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「第71話~第80話」(2009/08/02 (日) 01:45:00) の最新版変更点
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819 :&color(green){&bold(){名無し募集中。。。}}:2009/07/23(木) 01:36:37.76 0
&color(blue){>>818 }
第71回
ふとあの笑顔と他の子たちが頭に浮かぶ。
悔しい。ももちはうちの幼馴染なのに。うちのたった一人の友達・・・
ももちだってそうだと思ってた。勝手にそう思ってた。
でも、そうじゃなかったんだね。
何でも知ってるつもりだったのに、何も知らなかった。
何でも話してくれていると思っていたのに。信じていたのに。
・・・ほんとバカみたいだ。
そう思うと、涙がぶわぁっと溢れてきて止まらなくなって。
それでも帰らなきゃいけなくて必死で歩いた。
「・・・ここどこ?」
なのに、道に迷った。全く見覚えのない場所。
どうしよう。帰れない。ママに怒られちゃう。
はぁ・・・はぁ・・・なんか身体が熱い・・・ふらふらする。
「くまいちょ?」
そんな時、声がした。聞きたくて聞きたくなかった声。
暖かい柔らかい声。そして、ちょっと甲高い特徴的な声。
「どしたのこんなとこで!」
「・・・はぁ・・はぁ・・・グス」
「泣いてるの?どうしたの?ちょ、もう帰るよ、ほら、こっち」
「・・・ばか、ももちのばか、グスッ」
「はぁ?もうわけわかんない」
「・・・だって、約束」
「え?遊ぶ約束?それ、明日じゃん?」
「違う、今日だもん」
「そうだっけ?ごめんごめん、あ、それで泣いてるの?もう可愛いんだから」
「うるさい!ばか!ももちのばか!」
「ばかばか言わないでよーもう。ほら、ここ曲がるよもうすぐだから」
820 :&color(green){&bold(){名無し募集中。。。}}:2009/07/23(木) 01:37:20.94 0
&color(blue){>>819 }
第72回
手を引かれて歩く。
ほんとは拒否したい気持ちもあった。
でもできなかったのはなんでだろう。
◆
家に着くと、ママがものすごく心配していてくれて
すぐにお風呂に放り込まれ、ベッドに押し込まれた。
お医者さんまで来てなんだか大げさなことになっていた。
ももちはベッド脇にいて、うちのことをじっと見ていた。
「ばか、熱出しちゃって」
「・・・うるさい」
「もう、ってごめんね。ももてっきり明日かと」
「・・・・・ねぇ、あの2人誰?」
「2人?・・・あぁ、なに見てたの?」
「・・・・・・・」
「友達、学校の。」
「知らなかった」
「言ってないもん」
「・・・なんでも言ってくれると思ってた」
「あれ、ヤキモチ?可愛いなぁ」
「・・・・・・ばか!」
「えへへ、ごめん。最近仲良くなったんだ。それだけ」
「・・・そっか」
「でも、嬉しいなぁ。くまいちょーが嫉妬してくれるなんて」
「しっと?」
「ヤキモチのこと。」
「だから違うもん!」
「ももがそんなに好きかーそうかー!」
ももちはうちの髪をくしゃくしゃにして撫でた。
恥ずかしさを隠すために抵抗した。でもきっと顔は赤いんだろう。
821 :&color(green){&bold(){名無し募集中。。。}}:2009/07/23(木) 01:41:00.71 0
&color(blue){>>820 }
第73回
「ちょ、もうや、やめてよ!」
「うふふ・・・まぁ、今日は許してあげる・・・あ、そうだ。」
「ん?」
「なんでも話すって言ってもさ、そのなんでも、がももとくまいちょじゃ違うかもしれないんだよね。」
「え?」
「・・・だから、その、ごめん。約束のこともだけど・・・ちゃんと話してなくて。
