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第211話~第220話」(2009/10/28 (水) 13:37:56) の最新版変更点

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248 :&color(green){&bold(){名無し募集中。。。}}:2009/09/27(日) 00:33:43.23 0 &color(blue){>>209 } 第211回 放課後、部室に集まって新しい仲間の自己紹介となった。 3人ならそこそこ広かった部室だけど、もう13人ともなると狭すぎて座る場所も危うい。 それは嬉しい悲鳴でもあるけど、もし18人になったらここに全員が入るのは不可能かもしれない。 「ねぇ、もも、ちょっといい?」 自己紹介も終わって、それぞれどう勧誘活動をするか話合っているとき、舞美に呼ばれて外へ出た。 「なに?」 「あのさ、えりを誘うかと思って・・・どう?」 「どうって?」 「いやー・・・・なんとなく気まずそうだったから」 「・・・・・まあ、小学生のころのようにはいかないから」 「なにがあったの?」 「まぁ、いろいろ」 「誘っちゃまずいかな?」 「ももがいいよって言っても、えりかちゃんがOKするわけないよ。 絶対に入りたくないって言うんじゃないかな」 「・・・じゃあ、とりあえず誘ってみる。時間もないし」 「うん・・・・・」 じゃあ、って行って舞美はそのままどこかへ行ってしまった。 えりかちゃん、えりかちゃんは・・・・・清水と一緒にももをいじめていた1人。 昔はあんなに仲良かったのになぁ、と思ったのは最初のうちで、 お弁当をゴミ箱へぶちまけられた時に、そういう甘い感情は捨てた。 憎き一人なわけだ。でも、舞美は知らない。話そうとも思わない。 きっと、無駄だろう。 249 :&color(green){&bold(){名無し募集中。。。}}:2009/09/27(日) 00:34:26.67 0 &color(blue){>>248 } 第212回 「でね、えり、お願い!えり帰宅部でしょ?」 教室から帰ろうと出てきたえりを捕まえて、一通り説明して、頭を下げた。 えりは黙って聞いてくれていたんだけど・・・・ 「無理だよ、やだ」 「どして?」 「いや、だって・・・」 「ももがいるから?」 「・・・・そう。嗣永のこと、嫌いなんだよね」 「何で呼び捨てにするの?仲良かったじゃん」 えりは心底嫌そうに、嗣永、とそう呼んだ。 ももちゃんって呼んでたのに。何で・・・・何があったんだろうか。 「舞美は知らないんだよ、知らなくていいし」 「教えてよ、もも何も教えてくれないんだ。えり、教えて」 「教えてもいいけど・・・・」 「じゃあ!」 「舞美に嫌われちゃいそうだから、止めとく。」 「えり!」 「ごめん、じゃ、帰るね」 「え、ちょ・・・・・」 結局何もわからず、何の成果もなくえりは帰っていった。 ももの言ったとおりだ。・・・・2人に何があったんだろう? 嗣永なんて呼ぶのは尋常なことじゃないと思うんだけど・・・・。 私は、そのヒミツが知りたくなった。 320 名前:&color(green){&bold(){名無し募集中。。。}} 投稿日:2009/09/29(火) 00:31:23.96 0 &color(blue){>>249} 第213回 今朝も、駅まで舞美ちゃんと歩く。 りーちゃんはお寝坊さんのようで、置いてきた。 「ってことがあったんだけど、愛理なんか知らない?」 「・・・・知ってる」 「じゃあ!」 「でも、言わない」 「えぇ・・・」 とっても知りたいって顔に書いてある。 でも、言えない。私が言うことじゃない。 「ももが言いたくないって言うなら、言わない。言えないよ。そうでしょ?」 