「第151話~第160話」の編集履歴(バックアップ)一覧に戻る

第151話~第160話 - (2009/09/07 (月) 07:54:03) のソース

153 :&color(green){&bold(){名無し募集中。。。}}:2009/08/20(木) 01:43:30.43 0
&color(blue){>>74 }
第151回 

朝、愛理と電車に乗ったら・・・えっと名前が出てこない、いや、知らない、 
派手な特徴のある顔の子が先に乗っていて、愛理はそっちへ行ってしまった。 
そうそう簡単に許してはくれないだろうなぁ・・・。なんて思いながら、向かいの席に座った。 
座ったら、向かいのなんだか派手な顔の人にずっと睨まれているような・・・怖い怖い。 

で、結局寝てしまい、起きたら終点にいた。慌てて戻って早く家を出ていたから遅刻はしなかったけど、 
文芸部の勧誘活動には参加できなかった。ってまあまだ正式に入部してないし、 
あんま負い目に感じることもないとは思うんだけど、でも、愛理に格好がつかない。 
お昼休みは絶対に部室に行かなきゃ・・・。愛理にも機嫌を直してもらわなきゃ。 

お昼休みになって、教室を出て階段の方へ曲がろうとしたら人にぶつかった。 
正面衝突。 
お昼休みは人通りが多いから気をつけなきゃいけないのにぼーっとしちゃってたなぁ。 

私はビックリして仰け反る。ん?この子外人さん? 
と思うほど、日本人らしからぬ風貌の女の子が目の前にいる。 

「ご、ごめんなさい!」 
「いや、こっちこそごめん」 

向こうが先に謝ってくれて、私も慌てて謝り返した。 

「ん?・・・あれ?」 
「・・・・?」 

すると、その子は私の顔をじっと見つめてくる。んー?私のこと知ってるのかな? 
背は私よりちょっと高いかな、スタイルのいい人だなぁ・・・・。 


154 :&color(green){&bold(){名無し募集中。。。}}:2009/08/20(木) 01:45:48.46 0
&color(blue){>>153 }
第152回 

「・・・まい・・・み?」 
「え?私のこと知ってるんですか?」 
「やっぱり舞美!?・・・だと思った!全然変わってないね!」 
外人さん風の人は笑みを見せて、嬉しそうに私の手を取った。 
あれ?・・・思い出せない。こんな人知ってたかなぁ? 

「えりかだよ!覚えてない?ほら、小学校のときよく遊んだよ?」 
「・・・えりか?・・・・あ!えり!?」 
「そう、その梅田えりかだよ。え、待ってなんで舞美がこの高校に?学年にいなかったはずだけど・・・」 
「転校してきたの、昨日」 
「えぇー!そうなんだ!舞美ほんと変わってないや」 
「えりは美人になったねーびっくりしちゃった!」 

ももとえりとはよく遊んだ仲で、とても懐かしい。えりも同じ学校だったなんて、これはすごい偶然かも! 
でも、ももは何も言ってなかったな・・・。まぁ、いいや!いやー嬉しい! 

結局、えりとお昼ご飯を食べることになって文芸部のことはすっかり頭の隅っこに移動していて 
懐かしさから随分と話し込んでしまった。えりの中身はほとんど、いや全く変わっていなくて安心した。 
外見はちょっとなんていうかギャルっぽいけど・・・えりは、えりで安心した。 
舞美も一緒だねって言われてちょっと悲しかったけど・・・。 

そして、お昼休みが終わって授業が始まる前、愛理のことを思い出したけれど 
もう時既に遅くて、いい加減ヤバイ・・・と思い始めるのだった。 


258 :&color(green){&bold(){名無し募集中。。。}}:2009/08/23(日) 02:27:56.49 0
&color(blue){>>74} 
今朝も、そして昨日の朝も校門の前はやけに騒がしかった。 
理由は文芸部だ。なんでも、部員を募集してるらしい。 
部室がなくなりそうだから、とかなんとか無理やり押し付けられたチラシに書いてあった。 
同学年の・・・派手な顔してる子・・・名前忘れちゃったな。変わった名字だったはずだけど・・・が、 
お願いします、なんて言ってた。で、今朝ビックリしたことがあった。 

「熊井・・・ちゃん?」 
「まーさ!おはよ」 
「なにしてんの」 
「なにって、・・・勧誘活動?」 
「なんで私に聞き返すの。あれ、熊井ちゃん生徒会は?」 
「生徒会に入ってても部活動はできるんだよ。ちょっと大変だけど」 
「そう・・・まあ、頑張って」 
「ありがと、じゃああとでね」 
「うん」 

