの程度にしとけばよかったのかなぁって思う。 そういえば、屋上ではよくももちゃんに会った。みやの、部活の先輩。 でも、年上って感じがしなくて優しくて「サボっちゃだめじゃん」って呆れたように言われた。 ももちゃんが来るのは大抵休み時間だから、ももちゃんはサボったりしない。 そうなんだよね、サボっちゃうようなバカはあたしだけなんだよね。 頭は悪くなかった。みやは絶望的だったし授業サボる悪い子じゃなかったけど あたしはそうじゃなかった。教科書を1回通して読めばだいたい内容は頭に入る。 テストも、特進の連中には敵わないけど、一般のクラスじゃ上から5番目には必ず入った。 だからかな、先生が特に厳しく怒ったりしなかったのも。 停学で済ましてもらえたのも、成績が割とよかったからだと誰かが教えてくれたっけ・・・。 350 :&color(green){&bold(){名無し募集中。。。}}:2009/11/30(月) 23:16:31.83 0 &color(blue){>>349}(ちょっとわかりにくいですね、めぐ目線です) 第288回 そんなこんなで年が明けて・・・。 学校は相変わらず苦手だったけど、「高校生」でいること、「制服」を着ることに 何かしらのブランド意識があったから、自らそれを手放すことはなかった。 そんなとき、街中である女の子に出会った。あたしが知らないタイプの、柔らかい笑顔の女の子。 確か、あたしが落としたストラップを拾って、「落ちましたよ」なんて言ってくれたのが始まりだっけ。 一見、近寄りたくないような雰囲気出しちゃってるあたしに声かけるなんて勇気あるなぁって思った。 歳を聞けば、1つ下の中学生で。名前はなんだっけな、もう忘れた。 その子は、あたしにくっついていろいろ話をしてくれた。聞いてないことまで喋ってくれた。 懐いてくれていたのかな。とにかく、可愛い子だった。性格も、全部。 「村上さんはなんでそんなツンツンしてるんですか?」 「してないってば。うっさいなぁ、もう帰れって。何時だと思ってるの」 「いやです。・・・家には帰りたくないし」 「なんで?」 「・・・なんでも!」 なんて言って。そばから離れてくれなくなった。 可愛い子がそばにいてくれるというのはなかなか楽しくて、嬉しかった。 夜の街を出歩くのは、あたしも家に帰りたくなかったからで。 あたしはこの子を連れて色んな場所へ行った。ちょっと危ないこともした。 でもそれが底抜けに楽しかった・・・・。 あの日、までは。 373 :&color(green){&bold(){名無し募集中。。。}}:2009/12/01(火) 22:16:42.92 0 &color(blue){>>350 } 第289回 あの子が私に言った言葉だけは、鮮明に覚えてるのに。 名前がどうしても思い出せないのは何でだろう。 たった、6、7ヶ月前のことなのに。 「村上さんのこと、好きです」 「へぇ」 「へ、へぇじゃなくて!」 冷たくすると必死になって言い返してくるところが可愛かった。 つい、かまいたくなるということだったんだろう。 だから、「好き」と言われても、それが彼女にとって本気だったことに 私はしばらくの間気付かなかった。 「いやだから、好きなんです」 「好きって、どういう好きなの?」 「・・・・キス、したいの好きです」 「ふーん・・・・ってえぇ!?」 「村上さんって鈍感とか鈍いって言われません?」 「・・・どうかなぁ」 それはどっちかと言えばみやの方だったから、考えたことなかったな。 「なんで?好きなの?」 「・・・こんなに可愛い子が好きだって言ってるのに、クールなままなんですね」 「だって・・・恥ずかしいじゃん、そんな風に目を見られると」 ほんとは恥ずかしくて嬉しかったのに、あたしは普段のままだった。 ・・・そうだ、嬉しかったんだ。人に好かれるのはあんまりないことだったし。 みやとももちゃんくらいしか、トモダチはいなかったし。 