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「第241話~第250話」(2009/11/01 (日) 11:59:56) の最新版変更点
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187 :&color(green){&bold(){名無し募集中。。。}}:2009/10/20(火) 01:23:25.55 0
&color(blue){>>186 }
第241回
茉麻ははぐらかして、大切なことは何も言ってくれない。
ただ、ここで、部室で待っていればいいってそう言うだけで。
でも、私たちは心配で仕方が無い。
清水に散々なことされて自殺まで考えたももが1対1で話をしにいくなんて。
ももだって、なんで一人で行ってもいいなんて思ったんだろう。
茉麻になに言われたんだろう。
ここを出る前、「みや、心配しないの。」って頭を撫でてくれた感触がよみがえってくる。
あぁ、もう心配だよもも・・・。
時計が進むのが遅すぎる。
茉麻の、雑誌をめくる音と、愛理のシャープペンの音と、秒針の音だけが響く。
その場から動き出したくてしょうがなかった。
でも、茉麻の言葉も、ももの言葉も信じてるから、うちからは動き出せなかった。
234 :&color(green){&bold(){名無し募集中。。。}}:2009/10/21(水) 01:26:45.38 0
&color(blue){>>187}
第242回
少し遡ってお昼休み
◆
「なにー?すーちゃん」
「うん、あのね」
お昼休み、空き教室にもも先輩を引っ張ってきた。
もも先輩とは付き合いなんて短いけど、でもすーちゃんって呼んでくれて嬉しい。
可愛くて小さくて私は結構好き。だからこそ、佐紀ちゃんには素直になって欲しいんだけど。
「もも先輩、聞いた?私のしてること」
「・・・・?あぁ、生徒会長のこと?」
「そうそう、どう思う?」
「どうって・・・別に。なんでそんなことするのかなぁって思った。」
「実際さ、入ってきたらどう?」
「ありえないもん。」
「ありえたら?」
「なに、すーちゃんなんでそんなこと?」
「私ね、もも先輩が何されてたか知ってる。生徒会長、佐紀ちゃんは私の友達なの」
「えっ・・・うそ」
「ほんと。いろいろ聞いてるんだ。」
「そう・・・・・」
先輩が下を向いてしまう。あぁ、言わなきゃよかった?いやでも、それじゃあ話が進まないし・・・。
まあしょうがない。ここは踏み込まなきゃいけないってわかってたんだし。
「それでね、もも先輩に手伝って欲しいことがあって」
「え?ももが?なにを?」
「いや実はね、佐紀ちゃんって無理してるんだ。ほんとはああいう子じゃないの。
ほんとは素直になりたいって願望のあるいい子なの。って・・・まぁ、信じないとは思うけどさ」
「・・・だね、無理。」
もも先輩は小さな声で吐き捨てた。
235 :&color(green){&bold(){名無し募集中。。。}}:2009/10/21(水) 01:27:26.21 0
&color(blue){>>234}
第243回
「もも先輩さ、佐紀ちゃんのホントの顔見たいと思わない?
意地っ張りでもなくて意地悪でもなくて腹黒くなくて、
優しくて純真な、素直になることに恐れを持ってる、そんな顔見たくない?」
「・・・・まあ、見たいかって言われれば見たいけど」
「その作戦の一部なんだよね、文芸部に誘ってるのは」
「なんで?」
「イヤほんとはね、佐紀ちゃん文芸部に入りたがってるの。
絶対本人は言わないけどね、でも、私にはわかるの。付き合い長いし」
「・・・その自信はどっから出てくんの」
「ま、そこはいいとして」
「よくないよ、もう」
「だいたい、あの人もものことや愛理のこと嫌いじゃん。なんで入りたいの?」
「ま、それは内緒」
「え、それが大事でしょうが」