校門でチラシを配る熊井ちゃん、こと私のトモダチが登校してきた私に気付いて 
近寄ってきた。なんだかニコニコしちゃって、楽しそうだ。 
生きがいでも見つけたおじいちゃんみたい、いや、おばあちゃんか。 
ってその例えはどうかと思うけど・・・まあとにかく楽しそうでなにより。 
私はそんな熊井ちゃんの後ろ姿を見つつ、校舎へと吸い込まれていった。 
◆ 
一時間目が始まるまでのちょっとした休み時間、熊井ちゃんが私の机までやってきた。 
熊井ちゃんは、私の机の目の前に立って小さな声で言った。 
「まーさ、文芸部入ってくれない?」と。 
「・・・・・はぁ!?」 
私は思わず、大きな声で聞き返した。 


259 :&color(green){&bold(){名無し募集中。。。}}:2009/08/23(日) 02:28:43.18 0
&color(blue){>>258} 
第152回(前回が151でした) 

「ちょ、まーさ声でかい!」 
熊井ちゃんは一斉にコチラを向いたクラスメイトを見て私を注意した。 
って別に隠すことでもないよ、熊井ちゃん。 
「あ、ごめん・・・ってなんで?」 
「いや、・・・だめ?」 
「だめ?じゃなくて・・・」 
「部員足りないんだよね、まーさにしか頼めないんだよ、お願い!」 
熊井ちゃんは手を合わせてお願い、と言う。 
「いや、文芸部とか興味ないもん」 
「でも、まーさ、マンガ好きでしょ?」 
「いや、文芸部とマンガ関係ないもん。それに群れるのヤなんだよね。 
だからマンガ研究部にも入ってないの。一人の方が楽だし」 
「まーさー・・・・親友が困ってるのにぃ」 
「でも・・・」 
「とりあえず入部してみよ?別に勧誘に参加しろとか、そんなの全然思ってないし! 
頭数が揃わないとだめなんだよー。まあ言っちゃえば幽霊部員でもアリだし!」 
「・・・・愛理ちゃんがいるから、入部したの?」 
「ま、あ・・・・うん。でも、それだけじゃなくて、生徒会もひどいんだ。それで」 

熊井ちゃんが話を続けようとしたところで先生が入ってきて話は中断した。 
あとでね、と熊井ちゃんは言って机へと戻っていった。 
・・・文芸部ねぇ。 

頼られるのは嫌いじゃない。熊井ちゃんのためなら何かしてあげようって気にもなる。 
でも・・・・1年生、鈴木愛理は好きじゃない。 
理由は、熊井ちゃんを盗ったから・・・・に、他ならない。 


327 :&color(green){&bold(){名無し募集中。。。}}:2009/08/25(火) 00:30:51.30 0
&color(blue){>>259} 
第153回 

「ね、おねがい!まーさ」 
1時間目が終わって、次の休み時間も熊井ちゃんはやってきて 
ひとしきり生徒会への不満を小声でぶちまけると、私に手を合わせた。 

「・・・・んー」 
「頼むよぉ」 
「一個質問」 
「お、なに?」 
「その、部長さん、えっとももち?だっけ?その人なんでそんなに部室にこだわってんの?」 
「・・・うーん、うちも詳しくは・・・。でも、思い出深い大切な場所って言ってたよ。」 
「ふーん」 
「茉麻、だめなの?」 
「いやぁ・・・・」 

こう、目の前でじっと目を見られると弱い。ドキドキして、頷いてもいいかと思えてくる。 
何でこの人、こんなに綺麗な顔で美しい目をしてるんだろうか。なんか、ずるい。 
・・・でも、この目を独占してるのは・・・・。 

初めて、付き合っている人がいると聞かされたときはビックリした。 
人気があってモテるのにそういうことには一切興味がないと思ってたからだ。 
だから、こうして「親友」でいる自分は誰よりも熊井ちゃんに近いと思ってた。 
まぁ、あの幼馴染の人は別にしてもさ。 
それが、何の相談もなく恋人ができた・・・なんて。ビックリだけど、ものすごくショックでもあった。 
何で話してくれなかったのってことと、なんとなく失恋した気分で。 
おめでとう、よかったね、どんな子?って聞くのが精一杯だった。 
どうして言ってくれなかったの、とは言えなかった。答えを聞くのが怖かったのかなぁ。 
「親友」だったはずなのにね。なんでかな。・・・でも、熊井ちゃんそういうことには疎いって言うか 
私がそう思っていることには全然気付いていなかった。 
まーでも、私がずっと想っている事にすら気付いていないんだから、ある意味仕方ないんだけど。 


