ルディックの陣

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概要

ルディックの陣とは、蜉蝣時代の戦乱の中で、アルファ711年1月、ベルザフィリス国軍とロー・レアルス国軍の間に起きた戦いである。
蜉蝣時代の終幕を告げる、最後の戦いとなった。

戦闘に至るまでの背景


▲711年1月における勢力図

天下分け目のヴァイグの戦いに勝利を収めたベルザフィリス国軍は、ガイヴェルドを先頭に凱旋した。
この勝敗は、一つの戦いの勝敗とは、意味も重みも違っていた。
次の時代の覇者がどちらであるかを明白としたものであり、事実、この一戦を境目に、ロー・レアルス国の各都市は、ベルザフィリス国への内応を申し込み、ロー・レアルス国からの要請には露骨なサボタージュを決め込んだ。

だが、これで戦乱が終わる……という訳ではなかった。
ベルザフィリス国は、ディグドギザイアを中心とした和平派と呼ばれる派閥が出来つつあった。彼らはロー・レアルス国を滅ぼさず、このまま均衡状態を維持して外交によって平和的に二国共存をもって戦乱の時代を終わらせるという主張を持っていた。
それに対して二国の共存は、いずれ禍根を作るかもしれないという理由から、あくまでもベルザフィリス国の天下統一にこだわるガイヴェルドディルセアバイアラスを中心とした交戦派が正面より対立する。

その一方、国主を失ったロー・レアルス国も同様の火種を抱えていた。
メファイザス亡き後、ロー・レアルス国はベルザウスルードゥバリヴァドルの4人を中心としつつ、それをグローリヴァスロードレア国滅亡後にその配下となったメネヴァ達が補佐して統治していた。
彼ら個々の能力と人徳もあり、比較的まとまっていたこの時代を、国主不在のロー・レアルス将星将軍統率時代と呼ぶ。
その彼らにしても、外交により生き残る道を探そうとするベルザウスグローリヴァスの和平派、徹底抗戦を訴えるドゥバ達交戦派が存在していたが、元々彼らに選択の余地がなかったこともあり、ベルザフィリス国の対立とは違い、彼らはとりあえず団結していた。

710年の秋、この年から徐々にこの地方に寒波が襲い始める。
各地で不作が続き、食料を失ったロー・レアルス領土の村人が、国境を越えてベルザフィリス国領土の村を襲った。これを鎮圧するべくベルザフィリス国の国境守備部隊が動き、ロー・レアルス領土の村を攻め滅ぼす。
これに怒った部隊が動き始め、両国は上層部の意向を無視して臨戦態勢となる。
こうなると、最早時代の流れが彼らを動かしていると自らを納得させ、両国の交戦派が動き出し、ベルザフィリス国軍はロー・レアルス国軍を完全に沈黙させる最後の決戦へと出陣した。
迎え撃つロー・レアルス国は、かつてルディック国の首都であり、この大陸を一度は統治していたルディック城を最後の拠点として、全軍を集結させた。
ここに、ルディックの陣が幕を開ける。

全ての始まりは、ルディック国のバルディゴスが起こした戦いからであった。
そして幕を開けた蜉蝣時代、その決着をつける最後の戦いが、再びルディック城だったことは人の成した足跡を皮肉る悪戯か……
三路から進入してくるベルザフィリス国軍に対して、とりあえず防衛陣を敷くものの、最初から要害のルディック城に誘い込むしかないロー・レアルス国軍は、ある程度足止めだけすると軍勢を徐々に下げて城へと集結させた。

両軍の戦力

攻撃側 守備側

ベルザフィリス国軍
軍勢
ロー・レアルス国軍
総兵力270000 兵力 総兵力96000
ガイヴェルド 総指揮 ベルザウス将星将軍
ディルセア 軍師 ルー将星将軍
主要参戦者

