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第91話~第100話」(2009/08/02 (日) 02:49:53) の最新版変更点

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249 :&color(green){&bold(){名無し募集中。。。}}:2009/07/30(木) 17:56:45.08 0 &color(blue){>>191 } 第91回 「・・・で、具体的にどうする?」 みやが腕を組んでそう言った。確かにそうだ。 愛理が味方になってくれた今、私たち文芸部3人はどうすればいいんだろうか。 「・・・うーん。とりあえず、もうすぐお昼休み終わるし、放課後でどう?」 「そうだね、そうしよう」 「私も考えるね」 ももの提案に2人は納得してくれて、頷いた。 ◆ ◆ ももの味方になるって決めて、この部室を守るんだって決めて、 なんだかもっとこの部と先輩2人と部室が好きになった気がする。 どうすればいいのか、どうすることがいいのか。 授業そっちのけで私はひたすらそのことを考えていた。 そして5時間目の授業も終わったころ、先輩からメールが届いた。 【一緒に帰ろうよ(^-^)b授業終わったらすぐ、帰れそう?】 ・・・メールが来るなんて嬉しいなぁ。と素直に喜んだけど 今日はちょっと無理かも。私は部活があることを返信した。 でもすぐに先輩は、待ってるからと返事を送ってきた。 それに今日は生徒会室で作業もあるとのこと。 私は嬉しくなって、楽しみにしています、と送り返した。 だけど・・・私の決定は先輩の立場とは逆の決定だから・・・。 生徒会と対立ってことになっちゃう。 先輩はなんて言うだろう?・・・・ううん、今はそれより どうするか考えなきゃ・・・どうしよう? 250 :&color(green){&bold(){名無し募集中。。。}}:2009/07/30(木) 17:57:27.81 0 &color(blue){>>249 } 第92回 「揃ったね、じゃあ、1人ずつどうするか聞かせてよ」 ももは部室に最後にやってきた愛理を見ると、そう言った。 愛理はカバンを机に置いて、いつものようにちょこんと座った。 「・・・私はね、意見交換会出るべきだと思うの」 「「え??」」 愛理がそんなことを言うのでうちも、ももも愛理に聞き返す。 「そりゃあんまり出たくないよ?でもさ、やっぱり部があってこその部室でしょ? ももは、部の存続をエサにココを取り上げる気だって思ってるじゃん?」 「ん、うん」 「そんなことさせなきゃいいと思うの。」 「へ?どういうこと?」 私は首を傾げてみやに説明を求めた。 「部の存続はもちろん、部室を取り上げさせないってこと。 私たちの人数が少ないのが問題なんでしょ?だったら増やせばいいじゃん」 「いや、愛理そんな簡単に言わないでよ」 うちは愛理の話を聞いて思わずそう言った。 「でも、勧誘活動あんまりしてなかったでしょ?」 「「うぅ」」 痛いところを突かれたかもしれない。 確かにポスター貼って1年生向けの部活紹介やってくらいだしな・・・。 でも、増えすぎちゃ困るでしょってことでうやむやにしちゃってたかも。 「増やすって言おうよ。何人いればいいのかわかんないけど・・・」 愛理は力強くそう言って私たちを見た。 1年生なのに愛理はすごいなぁ・・・・なんてうちは感心していた。 251 :&color(green){&bold(){名無し募集中。。。}}:2009/07/30(木) 17:58:35.08 0 &color(blue){>>250 } 第93回 「でも、待ってよあいりん。それ無駄とか言われたらどうする?」 愛理の提案も理解できるけど、あの生徒会長がはいわかりましたなんて そんなこと言うとは思えない。 