「まあまぁ、でね、もも先輩に誘って欲しいの。佐紀ちゃんを」
「えぇ、やだ。絶対やだ」
「いい機会じゃん、喋ってみなよ」
「なんでそういう話になってるの。すーちゃんでいいでしょ?」
「だめなの。佐紀ちゃん私相手じゃ本心言わないもん。もも先輩になら言うと思う」
「だからその自信はどっから・・・言わないよ。嫌いな人に言う?言わない」
「まぁのこと信じてよ」
「・・・えぇ、なんだかなぁ」
「お願い!放課後さ、生徒会あるらしいからそれ終わってから声かけてみてよ」
「ほんとにやるの?」
「うん・・・・いや?」
「いや・・・・だけどでも、すーちゃんのお願いもあるし・・・」
もも先輩が揺らいでいる。ここが押し時。
236 :&color(green){&bold(){名無し募集中。。。}}:2009/10/21(水) 01:28:31.11 0
&color(blue){>>235 }
第244回
「あ、これだけは絶対大切だから聞いてね」
「ん、なに?」
「今の佐紀ちゃんはね、なんとなく柔和になってて昔みたいにもも先輩のこと・・・えっと」
「いじめない?」
「そ、そう。嫌いっていう態度もきっと急に態度変えられないとかいう佐紀ちゃんなりの
プライドなんだよね。わかってあげて欲しいの。たぶんえりかちゃんも同じでさ。
そりゃもも先輩は口にもしたくないようなこといっぱいされたと思うし
今でもその傷が癒えてないんだろうなって思う。でも、・・・まぁに騙されたと思って、お願い」
「・・・じゃあ、生徒会長さんに文芸部に入ってって誘えばいいんだよね?」
「そう。ありがともも先輩!」
「・・・うん」
もも先輩は口を尖らせて小さく頷いた。
やばい、ワザとか自然とかわかんないけど可愛い。こりゃ佐紀ちゃんも惚れるわ。
…ま、熊井ちゃんのほうが数倍いい女だけどね。
私も何とかしなきゃな・・・忘れてた。まぁ、今はいいか・・・。
放課後になって一旦部室に集まった。
みやは怒り出すし、愛理ちゃんも戸惑ってる。
でも、もも先輩は決意固めてるのか「大丈夫だよ」って余裕顔。
だからみやも強くは言えなかったみたいで、もも先輩が部室を出てからずっと不機嫌だ。
佐紀ちゃんはどんな反応を示すだろうか。拒絶は絶対にしない。
えりかちゃんの話だと、今日1日心ここに在らずでなんかふわふわしてたとか言ってたし。
もも先輩のこと考えたくないのに考えちゃって変になっちゃってんのかな。
まぁ、それなら作戦成功だから嬉しいところだけど。
みやにも言ったけど、これは2人にとって大切な一歩だと思う。
正直、話す内容はなんでもいい。2人が2人きりで話すことに意味がある・・・はず。
300 :&color(green)&bold(){名無し募集中。。。}}:2009/10/22(木) 18:14:55.39 0
&color(blue){>>236 }
第245回
生徒会長さんの腕を掴んで屋上までやってきた。
辛い思い出のある場所だけど、でも、そこから救い出された場所でもある。
もう夕方の遅くで、真っ青だった空は真っ赤に染まっている。
ちょっとだけ、その赤さが眩しい。
グラウンドからは運動部の掛け声が威勢よく聞こえてくる。
フェンスのそばまで寄って、ももは口を開いた。
「あのさ、文芸部に入ってよ」
「はぁ?」
ももの唐突な言葉に生徒会長は大きな声でそう言った。
誰もいない屋上にその声は響く。
「いや、すーちゃ、いや、茉麻が誘えって言うから」
「あんた・・・バカなの?」
すっごくバカにした顔でそう言われる。
いや、そういうこと言われるだろうなって想像はしてたけど、
実際に言われるとめっちゃ腹立つ!
「え?」
「私があんたに何したと思ってんの?よく誘えるね」
「まぁ・・・でも、誘えって言われたんだもん」
そうだよ、ももは別に誘うつもりなんてなかったんだもん。すーちゃんが言っただけだもん。
でも、頼まれたら断れないしだから言いに来ただけだし!