ガイヴェルド

ディルセア

レニィラ

バイアラス

リディ

ベルザウス

ルー

リヴァドル

グローリヴァス

ゾルデスク

ヴィルガス

ラゴベザス

ディグド

ギザイア

ロミ

メネヴァ

ファクト

ドゥバ

ガルダ

シリナ

シルヴァス

リヴァイルシア

シーヴァス

ノードゥ

前哨戦


この戦いで、ガイヴェルドディルセアを変わらず軍師として抜擢したが、その兵力は明らかに減少されていた。
ディルセアは、既にこの時自分がガイヴェルドの元で出来ることは終わった事を悟っていた。
1月20日、ベルザフィリス国軍の一部隊が近隣の村で略奪行為を行い、村に火を放った。その煙はルディック城に布陣するロー・レアルス国軍にもはっきりと見え、これに怒ったメネヴァが、自身の部隊と周囲の部隊を結集させて2万の兵力で出陣、ヴィルガス部隊と戦闘状態となる。


しかし、そこにはリディ部隊、ギザイア部隊が集結し、誘い込まれたメネヴァ部隊は兵力を失うわけにもいかずすぐさま後退する。だがこれを逃がさずに追撃するベルザフィリス国軍、結局メネヴァは緒戦から大事な兵力を失い、ベルザウスの救援により漸く後退する。

1月21日 北東区の戦斗


翌日、今度はヴィルガスリディ部隊がメネヴァの陣に総攻撃を仕掛け、「北東区の戦斗」が開幕する。
今度はベルザウスも、ギザイア部隊の攻撃に対処しなければならず、メネヴァを援護することが出来ない。
結局メネヴァは、数倍の兵力を擁するリディヴィルガスを相手に奮戦するものの、部隊は壊滅して彼も戦死する。
序盤の戦いでなんとしても極地的な勝利を収めて士気を上げたかったロー・レアルス国軍にとって手痛い敗戦であった。
この後、ベルザウスは陣地を放棄し、一旦城に戻って再び軍議を開く。

1月22日、ルディック城内で軍議が開かれた。
この時、ルーの元に内通を促す使者がやってきたが、誰もそのような流言に乗ることはなかった。出身も目的も異なり、中にはかつて敵同士だった者もいる、にもかかわらず、将星将軍は驚くほど協調がとれていた。
それが、滅びの美学を完成させようとする将たちの本能だったのかどうかはわからない。
軍議では、城外に機動部隊を配置し、極地的な勝利を重ねていくことで戦線を混乱させ、相手の部隊間に隙を作らせるという結論に達した。その機動部隊に志願したのがグローリヴァスであり、ルーがこれを援護する事となる。
レイディックが戦死したシャリアル遠征のとき、この二人は包囲する側とされる側であった、にも関わらず、乱世が成せる技か、二人の間には友情が生まれていた。 だが、ルー自身敵の出現場所によって臨機応変に動かなければならず、グローリヴァスを援護することは不可能だと悟っていた。グローリヴァスもそれを承知の上で死を覚悟しての志願であった。

すぐに出陣したグローリヴァス部隊と、リヴァイルシア部隊の交戦により「北区の戦斗」が開幕する。
グローリヴァス部隊の動きは凄まじく、リヴァイルシアは第一陣が全滅、しかし、第二陣、三陣と控えるベルザフィリス国軍に対して、グローリヴァス部隊はたった1部隊で連戦しなくてはならなかった。
そして同じ頃、ルーディルセア部隊と交戦していた。
ディルセア虎の子と呼ばれた最強の騎馬部隊に対して、ルーは槍隊を駆使して戦い、大陸に名を轟かせたディルセアの騎馬部隊も無傷な者は一人もいないところまで追い詰められていた。
結局ディルセア部隊はおびただしい屍を残して後退する。

1月23日 南区の戦斗


しかし、1月23日に「南区の戦斗」が始まり、シルヴァスレニィラバイアラスの総攻撃によってリヴァドルが戦死、続く24日にディグドラゴベザスの波状攻撃によって、ついにグローリヴァス部隊も壊滅、彼も壮絶な戦死を遂げる。
両軍は一旦後退し、補給と軍議を行った。
補給といっても、ロー・レアルス国軍に補充する兵力は存在せず、特攻前の最後の休息にも近かった。