「しかもあと10人とか言われても・・・無理じゃない?」 「もう!もも、今から無理とか言わないで。やってみなきゃわかんないよ」 「・・・うーん。・・・てかそんな人増えても、ここは入れないよ」 「みや、今そんな話じゃないでしょ?もう」 「ご、ごめん・・・」 「とにかく!出よう?そうするべき!」 愛理は結構強く出席を推している。 でも・・・「廃部にならないだけマシじゃない、所詮同好会レベルでしょ」って言われたら キレる。いや、絶対言われる気がする。 「じゃあももはどうしたいの?まさかずっと篭城する気? そんなの現実的に考えて無理でしょ?みやは?」 「う、うちは・・・・ごめんいい考え浮かばなかった」 みやはバツが悪そうに下を向いた。そんなことだろうとは思ったけど・・・・。 「もも言ったでしょ?戦おうって。篭城じゃ戦うことにはなんない。 私ね、戦うって決めたんだから徹底抗戦したいの。ね、出てちゃんと自分たちの主張しよう?」 「・・・・うん、でも」 決心がつかない。 「もも!」 愛理がもものことを大きな声で呼ぶ。叱責されちゃってる、2歳も年下の子に。 「・・・わかった、出よう」 ももは迷ってそう言った。愛理の強気な目に押されたから・・・・ううん、ちがう。 ・・・戦おうと言った自分が実は現実から逃げようとしていたと気付かされたからだった 264 :&color(green){&bold(){名無し募集中。。。}}:2009/07/31(金) 01:16:15.71 0 &color(blue){>>251 } 第94回 先輩と2人、手を繋いで駅まで歩いた。 10分もない距離だけれど幸せな時間だった。 「・・・・そっか、じゃあ愛理とは敵になんなきゃいけないのか」 「ごめんなさい。でも」 「わかってる。わかってるよ安心して」 先輩は優しい声でそう言って、私の髪を撫でた。 「・・・でも、ももはなんであの場所に拘るんだろうね?」 「さぁ・・・」 「そっか、まぁいいや・・・。」 さぁ、なんて。ほんとは、知ってるのに。ウソ、ついちゃった。 先輩は隠し事が嫌いだっていうのに・・・隠し事しちゃった。 でも、これはももの大切な秘密だから・・・言うわけにはいかない。 友理奈先輩、ごめんなさい。 愛理を許してください。と、心の中で小さく呟いた。 「じゃあ、行くね。また明日」 「はい」 「・・・どうしよう?朝駅まで迎えにこようか?」 「あ、いえ・・・朝はみやと一緒なんです」 「そっか。わかった。またメールするね」 「はい。・・・じゃあまた」 私たちは手を振って別れた。私は定期券で改札に入り、後ろを振り返る。 赤くなった空と、先輩がよく似合うっていうか・・・すごく綺麗。 すると、先輩は振り返って私に手を振ってくれた。笑顔はやっぱり美しい。 私はちょっと恥ずかしいけれど、嬉しくてたまらなかった。 265 :&color(green){&bold(){名無し募集中。。。}}:2009/07/31(金) 01:17:10.87 0 &color(blue){>>264 } 第95回 家に帰って、ベッドに倒れこむ。久しぶり・・・に感じる私のベッド。 先輩のより、ずいぶんと小さく感じる。 実は結局眠ってないからものすごく眠かったりして・・・。 着替えなくちゃ、とか、ママに話さなきゃ、とか、いろいろしなきゃいけないことはあるんだけど・・・ でも、身体が重くて動けない。一日くらい平気なんて思ってたけど 家に帰ってきて気がふっと抜けてしまったみたいだ。 「・・・寝ちゃダメだけど・・・寝ちゃおう・・・」 スカートがシワになる・・・とか思いながら私は目を閉じていった。 ◆ そして、私は夢を見た。 ももがあの話をしてくれたときの夢。 すごく辛い話で、ももも辛そうだった。 でも、聞いて欲しいってそう言ってたなぁ。 ももの部室への熱烈な愛着ぶりにも思わず納得せざるを得なかった。 そりゃ・・・そうだよね。とそう言いたくなるような・・・・。 私にはそんなエピソードめいた話はないけど・・・ももにはあるんだ。 ◆ ◆ 「愛理、全然楽しい話じゃないんだよね。それでもいい?」 「・・・うん。」 「ありがと。・・・もも、愛理のこと大切な後輩だって思ってるし、信頼してるから」 先輩とは思えないほど子どもっぽいももだけど、 このときばかりは大人びていてあぁ、年上なんだぁ・・・って感じさせられた。 部室に2人きり。 放課後だし、時間はいっぱいある。 ももの話は始まった。
