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「第111話~第120話」(2009/08/07 (金) 19:02:08) の最新版変更点
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494 :&color(green){&bold(){名無し募集中。。。}}:2009/08/05(水) 01:32:04.51 0
&color(blue){>>493}
第111回
愛理と清水の間に火花が見える。
清水の表情は少しずつ険しくなり、イラついているのがわかる。
愛理、負けるな!
「では、3人ではなくなったらいいのですか?」
「はぁ?」
「そう、一番少ない社会調査会の17人を上回ればいいのですか?」
「苦し紛れに無理なことを言うのはやめなさい。鈴木さん」
「あと14人ですよね、別に特別無理なことではありませんよ。」
「話になりません。今更そんなことしたって意味がない」
「なぜ?増やす努力をしようとしている生徒に意味がないってどうしてそんなこと言えるんですか?」
「新学期が始まってもう3ヶ月以上経った今、そんな見込みがないことは誰にだってわかる。
それよりも、今、すぐにでも部室を欲しがっている同好会に渡すべきです。
あなたがやっているのは先延ばしの時間稼ぎじゃないの。」
渡すべきって、意見を聞く姿勢じゃない。
なにが、一方的は好ましくない、だ。もう、決まってたくせに。
「・・・私、ある先輩に聞きました。清水会長の立会演説会の内容。」
「え?」
「夢のある、生徒全員が笑って楽しい学園生活を送れるような、そんな学校にしたい。
努力をしたり、汗を流したり、涙を流したり、そんな活気溢れる学校にしたい。
・・・私たち文芸部は努力しようとしています。懸命に汗を流そうとしています。
そんな私たちを、そうしたいと声高に語ったあなたが、見込みがないと切り捨て、見捨てるんですか?
それは・・・生徒会長としてどうなんですか?・・・・すいません、先輩に対して偉そうな事言いまして」
「・・・・それは」
愛理すごい・・・リサーチ力がすごい。あの清水を黙らせちゃった。
これはイケそう・・・?
495 :&color(green){&bold()名無し募集中。。。}}:2009/08/05(水) 01:32:46.26 0
&color(blue){>>494}
第112回
「夏休みまで、あと1ヶ月間時間を下さい。その間に部員を増やしてみせます。
・・・同好会の皆さんには申し訳ないですが私たちも必死なんです。
自分勝手な言い分かもしれないと自覚はしています。ですが、・・・時間を下さい、お願いします!」
愛理は立ち上がって深々と頭を下げた。
ももはちょっとびっくりしたけど愛理のマネをして頭を下げた。
なんだか会議室はざわついていて、ももたちが頭を上げると、
生徒会の人たちが集合して話し合いをしていた。
緊張が高まっていく。・・・ももたちは、どうなる?部室はどうなる?
くまいちょー!助けて!
後姿のくまいちょーに祈りながら、話し合いの終了を待っていた。
◆
「・・・お、おかえり」
「ただいま、みや」
「みや、ただいま・・・」
部室に帰ってきた2人。なんだかげっそりしたみたい・・・。
表情は暗く、・・・いい返事が聞けそうもない。
怖いな・・・でも聞かなきゃ・・・
「ど、、・・・どうだった?」
みやは小さな声しか出なかったけど、二人に問いかけた。
537 :&color(green){&bold(){名無し募集中。。。}}:2009/08/05(水) 23:33:21.26 0
&color(blue){>>495 }
第113回
「・・・やったの!やったよーみやー!」
「え?え?成功?」
ももが興奮してうちに飛びついてきた。
うちはそんなももを抱きとめて、愛理に声をかけた。
「うん!1ヶ月の猶予をくれたの、生徒会が!」
「よかった!ほんとよかった!・・・グス」
「・・・みや?」
感極まっちゃって涙がちょっと出た。抱き止めたももが上目遣いでうちを見た。
か、可愛い・・・ってそうじゃなくて!
