概要
戦闘に至るまでの背景
この頃、大陸中に奇妙な噂が流れた。
カルディスが生きているという噂である。
この噂の真相については
蜉蝣時代最大の謎とされている。
アルディア著の
蜉蝣戦記にも噂の事ははっきりと書かれているが、その後
カルディスが歴史の表舞台に立つことがないことから、単なる噂だったという説が有力である。
しかし、近年
アルディアの日記が発見され、全身に傷を負いながらも奇跡的に生還を果たした
カルディスが、山奥で隠遁生活を送り、たずねてきた
アルディアと接触。彼の性格が穏やかになっていたこと、二度と乱世の表舞台に立つつもりのないこと、更にはその後、
アルディアの従者として、共に旅をしたこと等が書かれている。
これが本当に
アルディアの日記ならば、彼の生存は間違いないものであり、
カルディス本人の希望により、存在を抹消してもらったことが想像できるが、日記が発見された場所が
アルディアと所縁のない土地だったことから、名もなき作家が
アルディアの名前を借りて作った後世の創作という説も否定できず、結局は謎のままである。
しかし、乱世の覇者達は、そんな噂に流されることなく情勢を動かしていく。
7月28日、
ロードレア国は、
ロー・レアルス国との戦いから一旦離れ、
シャリアル国との決戦に挑む事となった。
これは、
ベルザフィリス国と友好関係(同盟には至らず)を結び、
ルーディア包囲網を背後から牽制するという意味もあったが、
ベルザフィリス国に目線を向け、比較的手薄になっていた
シャリアル国に攻め込みたいというのが本音であった。
これに対して、
シャリアル国は、切り札とも言うべき
シャリアル三牙王を召集し、更に
ディグドが総大将として、最強の布陣で迎え撃つ。「手薄」という当初の目論見は思わぬ
メスローの対応の早さで挫かれるが、
ロードレア国も、
レイディック自らが、
ヴェリア、
アレス、
アリガル、
ラディアの、いわゆる「
ロードレア四天王」を揃えて出陣することで、牽制などではない、本気の決戦に挑むこととなった。
両軍の戦力
戦闘経緯
しかし、流石は
シャリアル国の誇る三牙王と軍師
ディグドであった。本格的な混戦を避け、すばやく撤退命令を下すと、損害らしい損害も出さずに戦場から引き上げ、にらみ合いの体勢をとった。
8月15日、このにらみ合いに耐え切れなくなった
ナッシュ部隊が、独断専行して敵部隊への奇襲を敢行した。
ナッシュを副将として預かっていた
ラディアは、その無謀さを指摘するが、一方でその動機を聞かされて悩んでいた。
ナッシュはかつて
リディアニーグの策により、
ラディアの祖国
アゾル国を滅亡させている。その後、紆余曲折を経て二人は
ロードレア国の将として並ぶ事となるが、過去のいきさつから、
ラディアは
ナッシュとの会話を職務上の最低限に留めていた。
ナッシュもまた、
ラディア本人に語る事はなかったが、いつか手柄をたててそれを
ラディアに献上し、過去の罪滅ぼしとしたいと他の者に語っていた。
その事実を知った
ラディアは、
ナッシュ救援の部隊を率いて出陣する。
罪滅ぼしの覚悟はあったとはいえ、
ナッシュの将としての器は、三牙王には遠く及ばず、彼の奇襲は看破されて反撃を受けていた。そこに
ラディア部隊が現れ、突撃により敵軍を一瞬混乱させると、そのまま
ナッシュ部隊を回収して後退していく。
二人は帰還後、
レイディックに呼ばれ査問を受ける。軍令にそむく事は重罪ではあるが、戦乱の時代においては軍令に背いたとしても手柄を上げれば相殺、場合によっては恩賞の対象ともなる風習があった。しかし今回の件は完全な
ナッシュの失敗であり、軍令違反は免れないと思われたが、これを
ラディアが弁護して彼を救う、ここに二人の過去は清算され、以後二人は私情を挟むことなく互いの職務に打ち込むこととなる。また、全てを承知で罪なしとした
レイディックも、器の大きさを見せた。
その後も両国の軍勢は数度にわたり激突するが、ついに決着が付かないまま8月29日を迎える。
最初の戦い以後、軍勢の采配を副軍師
アレスに任せ、戦場から姿を消していた軍師
ヴェリアが密かに行っていた策がここにきて動き始め、
ディグドは戦いの最中、突如本国に召集命令を受ける。
メスローの元に駆けつけた
ディグドが目にした光景は、処刑された自らの妻子の亡骸であった。
ヴェリアの反間の計によって、
ディグド反乱の噂を、国主
メスローは信じてしまったのだ。
ヴェリアや
アレスは、常時いかなる策でも実行できる様に、子飼いの
隠密、または共に
エザリアンの元で学んだ
隠密達を、各国の将やその身の回りの世話をする者、更には一般市民にまで潜ませていた。
そして彼らを使って「
ディグドが国境で長期戦の構えを見せたのは時間稼ぎであり、自らの息のかかった部隊を用意し、時がくれば
ロードレア国軍と同時に
シャリアル本国へ攻め込む」という噂を流させた。
噂だけならば
メスローも信じる事はなかったが、
ヴェリアは
ディグドの家に
ロードレア国からの使者を送り、わざと捕らえさせたりと、周到に状況証拠を数多く作り上げた。
元々部下に対して猜疑心を持っていた独裁者タイプの
メスローは、これを
ヴェリアの策と見破る事もなく、
ディグドの反乱を信じ込み、見せしめのために一族を処刑し、召集に応じて帰国した
ディグドを捕らえた。しかし、幼き頃の自らの兵法の師であった
ディグドを即刻処刑することはさすがに気が乗らなかったのか、とりあえず牢内に閉じ込めることとした。
戦いの結末
最終更新:2011年12月07日 21:03