249 :&color(green){&bold(){名無し募集中。。。}}:2009/07/30(木) 17:56:45.08 0 &color(blue){>>191 } 第91回 「・・・で、具体的にどうする?」 みやが腕を組んでそう言った。確かにそうだ。 愛理が味方になってくれた今、私たち文芸部3人はどうすればいいんだろうか。 「・・・うーん。とりあえず、もうすぐお昼休み終わるし、放課後でどう?」 「そうだね、そうしよう」 「私も考えるね」 ももの提案に2人は納得してくれて、頷いた。 ◆ ◆ ももの味方になるって決めて、この部室を守るんだって決めて、 なんだかもっとこの部と先輩2人と部室が好きになった気がする。 どうすればいいのか、どうすることがいいのか。 授業そっちのけで私はひたすらそのことを考えていた。 そして5時間目の授業も終わったころ、先輩からメールが届いた。 【一緒に帰ろうよ(^-^)b授業終わったらすぐ、帰れそう?】 ・・・メールが来るなんて嬉しいなぁ。と素直に喜んだけど 今日はちょっと無理かも。私は部活があることを返信した。 でもすぐに先輩は、待ってるからと返事を送ってきた。 それに今日は生徒会室で作業もあるとのこと。 私は嬉しくなって、楽しみにしています、と送り返した。 だけど・・・私の決定は先輩の立場とは逆の決定だから・・・。 生徒会と対立ってことになっちゃう。 先輩はなんて言うだろう?・・・・ううん、今はそれより どうするか考えなきゃ・・・どうしよう? 250 :&color(green){&bold(){名無し募集中。。。}}:2009/07/30(木) 17:57:27.81 0 &color(blue){>>249 } 第92回 「揃ったね、じゃあ、1人ずつどうするか聞かせてよ」 ももは部室に最後にやってきた愛理を見ると、そう言った。 愛理はカバンを机に置いて、いつものようにちょこんと座った。 「・・・私はね、意見交換会出るべきだと思うの」 「「え??」」 愛理がそんなことを言うのでうちも、ももも愛理に聞き返す。 「そりゃあんまり出たくないよ?でもさ、やっぱり部があってこその部室でしょ? ももは、部の存続をエサにココを取り上げる気だって思ってるじゃん?」 「ん、うん」 「そんなことさせなきゃいいと思うの。」 「へ?どういうこと?」 私は首を傾げてみやに説明を求めた。 「部の存続はもちろん、部室を取り上げさせないってこと。 私たちの人数が少ないのが問題なんでしょ?だったら増やせばいいじゃん」 「いや、愛理そんな簡単に言わないでよ」 うちは愛理の話を聞いて思わずそう言った。 「でも、勧誘活動あんまりしてなかったでしょ?」 「「うぅ」」 痛いところを突かれたかもしれない。 確かにポスター貼って1年生向けの部活紹介やってくらいだしな・・・。 でも、増えすぎちゃ困るでしょってことでうやむやにしちゃってたかも。 「増やすって言おうよ。何人いればいいのかわかんないけど・・・」 愛理は力強くそう言って私たちを見た。 1年生なのに愛理はすごいなぁ・・・・なんてうちは感心していた。 251 :&color(green){&bold(){名無し募集中。。。}}:2009/07/30(木) 17:58:35.08 0 &color(blue){>>250 } 第93回 「でも、待ってよあいりん。