ももたち、友達・・・なのにさ。ううん、たった一人の幼馴染なのに。」
ももちは申し訳なさそうな顔をして俯いて、カバンを持って立ち上がる。
「ね、なんで嫉妬するか知ってる?」
「え?」
「好きだから、その人のこと独占したい!って思うから嫉妬するんだよ
ママがそう言ってたの。・・・だから、もも嬉しかったよ。
・・・今日はゴメンねほんとにごめん。おやすみ」
ももちはそう言うと部屋を出て行った。
「・・・お、おやすみ、ももち・・・」
なんだかドキドキした。
なんでだろう。
なんで、なんだろう。
独占?・・・したくてたまらない。
このドキドキともやもやした感じはなんだろう。
幼いうちにはそれが恋だって気付くのに少し時間が必要だった。
823 :&color(green){&bold(){名無し募集中。。。}}:2009/07/23(木) 01:48:49.03 0
&color(blue){>>821 }
第74回
愛理ちゃんは黙って話を聞いていた。
話の途中、何も言わなかった。
怒ったり、泣いたり、そんなこともあるかもしれないと思ったけど。
そんな風に取り乱すことはなかった。
それでも、話し終えると愛理ちゃんは口を開く。
「ってなことがあったんだよね、懐かしい」
「先輩・・・もものこと・・・」
「まぁ、昔の話だから・・・それに隠したくないんだ。」
「あの、」
「ん?」
「嬉しいです・・・話してくれて嬉しいから、だから・・・続き、ありますよねこれ」
「・・・うん、ある。ちゃんと話すよ。」
「はい、お願いします。」
眠気は吹っ飛んでいるし、朝までまだまだ時間がある。
うちはゴクリとツバを飲み込んでから話を始めた。
愛理ちゃんは緊張したような顔でうちの顔を見つめている。
きっと話の想像はついているだろう。
ある種の諦め、期待、不安、そんなことも読み取れるような表情だ。
ゆっくりと話そう。
13 :&color(green){&bold(){名無し募集中。。。}}:2009/07/25(土) 01:44:37.23 0
前スレ823
第75回
小学校を高学年にもなると「好き」だという感情がどんどん溢れてきて
それを自認して自分がオトナになっていくような錯覚があったんだ。
でも、それと同時にずっと一緒にいると気恥ずかしくなった。
ちょっとしたことに意識しちゃって上手く話せなかった。
だから、必然的に友達が増えて一緒の時間はどんどん短くなっていた。
ももちも、ももちで友達はたくさんいたようだし、昔のような
半ば依存的な、そんな関係はなくなりつつあった。
寂しいなと思うときもあったけど、友達がいればそんなことも考えなくなっていた。
そしてそんな関係のまま、ももちは中学校へ進学した。
・・・想像以上に寂しかった。
生活のリズムが少しずつ違って、それこそほとんど会えなくなって。
でも面と向かって会いたいとも言えず、気まぐれに、遊びに来てくれるのを待っていた。
たまに遊んでくれるとめちゃくちゃ嬉しかった。
結局、うちはその寂しさに負けて、両親が勧めてくれていた
私立中学へは進学せず、地元の、ももちがいる中学へ進学した。
・・・とは言っても、会える機会はそう増えるわけではなかったのだけど
毎朝一緒に学校へ行く、それだけで嬉しかった。
帰りはバラバラだから、昨日あったことをいっぱい話して、ももちの話も聞いて
すごく幸せな時間だった。だから、遅刻なんてほとんどしなかった。
まあ、ももちが遅刻しちゃうことは多かったんだけど。
14 :&color(green){&bold(){名無し募集中。。。}}:2009/07/25(土) 01:45:44.68 0
&color(blue){>>13 }
第76回
そして2年近くが経って、ももの卒業式が近づいていたある日のこと。
うちはももに気持ちを伝えようと思っていた。