いや、別にトモダチがほしかったわけじゃない。独りを好んでた。 でも、トモダチを欲していたコドモのように嬉しがったんだ。 374 :&color(green){&bold(){名無し募集中。。。}}:2009/12/01(火) 22:17:23.68 0 &color(blue){>>373 } 第290回 それはきっとあたしが、あの子と同じ意味で、あの子を好きだったからだと思う。 でもそのときはわからなかった。嬉しいの中身を考えようとはしなかったから。 ただ、嬉しい。それだけだった。だから、あの子は泣き出して・・・ 「わかってない!バカ!」って怒り出したんだっけ。 「ごめん」と謝っても、「何に謝ってるんですか!?」と問い詰められて 答えられなかった。あのとき、同じ気持ちだと伝えたらどうなっただろう? あんなことにはならなかった? いや、いずれにしろああなる運命だったんだ。それは・・・仕方のないことで。 ◆ 冬らしい、すごく寒い日だったのを覚えている。 ももちゃんが、「めぐちゃんいつも寒そうだね」とくれた手袋をしてた。 マフラーはいつだったかのもらいもので。 息が白くて、気が滅入りそうなほど寒い日だった。 「ねぇ、あんたが村上?」 そう、声をかけられたのは学校を出て街中へ向かっている途中のことだった。 歳はあたしより少し上くらいだろうか、近くの高校の制服着てるし3年生くらいかも。 「そうだけど?だれ?」 「・・・の姉だよ。あんたに随分世話になったみたいで」 あぁ、だめだ。やっぱり名前が出てこない・・なんだっけなぁ。
190 :&color(green){&bold(){名無し募集中。。。}}:2009/11/24(火) 16:51:10.65 0 &color(blue){>>189 } 第281回 「知らなくていいよ、愛理」 「でも、先輩」 「愛理、くまいちょーがそう言ってるんだからさ」 「・・・でも・・・・うん」 「ただ、1個言えるのは、近づかない方がいいよってことかな」 「え?」 「これ以上は言わない」 ももがそう言って口をチャックする仕草をした。 ・・・まぁどうせそのうち噂で聞くはずだから、今は知らなくていい。 危険だ、あいつは・・・危険。 危険じゃなきゃ、1対15で勝ったりはしないんだから・・・。 少年漫画みたいな、そんなやつ。それが、村上愛。 260 :&color(green){&bold(){名無し募集中。。。}}:2009/11/27(金) 01:12:16.52 0 &color(blue){>>190 } 第282回 「ふわぁ~・・・・」 「愛理、おっきい欠伸」 「うん・・・・」 「もしかして勉強?」 「うん・・・成績落ちたらシャレになんないもん」 「だね、あたしも頑張る」 「私も!」 駅まで、舞美ちゃんとりーちゃんと歩く。 昨日は結構遅くまで参考書と戦っていたから朝が辛い。 昨日まで3連休で、火曜日の今日からテストまで1週間を切ってる。 時間がない・・・でも、部員も集めなきゃいけなくて。 そっちの方も、実質あと4日くらいしかない。 ・・・問題山積・・・・この間の、村上さんのことも気になるし。 「愛理?」 「え、あ、ごめん」 「最近よくボーっとしてるよ?」 「えぇ、りーちゃんほどじゃないよー」 「ひどーい!舞美ちゃん、愛理がひどーい!」 「あはは、ま、どっちもどっち」 「・・・舞美ちゃんもね」 「うそぉ・・・?」 なんてじゃれ合いながら、駅を目指す。 ホームで電車を待っていたら、いつも時間の電車がホームへ入ってきた。 電車が停止して、ふと車両の中を見ると、村上さんがみやの隣に座ってた。 261 :&color(green){&bold(){名無し募集中。。。}}:2009/11/27(金) 01:12:56.65 0 &color(blue){>>260 } 第283回 「おはよ、みんな」 「みやぁ、おはよぉ」 りーちゃんはみやの隣に座ってご満悦。・・・姉妹みたいで可愛いなぁ。 