それ無駄とか言われたらどうする?」 愛理の提案も理解できるけど、あの生徒会長がはいわかりましたなんて そんなこと言うとは思えない。 「しかもあと10人とか言われても・・・無理じゃない?」 「もう!もも、今から無理とか言わないで。やってみなきゃわかんないよ」 「・・・うーん。・・・てかそんな人増えても、ここは入れないよ」 「みや、今そんな話じゃないでしょ?もう」 「ご、ごめん・・・」 「とにかく!出よう?そうするべき!」 愛理は結構強く出席を推している。 でも・・・「廃部にならないだけマシじゃない、所詮同好会レベルでしょ」って言われたら キレる。いや、絶対言われる気がする。 「じゃあももはどうしたいの?まさかずっと篭城する気? そんなの現実的に考えて無理でしょ?みやは?」 「う、うちは・・・・ごめんいい考え浮かばなかった」 みやはバツが悪そうに下を向いた。そんなことだろうとは思ったけど・・・・。 「もも言ったでしょ?戦おうって。篭城じゃ戦うことにはなんない。 私ね、戦うって決めたんだから徹底抗戦したいの。ね、出てちゃんと自分たちの主張しよう?」 「・・・・うん、でも」 決心がつかない。 「もも!」 愛理がもものことを大きな声で呼ぶ。叱責されちゃってる、2歳も年下の子に。 「・・・わかった、出よう」 ももは迷ってそう言った。愛理の強気な目に押されたから・・・・ううん、ちがう。 ・・・戦おうと言った自分が実は現実から逃げようとしていたと気付かされたからだった 264 :&color(green){&bold(){名無し募集中。。。}}:2009/07/31(金) 01:16:15.71 0 &color(blue){>>251 } 第94回 先輩と2人、手を繋いで駅まで歩いた。 10分もない距離だけれど幸せな時間だった。 「・・・・そっか、じゃあ愛理とは敵になんなきゃいけないのか」 「ごめんなさい。でも」 「わかってる。わかってるよ安心して」 先輩は優しい声でそう言って、私の髪を撫でた。 「・・・でも、ももはなんであの場所に拘るんだろうね?」 「さぁ・・・」 「そっか、まぁいいや・・・。」 さぁ、なんて。ほんとは、知ってるのに。ウソ、ついちゃった。 先輩は隠し事が嫌いだっていうのに・・・隠し事しちゃった。 でも、これはももの大切な秘密だから・・・言うわけにはいかない。 友理奈先輩、ごめんなさい。 愛理を許してください。と、心の中で小さく呟いた。 「じゃあ、行くね。また明日」 「はい」 「・・・どうしよう?朝駅まで迎えにこようか?」 「あ、いえ・・・朝はみやと一緒なんです」 「そっか。わかった。またメールするね」 「はい。・・・じゃあまた」 私たちは手を振って別れた。私は定期券で改札に入り、後ろを振り返る。 赤くなった空と、先輩がよく似合うっていうか・・・すごく綺麗。 すると、先輩は振り返って私に手を振ってくれた。笑顔はやっぱり美しい。 私はちょっと恥ずかしいけれど、嬉しくてたまらなかった。 265 :&color(green){&bold(){名無し募集中。。。}}:2009/07/31(金) 01:17:10.87 0 &color(blue){>>264 } 第95回 家に帰って、ベッドに倒れこむ。久しぶり・・・に感じる私のベッド。 先輩のより、ずいぶんと小さく感じる。 実は結局眠ってないからものすごく眠かったりして・・・。 着替えなくちゃ、とか、ママに話さなきゃ、とか、いろいろしなきゃいけないことはあるんだけど・・・ でも、身体が重くて動けない。一日くらい平気なんて思ってたけど 家に帰ってきて気がふっと抜けてしまったみたいだ。 「・・・寝ちゃダメだけど・・・寝ちゃおう・・・」 スカートがシワになる・・・とか思いながら私は目を閉じていった。 ◆ そして、私は夢を見た。 