328 :&color(green){&bold(){名無し募集中。。。}}:2009/08/25(火) 00:31:36.93 0
&color(blue){>>327} 
第154回 

その子がまた、可愛くて可憐で守りたくなるような女の子とはまさにこの子のこと、というような子だった。 
愛理、なんて可愛らしい名前もそれに拍車をかけているような気がする。 
熊井ちゃんは紹介してよ、なんて言っても「ごめん」って言って紹介もしてくれない。 
「恥ずかしいんだ、うちが」って照れて言うから私もそれ以上は突っ込めない。 

熊井ちゃんが鈴木愛理の話をするたび、胸が痛かった。 
とても楽しそうで嬉しそうで幸せそうで苦しい。 
でも、私は弱いからそれを顔にも出せないし聞きたくないとも言えなかった。 

次第に熊井ちゃんは私との時間よりあの子との時間を優先させるようになった。 
今じゃ、お昼休みはほとんど教室にいなくなった。付き合いも悪くなった。 
「愛理と約束があって、ごめん」と言われることも多かった。 
だから、私が盗られたって思うのはおかしくないでしょう? 

そのときは私は閃いた。今、立場は私が上なんだ。今なら、ちょっとしたお願いも聞いてくれるはず。 
「熊井ちゃん、入部してもいいよ。でも、条件付き」 
「え、ほんと?あ、っとなに?」 
熊井ちゃんは嬉しそうに微笑んで私の言葉に食いついた。 
「愛理ちゃんに私のことちゃんと紹介してよ、私、話してみたいの」 
「え・・・うん、でも、・・・は、恥ずかしいなぁ・・・う、うん・・・わ、わかったいいよ」 
熊井ちゃんは顔を赤くして照れながら頷いた。 
こんな表情までちょっとだけ、腹立たしい。熊井ちゃんが、じゃなくてこんな表情にさせるあの子が。 

そして、私は入部を決めて、放課後部室へ向かった。 
バカみたいな理由だけど、こうでもしなきゃきっと紹介もしてくれなかっただろう。 
どんな子なんだろうな、鈴木愛理って。 
勝ち目があると思えるのか、絶対無理だって諦めさせられるのか・・・・。 
そんなことを考えながら、熊井ちゃんと一緒に部室へ歩いていた。 


329 :&color(green){&bold(){名無し募集中。。。}}:2009/08/25(火) 00:32:17.51 0
&color(blue){>>328} 
第155回 

放課後、どうやら最後の授業で眠ってしまったらしく、起きたらクラスメイトが数人いるだけだった。 
時間を見てハっとする。この時間じゃきっともう勧誘を終えて部室に戻っているんじゃないだろうか。 
入部するって言ったのにこのざまは・・・・あーあ。また愛理に嫌われてしまう・・・。 
と、とにかく部室に行かなきゃ。 

私はカバンに教科書を詰め込んで教室を飛び出して文芸部の部室を目指した。 
慌てていた私はノックもせずに部室の扉を開けると、 
ビックリしたみたいに中に入る人は固まってしまった。 
あれ、1人増えてる?割と美人な子が一人増えていることに気付いて私も一瞬固まった。 
「・・・・あ、あれ・・・ご、ごめん、なんかタイミング間違ったかなぁ」 
しーんと静まり返ってしまったので空気を変えるべく言ってみたのだけど 
誰も何も言ってくれなくて気まずくなる。 

「・・・愛理、ちょっとおいで」 
ももがそう言って立ち上がると、私は 
「え、ちょ、もも?」 
ももに首根っこを掴まれて部室の外へ引っ張り出された。 
呼ばれた愛理も続いてやってくる。・・・うん、放課後の愛理も可愛いなぁ。 

「何しにきたの?」 
「え?」 
「空気呼んで、舞美」 

ももと愛理に囲まれて睨みつけられる。・・・うぅ、どっちも私より小さいのに怖い。 
怒られてる・・・よね、これ。 

電車で寝過ごして旧友話と話し込んで最後の授業で居眠りをした自分を後悔したが 
今更遅かった・・・・。 


404 :&color(green){&bold(){名無し募集中。。。}}:2009/08/26(水) 23:47:32.81 0
&color(blue){>>329 }
第156回 