私は舞美ちゃんと隣同士に座った。 「よっ、愛理ちゃん」 「お、おはようございます」 「うーん、今日も可愛いねぇ。」 組んだ足に肘をついて、村上さんは言った。 「だれ?」 舞美ちゃんが小さな声で聞いてくる。・・・ちょっと声が怖い。 「あぁ、みやの幼馴染でずっと停学で・・・」 こそっと耳打ちしようとした私の声を遮るように、大きな声で村上さんは言った。 「今年の頭から停学食らって今日から復帰の村上でーす」 「へぇ・・・どうも、矢島です」 舞美ちゃんは怪訝そうな顔をして、そう言った。 「ありゃ、随分挑戦的な目しちゃって。ま、いいけど」 「ちょっとめぐ止めてよ、舞美ちゃんゴメン」 「いや・・・いいけど」 みやが慌てて間に入った。・・・舞美ちゃんって怒らない人なのにちょっと怖かった。 それ以上に、村上さんの余裕っぽい態度はなんなんだろう? 先輩は何を隠してたのかな・・・知らない方がいいって言ってたけど・・・でも、知りたい。 みやなら、教えてくれるかな? 262 :&color(green){&bold(){名無し募集中。。。}}:2009/11/27(金) 01:13:37.03 0 &color(blue){>>261 } 第284回 「愛理、おはよ」 「先輩!」 電車を降りて改札を出ると、友理奈先輩がいた。 「迎えにきてみた」 「えへへ、嬉しいです」 私が先輩と話していると、後ろからやってきた村上さんが先輩に声をかけた。 「あっれー、熊井さんじゃーん。おはよー」 「・・・・どうも」 先輩は眉間にしわを寄せてそう言った。あれ、先輩もご機嫌ナナメ? 村上さんのせい? 「いくよ、愛理」 すると、急に先輩は私の手首を掴んで歩き出した。 私はビックリしたけど、話してくれそうもなかったから、みやに声をかけた。 「あ、ちょ、先輩・・・ごめん、みやーりーちゃんのこと頼むね!」 「わかってるよー!」 そう返事が聞こえて、私は安心すると、先輩についていった。 「どうしたんですか?」 「・・・どうしたって・・・ごめん、無理やり」 「いえ、それはいいんですけど・・・」 先輩は足を止めることなく、私を近くの公園へ連れて行った。 着いたところでやっと手を離してくれて、私たちはベンチに座った。 263 :&color(green){&bold(){名無し募集中。。。}}:2009/11/27(金) 01:14:21.96 0 &color(blue){>>262 } 第285回 「・・・あの、あいつ、村上には近づいちゃダメだよ」 「え?」 「みやの幼馴染っていうから、絶対一緒にくると思って迎えに行ったの。 ももちもそうしろって言ってたし。・・・関わっちゃダメ」 「先輩が理由を言ってくれなきゃわかんないです」 「いやそれは・・・」 「確かにちょっと軽い人っぽいけど悪い人には見えないです。 停学って、なにがあったんですか?」 「・・・・わかった、言うから近づかないって約束してね?」 「理由次第です。」 私がそう言うと、先輩はおもむろに私のことをそっと包み込んだ。 なんだかちょっと久しぶりな感覚。 大きな身体で包み込まれる感触、心地よい感触。 「・・・心配なんだ。好きだから、大好きだから、いつもいつも心配なの」 「は、恥ずかしいです・・・・」 きっと今顔は真っ赤なんだろうなぁ。だってすごく恥ずかしい。だけど、嬉しい。 「ちゃんと聞いてね、危ないやつなんだ。近づけたくない。 なんなら毎日車で迎えに行くから。」 そんな・・・って笑おうとしたけど先輩の目が真剣で笑えなかった。 村上さんって何が危ないんだろう、なにやって停学になったんだろう? 私の疑問は膨らんでいくばかりだった。 311 :&color(green){&bold(){名無し募集中。。。}}:2009/11/29(日) 00:28:27.70 0 &color(blue){>>263 } 第286回 「あーももちゃん!おはよー!」 校門をくぐろうとしたとき、声をかけられて足を止めた。 