「もう、2人とも暗い顔してたから!」
「えへへ、ごめん、びっくりさせようって、ね?」
「ね、ごめんってばみやー」
うちは2人によしよしと頭を撫でられて慰められた。
もう・・・でもよかった。安心した。
1人で待ってるのは辛かったんだもん・・・。
2人は意見交換会でのことを詳しく説明してくれた。
愛理とあの清水との言い合いはけっこう凄まじかったらしい。
清水は相当悔しそうな顔をしてたみたいだ。ちょっと見たかったかも。
愛理にああ言われた手前、ダメだと突っぱねることができなかったらしい。
ちなみに、その他の部にも建前上、猶予が与えられて、
1ヶ月後、再びこの会を開催する、ということで決着がついたようだった。
愛理って強いなぁ。と、年下なのにちょっと見直した。
いや、こうしてみんなで団結できてるのも全部愛理のおかげだ。
うちは何度も、ありがとう、と感謝した。
538 :&color(green){&bold(){名無し募集中。。。}}:2009/08/05(水) 23:34:08.19 0
&color(blue){>>537 }
第114回
「で、どうする?もう週明けからでも動き出さなきゃ間に合わないよ」
3人とも冷静になって、席に着いて作戦会議。
愛理も、みやもうーんと唸って考えている。
こういうときこそ部長がなんとか・・・なんだけど上手い考えが出てこない。
でもまた愛理頼りってのも情けないしなぁ・・・。
「とりあえず、チラシ作ろうよ。ざっと100枚・・・じゃ足りないな、200枚くらい」
「うん、まずは文芸部知ってもらわなきゃね」
「配って貼って・・・頑張らなきゃだね」
ももの提案に愛理が頷いてくれる。みやも。
「あ、それで・・・」
3人でいっぱい意見を出し合って、週明けからの活動計画をまとめた。
1.チラシ配布・掲示(今日中に作る)
2.校門や教室で積極的に勧誘する
3.部室を見せるなどの見学会
「大変だー、朝も早く来なきゃだね」
「うん・・・もも朝弱いんだよね」
「起こしに行くよ、愛理と一緒に」
「・・・頼んだ」
ももたちはさっそくチラシの作成にとりかかった。
文芸部って絶対暗いって思われてるからそのイメージを打破したい。
へたっぴでも書く楽しさとかそういうのを知ってほしい。
そんな気持ちをこめて、明るい印象を持ってもらえるチラシにしよう。
539 :&color(green){&bold(){名無し募集中。。。}}:2009/08/05(水) 23:35:01.85 0
&color(blue){>>538}
第115回
途中、くまいちょーも加わって(みやは複雑そうな顔をしてたけど)
ああだこうだ言いながら細部にまでこだわって
日が暮れるまで部室で、ももたちは「青春」していた。
実際必死なんだけど、でも、熱い感じが映画やドラマみたいでちょっと楽しい。
なんて口にできないけど、愛理やみやも同じじゃないのかな。
そう思いながら作業に没頭していた。
◆
「ところで、文芸部ってどういう小説とか書いてるの?」
チラシを作り終えて、みんなでジュースを飲んでいるとくまいちょーが聞いた。
「え、あぁ・・・うちはなんでもありなの。ちょっと待って・・・ええっとこれ」
ももは保管されている冊子の中から、去年の学園祭で発行したものを手渡した。
「・・・ほんとだ。詩に読書感想文に小説に・・・まぁ、いろいろあるねぇ」
くまいちょーはペラペラとめくりながら楽しそうに呟いた。
「なになに・・・『夏の思い出・夏焼雅』・・・夏は暑いな」
「ちょ!!!ストップ!!!返して!!」
みやが慌ててくまいちょーの手から冊子を奪い取った。
「は、恥ずかしすぎる・・・読まないでよもう!」
その慌てっぷりがおかしくて3人で噴出した。自分で書いたくせにー。
「愛理は?愛理が書いたヤツはないの?」
「あ・・・えっと、」
愛理が困った顔でももを見つめてくる。
あるにはあるが・・・恋人には決して見せられない内容で・・・。
「な、ないよ!今年はまだなにも発行してないから!」
「そうなんだ・・・残念。今年の学園祭で発行するヤツは見せてね?」
「は、はい・・・頑張ります」
ひきつった笑顔で言う愛理。
さっきの凛々しい愛理とは全然違ってこれもまた、面白かった。
540 :&color(green){&bold(){名無し募集中。。。}}:2009/08/05(水) 23:36:30.55 0
&color(blue){>>539 }
第116回
片付けをしてそれぞれ帰途についた。
くまいちょーと愛理は手を繋いで帰ってゆき、ももとみやもその少し後ろを歩いた。
そんなとき、「あの、」と声をかけられて振り返った。
そこには知らない女の子がいてみやと一緒に「はい?」と返事をした。
「□□女子高校ってこの近くって聞いたんですけど・・・」
「え?あぁ、それならここを右に曲がればすぐですよ?」
「よかったぁ、合ってるか自信なくて・・・ありがとう!」
「へ?あぁ、いや・・・」
その女の子はももの手を思いっきり握ってぶんぶんと振った。
・・・握力強すぎる。ってかなにもの!?