「うぅ・・・ごめん」 
ももと2人で舞美ちゃんを囲んで睨みつけると、舞美ちゃんはしょぼんって小さくなった。 
そういうすぐ謝っちゃうころは、昔とあんまり変わらない。 

「舞美ちゃん、お昼どうしたの?」 
私が疑問に思っていたことをぶつけた。 
「え、あ、えっと昔の友達に会って話し込んじゃって・・・」 
「え、だれ?」 
「あぁ、ももは知ってるはずだよ、えり、梅田えりか」 
私は聞いたことのない名前だった。私と知り合う前の友達か。 
「あぁ・・・・・・まぁ、うん」 
ももは頷いたあと、微妙な顔をして少し下を向いた。 
あれ、様子がちょっとだけ変だ。どうしたんだろ? 

「行かなきゃって思ってて・・・でも、あの、放課後も寝ちゃって・・・」 
舞美ちゃんは下を向きながら申し訳なさそうに言う。 
「・・・寝すぎ」 
しかし、もう呆れちゃった私はそう言うだけで言葉は続かない。 
ももだって、ちょっと膨れた顔して何も言わない。 
「面目ない・・・」 

「舞美は本気で入部するの?」 
ももが、沈黙になったこの空気を変えるべくそう切り出した。 
「うん、愛理がいるから」 
舞美ちゃんはスラっとそんなことを言う。 
「ちょ、変なこと言わないで!」 
私はちょっと怒って舞美ちゃんに詰め寄った。 
なんか誤解されるような言い方やめてよね! 
だいたい・・・私たちそういうんじゃなかったのに。家が近い幼馴染なだけなのに。 


405 :&color(green){&bold(){名無し募集中。。。}}:2009/08/26(水) 23:49:15.75 0
&color(blue){>>404 }
第157回 

「だって事実なんだもん。まぁ、本とかも好きだよ。ももだっていてくれるし」 
舞美ちゃんは当然だ、みたいな顔をしてそう言う。 
ももはちょっとだけ困った顔をして、でも、嬉しそうだ。部員が増えるから、だね。 

「・・・あのさ、舞美ちゃんもう1回聞くけどなんで転校してきたの?陸上は?」 
これは聞いておかなきゃいけない。 
私のために転校してきた、なんて信じられるわけない。 

さっきみたいに素直じゃない。そういうとこは、変わった。昔とは違う。 

「何回も言わない。・・・とにかく、入部するの。いいでしょ、もも?」 

なのに、舞美ちゃんは絶対に言わない。教えてくれない。 
・・・深い理由でもあるのかな。誰にも言えない、言いたくない理由・・・とかなわけ? 

「まぁ、ももは増えたら嬉しいから歓迎するけど・・・愛理は?」 
「・・・断ってるほど余裕ないもんね」 
私は諦めたようにため息をついて、舞美ちゃんの入部を認めた。 
「じゃあ、決まり?よかったぁ・・・あ、みんなに挨拶させてよ」 
舞美ちゃんはポジティブっていうかバカっていうか・・・すぐに元気になってそう言った。 
「うん、わかった。さっきいた子も今日から入ってくれるんだ。」 
「そっか、えへへ、よろしく」 
舞美ちゃんはちょっとだらしなく笑って、私たちに両手を差し出した。 
なんかちょっとむかついて、私はそれを無視して部室へと戻った。 
「・・・・・戻ろう、もも」 
「あ、ちょっと愛理!」 
舞美ちゃんが慌てて追いかけてくる音がした。 


406 :&color(green){&bold(){名無し募集中。。。}}:2009/08/26(水) 23:50:37.44 0
&color(blue){>>405 }
第158回 

「・・・ってことで、さっきはごめんなさい。入部します、3年の矢島舞美でーす。 
どうぞ、よろしくお願いします。あ、えっと昨日転校してきたばっかりで 
この学校のこと全然わからないんでよかったら、いろいろ教えてくださーい。以上、矢島でした。」 

部室に戻って舞美ちゃんは挨拶をした。軽い感じ。 
みやはあからさまに機嫌が悪く、ずっと睨んでる。 
先輩をチラっと見ると複雑そうな顔をしていた。一瞬、私と目が合うと 
困ったような、戸惑ってるような顔を私に向けた。 