振り返ると、えらく元気なめぐちゃんの姿が。 その隣には苦笑いのみや、そして少し後ろには舞美と梨沙子がいた。 「おはよ、めぐ。なに、学校なんて嫌い、じゃなかったの?」 「え?あぁ、でもさ、ずーっと何ヶ月も来れなかったら、やっぱ来たくなるってもんでしょ!」 「自業自得だけどね」 「ちょっとももちゃんきっつーい!」 「おはよ、もも」 「みやもおはよ」 うん、今日もみやは可愛くてカッコいい。・・・後ろの梨沙子も目がハートだし。 「じゃあ、もも、うちちょっと先生のとこにめぐ連れて行くから・・・」 「うん、わかった」 「えぇ、大丈夫だよ逃げたりしないって」 「いいから、こっち」 みやがめぐちゃんを引っ張って行く。前科あるでしょーが。逃げた。 「ねぇ、もも、あの人なにやったの?」 梨沙子と舞美と3人で部室へ向かう途中、舞美が口を開いた。 「え?」 「熊井ちゃんがさ、駅まで愛理のこと迎えに来てんの。でね、 いくよ、っていって先に行っちゃって・・・警戒してる風だったんだよね。 停学ってそんなやばいことしたの?村上さんって」 舞美に言おうかどうかちょっとだけ悩んで、ももは話し始めた。 349 :&color(green){&bold(){名無し募集中。。。}}:2009/11/30(月) 23:15:07.74 0 &color(blue){>>311 } 第287回 そりゃ、素行不良もあったさ。補導だって、何回かされたことあるし。 でも、悪人じゃないんだよね。そう、自分では思ってるんだけどな。 先生の言うことは理不尽だから嫌い。だから反抗した。 学校のルールも窮屈で嫌い。だから守らなかった。 だけどそれくらい、誰にだって経験はあるじゃん?・・・まあ程度の問題だけど。 1年のときはそれこそ、やりたい放題だったかな。問題児とか言われてもまあ反論できないレベル。 みやもそれなりだったけど、あたしほどではなくて。 あたしはとにかくこの学校が嫌だった。なんで入学しちゃったんだろうって思うくらいに嫌だった。 だからしょっちゅう屋上でサボってた。最初こそ怒られたけど、あとは自己判断というなんというか 好きにしろって感じで怒られることもなくなって、自由に屋上を満喫していた。 思えば、あの程度にしとけばよかったのかなぁって思う。 そういえば、屋上ではよくももちゃんに会った。みやの、部活の先輩。 でも、年上って感じがしなくて優しくて「サボっちゃだめじゃん」って呆れたように言われた。 ももちゃんが来るのは大抵休み時間だから、ももちゃんはサボったりしない。 そうなんだよね、サボっちゃうようなバカはあたしだけなんだよね。 頭は悪くなかった。みやは絶望的だったし授業サボる悪い子じゃなかったけど あたしはそうじゃなかった。教科書を1回通して読めばだいたい内容は頭に入る。 テストも、特進の連中には敵わないけど、一般のクラスじゃ上から5番目には必ず入った。 だからかな、先生が特に厳しく怒ったりしなかったのも。 停学で済ましてもらえたのも、成績が割とよかったからだと誰かが教えてくれたっけ・・・。 350 :&color(green){&bold(){名無し募集中。。。}}:2009/11/30(月) 23:16:31.83 0 &color(blue){>>349}(ちょっとわかりにくいですね、めぐ目線です) 第288回 そんなこんなで年が明けて・・・。 学校は相変わらず苦手だったけど、「高校生」でいること、「制服」を着ることに 何かしらのブランド意識があったから、自らそれを手放すことはなかった。 そんなとき、街中である女の子に出会った。あたしが知らないタイプの、柔らかい笑顔の女の子。 確か、あたしが落としたストラップを拾って、「落ちましたよ」なんて言ってくれたのが始まりだっけ。 一見、近寄りたくないような雰囲気出しちゃってるあたしに声かけるなんて勇気あるなぁって思った。 歳を聞けば、1つ下の中学生で。