赤い花束

概要

 アルファ1400年頃、トルティナ国で発表された、戯曲及び小説。
 蜉蝣時代ロー・レアルス国の騎士、ローエンとヒロインであるメリーベル双方の視点で描かれ、蜉蝣戦記の派生作品としては珍しく悲劇的な恋愛物として女性を中心に高い人気を誇る。

あらすじ

 685年、ロー・レアルス国の騎士であるローエンは城下町で知り合った僧侶メリーベルに思いを寄せるようになる。
 次第に相思相愛となる2人だったが、メリーベルは今は敵国となったゲーリー国で修行中、謀将リディアニーグに弱みを握られ、スパイ活動を強要されており、ローエンと親しくなるにつれ自分の所業に思い悩むようになる。
 次第にメリーベルへのスパイ疑惑が高まる中、周囲の反対を押し切りプロポーズするために求愛を示す赤い花束を携え、彼女の元へ向かったローエンが見たのは彼に連座の罪がかからぬよう自害していたメリーベルの姿だった。

解説

 作者は不明だが、作品に関する史実上の資料が少なく、アルディアの手記にメリーベルに関する記載が若干存在しているのみであり、発表された当時アルディアが存命であったことから、少なくとも手記を閲覧できる程の近い関係者ではないかと思われる。
 1400年当時において蜉蝣時代を扱った作品は、将軍達が華々しく戦果を競い合う戦記物が多かったが、その中で珍しく恋愛物として発表され注目を集めた。
 作品前半において、ルディック城下町の賑わいや、ローエンがメリーベルとその両親に気に入られようと四苦八苦する姿がコミカルに描かれ、後半では一転して2人を取り巻く謀略や疑惑の眼差しが描かれ悲劇的な結末を迎える。
 主人公であるローエンを始め、登場人物の数多くが架空の人物であり、実在の人物はヒロインであるメリーベルとその両親、悪役であるマラリディアニーグのみである。また、ストーリーも史実から大幅に脚色されており恋愛事情の有無は勿論、メリーベルを謀略に巻き込む伏線のためか、彼女の父の知人であり、ゲーリー国内で彼女の修行の面倒を見たのがヴァイナックからリディアニーグに変更されていたり、何故か国主であるマラがリディアニーグとともに直接彼女にスパイになるよう強要したりと不自然なシーンが見受けられる。

 作品の人気の高さから、現在においてもローエンが実在の人物だと混同したり、マラリディアニーグを不当に悪人だと思い込んだりする者が後を絶たない。

関連項目



最終更新:2013年10月13日 22:05