「そりゃそうだけど・・・」 「しょうがないよ」 「・・・ももとえりはすごく仲良かったんだよ、ほんと親友って感じで・・・なのになんでかなぁ」 舞美ちゃんは腕を組んで考え込んでしまう。 その、えり、梅田先輩がどういう人かは詳しく知らない。 でも、きっとももは許せないだろうし部に入ってくれても歓迎できる気がしない。 だから、それでいい。 お互いに嫌だと言うのに無理に引き入れる理由なんてどこにもない。 「・・・私は、引っ越したし二人の間に何があったか全然知らない」 「うん」 「でも、仲直りして欲しい」 「無理だよ、いまさら」 「うぅ・・・・」 舞美ちゃんはそれっきり黙ってしまった。しょうがないこともあるってわかってよ。 321 名前:&color(green){&bold(){名無し募集中。。。}} 投稿日:2009/09/29(火) 00:32:06.62 0 &color(blue){>>320} 第214回 「・・・・なにあれ」 お昼休み、さすがに狭いってことで中庭で会議がてらにみんなでお昼を食べることになった。 教室にお茶を忘れて取りに戻ってきたら・・・。 みやを囲むように、前田ちゃん、梨沙子、新しく入った吉川ちゃんがいた。 みやは真ん中で楽しそうに、ううん、だらしなく笑ってる。 ・・・・ライバルが多いなぁ。多すぎる。 って会議になっていない・・・ただお昼休み集まりました的な。 「あぁ、もう・・・」 「ももち?どしたの」 「へ?あぁ、いや・・・食べるか」 「もも、こっちおいでよ」 愛理とくまいちょーが誘ってくれる。でも、みやが・・・・。 それにこの2人といると胸焼けしそうだ。 「愛理、これ食べたい」 「じゃあ、先輩こっちのウインナー下さい」 「ん、いいよ、はいあーん」 「モグモグ・・・んー!美味しい。」 ・・・・やっぱりか。ももはそっと2人から離れてみやの近くへ行った。 もも、おいでよってそう一言言って欲しかった。でも、みやは話に夢中で気付いてもくれない。 ちょっとだけ、泣きたくなった。 322 名前:&color(green){&bold(){名無し募集中。。。}} 投稿日:2009/09/29(火) 00:32:48.26 0 &color(blue){>>321} 第215回 お昼、文芸部には断りを入れてえりを昼食に誘った。 昨日のこともあるから断られるかと思ったけど、OKしてくれた。 そして、屋上で2人、お弁当をつついていた。 「舞美、聞かないんだね」 「なにを?」 「とぼけちゃって。聞きたいって顔してるよ」 「え、うそ?ほんと?」 慌てて顔を抑える。・・・・ってこれじゃ図星だ。恥ずかしい。 えりはずっとクールっていうか、すましているから感情は読めない。 「舞美さ、私先に言っておくことがある」 「え?」 「話してもいいよ、でもその前に言いたいことがあるの」 「う、うん・・・なに?」 えりは卵焼きを半分にお箸で割きながら小さな声でそう言った。 「・・・・私さ、舞美が好きだった。小さい頃から好きだった。」 「え?」 「でも、舞美はつぐな、ももが好きだった。」 「え、そうだっけ・・・?」 「だからかなぁ、悔しかったのかな。・・・いやいまさら正当化しても意味ないけど」 「えり?」 「・・・・私さ、舞美に再会して思ったんだよ。あぁ、今でも、好きだって」 えりは表情を一切崩さなかった。だから、それが告白だって気付くまでに、時間が随分かかった。 「好きで好きでしょうがないんだよね。こういう気持ちになったの、高3にしてやっとだよ。 ・・・きっと舞美は私のこと嫌いになる。でも、私の気持ちだけは覚えておいてよ。」 えりはそう言って、話し始めた。 395 :&color(green){&bold(){名無し募集中。。。}}:2009/10/01(木) 01:10:37.33 0 &color(blue){>>322 } 第216回 「高校に入ってすぐだったかな、私ともも同じクラスになったんだ。 中学の頃はあんまりもう話もしなくなってて・・・・。 