中学に上がったももと会える時間が減っただけで辛かった。
高校へ行くとなるときっともっともっと会えなくなる。
・・・だから、気持ちを伝えてこの胸の苦しさをさっぱり忘れようと思っていた。
自信がなかった。自分なりにそれとなくアピールをしてたつもりだけど
ももちは全然気付いていないようだったし、ももちは恋愛ごとには興味がなさそうだった。
ずっとそんな雰囲気だったものだから、自信なんて全然なかった。
うちは、午前で学校の終わる日、ももを中学校の空き教室へ呼び出した。
3月なのにすごく冷える日だったと思う。空き教室で勝手に暖房を入れることは出来ないから
寒さに震えながら、白い息を吐きながら、ももを待っていた。
そして今日は、ももの15回目の誕生日だった。
◆
ガラガラ、と引き戸の開く音がしてドアを見るとももちが同じく白い息を吐きながらやってきた。
白い頬が赤く染まっている。すごく寒いんだろうなぁ。
「くまいちょ?どした?」
「あ、うん、まあ座ってよ」
「う?ん・・・」
ももちを呼んで、近くの席に座ってもらった。
しんと静まり返った教室の中、外からは微かに生徒たちの声が聞こえてくる。
うちは、ゴクリと息を飲んで話し始めた。
結果は、・・・・まさに玉砕ってヤツで。
きょとんとした顔をして「え?」って言った後、
戸惑いながらももちはごめんねと繰り返した。
15 :&color(green){&bold(){名無し募集中。。。}}:2009/07/25(土) 01:46:27.16 0
&color(blue){>>14 }
第77回
「ごめん、あの、・・・ごめんね?」
立ち上がったももちはイスに座っているうちの頭を撫で撫でした。
小さな可愛らしい手がうちの髪をなでる。
「・・・いいよ、わかってた」
「あー・・・うん」
ももちはそれ以上何も言わなくて、誕生日プレゼントも渡し損ねて
うちの心はぼろぼろになって、ももとはまともに会話も出来なかった。
なんて最悪な日だっただろう。
忘れるためにと言っておきながら結局傷ついて忘れることすら出来なかった。
理由をちゃんと知りたかった。でも、聞けなかった。
聞いたところでもっと傷つくかもしれなかったから。
◆
中学の最後1年、たくさん思い出も作ったし楽しかったけど
何かが抜け落ちているような、そんな喪失感でいっぱいだった。
ももちとは完全に生活のリズムが違ってて会うことすらもままならなくて
たまに会っても、なんとなくぎこちなかった。
でも、ももは笑顔でうちも笑顔を作って・・・・。
そして、うちはももと同じ高校を選んで進学した。
ぎこちなくたって、それでもいい。それでもいいから、少しでも会いたい、
それがうちの願いだったんだ。
高校へ入学すると、ももとの距離は縮まった。
いや、戻ったって言うべきなのか。小学校のときのような
なんていうか・・・無邪気な感じでももと接することができるようになった。
ももも、ぎこちない感じがなくなって自然体で話してくれるようになった。
なんとなく、笑顔の回数も増えたような、そんな印象だった。
16 :&color(green){&bold(){名無し募集中。。。}}:2009/07/25(土) 01:47:09.61 0
&color(blue){>>15 }
第78回
告白があって、1年すっぽり抜け落ちて、だからこそ、またもとの幼馴染に戻れた。
この頃には、ももが好きという感情より一緒にいて話したい、遊びたい
そんなそれこそ小学校のときみたいな感情でいた。
ももは告白なんてなかったかのように振舞うからちょっと辛い気持ちもあったけど
それがももなりのやさしさなのだと思って、うちからも何も言わなかった。
そんな関係がずっと続いている。
そして、うちは愛理ちゃんに出会った。
6年間の片思い。実らないってわかってる片思い。