ももの視線に気付いたのか、その女の子は爽やかな笑顔を浮かべて言った。
「週明けから転校してくるんです!・・・あなた何年生?」
「3年・・だけど」
「同い年だ!よかったぁ、よろしね!」
「・・・う、うん。よろしく」
屈託がない、というか・・・なんというか。
圧倒されてしまったももは気のきいたことも言えずにペースに巻き込まれた。
嵐みたいな子・・・そんな風に思った。
◇
この子が、本当にいくつもの「嵐」を運んでくるとは、このときももたちは知る由もなかった。
494 :&color(green){&bold(){名無し募集中。。。}}:2009/08/05(水) 01:32:04.51 0
&color(blue){>>493}
第111回
愛理と清水の間に火花が見える。
清水の表情は少しずつ険しくなり、イラついているのがわかる。
愛理、負けるな!
「では、3人ではなくなったらいいのですか?」
「はぁ?」
「そう、一番少ない社会調査会の17人を上回ればいいのですか?」
「苦し紛れに無理なことを言うのはやめなさい。鈴木さん」
「あと14人ですよね、別に特別無理なことではありませんよ。」
「話になりません。今更そんなことしたって意味がない」
「なぜ?増やす努力をしようとしている生徒に意味がないってどうしてそんなこと言えるんですか?」
「新学期が始まってもう3ヶ月以上経った今、そんな見込みがないことは誰にだってわかる。
それよりも、今、すぐにでも部室を欲しがっている同好会に渡すべきです。
あなたがやっているのは先延ばしの時間稼ぎじゃないの。」
渡すべきって、意見を聞く姿勢じゃない。
なにが、一方的は好ましくない、だ。もう、決まってたくせに。
「・・・私、ある先輩に聞きました。清水会長の立会演説会の内容。」
「え?」
「夢のある、生徒全員が笑って楽しい学園生活を送れるような、そんな学校にしたい。
努力をしたり、汗を流したり、涙を流したり、そんな活気溢れる学校にしたい。
・・・私たち文芸部は努力しようとしています。懸命に汗を流そうとしています。
そんな私たちを、そうしたいと声高に語ったあなたが、見込みがないと切り捨て、見捨てるんですか?
それは・・・生徒会長としてどうなんですか?・・・・すいません、先輩に対して偉そうな事言いまして」
「・・・・それは」
愛理すごい・・・リサーチ力がすごい。あの清水を黙らせちゃった。
これはイケそう・・・?
495 :&color(green){&bold()名無し募集中。。。}}:2009/08/05(水) 01:32:46.26 0
&color(blue){>>494}
第112回
「夏休みまで、あと1ヶ月間時間を下さい。その間に部員を増やしてみせます。
・・・同好会の皆さんには申し訳ないですが私たちも必死なんです。
自分勝手な言い分かもしれないと自覚はしています。ですが、・・・時間を下さい、お願いします!」
愛理は立ち上がって深々と頭を下げた。
ももはちょっとびっくりしたけど愛理のマネをして頭を下げた。
なんだか会議室はざわついていて、ももたちが頭を上げると、
生徒会の人たちが集合して話し合いをしていた。
緊張が高まっていく。・・・ももたちは、どうなる?部室はどうなる?
くまいちょー!助けて!