で、ももは知らない人ばっかのクラスで私のこと見つけて話しかけてきたんだ。 だけど、なんかそん時のももってもっさいっていうかダサいっていうか・・・地味なやつで。 友達だなんて、周りの友達にそう思われたくなかった。かっこつけたくてさ。」 「・・・へぇ。」 「今はなんか垢抜けた感じだよね。でも、あのときはそうじゃなかった。 私は、結構派手なグループにいたからさ、もものダサい感じとか ちょっと辛気臭いとことか運動できないとことかなんか全部ウザく見えて。」 「ちょっと待った、えり・・・・もものこと?」 「そう、いじめてた。半端ないじめじゃなかったよ。違うクラスだったけど 佐紀、生徒会長も加わって、相当激しいことやった。 佐紀は表じゃいい顔してるけど、裏はものすごく黒い子だし。 ま、それはあの子らしさだからいいんだけど・・・・」 えりは淡々と喋ってる。怖い、そんな気もする。 ももは・・・いじめられてた?えりに?あんなに仲良かったのに? ももの当時の気持ちを考えたら、胸が張り裂けそうになる。 そりゃ・・・言いたくないよね。ごめん、と心の中で謝った。 「プラス、さっき言ったように私は昔から舞美が好きだった。 ももを思い出すと、舞美のことまで思い出しちゃって腹たって 余計にひどいこといっぱいした。きっと、ももはめっちゃ怒ってるんだと思う。」 えりはお弁当を置いて、腕組をしたまま空を見上げた。 後悔してるのかな、それとも、いい気味だったと思っているのかな。 えりはそんな人じゃないって信じたいけど、でも、話を聞いたからには難しい。 396 :&color(green){&bold(){名無し募集中。。。}}:2009/10/01(木) 01:11:25.23 0 &color(blue){>>395 } 第217回 「そんなももが、私を歓迎するとでも思う?ありえないでしょ」 「えりが・・・」 「え?」 「えりがちゃんと謝れば・・・仲直りしようよ」 「今更謝っても許すわけないじゃん。私なら一生恨む。きっとももだって同じだよ」 えりはんーっと背伸びをして屋上のコンクリートの上に寝そべった。 夏の日差しが暑くてたまらないのに、汗いっぱいかいちゃうのに。 なのに、屋上って場所に来てしまうのは何でなのかなぁ。 「待った、えりは謝る気があるの?ないの?どっち?」 「・・・・・わかんない。悪いことしたなぁって思うけど、別に反省してるわけじゃないんだよね。 後悔も特にしてない。流れっていうか、空気っていうか。そういうのあるじゃん。 それはしょうがないって思うんだよね。それは違う、って言われたら特別反論もできないけど。 ももは私なんて嫌いだろうし、いまさら無理して近づく必要性も感じない。」 えりはキッパリと言い切った。その言い切りっぷりに、 偽善的ないじめなんて・・・と言う言葉は出てこない。ほんとは言いたいけど、でも、 えりの言う「空気」は私も感じたことがある。 いじめられる方からしたら、到底理解できないかもしれないけど、 到底許せるはずのないものかもしれないけど、でも、そういう「空気」ってやつは確実に存在してる。 「で、舞美は私にどうして欲しい?」 「・・・・文芸部に入って欲しい」 「まだ言うか。それに、文芸部に入ったら私が佐紀に怒られる。文芸部嫌いみたいだし」 えりはそう言ったきり、何も言わなかった。 チャイムが鳴るまで、お弁当の残りを食べて、その後は寝そべってずっと目を閉じていた。 私は言うべき言葉が何かあるはずなのに、それなのに何も言えない自分の無力さを感じていた。 397 :&color(green){&bold(){名無し募集中。。。}}:2009/10/01(木) 01:12:05.65 0 &color(blue){>>396 } 第218回 「ところで・・・・」 「なに」 「なんかみやのハーレムみたいだったね、お昼休み」 「え?」 「3人も侍らせちゃってさ。」 「はぁ?