ラスブロス


基本情報


略歴

六界戦争を起こした張本人。多くの物語では、六界支配を目論む悪の帝王として描かれているが、実際はシャクティアナ帝国のみを支配し、それも暴君ではなく、名君に近い統治を施している。

魔族の中でも高位種族であり、神座にすら迫る存在であるラスブロスの一族だが、彼が幼少の頃、後継者を巡り母親方の親族(いわゆる外戚)との戦いを見せ付けられた。
この戦いで自分の一族が二手に別れ、互いの血を啜るかの様に争う姿を見て、彼の中で戦いそのものに対する独自の哲学がうまれた。
その後、外戚との戦いに勝利して一族の長となると、勢力を拡大しシャクティアナ帝国を占拠し、皇帝の地位に就く。
周辺諸国との激しい戦乱を経て、多くの国を同盟国(実質上の傘下国)として従え、いつしか「帝王」と呼ばれることとなる。

後に天文学によって六界の存在を知り、魔力の粋を結集した転移ゲートを作り出して(ただし、彼が作り出したのではなく、最初から存在していたものを彼は発見したに過ぎない、という説もある)他の六界への道を作り出す。
しかし、六界の存在については一切公表せず、自らと僅か数名の腹心中の腹心のみしかその存在は知らなかった。

他の5つの世界も、それぞれの歴史とそれぞれの戦乱が存在するという事を知ると、戦乱というものに終わりが来るのかを見届ける為、ガルゾーマジルダーシャラダンといった腹心を他の世界に派遣する。
その後彼らは派遣されたそれぞれの星で大きな力を手に入れることとなるが、ラスブロス本人も含めて、彼らは積極的に歴史を動かすのではなく、あくまでも受動的に歴史の流れを見守る存在となっていった。

しかし、そういった自らは動かない姿勢は、逆に周辺諸国に畏怖と恐怖心を与え、またラスブロス自身、周囲の国をまるで属国かの様に自由に扱える存在感と発言力を持っていた為、彼にその意思がなくとも、ルーイガルドの支配者という存在になっていた。

彼が帝位についてから数千年という長い時が流れるが、その間に様々な星、様々な国で起きた様々な戦いの記録を常に報告させ、まるで歴史書を読むかの様にそれらの物語を見守り続けていた。
シャクティアナ帝国自身は、ラスブロスの統治によって、小さな戦乱は絶えないものの、世界を根底から揺るがす様な戦いは長い間起きなかった。
しかし、17323年、ランクヘン国がシャクティアナ帝国への侵攻を画策していると知ると、久しぶりに帝王親衛隊覇王将を揃い踏みさせ、逆にランクヘン国を攻め落とし属国とする。
更に翌年、トレストサルディーシャ国の攻撃を受けたローヴァー国が救援を求めると、ランクヘンに駐屯していた討伐遠征部隊をそのまま救援部隊として送っている。これは、ローヴァー国はシャクティアナ帝国にとって重要な「水晶」の輸出国であった為である。

こうして、歴史を見守る側にいたかったラスブロス本人も、いつの間にか歴史の中心に引きずり出され、七千年に及ぶ戦乱を見届ける旅も終わりを迎えようとしていた。
自らが生み出した門を使い、六界連合軍ルーイガルドに攻め込み、帝王ラスブロスの支配下におかれた各国を解放する、という大義名分の下、実質上の侵略を開始。シャクティアナ帝国に迫ってくる。

六界連合軍が次々とラスブロス派の国を突破する中、ラスブロスはルーインイルザといった将軍に援軍を与えたり、書状のみで他国を動かしたりと、帝王としての存在感と威厳を見せるものの、自らが動く事はなかった。
この行動に関しては諸説があるが、ラスブロス自身が七千年に渡り、「戦いを見守ること」に徹していた為、この戦いにおいてもどこか対岸の火事と捉えていたこと、連合軍が満身創痍の進軍で、自分の元にたどり着くことはないだろうと侮っていた事、これらの事柄が重なり合っての事と言われている。

しかし、あらゆる困難を突破して自らの前に姿を現した六界連合軍を相手に、ラスブロス自ら数千年ぶりに戦場に立ち、最大の決戦エリス・ラゴンの戦いを迎えることとなる。
この戦いで連合軍を打ち破るが、その直後に行われた特攻に近いサヌア達の城攻めによって落命する。

後世ラスブロス派の国を便宜上帝王軍と呼ぶが、もし、連合軍がルーイガルドに上陸した段階で、ラスブロスを総大将とし、明確に組織された本物の帝王軍が結成されていたら、歴史はまったく異なった結末を迎えていただろうと言われている。

人物

  • 歴史を見守る存在にして、名君に必要なものを全て揃えた文字通りの帝王と伝えられているが、その一方で、軍事が拡大していくシャクティアナ帝国において、諸将、民衆までもが望む形で次々と隣国、さらにはナビルティー大陸にまで軍勢を派遣し、実質上の「侵略」を行っている。ラスブロス本人が発案したわけではないものの、彼は提出された侵攻案に反対もしなかった。この様に、事実上の「侵略者」であるにも関わらず、「歴史を見守る者」として伝えられた要因として、彼は落とした国は属国としたものの、完全に自治を認め、たとえ属国が他国と戦争を起こしても、それすらも「歴史の流れ」と見守り続けたためである。それが無気力や無関心ではなく、「見守る覇者」として恐れられたのは、ラスブロス本人の強烈なカリスマ性と、自ら軍勢を指揮した戦いにおける圧倒的な力、そして内政面においても稀有な才能を見せるという「説得力」があったからである。
  • ダルスバードに代表される他国・他星でうまれた技術を、あえてシャクティアナ帝国に導入しなかったことからも、彼が歴史を見守る者に徹した姿勢が読み取れる。

関連項目

  • LUNATIC DESTINY
  • ギル ラスブロスの最初の妻と言われている。
  • スティニア ラスブロスの娘の一人だが、自分の生き方を求めて放浪の歴史学者となった。

最終更新:2013年08月03日 23:22