ももがあの話をしてくれたときの夢。 すごく辛い話で、ももも辛そうだった。 でも、聞いて欲しいってそう言ってたなぁ。 ももの部室への熱烈な愛着ぶりにも思わず納得せざるを得なかった。 そりゃ・・・そうだよね。とそう言いたくなるような・・・・。 私にはそんなエピソードめいた話はないけど・・・ももにはあるんだ。 ◆ ◆ 「愛理、全然楽しい話じゃないんだよね。それでもいい?」 「・・・うん。」 「ありがと。・・・もも、愛理のこと大切な後輩だって思ってるし、信頼してるから」 先輩とは思えないほど子どもっぽいももだけど、 このときばかりは大人びていてあぁ、年上なんだぁ・・・って感じさせられた。 部室に2人きり。 放課後だし、時間はいっぱいある。 ももの話は始まった。 345 :&color(green){&bold(){名無し募集中。。。}}:2009/08/02(日) 02:38:18.79 0 &color(blue){>>265 } 第96回 あのときは思い出したくないくらい最悪だった。 いつから始まったのか、今は思い出すことすらイヤだからわからない。 学校に着いて上履きがないことは日常茶飯事だった。 机がないことも珍しくなかった。 気付いたらお弁当はゴミ箱の中に捨ててあった。 教科書は言いたくもない言葉で埋め尽くされていた。 「お前辛気臭い顔でむかつく」 ももは何も悪いことなんかしてない。 ただそれだけの理由で最悪な目にあった。 先生は何もしないし気付いてもいなかった。 いやそういうフリをして見過ごしていたのか。 それは今じゃわからないし、わかったところでどうしようもないのだけど。 だから大人は嫌いだった。 自分を助けてくれない大人が大嫌いだった。 親すらももに興味がなくて聞くことと言えば成績のことだけだった。 学校で何が起きているのか話してもきっと 「お前に原因があるんじゃないか。そんなのは無視して勉強しろ」 こんな風に言うだろうと思った。そういう人だった。 だから話そうと思わなかった。 でも学校に行く、ということから逃げることも出来なかった。 346 :&color(green){&bold(){名無し募集中。。。}}:2009/08/02(日) 02:38:59.34 0 &color(blue){>>345 } 第97回 たまに幼馴染に会うと無理に笑顔を作って心配をかけまいとした。 単純な幼馴染はそれを信じて「早く同じ高校に行きたい」なんて言っていた。 ウソをつくのは辛かったけどどうしようもなかった。 ウソを塗り重ねて何が本当なのかもよくわからなかった。 いつだったか、何でも話して欲しいと言われたことがあったっけ。 それで傷つけて泣かせたことがあったっけ。 たった一人の幼馴染なんだからって。 でも、違う。たった一人の幼馴染で大切な人だから言えなかった。 言わないことも優しさなんだと思っていた。 実際どうだったかなんてわかりゃしないんだけど。 日々の生活は息が詰まりそうだった。 中学までは毎日ニコニコして笑顔ですごく楽しかったのに。 それまでの生活とは一変していた。 347 :&color(green){&bold(){名無し募集中。。。}}:2009/08/02(日) 02:39:39.71 0 &color(blue){>>346 } 第98回 6月のある晴れた、暑い、夏の到来を感じさせるような天気の日。 息が詰まって辛くて・・・・明るい太陽は嫌いで。 ももは屋上のフェンスの外側に行ってそこに座っていた。 下はアスファルト。落ちれば確実に逝くことができる。 早く楽になりたかった。死ぬことは怖いことじゃなかった。 逃げた、弱虫と言われてもいいから早く楽になりたかった。 そんなとき、 「何してるの、そんなところで」 妙に甲高いアニメみたいな声がして振り返ると、見覚えのない人がそこにいた。 「別に。ってか誰?」 下を向いて答えた。