そんなんじゃないし」 「あっそ」 夕方過ぎの、みやのバイト先。お客は生憎、もも一人だ。 カウンターの席に座って、カウンターの向こう側でコップを磨いているみやと話す。 ちょっとしたレトロっぽい喫茶店で、ももはこの雰囲気が好き。 「あの3人、みんなみやのこと好きだよ。きっと」 「ありないっつーの。みやなんか好きになる物好きいないから」 「いや、ここにいるから」 「まぁ・・・・それは例外中の例外」 こうやっ軽い感じで喋れるのは楽しいけど、自分の気持ちが あまりにも軽視されているんじゃないかと不安になってくる。 「ももが言ったんじゃなかったっけ。好きにさせてみせるとかなんとか」 「なんだ、覚えてたんだ」 「あのねぇ・・・・そこまでバカじゃないですよーだ」 「そりゃキスまでしたんだもん、覚えてるよねー♪」 「そ、それは・・・!も、ももが勝手にしたんでしょうが!」 みやが顔を赤くして反論してくる。わかりやすい、恥ずかしがり屋さんだ。可愛いな。 まぁ、今日はこの辺で許してあげよう。 ・・・・さて、どうやったらみやはももを好きになってくれるだろう? 499 :&color(green){&bold(){名無し募集中。。。}}:2009/10/04(日) 00:54:49.85 0 &color(blue){>>397 } 第219回 ホントにビックリした。ビックリしすぎて、はじめは何のことかよくわからなかったくらい。 「い、いいの?」 「はい」 「お願いしまーす」 「ってことだから・・・・入部してもらっていいよね?」 「そりゃ歓迎するけど・・・でも、生徒会長」 「いいんです、もう」 「気にしないですから」 「そ、そっか・・・じゃあよろしく」 ももが、入部希望者であり、生徒会役員の徳永先輩中島先輩と握手をした。 どうしてこうなったんだろう? 連れてきた友理奈先輩は満足そうに嬉しそうにしている。 助かるけど・・・でも、徳永先輩なんて生徒会長の右腕とか聞いたことあるのになぁ。 いいのかな、ホントに。 部員のみんなはちょっと複雑な顔をしていて、すぐに歓迎ムードにはならない。 みんな、生徒会がやってきたことを知ってるからだ。 でも、徳永先輩は明るいっていうか天性の人懐っこさで、すぐにみんなと仲良くなった。 本なんて好きじゃないけど、でも、読むきっかけにしたいって言ってくれた。 中島先輩は元々本が大好きで、みんなと読み比べがしたい、なんて言ってた。 申し分ない、新入部員である。ももやみやも嬉しそう。 これで部員は15人、目標まであと3人だ。ゴールがちょっとずつ見えてきた。 私たちは気合を入れなおして、部室存続のために気合を入れなおすのだった。 500 :名無し募集中。。。:2009/10/04(日) 00:55:30.59 0 &color(blue){>>499 } 第220回 そんな日の放課後、私は徳永先輩と中島先輩に呼び出された。 なんだろう?と思いながら指定された中庭へ向かった。 「ごめん、来てもらって」 「いえ・・・なんですか?」 私がそう聞くと、中島先輩がちょっと言いにくそうに話し始めた。 「あのさ、私たちが入部したのは、・・・ね、あなたの協力がしたかったからなの」 「へ?」 「私たち、友理奈ちゃんのこと好きなの」 「え、・・・えぇぇ!?」 以前呼び出された経緯を聞かされ、私と話して勝ち目がなかったと感じたことまで話してくれた。 私は驚いて、何度も本当ですか?と聞き返していた。 「それでね、えっと、なんか完敗っぷりが逆に清々しいねって話になって・・・」 「じゃあちょっと入部してみるか、なんて思って」 2人とも失恋?したはずなにやけに笑顔が多い。そりゃもう、清々しいほどに。 「ってなわけで、愛理ちゃん、熊井ちゃんのこと頼むからね。あ、でも諦めてないからねー」 「同じく」 なんて言って、先輩たちは大きな声で笑った。 完敗っぷりが清々しいってちょっとよくわかんないけど、でも、楽しそうだからいいや。 でもでも、先輩は渡さないんだから! って生徒会長さんはほんとに大丈夫なのかな・・・・心配。