「入るわけないでしょどう考えても。やっぱあんたバカだわ。」
・・・悔しい。すーちゃんのウソつき。自信あるって言ったくせに。
全然違うじゃん。やっぱりこいつがホントは善人だなんてありえない。
期待したももがバカだった。・・・あぁ、なんかみやに抱きしめてもらいたいなぁ・・・。
絶対嫌だって言われるんだろうけど。あの、ツンデレさんは。
301 :&color(green){&bold(){名無し募集中。。。}}:2009/10/22(木) 18:15:35.82 0
&color(blue){>>300 }
第246回
「・・・それはそうだけど。ももだって別に・・・」
別に誘いたくて誘ってるわけじゃないっつーの!とは言わないけど
そういう視線を送る。
「用事ってそれだけ?じゃあ、私勉強あるから」
生徒会長は冷たくそういうと、後ろを向いた。
「ちょ、ちょっと待った。あのさ・・・もう1つ」
「なに?」
ももが引き止めると、生徒会長はめんどくさそうに振り返った。
「・・・・もものこと、なんでいじめたの?」
この機会に聞こうと思っていたこと。ずっと知りたかったこと。
興味ないって顔して、本当は知りたかったこと。
「それ聞いてどうすんの」
「別にどうもしないよ。あなたのこと一生許す気もない。
あなたこと大嫌いだし。でも、理由くらい知りたいじゃん。
なんでお弁当をゴミ箱に捨てられなくちゃいけなかったのか。
なんでトイレで水かぶらなくちゃいけなかったのか。
なんで教科書にあんなラクガキされなくちゃいけなかったのか。」
「・・・・・・私が話する理由もない。」
「・・・・茉麻が言ってたよ、生徒会長さんはホントは素直でいい子だって」
「なっ・・・!!」
生徒会長はちょっとだけビックリしたような、焦ったような顔つきになる。
あれ、図星?まさか・・・
302 :&color(green){&bold(){名無し募集中。。。}}:2009/10/22(木) 18:16:17.82 0
&color(blue){>>301 }
第247回
「なのに、変わっちゃったって。・・・ねぇ、教えてよ。」
「・・・・別に」
顔を横に向けて、ももの顔を見ない。
明らかに、さっきと違う態度・・・。
うそ、あれ、ほんとに図星?すーちゃん正しかった感じ?
「?」
「・・・・理由なんかない。ウザったいあんたのことが嫌いだっただけ。」
でも、発せられた言葉はいつも通り。内容も、想像通り。
違うそういうことが聞きたいんじゃない。
『うざい』『死ね』『キモイ』・・・なんて言葉、もう散々聞いた。
それは本当の理由じゃない。
なにかきっかけっていうか、そういうのがあったはず。そう思ってる。
・・・ももに心当たりはない。何も悪いことはしていないのに。
なのにいじめられなきゃいけなかった理由って何?
「そう・・・・ももはさ、ここから飛び降りたら楽になれるって思った。
だから、このフェンスの向こう側へ行ったこともある。」
フェンスを両手で握り締める。懐かしい感触だ。
あのとき、石川さんがいなかったら・・・・。
『辛かったね、でも、もう平気』
ちょっと甲高いアニメ声が頭の中に響く。優しいあの声。
303 :&color(green){&bold(){名無し募集中。。。}}:2009/10/22(木) 18:17:29.97 0
&color(blue){>>302 }
第248回
「・・・別にいまさらそのときのことを責めたいわけじゃない。
終わったことをグチグチ言うつもりもない。ただ、知りたかっただけ。
ごめんね、呼び止めて。テスト、頑張ってね。
・・・・グスッ・・・ももはもう少しここにいるから、だから・・・先に帰って。」
いろんなことが頭の中を駆け巡って、たまらなく辛い。
あの日のことは鮮明に覚えている。
忘れたくても、そう簡単に忘れられるわけはないんだ。
薄っすらと涙が流れてくる。赤い夕日が目に沁みて、余計に辛く感じる。
後ろで、バタンと音がした。
屋上へのドアの閉まる音。
あぁ、帰ったんだ。・・・結局、なにがしたかったんだろうなももは。
すーちゃんは何して欲しかったんだろうな。
「あぁ、だめだ・・・グス・・・だめ・・・」
ももは、フェンスにもたれかかるようにして崩れ落ちた。
そして、しばらく涙を止めることが出来なかった。
481 :&color(green){&bold(){名無し募集中。。。}}:2009/10/28(水) 00:37:57.20 O
&color(blue){>>303 }
第249回
「だめ、やっぱり待てない。ちょっと出てくる!」
「あ、ちょ、みや!」
「みや待ってー!」
だめ、待てない。もものこと、心配すぎる。
清水と2人でまともに話なんて出来るわけがない。
ももが大丈夫、なんて言うから安心しちゃったけど、でも大丈夫なわけがない。
あいつはももや文芸部をバカにして上から目線で偉そうで
まともに話なんて聞くわけがない。そうだよ、わかってたのに、なんで行かせちゃったんだ。
うちのバカ。・・・もも、ごめん。止めればよかった。
