概要
戦闘に至るまでの背景
ローヴァー国を攻略し、重要港を手に入れた
六界連合軍は、部隊を二手に別け、陸路と海路から同時侵攻を開始した。
海路部隊が目指したのは、
ベレル国であり、ベレル国とローヴァー国を結ぶ海路の重要拠点、それがグラドリア湾であった。
様々な海路を持ち、優れた船舶技術を持つ
ローヴァー国と違い、
ベレル国は貿易船と最低限の艦隊しか備えていなかった。その為、彼等は連合軍がローヴァー国の艦隊を使って南下する情報を早いうちに手に入れていたが、艦隊を派遣しての海戦を避け、上陸してくる敵を迎え撃つこととした。上陸作戦とは、篭城戦と同じく、3倍の兵力がいてやっと互角と呼ばれる攻撃側にとって厳しい戦場である。それを打破する為に、連合軍は
サヌア傭兵団を密かに別働部隊として派遣。海と陸、二つの部隊のタイミングが決戦の鍵を握ろうとしていた。
両軍の戦力
攻撃側 |
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守備側 |
六界連合軍 |
軍勢 |
ベレル国軍 |
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参戦国 |
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総兵力50000 |
兵力 |
総兵力25400 |
エリシア |
総指揮 |
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ストライア |
軍師 |
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主要参戦者 |
第2部隊【アルビス国部隊】兵力16000 |
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ベレル国第1部隊 兵力4000 |
エリシア |
ラギ |
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第5部隊【サルディーシャ国部隊】兵力3000 |
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ベレル国第2部隊 兵力3500 |
カルス |
ガディア |
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第6部隊【サザン・アイ部隊】兵力7000 |
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ベレル国第3部隊 兵力3000 |
ルティエ |
レイス |
サンド |
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第11部隊【竜騎兵団】兵力6000 |
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ベレル国第4部隊 兵力3400 |
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第13部隊【ブルーインパルス部隊】兵力4000 |
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ベレル国第5部隊 兵力3500 |
マルキィ |
ヴィル |
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第14部隊【ヴァルキリア部隊】兵力5000 |
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シャクティアナ帝国援軍 兵力3000 |
ストライア |
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ルーイン |
パール |
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第17部隊【ケルシー部隊】兵力3000 |
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シャクティアナ帝国援軍 兵力2400 |
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ローラル |
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第19部隊【アルビオス部隊】兵力3000 |
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シャクティアナ帝国援軍 兵力2700 |
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ガン |
コズエ |
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第15部隊【クライシス部隊】兵力4000 |
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別働隊 |
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ロリスザード |
シーナ |
サヌア |
リーザス |
バルザック |
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クルス |
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戦闘経緯