1月27日 ルディック城落城

1月27日、両軍は最後の激突を繰り広げた。
だがこの戦いは、ガイヴェルドの最後の戦いにしてはあまり出来のよいものではなかった。
それは、もはや特攻して、華々しい散り花を咲かす道しか残されていないロー・レアルス国軍と、勝利後の恩賞を考え始め、最後の最後まできたこの局面で戦死するのはあまりにも惜しいと考えるベルザフィリス国軍の、決戦に対する姿勢の違いの現れであった。
ルーは7人の影武者を駆使して神出鬼没の戦いを見せ、ベルザフィリス国軍を混乱させると、ガイヴェルド本陣に突撃、本陣の旗は倒れ、ガイヴェルド自身馬に乗り剣を振るう所まで追い詰められていた。
戦いながら日付は変わり1月28日、シーヴァスレニィラシルヴァスバイアラス部隊の総攻撃によりルディック城は炎に包まれていた。
城内の決戦で、ベルザウスシリナガルダドゥバは戦死し、ファクトゾルデスクノードゥは城を包む炎の中に身を投げた。
城が燃えるのを見たルーは、闇夜に紛れて一旦姿を消すと、早朝にガイヴェルド本陣に向かって特攻を仕掛けた。
この時、ルーと共に駆け抜けた騎馬は108騎。一人、また一人と討たれる中、ひたすら彼らはガイヴェルド本陣を目指した。この突撃に対してベルザフィリス国軍は、ほとんど防衛が機能しなかった。それはルディック城も落ち、天下統一が成し遂げた今、勝利の美酒を飲みかける寸前で何故命を捨てなければならないのかという自己保身のためである。
たった一人、この突撃を本気で食い止めようとしていたリディも、腕を斬られて負傷、この傷は思ったより深く、彼女は二度と槍をもてなくなる。
しかし、神憑りな突撃も、たった108人ではやがて限界が訪れた。同日昼過ぎ、ルーの戦死をもって、ルディックの戦いは完全に終わりを遂げた。

戦いの結末

ベルザフィリスによって統一されたこの土地にようやく平穏な日々が訪れた。
ガイヴェルドは、ルディック城を再建すると、そこを新首都(後に帝都)とし、各地に功績のあった将軍を領主として派遣した。
かつてルディック帝国が、領地を各区に別けたのとは異なり、独自の法体勢などは一切認めず、あくまでもベルザフィリス国法のみで統一し、領主としてその土地の発展を任されることとなった将軍達。
だが、ディルセアは新領土の授与を辞退し、隠居を申し出た。
ガイヴェルドもこれを止める事なく、すんなりと承諾。こうしてディルセアは、全ての肩書きを捨てて再び旅人となり歴史の表舞台から姿を消す。

この頃、天下を統一した諸将は新たな領土でそれぞれの乱世の後始末に入っていた。
バイアラスは、家族や、一兵卒時代から苦楽を共にした友人達と栄華を楽しみ、リディアレスの墓を作り、武器を捨てると相変わらずの無口さで治世に務めた。
ギザイアは、完全に互いを憎む関係になっていたシーヴァスにあえて不毛の土地を与えると、彼が反乱せざるをえないところまで追い詰めて、後顧の憂いなく彼を討ち取った。
ディグドは、かつてシャリアル国に仕えていた頃の領土を貰うと、妻子を殺したメスローの一族を見つけ出し、報復として皆殺しとした。
ラゴベザスは、デイロードの墓参りをすませると、デイロードの遺児を連れて隠居。故郷の村へと戻り、そこで昔の様に畑を耕す生活を送った。
ヴィルガスは、ようやく手にした平穏な日々を楽しみ、治世に務め、レニィラは養子を貰い、子育てという新たな戦いに四苦八苦しながら領土を統治していった。

蜉蝣時代は終わりを告げ、大きな戦いは終わったが、この後、国崩れの乱が勃発し、更に大寒波の到来により、あれだけの戦乱を経て、ようやく手に入れたこの地を、自ら捨てなければならない日がくることとなる。