エィディスの戦い

概要

エィディスの戦いとは、アルファ692年、シャリアル国、バルド国連合軍とベルザフィリス国軍の間に起きた戦いである。
これより、長きに渡りベルザフィリス国は、ルーディア包囲網に悩まされることとなる。

戦闘に至るまでの背景


▲692年8月における勢力図

アル国を継いだザグルスの暴政は、日増しに増加していった。この時アル国は新造艦隊「ルッダリザ艦隊」を建造中であったにも関わらず、首都の城を改築する為に膨大な金を消費し、国庫が底をつくと民衆に更なる重税をかけ、前国主ルドリアの陵墓の財宝にすら手を出した。
これに忠臣エリィンが真正面から諫言するが、その場でザグルスに殺害された。
ある者はザグルスから離れて地方へ赴き、ある者は彼の顔色だけを伺い、アル国は急速に内部から腐敗していった。
それとは対照的に、このアル国と正面から戦い続けたベルザフィリス国には、まさに日の出の勢いがあった。先王ディアル、そして独眼竜ルーディアの旧知の者であるシーザルス国の猛将ヴィルガスが、単身シーザルス国からベルザフィリス国に渡り、その旗の下に馳せ参じ、更に陣営は強化されていた。
しかし、ベルザフィリス国にも悩みの種はあった。アル国だけではなく、急速に力をつけたこの国に警戒を持ったシャリアル国のメスローが、ルーディア包囲網を完成させ、バルド国のボルゾックと連合軍を組み、ベルザフィリス国への侵攻を開始していたのである。

両軍の戦力

攻撃側 守備側

シャリアルバルド連合軍
軍勢
ベルザフィリス国軍
総兵力172100 兵力 総兵力80600
メスロー 総指揮 ルーディア
ケリス 軍師 レニィラ
主要参戦者

シャリアル

メスロー

ケリス
#ref error :画像を取得できませんでした。しばらく時間を置いてから再度お試しください。

フォール


ルーディア

レニィラ

ベヌロゥズ

ガイヴェルド

ザガ

バルド

ボルゾック

デスレーダ

ケーズ

デイル

ヴィルガス

ヒサヴェヌア

ガズド

戦闘経緯


合流地点に向かって行軍を進めるシャリアル国軍。しかし、エクレナ山地に差し掛かった時、濃霧によって足止めを受けてしまう。このままではバルド国軍との合流予定日に遅れる。この時メスローは、麓の村に火をつけて見通しをよくさせた。国主として、というより人としてもはや常軌を逸した行動ではあるが、生まれた時から権力者であったメスローには、自らの領土の民の苦しみなど目に留まらなかった。
こうして全軍はエィディス平原付近に布陣した。
ベルザフィリス国は、山賊上がりで山岳戦のプロベヌロゥズを密かにボルス山地へと向かわせて、奇襲を仕掛けるべくその気配を消した。
この時、ルーディアレニィラの普段と違う進言に微妙な違和感を感じ、レニィラエィディス平原への偵察を命じる。

11月24日、ボルス山地に到着したベヌロゥズ部隊は、そこに待ち構えていたシャリアル国軍に包囲され、四方より火攻めを受ける。ベヌロゥズは奮戦するものの、武運尽きて戦死。シャリアルバルド連合軍はボルス山地、ニィロゥ山に軍勢を進めて布陣、完全にベルザフィリス国軍を威圧する。
これに対してルーディアは、本陣をエィディス平原に進めると宣言。
ベヌロゥズの件もあった為、慎重な行動をとるべきだとヴィルガスガイヴェルドは進言するが、これをレニィラが制し、エィディス平原は偵察の結果敵の気配はなく、全軍を進めるべきだと発言。
この一言が決定打となり、ルーディアレニィラの反乱を看破する。
そこに、密かに偵察を命じていた別の将から、「エィディス平原に既に敵が布陣している」という報告が届く。
レニィラは、バルド国から送られた埋伏将軍であった。かつてレイディックの才能をいち早く察知していたデスレーダは、ルーディアにも警戒心を持ち、まだ脅威になる前のベルザフィリス国にレニィラを潜り込ませていた。そして、数年の間、ベルザフィリス国の将として何食わぬ顔でここまで仕え続け、この最高の機会を待ち続けていたのである。
策を見抜かれたレニィラは、自ら剣を抜きルーディアに斬りかかるが、かろうじてこれを凌いだルーディアレニィラはそのまま闇夜に乗じて姿をくらまし、バルド国軍の陣へと向かった。

レニィラの策を見破ったとはいえ、状況は何も変わっていなかった。
連合軍は2倍以上の兵力をもって高地を奪っている。そこで、ベルザフィリス国軍は、ルーディアの指揮の元、一か八かの勝負に出た。
誰もがベルザフィリス国軍は慎重になり、守りを固めると思ったこの状況下において、ベルザフィリス国軍が連合軍に対して夜襲を仕掛けたのである。