248 :&color(green){&bold(){名無し募集中。。。}}:2009/09/27(日) 00:33:43.23 0 &color(blue){>>209 } 第211回 放課後、部室に集まって新しい仲間の自己紹介となった。 3人ならそこそこ広かった部室だけど、もう13人ともなると狭すぎて座る場所も危うい。 それは嬉しい悲鳴でもあるけど、もし18人になったらここに全員が入るのは不可能かもしれない。 「ねぇ、もも、ちょっといい?」 自己紹介も終わって、それぞれどう勧誘活動をするか話合っているとき、舞美に呼ばれて外へ出た。 「なに?」 「あのさ、えりを誘うかと思って・・・どう?」 「どうって?」 「いやー・・・・なんとなく気まずそうだったから」 「・・・・・まあ、小学生のころのようにはいかないから」 「なにがあったの?」 「まぁ、いろいろ」 「誘っちゃまずいかな?」 「ももがいいよって言っても、えりかちゃんがOKするわけないよ。 絶対に入りたくないって言うんじゃないかな」 「・・・じゃあ、とりあえず誘ってみる。時間もないし」 「うん・・・・・」 じゃあ、って行って舞美はそのままどこかへ行ってしまった。 えりかちゃん、えりかちゃんは・・・・・清水と一緒にももをいじめていた1人。 昔はあんなに仲良かったのになぁ、と思ったのは最初のうちで、 お弁当をゴミ箱へぶちまけられた時に、そういう甘い感情は捨てた。 憎き一人なわけだ。でも、舞美は知らない。話そうとも思わない。 きっと、無駄だろう。 249 :&color(green){&bold(){名無し募集中。。。}}:2009/09/27(日) 00:34:26.67 0 &color(blue){>>248 } 第212回 「でね、えり、お願い!えり帰宅部でしょ?」 教室から帰ろうと出てきたえりを捕まえて、一通り説明して、頭を下げた。 えりは黙って聞いてくれていたんだけど・・・・ 「無理だよ、やだ」 「どして?」 「いや、だって・・・」 「ももがいるから?」 「・・・・そう。嗣永のこと、嫌いなんだよね」 「何で呼び捨てにするの?仲良かったじゃん」 えりは心底嫌そうに、嗣永、とそう呼んだ。 ももちゃんって呼んでたのに。何で・・・・何があったんだろうか。 「舞美は知らないんだよ、知らなくていいし」 「教えてよ、もも何も教えてくれないんだ。えり、教えて」 「教えてもいいけど・・・・」 「じゃあ!」 「舞美に嫌われちゃいそうだから、止めとく。」 「えり!」 「ごめん、じゃ、帰るね」 「え、ちょ・・・・・」 結局何もわからず、何の成果もなくえりは帰っていった。 ももの言ったとおりだ。・・・・2人に何があったんだろう? 嗣永なんて呼ぶのは尋常なことじゃないと思うんだけど・・・・。 私は、そのヒミツが知りたくなった。 320 名前:&color(green){&bold(){名無し募集中。。。}} 投稿日:2009/09/29(火) 00:31:23.96 0 &color(blue){>>249} 第213回 今朝も、駅まで舞美ちゃんと歩く。 りーちゃんはお寝坊さんのようで、置いてきた。 「ってことがあったんだけど、愛理なんか知らない?」 「・・・・知ってる」 「じゃあ!」 「でも、言わない」 「えぇ・・・」 とっても知りたいって顔に書いてある。 でも、言えない。私が言うことじゃない。 「ももが言いたくないって言うなら、言わない。言えないよ。そうでしょ?」 「そりゃそうだけど・・・」 「しょうがないよ」 「・・・ももとえりはすごく仲良かったんだよ、ほんと親友って感じで・・・なのになんでかなぁ」 舞美ちゃんは腕を組んで考え込んでしまう。 その、えり、梅田先輩がどういう人かは詳しく知らない。 