後姿のくまいちょーに祈りながら、話し合いの終了を待っていた。
◆
「・・・お、おかえり」
「ただいま、みや」
「みや、ただいま・・・」
部室に帰ってきた2人。なんだかげっそりしたみたい・・・。
表情は暗く、・・・いい返事が聞けそうもない。
怖いな・・・でも聞かなきゃ・・・
「ど、、・・・どうだった?」
みやは小さな声しか出なかったけど、二人に問いかけた。
537 :&color(green){&bold(){名無し募集中。。。}}:2009/08/05(水) 23:33:21.26 0
&color(blue){>>495 }
第113回
「・・・やったの!やったよーみやー!」
「え?え?成功?」
ももが興奮してうちに飛びついてきた。
うちはそんなももを抱きとめて、愛理に声をかけた。
「うん!1ヶ月の猶予をくれたの、生徒会が!」
「よかった!ほんとよかった!・・・グス」
「・・・みや?」
感極まっちゃって涙がちょっと出た。抱き止めたももが上目遣いでうちを見た。
か、可愛い・・・ってそうじゃなくて!
「もう、2人とも暗い顔してたから!」
「えへへ、ごめん、びっくりさせようって、ね?」
「ね、ごめんってばみやー」
うちは2人によしよしと頭を撫でられて慰められた。
もう・・・でもよかった。安心した。
1人で待ってるのは辛かったんだもん・・・。
2人は意見交換会でのことを詳しく説明してくれた。
愛理とあの清水との言い合いはけっこう凄まじかったらしい。
清水は相当悔しそうな顔をしてたみたいだ。ちょっと見たかったかも。
愛理にああ言われた手前、ダメだと突っぱねることができなかったらしい。
ちなみに、その他の部にも建前上、猶予が与えられて、
1ヶ月後、再びこの会を開催する、ということで決着がついたようだった。
愛理って強いなぁ。と、年下なのにちょっと見直した。
いや、こうしてみんなで団結できてるのも全部愛理のおかげだ。
うちは何度も、ありがとう、と感謝した。
538 :&color(green){&bold(){名無し募集中。。。}}:2009/08/05(水) 23:34:08.19 0
&color(blue){>>537 }
第114回
「で、どうする?もう週明けからでも動き出さなきゃ間に合わないよ」
3人とも冷静になって、席に着いて作戦会議。
愛理も、みやもうーんと唸って考えている。
こういうときこそ部長がなんとか・・・なんだけど上手い考えが出てこない。
でもまた愛理頼りってのも情けないしなぁ・・・。
「とりあえず、チラシ作ろうよ。ざっと100枚・・・じゃ足りないな、200枚くらい」
「うん、まずは文芸部知ってもらわなきゃね」
「配って貼って・・・頑張らなきゃだね」
ももの提案に愛理が頷いてくれる。みやも。
「あ、それで・・・」
3人でいっぱい意見を出し合って、週明けからの活動計画をまとめた。
1.チラシ配布・掲示(今日中に作る)
2.校門や教室で積極的に勧誘する
3.部室を見せるなどの見学会
「大変だー、朝も早く来なきゃだね」
「うん・・・もも朝弱いんだよね」
「起こしに行くよ、愛理と一緒に」
「・・・頼んだ」
ももたちはさっそくチラシの作成にとりかかった。
文芸部って絶対暗いって思われてるからそのイメージを打破したい。
へたっぴでも書く楽しさとかそういうのを知ってほしい。
そんな気持ちをこめて、明るい印象を持ってもらえるチラシにしよう。
539 :&color(green){&bold(){名無し募集中。。。}}:2009/08/05(水) 23:35:01.85 0
&color(blue){>>538}
第115回
途中、くまいちょーも加わって(みやは複雑そうな顔をしてたけど)
ああだこうだ言いながら細部にまでこだわって
日が暮れるまで部室で、ももたちは「青春」していた。
実際必死なんだけど、でも、熱い感じが映画やドラマみたいでちょっと楽しい。
なんて口にできないけど、愛理やみやも同じじゃないのかな。
そう思いながら作業に没頭していた。
◆
「ところで、文芸部ってどういう小説とか書いてるの?」
チラシを作り終えて、みんなでジュースを飲んでいるとくまいちょーが聞いた。
「え、あぁ・・・うちはなんでもありなの。ちょっと待って・・・ええっとこれ」
ももは保管されている冊子の中から、去年の学園祭で発行したものを手渡した。
「・・・ほんとだ。詩に読書感想文に小説に・・・まぁ、いろいろあるねぇ」
くまいちょーはペラペラとめくりながら楽しそうに呟いた。
「なになに・・・『夏の思い出・夏焼雅』・・・夏は暑いな」