まずはヴィルガス部隊が一直線にニィロゥ山のボルゾック本陣に突撃。
これをケーズ部隊が妨害するが、ヴィルガスの突撃によって崩壊、ケーズヴィルガスによって一太刀で討ち取られる。
しかし、所詮は一部隊の特攻、冷静になった連合軍が三方からヴィルガスを包囲する。
だが、これを承知の上で突撃したヴィルガスは、ボルゾック本陣に目もくれずそのまま北東方向へと駆け抜けていく。
ヴィルガスを包囲するため、一瞬とはいえボルス山地に隙を見せた連合軍、そこに間髪をいれずザガ部隊が現れ、ボルス山の陣地を奪う。

陣を奪われたことで焦ったバルド国の部隊が、山岳の陣を奪い返そうと攻めあがるが、二重に伏せていたベルザフィリス国軍によって挟撃されて壊滅する。
しかも、駆け抜けたと思っていたヴィルガス部隊がそのまま反転、再突撃を仕掛けてくる。
この突撃を食い止めるべく、デイルガズドの二将が勝負を挑むが、ヴィルガスは二人まとめて相手にすると、これを難なく討ち取り、かつてゼノスとも互角に渡り合ったその武勇がまったく衰えていない事を証明させた。
続いてヴィルガスの前に立ちはだかるのは、バルド国本陣への撤退に成功したレニィラであった。
ルーディアを策にかけることには失敗したものの、レニィラルーディアの軍師を務めた程の器であり、一軍の将としても有能であった。さすがにケーズ達とは違い、猛将ヴィルガスとも互角に渡り合うものの、ヴィルガスレニィラとの勝負を避けて、今度は西方向へ部隊を移動させる。


更に真正面から攻めあがってきたガイヴェルドに、連合軍は守りを固めるが、ガイヴェルドまでもが西へと進路を変える。この2部隊の動きに完全に浮き足立った連合軍本陣は、部隊を集結させるべく一旦後退する。
その瞬間再び伏兵となっていたザガ部隊が姿を現し、今度はニィロゥ山を占拠する。戦後ザガは、「まるで空き巣泥棒だった」とこの戦いを振り返ったという。
更にルーディア自らも本陣をエィディス平原へ移動させ、僅か一夜にしてボルス山地、ニィロゥ山、エィディス平原は連合軍のものからベルザフィリス国軍の旗に切り替わってしまう。

ところが11月26日、ベルザフィリス国軍は、ニィロゥ山、ボルス山地の軍勢を全て退かせて、エィディス平原に全軍を集結させる。
苦労して奪った敵陣を簡単に放棄した事に、連合軍はベルザフィリス国軍の罠を警戒して、陣の奪還は行わなかった。


更に翌日の27日、ベルザフィリス国は、元々信頼関係など存在せず、利害で手を結んだバルド国、シャリアル国の離間にとりかかった。
既に山地を巡っての戦いに敗れた事から、メスローボルゾックは互いに責任を擦り付け合い、本陣をそれぞれ別々の場所に配備した。
そんな情勢で、ルーディアからボルゾックへの書状を携えた密偵が送られるが、これがシャリアル国軍の網にかかって囚われる。発見された書状は、特別かわったことのない季節の挨拶文であったが、わざわざ交戦相手にこの様な書状を送る不自然さから、何らかの合図ではないかとメスローは勘ぐり始める。
同時刻、バルド国軍にもルーディアからメスロー宛の書状が発見されていた。しかし、バルド国軍師デスレーダは、これをルーディアの離間の策と看破するものの、メスローを信じきれない部分もあり、シャリアル国が突如裏切っても対処できる様に軍勢の布陣を移動させた。
この移動が、逆にメスローに不信感を抱かせ、結局二国は疑心暗鬼の渦に飲み込まれていった。
もはや互いに連携をとれず、それどころかいつ相手が背後を襲ってくるか不安になった二国に、ベルザフィリス国軍は真正面から突撃を仕掛ける。

数では未だ連合軍が倍の兵力を誇っていたが、だからこそこの無謀ともとれる正面からの突撃に「連合軍がこのタイミングで裏切るのでは」という疑問も生じ、完全に浮き足立った所を完膚なきまでに叩き潰された。
ルーディアは、この戦いでは完全勝利をおさめたものの、元来の兵力差は覆せるものでもなく、ベルザフィリス国軍に追撃する余力まではなかった。

この戦いを終えて帰還する最中、盗賊団とメード村の戦いを知ったルーディアは、ヴィルガスを派遣して盗賊団の撃退を命じる。しかし、彼が目にしたのはメード村の農民ラゴベザスデイロードの二人が、鬼神の如き戦いを見せて盗賊団を撃退している姿であった。二人はルーディアの説得により、そのままベルザフィリス国の将軍として仕える事となり、やがて五舞将として、ベルザフィリス国の中心を担う将へと育っていく。


最終更新:2011年12月05日 18:04