概要
ランドヴァルク作戦とは、
ラドリザン6892年、
クルーディア帝国、共和国
サムルトンによる連合軍が、
リアムス自治国家に対して行った遠征である。
既に、三国の間ではもっとも衰退していた
リアムスに止めを刺すべく、圧倒的兵力差の中で行われた戦いであり、電光石火の進軍をイメージして、この地域で雷の神であるランドヴァルクの名を作戦名に冠した。
戦闘に至るまでの背景
会談の結果、両国の同盟が結ばれ、連合軍による
リアムス攻略が決定された。
これにより、2国は
リアムスの領土を分割、同時に和平を結び戦乱を終わらせる、という密約が結ばれたが、このとき
ムゥナは、調印書に「リアムスを滅ぼすまでの同盟」と明記した。
両軍の戦力
ルーニアの戦い
既に、三つ巴の戦いで遅れをとっていた
リアムス自治国家にとって、唯一の生き残りの道が、
クルーディアと
サムルトンの共倒れと、それによる漁夫の利を得るための外交的立ち回りであった。
しかし、逆にその2国が手を結ぶという、
リアムスにとって最悪の展開となり、圧倒的兵力差による進軍を招いた。
国境で両軍は激突、
三牙王が正面から立ちふさがり、山道に精通した
ゴンドゥラと
ルーザが伏兵となって背後から強襲を仕掛けるが、兵力の差はどうしようもなく、国境を突破され、
リアムスは、それまでは漠然としか考えていなかった、本格的な滅亡への予感を肌で感じ始めることとなる。
なお、この戦いの後、かつて敵として出会った
グラスシードと
ファルザは、互いを友人と呼べるほど信頼関係を結んでいた。
ドゥカースの戦い
国境を突破した遠征軍だが、
リアムス軍は決戦の地をドゥカースと定め、全軍を再集結させた。
遠征軍も決戦の準備に取り掛かるが、長雨が続き、食料の輸送が進まなくなり、一旦進軍を止めた。連合軍といっても、指揮系統はそれぞれの国に一任され、基本的に
フェリサスと
ムゥナは、互いに顔を合わせることなく、それぞれの本陣を用意して指揮をとっていたが、この両者に隙はなく、長雨という天の仲裁を利用しようとする
リアムス軍だったが、補給路を断つことも、奇襲を仕掛けることもすべて看破された。
やがて長雨も去り、万全の体勢を整えた遠征軍の出陣により、両軍の決戦となるドゥカースの戦いが幕を開ける。
戦いは激しく、数で劣る
リアムス軍も決死の抵抗を行い、大軍が一度に集まれないという地の利を生かして序盤こそ互角に戦うが、次々と新手が投入される連合軍を相手についに力尽き、
三牙王の
バーゼディアは戦死、味方を逃がすため戦場に留まった同じく
三牙王の
セリカも捕虜となった。
謀略
ドゥカースの戦い以後は、大きな反抗もなく、連合軍は進行上にある都市を次々と攻略、戦いの中で年は過ぎ、6893年を迎えた。
快進撃を続ける
クルーディア帝国本陣に、突如として「皇帝
ファルス崩御」という急使が届いた。
動揺する本陣だが、
フェリサスはすぐに「事の真相を確かめる」と、極秘裏に帝都へ帰還、遠征軍の総指揮官を
カスターに委ねた。
この情報は、偽情報だということがすぐに判明するが、何故総指揮官である
フェリサスが自ら軍を離れてまで真偽を確かめる必要があったのか、それはこの時点では誰も判らないことであったが、この時既に帝位簒奪(というより、皇帝
ファルスへの私怨による殺害)を悲願としていた
フェリサスにとって、復讐の対象者が病死したかもしれないなどという情報は、無視できないものであった為である。
グラウスの戦い
遠征は、
カスターを帝国側の総司令官としたまま、
クルーディア、
サムルトン軍を分割し、それぞれ独自のルートで進軍することで継続される。
首都決戦を覚悟する
リアムス国王
アジッサだが、連合軍は大軍なだけに、首都へ向かうグラウス高原の道で長蛇の列になる。そこを叩くという
ルーザの進言により、一か八かの賭けに出た。
しかし、
ムゥナはこれを先読みし、あえて危険地帯に
ファルザを投入、
カスターもまた
グラスシードとの確執から、彼を危険地帯に送り込む、これが皮肉にも、グラウスの戦いにおいて、連合軍の精鋭部隊を配置することとなり、
ルーザ、
ゴンドゥラの奇襲を撃退することとなる。
リアムス首都包囲とサムルトンの裏切り
最後の賭けであったグラウスの戦いにも敗れ、ついに首都に立てこもるしかなくなった
リアムス軍。