でも、きっとももは許せないだろうし部に入ってくれても歓迎できる気がしない。 だから、それでいい。 お互いに嫌だと言うのに無理に引き入れる理由なんてどこにもない。 「・・・私は、引っ越したし二人の間に何があったか全然知らない」 「うん」 「でも、仲直りして欲しい」 「無理だよ、いまさら」 「うぅ・・・・」 舞美ちゃんはそれっきり黙ってしまった。しょうがないこともあるってわかってよ。 321 名前:&color(green){&bold(){名無し募集中。。。}} 投稿日:2009/09/29(火) 00:32:06.62 0 &color(blue){>>320} 第214回 「・・・・なにあれ」 お昼休み、さすがに狭いってことで中庭で会議がてらにみんなでお昼を食べることになった。 教室にお茶を忘れて取りに戻ってきたら・・・。 みやを囲むように、前田ちゃん、梨沙子、新しく入った吉川ちゃんがいた。 みやは真ん中で楽しそうに、ううん、だらしなく笑ってる。 ・・・・ライバルが多いなぁ。多すぎる。 って会議になっていない・・・ただお昼休み集まりました的な。 「あぁ、もう・・・」 「ももち?どしたの」 「へ?あぁ、いや・・・食べるか」 「もも、こっちおいでよ」 愛理とくまいちょーが誘ってくれる。でも、みやが・・・・。 それにこの2人といると胸焼けしそうだ。 「愛理、これ食べたい」 「じゃあ、先輩こっちのウインナー下さい」 「ん、いいよ、はいあーん」 「モグモグ・・・んー!美味しい。」 ・・・・やっぱりか。ももはそっと2人から離れてみやの近くへ行った。 もも、おいでよってそう一言言って欲しかった。でも、みやは話に夢中で気付いてもくれない。 ちょっとだけ、泣きたくなった。 322 名前:&color(green){&bold(){名無し募集中。。。}} 投稿日:2009/09/29(火) 00:32:48.26 0 &color(blue){>>321} 第215回 お昼、文芸部には断りを入れてえりを昼食に誘った。 昨日のこともあるから断られるかと思ったけど、OKしてくれた。 そして、屋上で2人、お弁当をつついていた。 「舞美、聞かないんだね」 「なにを?」 「とぼけちゃって。聞きたいって顔してるよ」 「え、うそ?ほんと?」 慌てて顔を抑える。・・・・ってこれじゃ図星だ。恥ずかしい。 えりはずっとクールっていうか、すましているから感情は読めない。 「舞美さ、私先に言っておくことがある」 「え?」 「話してもいいよ、でもその前に言いたいことがあるの」 「う、うん・・・なに?」 えりは卵焼きを半分にお箸で割きながら小さな声でそう言った。 「・・・・私さ、舞美が好きだった。小さい頃から好きだった。」 「え?」 「でも、舞美はつぐな、ももが好きだった。」 「え、そうだっけ・・・?」 「だからかなぁ、悔しかったのかな。・・・いやいまさら正当化しても意味ないけど」 「えり?」 「・・・・私さ、舞美に再会して思ったんだよ。あぁ、今でも、好きだって」 えりは表情を一切崩さなかった。だから、それが告白だって気付くまでに、時間が随分かかった。 「好きで好きでしょうがないんだよね。こういう気持ちになったの、高3にしてやっとだよ。 ・・・きっと舞美は私のこと嫌いになる。でも、私の気持ちだけは覚えておいてよ。」 えりはそう言って、話し始めた。 395 :&color(green){&bold(){名無し募集中。。。}}:2009/10/01(木) 01:10:37.33 0 &color(blue){>>322 } 第216回 「高校に入ってすぐだったかな、私ともも同じクラスになったんだ。 中学の頃はあんまりもう話もしなくなってて・・・・。 で、ももは知らない人ばっかのクラスで私のこと見つけて話しかけてきたんだ。 だけど、なんかそん時のももってもっさいっていうかダサいっていうか・・・地味なやつで。 友達だなんて、周りの友達にそう思われたくなかった。