名前はなんだっけな、もう忘れた。 その子は、あたしにくっついていろいろ話をしてくれた。聞いてないことまで喋ってくれた。 懐いてくれていたのかな。とにかく、可愛い子だった。性格も、全部。 「村上さんはなんでそんなツンツンしてるんですか?」 「してないってば。うっさいなぁ、もう帰れって。何時だと思ってるの」 「いやです。・・・家には帰りたくないし」 「なんで?」 「・・・なんでも!」 なんて言って。そばから離れてくれなくなった。 可愛い子がそばにいてくれるというのはなかなか楽しくて、嬉しかった。 夜の街を出歩くのは、あたしも家に帰りたくなかったからで。 あたしはこの子を連れて色んな場所へ行った。ちょっと危ないこともした。 でもそれが底抜けに楽しかった・・・・。 あの日、までは。 373 :&color(green){&bold(){名無し募集中。。。}}:2009/12/01(火) 22:16:42.92 0 &color(blue){>>350 } 第289回 あの子が私に言った言葉だけは、鮮明に覚えてるのに。 名前がどうしても思い出せないのは何でだろう。 たった、6、7ヶ月前のことなのに。 「村上さんのこと、好きです」 「へぇ」 「へ、へぇじゃなくて!」 冷たくすると必死になって言い返してくるところが可愛かった。 つい、かまいたくなるということだったんだろう。 だから、「好き」と言われても、それが彼女にとって本気だったことに 私はしばらくの間気付かなかった。 「いやだから、好きなんです」 「好きって、どういう好きなの?」 「・・・・キス、したいの好きです」 「ふーん・・・・ってえぇ!?」 「村上さんって鈍感とか鈍いって言われません?」 「・・・どうかなぁ」 それはどっちかと言えばみやの方だったから、考えたことなかったな。 「なんで?好きなの?」 「・・・こんなに可愛い子が好きだって言ってるのに、クールなままなんですね」 「だって・・・恥ずかしいじゃん、そんな風に目を見られると」 ほんとは恥ずかしくて嬉しかったのに、あたしは普段のままだった。 ・・・そうだ、嬉しかったんだ。人に好かれるのはあんまりないことだったし。 みやとももちゃんくらいしか、トモダチはいなかったし。 いや、別にトモダチがほしかったわけじゃない。独りを好んでた。 でも、トモダチを欲していたコドモのように嬉しがったんだ。 374 :&color(green){&bold(){名無し募集中。。。}}:2009/12/01(火) 22:17:23.68 0 &color(blue){>>373 } 第290回 それはきっとあたしが、あの子と同じ意味で、あの子を好きだったからだと思う。 でもそのときはわからなかった。嬉しいの中身を考えようとはしなかったから。 ただ、嬉しい。それだけだった。だから、あの子は泣き出して・・・ 「わかってない!バカ!」って怒り出したんだっけ。 「ごめん」と謝っても、「何に謝ってるんですか!?」と問い詰められて 答えられなかった。あのとき、同じ気持ちだと伝えたらどうなっただろう? あんなことにはならなかった? いや、いずれにしろああなる運命だったんだ。それは・・・仕方のないことで。 ◆ 冬らしい、すごく寒い日だったのを覚えている。 ももちゃんが、「めぐちゃんいつも寒そうだね」とくれた手袋をしてた。 マフラーはいつだったかのもらいもので。 息が白くて、気が滅入りそうなほど寒い日だった。 「ねぇ、あんたが村上?」 そう、声をかけられたのは学校を出て街中へ向かっている途中のことだった。 歳はあたしより少し上くらいだろうか、近くの高校の制服着てるし3年生くらいかも。 「そうだけど?だれ?」 「・・・の姉だよ。あんたに随分世話になったみたいで」 あぁ、だめだ。やっぱり名前が出てこない・・なんだっけなぁ。

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