すぐに行くから、待ってて。
うちは走って、ももが行くといっていた屋上へ向かった。
半分地下みたいな部室から屋上までの階段の数は半端ない。
それでも、走った。息が切れてたけどでも、走った。
愛理や茉麻は出てくるときに呼び止められたけど、でも追いかけては来なかった。
呆れられたかな。なんで待ってないんだって、愛理に思われちゃったかな。
でも、待てないんだ。心配で仕方ないんだ。
うちの行動は、姉を思う妹なのか、妹を思う姉なのか、先輩を思う後輩なのか
好きな人のこと思っているのか、それは、今はわからない。
でも、最後に考えたことでもいいと思った。
なんでかな。
うち、ももこと好きなのかな。そんなの、ずっと、ないって思ってたのに。
なんで、今、そんなこと思ったんだろう。
482 :&color(green){&bold(){名無し募集中。。。}}:2009/10/28(水) 00:39:10.02 O
&color(blue){>>481 }
第250回
「・・・あれ?」
階段を上っているとき、生徒会長が階段を降りてくる姿が目に入った。
下を向いて、浮かない顔をしてる。
いつもは自信たっぷりの嫌味な感じがするのに、自然とそんな感じがしない。
ももと何かあったんだ、そうに違いない。
でも、ももはいない。うちは、生徒会長を呼び止めた。
「ねぇ生徒会長さん、ちょっと待ってよ」
「・・・え?」
生徒会長はビックリしたような顔をして、顔を上げた。
うちの顔を確認して、小さく「夏焼・・・・・さんだっけ」とそう言った。
「そう、2年の夏焼雅」
「・・・で、なに?」
階段の上と下。少し大きめな声で、近寄りもせず話した。
「もも、嗣永はどこ?」
「屋上じゃないかな、まだ」
「そう・・・ももはなんて?」
「さぁ・・・わからない」
「わからないって・・・話してたんじゃないんですか?」
「そうだけど・・・でも、わからない。ごめん、急ぐから」
清水、生徒会長はごめんと謝って、うちの隣をすり抜けて
階段を下りていった。その目に、うっすらと涙が浮かんでいるように見えた。
でも、きっとそう見えただけだ。あの、生徒会長が泣くわけない。
ありえない。
187 :&color(green){&bold(){名無し募集中。。。}}:2009/10/20(火) 01:23:25.55 0
&color(blue){>>186 }
第241回
茉麻ははぐらかして、大切なことは何も言ってくれない。
ただ、ここで、部室で待っていればいいってそう言うだけで。
でも、私たちは心配で仕方が無い。
清水に散々なことされて自殺まで考えたももが1対1で話をしにいくなんて。
ももだって、なんで一人で行ってもいいなんて思ったんだろう。
茉麻になに言われたんだろう。
ここを出る前、「みや、心配しないの。」って頭を撫でてくれた感触がよみがえってくる。
あぁ、もう心配だよもも・・・。
時計が進むのが遅すぎる。
茉麻の、雑誌をめくる音と、愛理のシャープペンの音と、秒針の音だけが響く。
その場から動き出したくてしょうがなかった。
でも、茉麻の言葉も、ももの言葉も信じてるから、うちからは動き出せなかった。
234 :&color(green){&bold(){名無し募集中。。。}}:2009/10/21(水) 01:26:45.38 0
&color(blue){>>187}
第242回
少し遡ってお昼休み
◆
「なにー?すーちゃん」
「うん、あのね」
お昼休み、空き教室にもも先輩を引っ張ってきた。
もも先輩とは付き合いなんて短いけど、でもすーちゃんって呼んでくれて嬉しい。
可愛くて小さくて私は結構好き。だからこそ、佐紀ちゃんには素直になって欲しいんだけど。
「もも先輩、聞いた?私のしてること」
「・・・・?あぁ、生徒会長のこと?」
「そうそう、どう思う?」
「どうって・・・別に。なんでそんなことするのかなぁって思った。」
「実際さ、入ってきたらどう?」
「ありえないもん。」
「ありえたら?」
「なに、すーちゃんなんでそんなこと?」
「私ね、もも先輩が何されてたか知ってる。生徒会長、佐紀ちゃんは私の友達なの」
「えっ・・・うそ」
「ほんと。いろいろ聞いてるんだ。」
「そう・・・・・」
先輩が下を向いてしまう。あぁ、言わなきゃよかった?いやでも、それじゃあ話が進まないし・・・。
まあしょうがない。ここは踏み込まなきゃいけないってわかってたんだし。
「それでね、もも先輩に手伝って欲しいことがあって」
「え?ももが?なにを?」
「いや実はね、佐紀ちゃんって無理してるんだ。ほんとはああいう子じゃないの。
ほんとは素直になりたいって願望のあるいい子なの。って・・・まぁ、信じないとは思うけどさ」
「・・・だね、無理。」
もも先輩は小さな声で吐き捨てた。
235 :&color(green){&bold(){名無し募集中。。。}}:2009/10/21(水) 01:27:26.21 0
&color(blue){>>234}
第243回
「もも先輩さ、佐紀ちゃんのホントの顔見たいと思わない?