かっこつけたくてさ。」 「・・・へぇ。」 「今はなんか垢抜けた感じだよね。でも、あのときはそうじゃなかった。 私は、結構派手なグループにいたからさ、もものダサい感じとか ちょっと辛気臭いとことか運動できないとことかなんか全部ウザく見えて。」 「ちょっと待った、えり・・・・もものこと?」 「そう、いじめてた。半端ないじめじゃなかったよ。違うクラスだったけど 佐紀、生徒会長も加わって、相当激しいことやった。 佐紀は表じゃいい顔してるけど、裏はものすごく黒い子だし。 ま、それはあの子らしさだからいいんだけど・・・・」 えりは淡々と喋ってる。怖い、そんな気もする。 ももは・・・いじめられてた?えりに?あんなに仲良かったのに? ももの当時の気持ちを考えたら、胸が張り裂けそうになる。 そりゃ・・・言いたくないよね。ごめん、と心の中で謝った。 「プラス、さっき言ったように私は昔から舞美が好きだった。 ももを思い出すと、舞美のことまで思い出しちゃって腹たって 余計にひどいこといっぱいした。きっと、ももはめっちゃ怒ってるんだと思う。」 えりはお弁当を置いて、腕組をしたまま空を見上げた。 後悔してるのかな、それとも、いい気味だったと思っているのかな。 えりはそんな人じゃないって信じたいけど、でも、話を聞いたからには難しい。 396 :&color(green){&bold(){名無し募集中。。。}}:2009/10/01(木) 01:11:25.23 0 &color(blue){>>395 } 第217回 「そんなももが、私を歓迎するとでも思う?ありえないでしょ」 「えりが・・・」 「え?」 「えりがちゃんと謝れば・・・仲直りしようよ」 「今更謝っても許すわけないじゃん。私なら一生恨む。きっとももだって同じだよ」 えりはんーっと背伸びをして屋上のコンクリートの上に寝そべった。 夏の日差しが暑くてたまらないのに、汗いっぱいかいちゃうのに。 なのに、屋上って場所に来てしまうのは何でなのかなぁ。 「待った、えりは謝る気があるの?ないの?どっち?」 「・・・・・わかんない。悪いことしたなぁって思うけど、別に反省してるわけじゃないんだよね。 後悔も特にしてない。流れっていうか、空気っていうか。そういうのあるじゃん。 それはしょうがないって思うんだよね。それは違う、って言われたら特別反論もできないけど。 ももは私なんて嫌いだろうし、いまさら無理して近づく必要性も感じない。」 えりはキッパリと言い切った。その言い切りっぷりに、 偽善的ないじめなんて・・・と言う言葉は出てこない。ほんとは言いたいけど、でも、 えりの言う「空気」は私も感じたことがある。 いじめられる方からしたら、到底理解できないかもしれないけど、 到底許せるはずのないものかもしれないけど、でも、そういう「空気」ってやつは確実に存在してる。 「で、舞美は私にどうして欲しい?」 「・・・・文芸部に入って欲しい」 「まだ言うか。それに、文芸部に入ったら私が佐紀に怒られる。文芸部嫌いみたいだし」 えりはそう言ったきり、何も言わなかった。 チャイムが鳴るまで、お弁当の残りを食べて、その後は寝そべってずっと目を閉じていた。 私は言うべき言葉が何かあるはずなのに、それなのに何も言えない自分の無力さを感じていた。 397 :&color(green){&bold(){名無し募集中。。。}}:2009/10/01(木) 01:12:05.65 0 &color(blue){>>396 } 第218回 「ところで・・・・」 「なに」 「なんかみやのハーレムみたいだったね、お昼休み」 「え?」 「3人も侍らせちゃってさ。」 「はぁ?そんなんじゃないし」 「あっそ」 夕方過ぎの、みやのバイト先。お客は生憎、もも一人だ。 カウンターの席に座って、カウンターの向こう側でコップを磨いているみやと話す。 ちょっとしたレトロっぽい喫茶店で、ももはこの雰囲気が好き。 