「あ、じゃあ、まーさ」 

舞美ちゃんの挨拶が終わって先輩が「まーさ」と呼んだ人が挨拶を始めた。 
背は先輩より低めだけど、美人でみやほどではないけど結構目立つ顔をしてる。 
・・・綺麗な人。 
私が少し見惚れちゃっていると、「まーさ」さんはニコっと私に微笑んでくれた。 
私も微笑み返す。優しくて気立ての良さそうな人、勝手にそう思った。 

「えっと、熊井ちゃんのクラスメイトの須藤茉麻です。熊井ちゃんに誘われてやって来ました。 
勧誘とか苦手なんで手伝えないかもしれないですけど・・・・・よろしくです」 

「まーさ」さんこと須藤先輩はそう言って、頭を下げた。 
うん、なんだかますます好印象。素敵な人だなぁ・・・・。 


407 :&color(green){&bold(){名無し募集中。。。}}:2009/08/26(水) 23:51:17.85 0
&color(blue){>>406} 
第159回 

明日以降の戦略を話し合って、私たちは解散した。 
もう、日が暮れそうな時間。明るい間に帰らなくちゃ。 
お昼休み、「一緒に帰ろう」って先輩に言われていたから、 
須藤先輩とトイレに行った先輩を待っていた。 

先輩はトイレから戻ってくると、手のひらを裏返して須藤先輩を指した。 

「愛理、さっきも挨拶あったけど、うちの親友の茉麻だよ」 
「愛理ちゃん、須藤です。よろしくね」 
「は、はい。せ、先輩にはいつもお世話になってて・・・」 
「聞いてるよ、ラブラブなんだってね」 
「あ、え、い、いえ・・・そんな」 
「も、もう、・・・だから恥ずかしいって言ったじゃん」 

私も先輩も赤くなっちゃって。ラブラブ、ってそういうつもりはなかったけど 
第三者にそう言われると・・・恥ずかしい。 

「愛理、茉麻も電車通学なんだ。駅まで3人で行かない?」 
「あ、はい。」 
「よし、じゃあ帰ろう」 

ホントは、二人きりがよかった。手を繋いで、お話したかった。 
話す内容もたくさん用意してたのにな・・・。 
でも、須藤先輩が嫌なわけじゃない。先輩の親友なら、私だって仲良くなりたい。 
そんな気持ちで、私たちは3人、帰途についた。 

こうして、長かった勧誘2日目が終わった。 
明日は・・・どうなっちゃうんだろうな。頭が痛いよ、舞美ちゃんのせいだよ。 


515 :&color(green){&bold(){名無し募集中。。。}}:2009/08/30(日) 01:29:41.56 0
&color(blue){>>407 }
第160回 

3日目の朝、みんなで集まって校門前で勧誘をした。 
チラシもどんどん刷って配る。 
熊井ちゃんの連れて来た須藤さん、こと茉麻(って呼んでって言われた)は 
勧誘は苦手と言っていたけど、ちゃんと朝の集合時間に集まってくれた。 
ちょっと暗い感じの子かと思ったけど、勧誘で生徒たちに向ける笑顔は清々しい。 
愛理も、電車の中ですごく優しくていい人って言ってたっけ。 

うちは、生徒たちの波が切れたとき、深く深呼吸をして気合を入れなおした。 
「さー・・・てと」 
「・・・?夏焼先輩?」 
「んーん、独り言。さ、前田ちゃん気合入れよ」 
「はい!」 
ペアになってチラシを配る。前田ちゃんはいい子だ。素直で、頭も良さそう。 
微笑んだ顔も可愛らしい。ちょっとだけ、ももに似てる。 
なんとなく、癒し系って感じかもしれないな。 

「あの、先輩、今日のお昼休み・・・もしかしたら3人くらい連れて来られるかもしれないです」 
「え、まじ?それほんと?すごいね、前田ちゃん」 
うちは嬉しくなってニコニコしながら前田ちゃんの手を取って喜んだ。 
「ま、まだわかんないんですけど、あの、話とかはしてて・・・今日ちゃんと誘うつもりなんです」 
「頑張ってね、うち友達いないから誘う人がいなくてさw」 
「え?そうなんですか?」 
「う、うん、まあね」 
「あの、先輩にもっと喜んで欲しいから絶対連れて来ます!」 
「よし、頑張れ。うち応援してるから」 
「はい!」 
前田ちゃんはちょっとマジメな顔をして頷いた。うんうん、よき後輩かな、なんちゃって。 
愛理は後輩だけど、友達みたいに付き合ってるし、愛理は敬語は使わない。 
だからちょっと新鮮で、あぁ、そうだ、うちって先輩じゃんって再認識した。 
目安箱バナー