意地っ張りでもなくて意地悪でもなくて腹黒くなくて、
優しくて純真な、素直になることに恐れを持ってる、そんな顔見たくない?」
「・・・・まあ、見たいかって言われれば見たいけど」
「その作戦の一部なんだよね、文芸部に誘ってるのは」
「なんで?」
「イヤほんとはね、佐紀ちゃん文芸部に入りたがってるの。
絶対本人は言わないけどね、でも、私にはわかるの。付き合い長いし」
「・・・その自信はどっから出てくんの」
「ま、そこはいいとして」
「よくないよ、もう」
「だいたい、あの人もものことや愛理のこと嫌いじゃん。なんで入りたいの?」
「ま、それは内緒」
「え、それが大事でしょうが」
「まあまぁ、でね、もも先輩に誘って欲しいの。佐紀ちゃんを」
「えぇ、やだ。絶対やだ」
「いい機会じゃん、喋ってみなよ」
「なんでそういう話になってるの。すーちゃんでいいでしょ?」
「だめなの。佐紀ちゃん私相手じゃ本心言わないもん。もも先輩になら言うと思う」
「だからその自信はどっから・・・言わないよ。嫌いな人に言う?言わない」
「まぁのこと信じてよ」
「・・・えぇ、なんだかなぁ」
「お願い!放課後さ、生徒会あるらしいからそれ終わってから声かけてみてよ」
「ほんとにやるの?」
「うん・・・・いや?」
「いや・・・・だけどでも、すーちゃんのお願いもあるし・・・」
もも先輩が揺らいでいる。ここが押し時。
236 :&color(green){&bold(){名無し募集中。。。}}:2009/10/21(水) 01:28:31.11 0
&color(blue){>>235 }
第244回
「あ、これだけは絶対大切だから聞いてね」
「ん、なに?」
「今の佐紀ちゃんはね、なんとなく柔和になってて昔みたいにもも先輩のこと・・・えっと」
「いじめない?」
「そ、そう。嫌いっていう態度もきっと急に態度変えられないとかいう佐紀ちゃんなりの
プライドなんだよね。わかってあげて欲しいの。たぶんえりかちゃんも同じでさ。
そりゃもも先輩は口にもしたくないようなこといっぱいされたと思うし
今でもその傷が癒えてないんだろうなって思う。でも、・・・まぁに騙されたと思って、お願い」
「・・・じゃあ、生徒会長さんに文芸部に入ってって誘えばいいんだよね?」
「そう。ありがともも先輩!」
「・・・うん」
もも先輩は口を尖らせて小さく頷いた。
やばい、ワザとか自然とかわかんないけど可愛い。こりゃ佐紀ちゃんも惚れるわ。
…ま、熊井ちゃんのほうが数倍いい女だけどね。
私も何とかしなきゃな・・・忘れてた。まぁ、今はいいか・・・。
放課後になって一旦部室に集まった。
みやは怒り出すし、愛理ちゃんも戸惑ってる。
でも、もも先輩は決意固めてるのか「大丈夫だよ」って余裕顔。
だからみやも強くは言えなかったみたいで、もも先輩が部室を出てからずっと不機嫌だ。
佐紀ちゃんはどんな反応を示すだろうか。拒絶は絶対にしない。
えりかちゃんの話だと、今日1日心ここに在らずでなんかふわふわしてたとか言ってたし。
もも先輩のこと考えたくないのに考えちゃって変になっちゃってんのかな。
まぁ、それなら作戦成功だから嬉しいところだけど。
みやにも言ったけど、これは2人にとって大切な一歩だと思う。
正直、話す内容はなんでもいい。2人が2人きりで話すことに意味がある・・・はず。
300 :&color(green){&bold(){名無し募集中。。。}}:2009/10/22(木) 18:14:55.39 0
&color(blue){>>236 }
第245回
生徒会長さんの腕を掴んで屋上までやってきた。
辛い思い出のある場所だけど、でも、そこから救い出された場所でもある。
もう夕方の遅くで、真っ青だった空は真っ赤に染まっている。
ちょっとだけ、その赤さが眩しい。
グラウンドからは運動部の掛け声が威勢よく聞こえてくる。
フェンスのそばまで寄って、ももは口を開いた。
「あのさ、文芸部に入ってよ」
「はぁ?」
ももの唐突な言葉に生徒会長は大きな声でそう言った。
誰もいない屋上にその声は響く。
「いや、すーちゃ、いや、茉麻が誘えって言うから」
「あんた・・・バカなの?」
すっごくバカにした顔でそう言われる。
いや、そういうこと言われるだろうなって想像はしてたけど、
実際に言われるとめっちゃ腹立つ!