「あの3人、みんなみやのこと好きだよ。きっと」 「ありえないっつーの。みやなんか好きになる物好きいないから」 「いや、ここにいるから」 「まぁ・・・・それは例外中の例外」 こうやっ軽い感じで喋れるのは楽しいけど、自分の気持ちが あまりにも軽視されているんじゃないかと不安になってくる。 「ももが言ったんじゃなかったっけ。好きにさせてみせるとかなんとか」 「なんだ、覚えてたんだ」 「あのねぇ・・・・そこまでバカじゃないですよーだ」 「そりゃキスまでしたんだもん、覚えてるよねー♪」 「そ、それは・・・!も、ももが勝手にしたんでしょうが!」 みやが顔を赤くして反論してくる。わかりやすい、恥ずかしがり屋さんだ。可愛いな。 まぁ、今日はこの辺で許してあげよう。 ・・・・さて、どうやったらみやはももを好きになってくれるだろう? 499 :&color(green){&bold(){名無し募集中。。。}}:2009/10/04(日) 00:54:49.85 0 &color(blue){>>397 } 第219回 ホントにビックリした。ビックリしすぎて、はじめは何のことかよくわからなかったくらい。 「い、いいの?」 「はい」 「お願いしまーす」 「ってことだから・・・・入部してもらっていいよね?」 「そりゃ歓迎するけど・・・でも、生徒会長」 「いいんです、もう」 「気にしないですから」 「そ、そっか・・・じゃあよろしく」 ももが、入部希望者であり、生徒会役員の徳永先輩中島先輩と握手をした。 どうしてこうなったんだろう? 連れてきた友理奈先輩は満足そうに嬉しそうにしている。 助かるけど・・・でも、徳永先輩なんて生徒会長の右腕とか聞いたことあるのになぁ。 いいのかな、ホントに。 部員のみんなはちょっと複雑な顔をしていて、すぐに歓迎ムードにはならない。 みんな、生徒会がやってきたことを知ってるからだ。 でも、徳永先輩は明るいっていうか天性の人懐っこさで、すぐにみんなと仲良くなった。 本なんて好きじゃないけど、でも、読むきっかけにしたいって言ってくれた。 中島先輩は元々本が大好きで、みんなと読み比べがしたい、なんて言ってた。 申し分ない、新入部員である。ももやみやも嬉しそう。 これで部員は15人、目標まであと3人だ。ゴールがちょっとずつ見えてきた。 私たちは気合を入れなおして、部室存続のために気合を入れなおすのだった。 500 :名無し募集中。。。:2009/10/04(日) 00:55:30.59 0 &color(blue){>>499 } 第220回 そんな日の放課後、私は徳永先輩と中島先輩に呼び出された。 なんだろう?と思いながら指定された中庭へ向かった。 「ごめん、来てもらって」 「いえ・・・なんですか?」 私がそう聞くと、中島先輩がちょっと言いにくそうに話し始めた。 「あのさ、私たちが入部したのは、・・・ね、あなたの協力がしたかったからなの」 「へ?」 「私たち、友理奈ちゃんのこと好きなの」 「え、・・・えぇぇ!?」 以前呼び出された経緯を聞かされ、私と話して勝ち目がなかったと感じたことまで話してくれた。 私は驚いて、何度も本当ですか?と聞き返していた。 「それでね、えっと、なんか完敗っぷりが逆に清々しいねって話になって・・・」 「じゃあちょっと入部してみるか、なんて思って」 2人とも失恋?したはずなにやけに笑顔が多い。そりゃもう、清々しいほどに。 「ってなわけで、愛理ちゃん、熊井ちゃんのこと頼むからね。あ、でも諦めてないからねー」 「同じく」 なんて言って、先輩たちは大きな声で笑った。 完敗っぷりが清々しいってちょっとよくわかんないけど、でも、楽しそうだからいいや。 でもでも、先輩は渡さないんだから! って生徒会長さんはほんとに大丈夫なのかな・・・・心配。

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