サムルトン軍が先に到着し、あとは
クルーディア帝国軍が到着すれば完璧な包囲網が敷かれる筈であった。
しかし、その帝国軍に急使が届く。内容は、「
リアムスは首都を捨てて、
コルカフォーン以下全軍が
サムルトンの布陣する南門から脱出、籠城と決めつけていた
サムルトンはこの突撃に耐えきれず
ムゥナ、
ガスタルが戦死、
サムルトン軍はそのまま南の盆地にまで追いつめられている、すぐに援軍を求む」というものであった。
先行した密偵からも、確かに首都付近で戦闘の気配があったと聞いていた
クルーディア軍は、すぐさま指定された地に向かう。
しかし、指定された場所に軍勢の姿は見えず、逆に背後から
サムルトン軍が出現、盆地という地形もあって、退路を絶たれる。
リアムス軍と小規模な小競り合いをしてわざと撤退し、援軍として呼び寄せた帝国軍を盆地に閉じ込めて殲滅するという
ムゥナの策略であった。
本来ならこの策は、
リアムスの首都を陥落させた後実行する筈であった。
そのため、
ムゥナは同盟の調印に「
リアムス自治国家を滅亡させる「まで」の同盟」と明文化していた。
しかし、
フェリサスの極秘裏の帰国に気が付き、帝国も似た謀略を行っていると疑心暗鬼になり、焦って先に動いてしまったのである。
なお、これにより、皇帝
ファルス崩御の偽情報を流したのが誰だったのか、三つの説が誕生することとなる。
- フェリサス説 既に帝位簒奪を考えていたフェリサスが、将来を見据えて帝国を弱体させたという説だが、自身の息のかかった部隊まで窮地に陥れている点が疑問視されている。ただし、物語においては、部下の命も道具としか考えておらず、この説が採用されていることが多い。
- ムゥナ説 偽情報を流し、フェリサスを帰国させ、帝国が先に裏切ったという理由にする自作自演説だが、前述の通りフェリサスが帰国したのはムゥナにとって偶然であり、またムゥナ自身も焦って罠を発動させている点から可能性は薄い。
- リアムス説 何かの効果を期待してというより、とにかく状況を打開するため、色々と手をうったうちの一つが偶然にもはまったというものであり、現在最も信憑性が高い。
撤退戦と追撃戦
数で勝りながらも、盆地に閉じ込められ、退路を遮断された帝国軍は圧倒的に不利な状態であった。
最初から逃げに徹したにも関わらず、
クルーディア帝国軍の第4、6、7、9部隊は全滅、かろうじて帝国本土に戻れたのは第1、5部隊だけであった。
グラスシードも、部隊を半壊させつつかろうじて脱出、殿軍をつとめていた第1部隊の
ラヴァを拾い、そのまま自身の領地であるカシルスの都に撤退する。
サムルトンの追撃隊である
ガスタルを一度は篭城戦で撃退するが、もはや限界であることを悟り、
アレスの進言により、カシルスの都を放棄して帝国本土へ帰還する。
一方、滅亡寸前で思わぬ形で生きながらえた
リアムス軍だが、目の前で
サムルトン、
クルーディア軍が戦い始めた姿を見て、すぐさま自分達も首都から出陣、これまでの復讐とばかりに追撃に取り掛かる。
裏切りを命令された
ファルザは、この命令に対してサボタージュを決め、帝国包囲戦には参加せず、
リアムス軍に備えていた。そこに
コルカフォーンが猛突撃を仕掛けてくる、ここに勇者と死神は二度目の激突を迎えるが、
ファルザが負傷して撤退する。
しかし、
ゴンドゥラは、
ルーザの制止を無視して、
サムルトン軍に追撃を仕掛けてた結果、
ムゥナの罠にかかって岩の下敷きとなって落命、首都包囲網は撃退したが、決して
リアムス軍が勝利したわけではないという恐怖を刻み込まれた。
戦いの結末
サムルトンは、
リアムス領、そしてシグリアの都(帝国にとってのカシルスの都)を占領して、一気に勢力を広めた。
クルーディア帝国は、大きな領土変化こそなかったが、主力部隊を失い、総兵力では未だ三国で最強を誇っていたが、国内に走った衝撃は大きかった。
リアムスは、滅亡こそ免れたが、圧倒的不利に変わりはなく、この戦いで多くの勇将、兵士を失った。
結果的に
サムルトンの一人勝ちとなり、
ムゥナには国政総務官の位が、そして負傷した
ファルザには、
クライシスを民間から正式に国の直轄部隊に就任させ、その最高司令官の地位を与える。という人事が行われた。
関連項目
最終更新:2013年04月10日 22:59