「ちょ!!!ストップ!!!返して!!」
みやが慌ててくまいちょーの手から冊子を奪い取った。
「は、恥ずかしすぎる・・・読まないでよもう!」
その慌てっぷりがおかしくて3人で噴出した。自分で書いたくせにー。
「愛理は?愛理が書いたヤツはないの?」
「あ・・・えっと、」
愛理が困った顔でももを見つめてくる。
あるにはあるが・・・恋人には決して見せられない内容で・・・。
「な、ないよ!今年はまだなにも発行してないから!」
「そうなんだ・・・残念。今年の学園祭で発行するヤツは見せてね?」
「は、はい・・・頑張ります」
ひきつった笑顔で言う愛理。
さっきの凛々しい愛理とは全然違ってこれもまた、面白かった。
540 :&color(green){&bold(){名無し募集中。。。}}:2009/08/05(水) 23:36:30.55 0
&color(blue){>>539 }
第116回
片付けをしてそれぞれ帰途についた。
くまいちょーと愛理は手を繋いで帰ってゆき、ももとみやもその少し後ろを歩いた。
そんなとき、「あの、」と声をかけられて振り返った。
そこには知らない女の子がいてみやと一緒に「はい?」と返事をした。
「□□女子高校ってこの近くって聞いたんですけど・・・」
「え?あぁ、それならここを右に曲がればすぐですよ?」
「よかったぁ、合ってるか自信なくて・・・ありがとう!」
「へ?あぁ、いや・・・」
その女の子はももの手を思いっきり握ってぶんぶんと振った。
・・・握力強すぎる。ってかなにもの!?
ももの視線に気付いたのか、その女の子は爽やかな笑顔を浮かべて言った。
「週明けから転校してくるんです!・・・あなた何年生?」
「3年・・だけど」
「同い年だ!よかったぁ、よろしね!」
「・・・う、うん。よろしく」
屈託がない、というか・・・なんというか。
圧倒されてしまったももは気のきいたことも言えずにペースに巻き込まれた。
嵐みたいな子・・・そんな風に思った。
◇
この子が、本当にいくつもの「嵐」を運んでくるとは、このときももたちは知る由もなかった。
581 :&color(green){&bold(){名無し募集中。。。}}:2009/08/06(木) 16:48:58.08 0
&color(blue){>>540 }
第117回
月曜日、案の定寝坊した!ってメールしてきたももを愛理と一緒に迎えに行った。
予定より5分遅れで学校に到着したうちらは部室に荷物を置いてチラシを手に
校門へと戻って生徒たちが登校してくるのを待った。
「よっしゃ、いっちょ頑張りますか」
うちが声を出すと2人とも頷いて頑張ろう、と声をかけてくれる。
朝の清々しい空気が気持ちいい。
夏の朝は何でこんなに澄んでいるんだろうなぁ。
・・・今年の文集にはこんなことを書いてみよう・・・。
頬を叩いてよし、と気合を入れて・・・・
うちらの戦い、2回戦が始まった。
◆
・・・予想してたけどそれ以上にしんどかった。
ほとんど受け取ってもらえない。街中でティッシュ配ってる人もこんな感じなんだろうか。
それでも頑張るしかない。必死とか、そういうの苦手だしかっこ悪いって思ってた。
でも、愛理やももを見てるとそういう自分が恥ずかしくて
しっかりやんなきゃって思えてくる。
途中、
「・・・無駄なことしてるヒマあったら勉強でもすれば?」
と清水に声をかけられて本気で殴ってやろうかと思った。
他の同好会の連中からも
「あんまり頑張らないで下さいねw」
とニヤニヤした顔で言われてめちゃくちゃムカついた。
・・・でも、怒ったら投げ出したら向こうの思うつぼだ。うちは懸命に耐えて笑顔を作っていた。
582 :&color(green){&bold(){名無し募集中。。。}}:2009/08/06(木) 16:50:24.35 0
&color(blue){>>581 }
第118回
中盤、ももは愛理とみやを残して校内の掲示板にチラシを貼りに行った。
もちろん、先生に許可は取ってある。くまいちょーが上手く言ってくれたらしい。
その途中もすれ違う子たちにチラシを配るのを忘れない。
「文芸部よろしくお願いしまーす」
「新入部員募集中でーす!」
なんて声をかけて。
1年生なんかは結構受け取ってくれるから脈があるといいんだけどなぁ。
愛理は友達が多いみたいだからその辺からもなんとか増えそうだけど・・・
・・・ももやみやには正直あんまり友達が(ry
こういうとき、もっと社交的になっておけばと後悔するけど、今更遅いんだよね。
2人とも、いつもあの部室にこもりっぱなしだったし・・・。
って落ち込んでる場合じゃない!