エリシアの提案により、
ベレル国最大の貿易港グラドリアへ正面から攻め込むと同時に、
サヌアを中心とした別働隊を闇夜に乗じてエクスデリア港へ派遣した。隠密少数部隊によりエクスデリア港から上陸し、グラドリア港へ強襲を仕掛け、混乱状態とすることで主力部隊が正面から港へ乗り込むというのが基本戦術であった。
別働隊出陣と同時に主力部隊も港へ向かい接近、攻めると見せては退く擬態を行い、
ストライアの見事な艦隊指揮もあり、ベレル国軍はこの擬態に騙された。だが、ベレル国も手をこまねいていた訳ではなく、近隣の海賊に金を払い連合軍艦隊への強襲を依頼。戦力差も判らず明確な戦術ももたない海賊が無謀な突撃を仕掛けるが、
レイスが用意しておいた海上火責め部隊により壊滅。この海賊の奇襲は、ベレル国としては使い捨て部隊のつもりであったが、別働隊を派遣していた連合軍としては、敵にも相当の策略があるのではと疑心暗鬼に陥ることとなった。
同時刻、別働隊は
隠密である
シーナと
クルスが先導して密かにグラドリア港へ接近していたが、戦術や智謀ではなく「戦士の勘」によりこれを打破した
ルーインにより、足止めを受けていた。
主力部隊は、別働隊が敵陣を強襲するまで、なるべく敵の攻撃を受け流す様に言われていたが、一向に奇襲は始まらず、防御に徹していては自分達が倒されるところまで追い詰められ、ついに攻勢に転じ、最も避けたかった消耗戦へともつれ込んだ。
サヌアが
ルーインと一騎打ちを繰り広げる間に、
ロリスザード達の別働隊が一気に進軍、ようやく強襲作戦がはじまるが、戦いは予想外の方向へと傾いていた。
確かに
ベレル国の艦隊設備は、
ローヴァー国のそれより劣っていたが、もともとの基礎技術が既に高かったこともあり、そこまで圧倒できるものでもなかった。そして、上陸戦という困難な戦場は、連合軍に予想以上の損害を出し、突出した第15部隊にいたっては、既に全滅状態となり、後続の部隊も次々と損害を出していた。
これは、援軍として駐屯していた
ルーイン、
ガン、
ローラルの奮戦もあったが、祖国防衛という明確な理由があるだけ、
ベレル国軍の士気が高かった事もある。
サヌア達が苦心して実行した後方霍乱作戦も、一時の効果を出したものの、戦局を決める決定打とはならず、泥沼の戦いは二日目に突入し、いまだに連合軍は足場を確保することもできず、海岸線で損害を積み重ねていた。
そして、
サヌア達の存在を知られてしまっ為、別働隊の第二陣を警戒した
ルーインの指示で、
ベレル国軍の数部隊がすぐさまエクスデリア港に派遣される。
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連合軍は、急遽エクスデリア港へ第二陣奇襲部隊を差し向けるが、
ベレル国軍の必死の防衛によって食い止められ、逆に兵力を分散させる結果となってしまう。
しかし、最初の強襲後、少数ゆえに身を潜めることに成功していた
サヌア傭兵団は、ベレル国軍の旗を持って味方のふりをして海岸線まで移動すると、再び強襲を仕掛けた。この攻撃に呼応して主力部隊の奮戦を期待してのことだが、本体が続かなければ少数の傭兵団は一瞬にして包囲殲滅されるという危険すぎる賭けであった。
サヌア、
ロリスザード、
バルザック達の突撃により、
ガンの部隊が混乱する。
グラドリアの港攻防戦は、既に三日目に突入していた。
海の水が真っ赤になったと言われたこの血塗れの上陸戦、互いに策を使い果たし、あとは力と力がぶつかるだけの、連合軍としては想定していた範囲内で最もとりたくなかった消耗戦に突入していた。一方、最初から選択の余地がなかったベレル国軍は、開き直りとも言える体制が、逆に功を奏して、予想以上の健闘を見せていた。それは、勝利後の事を考えながら戦わなければならない攻撃側と、敗北すれば全てを失うというわかりやすい状態の防衛側が起こした、逆転現象とも呼べる激戦であった。
エリシアは、敵後方で何らかの混乱が生じたことを察すると、その正体を確かるより先に全軍に突撃を命じた。その際エリシアは、「………このまま攻めきれずに撤退することになれば、私の名前は「味方殺しの無能な将」として戦史に残るでしょう。このまま攻め切って勝利を収めれば、私の名前は「呆れるほどの物量で力押ししただけの将」として戦史に残るでしょう……どちらに転んでも、この戦いの勝者と呼べる者がどちらかは明白……それでも、この港を占拠しなければ、そこだけは譲れない最後の一線……」と語ったという。
実際、三日目に突入した上陸作戦は、徐々に連合軍が各地で上陸を始めていた。
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そして、
ガンも、
サヌアによって討ち取られ、それを合図にベレル国軍の奮闘も限界点を越え、一気に崩壊へと向かっていく。
ベレル国軍の兵士は奮戦したものの、良将には恵まれず、兵士達は
シャクティアナ帝国からの援軍である
ルーインを信頼し、撤退の命令はルーインに発してもらったほどである。
戦いの結末
グラドリア港は陥落し、連合軍はベレル国に上陸を果たした。
なお、その日の夜、
シャクティアナ帝国援軍の一人であった
コズエが、連合軍首脳部を狙って深夜に強襲を仕掛けたが、失敗して討ち取られている。その為、シャクティアナ帝国本国において、ガン、コズエの戦死を
ライプリッヒが戦意高揚のプロパガンダとして利用した。
戦後、「味方の屍骸が海を埋め尽くし、徒歩で海岸にまで到達できた」と、誇張された伝説まで流布されることとなる
ルーイガルド侵攻作戦最大の上陸戦「グラドリア上陸作戦」は、こうして終わりを告げたが、その伝説は、誇張ではあっても虚偽というわけではない、参戦した兵士達は後にそう語ることとなる。
最終更新:2011年04月22日 15:23