リッヅの戦い

概要

リッヅの戦いとは、蜉蝣時代の戦乱の中で、アルファ695年3月、ベルザフィリス国軍とバルド国軍の間に起きた戦いである。

戦闘に至るまでの背景


▲694年2月における勢力図

ベルザフィリス国の軍師となったディルセアは、元々素性の知れない流浪の者であった。
しかし、そもそも国そのものが無から生まれ、実力ひとつで出自を問わず集められたこの国においては、他国に見られる様な「出身も判らない者に対する偏見の目」といったものが存在しなかった。そんな環境もあり、比較的自然に受け入れられた軍師ディルセアは、農民出身のラゴベザスデイロードを引きつれ、国境を進入してきたバルド国軍と対峙していた。
リッドゾーンの戦いで大敗を喫した事もあり、この時期ベルザフィリス国は攻撃より防衛に重きを置かれていたが、ディルセアには一つの野望があった。
そろそろ自分自身も、歴史の表舞台に立とうとしていた彼は、この戦いでバルド国を挫き、そのまま反撃して攻勢に出るつもりであった。ルーディア包囲網の中で、唯一の「穴」ともいえたバルド国を、少数の軍勢で攻め落とすことができれば、確かに戦局を大きく動かすこととなるが、そのディルセアの前に、バルド国一の智将デスレーダが立ちはだかる。
しかし、ディルセアは、「自分の(総指揮官としての)初陣には地味な相手だ」と洩らしたという。この言葉が諸将の肩の力を抜かせる冗談だったのか、それとも本気だったのかは判らないが、ともかくディルセアの自信が伺える。

両軍の戦力

攻撃側 守備側

ベルザフィリス国軍
軍勢
バルド国軍
総兵力4500 兵力 総兵力8500
ディルセア 総指揮 デスレーダ
軍師
主要参戦者

ディルセア

ラゴベザス

デイロード



デスレーダ
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ナルザード
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ゾーグ

メロゥド


戦闘経緯


デスレーダは、ナルザードゾーグの2将に軍勢を与え、大きく迂回させた。兵数で勝っていることを利用して、最終的には三軍をもってディルセアを包囲する為である。
しかし、これを察知したディルセアは、デスレーダより先に動き始める。
数の差から、敵は守りを固めるだとうと思っていたバルド国軍だが、ベルザフィリス国軍は全軍をもって速やかに陣を捨てて移動。行軍中だったナルザード部隊に突撃を仕掛ける。ナルザードラゴベザスに討ち取られ、部隊は壊滅した。


出鼻を挫かれたデスレーダは、自らの軍勢も前進させ、ゾーグ部隊を北上させて2部隊で同時攻撃する策をとった。
だが、これもディルセアの想定通りの行動に過ぎず、彼はすぐさま準備していた行動に移った。
北上を開始したゾーグ部隊だが、その彼の前にディルセア部隊が姿を現す。
彼自ら最前線に立ち、降伏を促すが、ナルザード部隊を失っても未だ数で勝るバルド国軍は、ディルセアの脅しに過ぎないと拒絶する。その瞬間、ゾーグ部隊を完全に取り囲む様にベルザフィリス国軍の旗が姿を現し、ラゴベザスデイロードが姿を現す。
この時、ラゴベザスデイロード側には数十騎しか兵が存在せず、旗のみの無人部隊であった。
込み入った山地だからこそ可能なこの擬態は、ディルセアが得意とする心理作戦であった。
自分が包囲されたと信じ込んだゾーグは、実際は兵力の差がそれほどなかったのだが、混乱によってまったく機能せず、ゾーグは生け捕られ、この後バルド国への道案内を務める事となる。
ナルザードゾーグ部隊を失ったデスレーダは怒り、撤退を進言した将を斬るという、彼らしからぬ行動をとり、決戦の覚悟を決める。
しかし、バルド国一の智将を売り言葉としていた彼のこの取り乱し様に、先の展開を予見した将メロゥドは、デスレーダ陣の食料を焼き払ってそのままベルザフィリス国軍に投降。デスレーダは無念のうちに撤退していくこととなる。

戦いの結末

リッヅの戦いは、動員された兵数も少なく、決して決戦と呼ぶような規模の戦いではなかった。
にもかかわらず、この戦いこそが名門ボルゾックの、バルド国滅亡を3年早めたと言われている。
お互いの国の軍師が直接対決し、ディルセアが全ての面において完全勝利を収めた為である。
ルーディア包囲網を組んだ連合軍といいながら、既に全盛期を過ぎた落日のバルド国だけ完全に蚊帳の外と扱われていた事もあり、シャリアル国、アル国からの援護は一切得られず、(彼ら自身も、ルーディアや、他の部隊と対陣していたから、という点もあるが)この後、ベルザフィリス国軍は守りを固めるという基本方針を維持しつつ、バルド国にのみ電撃的に侵攻、アル国、シャリアル国、バルド国のそれぞれの国境部隊で速やかに将軍の移動が行われ、ラゴベザスは、レニィラシレンと共にシャリアル国国境へ向かい、それまでルーディアガイヴェルドが陣を敷いていたアル国国境戦線へはヴィルガスグレシアが向かい、ルーディアディルセアデイロードガイヴェルドが、バルド国へ侵攻。
リッヅの戦い以後、一方的に蹂躙されるだけのバルド国軍は、ついに10月11日、首都が陥落する。

ボルゾックの最期は、蜉蝣戦記に記述されている内容によると以下の通りである。
城を炎に包まれたボルゾックは、自らの敗北を信じることが出来ず、最後まで自分の兵を集結せよと叫び続けた。見かねた軍師デスレーダが、名門に相応しい自決を促すが、彼はそれを受け入れることができず狂ったように泣き叫ぶ。デスレーダは自らの剣でボルゾックを貫くと、返す刀で自らの喉を突き、城と運命を共にした。
ルーディアは、ディルセアメロゥド達を従えてそのまま旧バルド国領土に残り、シャリアル国を徐々に包囲する形をとった。
独眼竜が見据える山の向こうにはメスロー、その先にはいずれ決着をつけるべき真の敵レイディックヴェリア、東のメファイザスが待ち構えていた。



最終更新:2011年12月11日 21:51