でも、6年もかかった。だから、会ってすぐに好きになるなんて思わなかった。
自分で自分にビックリした。でも、好きだって気持ちは抑えられなくて
今こうしてベッドの中でこんな話をしてる。
だけど実は今朝までずっと迷っていた。
でも、今朝・・・「うちはももが・・・」そう言ったら
ももちは「先に進んで欲しい」って言ったんだ。
だから、うちは決断した。
愛理ちゃん、ごめん。つまらない話かもしれないけど
でも聞いていて欲しかったんだ。ありがとう、ちゃんと聞いてくれて。
◆
「愛理ちゃん、もっともっと君を知りたいし、好きになりたい」
目を見て言うのは恥ずかしいけど、でもちゃんと言わなきゃ。
「・・・先輩、嬉しいです・・・ちょっとショックだけど」
愛理ちゃんは下を向いた。
うちはその顔を覗き込む。すると、愛理ちゃんが上を向いて
唇に柔らかい感触を感じた。
暖かい感触だった。
話してよかった、心底そう思った瞬間だった。
54 :&color(green){&bold(){名無し募集中。。。}}:2009/07/26(日) 02:31:28.23 0
&color(blue){>>16 }
第79回
明け方、空がどんどん明るくなっていくのが窓から見えた。
私たちはベッドの中で他愛もない話を、とても大切な話をした。
私たちの間にあった、ぽっかりと空いていた心の距離ってものが
すごく近くなったような、そんな気がする。
ショックだったし、辛かったけど、その分嬉しかった。
もっともっと先輩のことを好きになった。
先輩はもものこと6年も好きだった。
絶対越えてみせる。時間じゃなくて、思いの量で。
もっともっと好きになってほしいから・・・。
私は先輩の腕の中にいた。
ベッドに寝転んだまま、なんとなく、すっと引き寄せられて抱きしめられている。
みやは襲われちゃうかも?なんて言ってたけど・・・
私はこれでも精一杯で。ものすごく恥ずかしいんだよ。
先輩の柔らかい身体に全部包み込まれているような、そんな気持ちで、暖かい。
「愛理ちゃん、あのさ」
「あ、・・・呼び捨てしてください」
「え?」
「愛理って呼んで欲しいなぁ・・・なんて」
「じゃあ愛理ちゃんも下の名前で呼んでよ」
「えぇ・・・えっと・・・ゆ、友理奈先輩?」
「先輩はなくてもいいけど・・・まあいいよ。」
「じゃあ、愛理って」
「・・・うぅ、ちょっと恥ずかしいなぁ」
顔はものすごく近いから、先輩の顔が真っ赤になってるのがわかる。
可愛いなぁ。こういうところがすごく好き。
55 :&color(green){&bold(){名無し募集中。。。}}:2009/07/26(日) 02:32:55.31 0
&color(blue){>>54 }
第80回
「先輩ー」
「・・う、うん・・・あ、あ、・・・あい、り」
「・・・・・・・」
「ど、どうしたの!?」
「う、うれしいなって思って・・・もう一度!」
「うー・・・・あ、愛理」
「えへへ・・・」
眉が下がっているのが自分でわかる。だらしない顔してるんだろうな。
でも、それ以上に幸せそうな顔だとも思う。
「だめ」
「え?」
「可愛すぎる・・・」
「ほえ?」
「・・・・好き過ぎるんだ、ほんと」
先輩が私をぎゅーっと抱きしめた。心地よい感触。
私は先輩に身を委ねた。私たちはそのまま、そうやって過ごした。
恐ろしく幸せな、一日だった。
◆
「みやなんかのどこがいいの?」
「全部」
「・・・そうやって真顔で言われると照れる以上に怖いんだけど」
「なにそれ、褒めてんのに」
ももに引っ張られてバイト先の喫茶店に来た。
美味しいパフェがあるお店で、ももと1つずつ注文して食べながら話す。
告白した側と、された側とは思えない会話・・・。
でも、これがうちらっぽいんだと思う。
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