足は空中に飛び出していてぶらぶらとしている。 アスファルトが黒光りしていた。 「別にってねぇ・・・実習生の石川って言います。知らない?」 「知らない」 「あ、じゃあ1年生?あたし3年生のクラスの担当で授業は2、3年生しかやってないから」 「ふーん・・・大学生なんだ。大学って楽しい?」 「楽しいよ。」 「どんなとこが?」 「うーん、経験してみないとわからない、ことかな」 「意味わかんない」 「じゃ、こっちに来たら教えてあげる」 その人はフェンスの内側から手招きをした。 振り返ってよく見ると浅黒い肌の人で可愛らしい顔をしていた。 348 :&color(green){&bold(){名無し募集中。。。}}:2009/08/02(日) 02:40:27.07 0 &color(blue){>>347 } 第99回 「行かないよ、もも、死ぬの」 「もも?ももって名前なの?」 「そうだよ。今、先生の前で死んであげるから」 「何で死ぬの?人生に疲れた、とか?」 「・・・学校も家も楽しくない。息が詰まって死んじゃう前に死ぬの」 「学校、なんで楽しくないの?あたし楽しい思い出しかないや」 「ももと先生は違うってことだね。話は終わり?じゃあ、ね」 ももは立ち上がった。フェンスを後ろ手に掴んで落ちるタイミングを計る。 「ま、待って!楽しくないなら、楽しくなるように努力しようよ。 何もしてないのに楽しくない、なんてそんなのってだめでしょ」 「先生にはわかんないんだよ。ただそれだけ。大人って嫌い。」 「待って!・・・ももちゃん、ゴメンあたしウソついてた。あたしも学校楽しくなかった!」 「え・・・?」 先生の声が届いてももはフェンス越しに先生を見た。 必死な顔をしていた。・・・当たり前か。 「肌黒いでしょ?あたしって。それでいじめられてあなたと同じ場所に座ったことがあるの! でも、怖くて出来なかった。勇気がなかったの。そんなとき、あるものに出会って それであたしの人生変わったの、楽しくなった。学校が好きになった。 ・・・あなたも努力すれば、自分から動き出せばなにか変わるはずだから、 だから変なこと考えないで・・・こっちに来なさい」 長ゼリフは棒読みっぽくてウソなのか真実なのかわからない。 349 :&color(green){&bold(){名無し募集中。。。}}:2009/08/02(日) 02:41:08.84 0 &color(blue){>>348 } 第100回 「・・・・・・それもウソ?」 「この状況でウソつくほど役者じゃないよ」 「だよね」 「ももちゃん、先生はただの大学生だし偉そうなこと言うつもりないしそんな資格もないよ。 でも、あなたを救いたいと思ってる。手始めに話をしてよ、なんで楽しくないのか聞かせて?」 「・・・・・・」 先生はももの知ってる大人とは違った。 本音でぶつかってくれてるとそう思った。 今で十分どん底だから、 この人に騙されててもこれがウソでもこれ以上落ちる事はないと思った。だから・・・ いっぱい悩んで悩んで、ももはフェンスの内側へ移動した。 泣きじゃくっていた。嬉しかったのか怖かったのか悔しかったのか どれも正しくないような気がする。わけのわからない理由で泣きじゃくった。 泣き止んで、先生に話をした。 今自分がどういう状況にあるのか。 先生はももと同じように泣きながら話を聞いてくれた。 抱きしめてくれて「辛かったね」と言ってくれた。 どこかで見たようなくさいドラマにように思えたけど でも、嬉しかった。全部が敵だと思っていたのに、そうじゃなかった。 それだけで嬉しかった。 先生が実習の間は、放課後時間を作ってもらって屋上で話を聞いてもらった。 そんなある日、先輩がある場所へ連れて行ってくれた。 それがももと部室との出会いだった。

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