「あの、」
「はい?」
急に声をかけられてももはびっくりして振り返った。
そこにはなんだか可愛らしい子がいた。
「・・・あの、文芸部の方ですか?」
「え?あ、はい・・・もしかして入部希望者?」
ももはついテンションが上がっちゃってそんなことを聞いちゃう。
「え、えっと・・・夏焼雅先輩も、えっと・・・文芸部ですか?」
「ん?・・・そう、だけど?1年生?」
「はい!・・・あの、私入部します!」
「あ、ありがとう!!」
え?なに?なぜみやが・・・・?まぁ、とりあえず1人ゲット♪
603 :&color(green){&bold(){名無し募集中。。。}}:2009/08/07(金) 00:29:57.02 0
&color(blue){>>582 }
第119回
「愛理ー!!」
今朝の分を配り終えて、教室へ戻ろうと歩いていると
後ろから思いきり名前を呼ばれて振り返った。
「先輩!おはようございます」
「おはよう。・・・あのさ、この間言いそびれたことがあって」
「え?なんですか?」
「うち、入部するから」
「へっ・・・・えぇぇ!?本気ですか?」
「うん、そうすりゃよかったのにそういう方法をすっかり忘れてたよー」
「え、でも先輩は生徒会だから・・・」
「生徒会でも入部できるんだよ?」
「いいんですかほんとに?」
「うん、みんなすごく頑張ってるし、うちも応援してる。力になりたいんだ。
・・・だめかな?・・・あ、あと友達も2人くらいなら紹介できるよ」
「だめなんて・・・嬉しいです、先輩何から何までほんとありがとうございます!」
私は深々と頭を下げてお礼を言った。
やさしくて、かっこよくて、美人で、私を愛してくれる人。
私はとても幸せだった。もう言葉じゃ言い表せないほどの。
「・・・きっと会長は怒るんだろうけど、でも、あの人のやってること正しいって
思えないこともあるんだ。・・・だから、協力するから何でも言うんだよ?」
「はい!」
「よし、よかった。じゃあ、お昼休みに部室に行くね・・・またあとで」
先輩と別れて、教室へ戻る。
初日から、ほんと嬉しいことばっかり。みやとももにメールしとこう!
604 :&color(green){&bold(){名無し募集中。。。}}:2009/08/07(金) 00:30:39.16 0
&color(blue){>>603 }
第120回
お昼休み、部室へ行くとももと見たことのない子がいた。
誰だろ?まさか新入部員?そんな初日から出来過ぎたこと・・・
「あ、みや、この子新入部員」
「うそぉ!?」
「あ、あの、・・・よ、よろしくお願いします!1年の前田、前田憂佳です」
「は、はぁ・・・・よろしく。夏焼です」
背はうち同じかちょっと低いくらいかな?可愛らしい顔した・・・
ちょっとももに似てるような?そんな雰囲気の子。
なんでまた入部なんて?っていや入ってくれなきゃ困るんだけど、
初日のお昼休みに新入部員に会えるとは思わなかった・・・。
「どういう部か知ってるの?」
「はい!あ、えっと、毎年学園祭には冊子を発行してて・・・
普段は好きなこと書いて発表しあったり本を読んだり・・・ですよね?」
うちの質問に、この子はスラスラと答えた。
冷やかし・・・とかではなさそうだけど・・・。
「う、うん・・・まあそんな感じ。なんで入部しようって?」
「・・・あ、えっとそれは・・・その・・・た、楽しそうだったから!」
「そう?陰気臭いと思うんだけど・・・まぁいいや。とにかく、ありがとうね」
あまりにも嬉しそうに微笑むからうちの疑り深い部分がさっと消え去っていく。
うちは手を差し出して握手をした。
この子はちょっと恥ずかしそうに手を差し出してくれる。
「ももが連れて来たんだよ?えっへん!」
「はいはい、よかったよかった」
「もう感情こもってなーい!」
「そんなことないです」
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