「え?」
「私があんたに何したと思ってんの?よく誘えるね」
「まぁ・・・でも、誘えって言われたんだもん」
そうだよ、ももは別に誘うつもりなんてなかったんだもん。すーちゃんが言っただけだもん。
でも、頼まれたら断れないしだから言いに来ただけだし!
「入るわけないでしょどう考えても。やっぱあんたバカだわ。」
・・・悔しい。すーちゃんのウソつき。自信あるって言ったくせに。
全然違うじゃん。やっぱりこいつがホントは善人だなんてありえない。
期待したももがバカだった。・・・あぁ、なんかみやに抱きしめてもらいたいなぁ・・・。
絶対嫌だって言われるんだろうけど。あの、ツンデレさんは。
301 :&color(green){&bold(){名無し募集中。。。}}:2009/10/22(木) 18:15:35.82 0
&color(blue){>>300 }
第246回
「・・・それはそうだけど。ももだって別に・・・」
別に誘いたくて誘ってるわけじゃないっつーの!とは言わないけど
そういう視線を送る。
「用事ってそれだけ?じゃあ、私勉強あるから」
生徒会長は冷たくそういうと、後ろを向いた。
「ちょ、ちょっと待った。あのさ・・・もう1つ」
「なに?」
ももが引き止めると、生徒会長はめんどくさそうに振り返った。
「・・・・もものこと、なんでいじめたの?」
この機会に聞こうと思っていたこと。ずっと知りたかったこと。
興味ないって顔して、本当は知りたかったこと。
「それ聞いてどうすんの」
「別にどうもしないよ。あなたのこと一生許す気もない。
あなたこと大嫌いだし。でも、理由くらい知りたいじゃん。
なんでお弁当をゴミ箱に捨てられなくちゃいけなかったのか。
なんでトイレで水かぶらなくちゃいけなかったのか。
なんで教科書にあんなラクガキされなくちゃいけなかったのか。」
「・・・・・・私が話する理由もない。」
「・・・・茉麻が言ってたよ、生徒会長さんはホントは素直でいい子だって」
「なっ・・・!!」
生徒会長はちょっとだけビックリしたような、焦ったような顔つきになる。
あれ、図星?まさか・・・
302 :&color(green){&bold(){名無し募集中。。。}}:2009/10/22(木) 18:16:17.82 0
&color(blue){>>301 }
第247回
「なのに、変わっちゃったって。・・・ねぇ、教えてよ。」
「・・・・別に」
顔を横に向けて、ももの顔を見ない。
明らかに、さっきと違う態度・・・。
うそ、あれ、ほんとに図星?すーちゃん正しかった感じ?
「?」
「・・・・理由なんかない。ウザったいあんたのことが嫌いだっただけ。」
でも、発せられた言葉はいつも通り。内容も、想像通り。
違うそういうことが聞きたいんじゃない。
『うざい』『死ね』『キモイ』・・・なんて言葉、もう散々聞いた。
それは本当の理由じゃない。
なにかきっかけっていうか、そういうのがあったはず。そう思ってる。
・・・ももに心当たりはない。何も悪いことはしていないのに。
なのにいじめられなきゃいけなかった理由って何?
「そう・・・・ももはさ、ここから飛び降りたら楽になれるって思った。
だから、このフェンスの向こう側へ行ったこともある。」
フェンスを両手で握り締める。懐かしい感触だ。
あのとき、石川さんがいなかったら・・・・。
『辛かったね、でも、もう平気』
ちょっと甲高いアニメ声が頭の中に響く。優しいあの声。
303 :&color(green){&bold(){名無し募集中。。。}}:2009/10/22(木) 18:17:29.97 0
&color(blue){>>302 }
第248回
「・・・別にいまさらそのときのことを責めたいわけじゃない。
終わったことをグチグチ言うつもりもない。ただ、知りたかっただけ。
ごめんね、呼び止めて。テスト、頑張ってね。
・・・・グスッ・・・ももはもう少しここにいるから、だから・・・先に帰って。」
いろんなことが頭の中を駆け巡って、たまらなく辛い。
あの日のことは鮮明に覚えている。
忘れたくても、そう簡単に忘れられるわけはないんだ。
薄っすらと涙が流れてくる。赤い夕日が目に沁みて、余計に辛く感じる。
後ろで、バタンと音がした。
屋上へのドアの閉まる音。
あぁ、帰ったんだ。・・・結局、なにがしたかったんだろうなももは。
すーちゃんは何して欲しかったんだろうな。
「あぁ、だめだ・・・グス・・・だめ・・・」
ももは、フェンスにもたれかかるようにして崩れ落ちた。
そして、しばらく涙を止めることが出来なかった。
481 :&color(green){&bold(){名無し募集中。。。}}:2009/10/28(水) 00:37:57.20 O
&color(blue){>>303 }
第249回
「だめ、やっぱり待てない。ちょっと出てくる!」
「あ、ちょ、みや!」
「みや待ってー!」
だめ、待てない。もものこと、心配すぎる。
清水と2人でまともに話なんて出来るわけがない。
ももが大丈夫、なんて言うから安心しちゃったけど、でも大丈夫なわけがない。
あいつはももや文芸部をバカにして上から目線で偉そうで
まともに話なんて聞くわけがない。そうだよ、わかってたのに、なんで行かせちゃったんだ。
うちのバカ。・・・もも、ごめん。止めればよかった。
すぐに行くから、待ってて。
うちは走って、ももが行くといっていた屋上へ向かった。
半分地下みたいな部室から屋上までの階段の数は半端ない。
それでも、走った。息が切れてたけどでも、走った。
愛理や茉麻は出てくるときに呼び止められたけど、でも追いかけては来なかった。
呆れられたかな。なんで待ってないんだって、愛理に思われちゃったかな。
でも、待てないんだ。心配で仕方ないんだ。
うちの行動は、姉を思う妹なのか、妹を思う姉なのか、先輩を思う後輩なのか
好きな人のこと思っているのか、それは、今はわからない。
でも、最後に考えたことでもいいと思った。
なんでかな。
うち、ももこと好きなのかな。そんなの、ずっと、ないって思ってたのに。
なんで、今、そんなこと思ったんだろう。
482 :&color(green){&bold(){名無し募集中。。。}}:2009/10/28(水) 00:39:10.02 O
&color(blue){>>481 }
第250回
「・・・あれ?」
階段を上っているとき、生徒会長が階段を降りてくる姿が目に入った。
下を向いて、浮かない顔をしてる。
いつもは自信たっぷりの嫌味な感じがするのに、自然とそんな感じがしない。
ももと何かあったんだ、そうに違いない。
でも、ももはいない。うちは、生徒会長を呼び止めた。
「ねぇ生徒会長さん、ちょっと待ってよ」
「・・・え?」
生徒会長はビックリしたような顔をして、顔を上げた。
うちの顔を確認して、小さく「夏焼・・・・・さんだっけ」とそう言った。
「そう、2年の夏焼雅」
「・・・で、なに?」
階段の上と下。少し大きめな声で、近寄りもせず話した。
「もも、嗣永はどこ?」
「屋上じゃないかな、まだ」
「そう・・・ももはなんて?」
「さぁ・・・わからない」
「わからないって・・・話してたんじゃないんですか?」
「そうだけど・・・でも、わからない。ごめん、急ぐから」
清水、生徒会長はごめんと謝って、うちの隣をすり抜けて
階段を下りていった。その目に、うっすらと涙が浮かんでいるように見えた。
でも、きっとそう見えただけだ。あの、生徒会長が泣くわけない。
ありえない。
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