ヴァイグの戦い

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&bold(){概要} ---- ヴァイグの戦いとは、[[蜉蝣時代]]の戦乱の中で、[[アルファ]]709年12月、[[ベルザフィリス]]国軍と[[ロー・レアルス]]国軍の間に起きた戦いである。 群雄割拠の時代は終わりを告げ、二つの強国に絞られた状況下で起きた、「天下分け目の大決戦」である。 &bold(){戦闘に至るまでの背景} ---- &ref(http://izayoi-moon.sakura.ne.jp/6-war/kagerousenki/map/709-05.JPG,left) ▲709年5月における勢力図 [[ベルザフィリス]]国と[[ロー・レアルス]]国、地図は二色に彩られ、互いに最後の戦いが近づいたことを意識していた。 そして、この日から水面下で激しい謀略戦が幕を開けることとなる。 まずは[[ディルセア]]の指示により、隠密[[リディ]]が各地に現れ、流言を飛ばして[[ロー・レアルス]]国を攪乱する。その間に[[ディルセア]]は、[[ロー・レアルス]]国の将で、[[メファイザス]]と不仲だった[[リューズ]]将軍に、反乱を起こすように使者を送る。 だが、それまで流言を殆ど無視していた[[メファイザス]]が、この[[リューズ]]への使者のみ捕らえる。彼には[[ディルセア]]の狙いが、最初から自分と不仲な[[リューズ]]だったことを見破って、そこを集中的に見張っていた。 また、6月には[[ディグド]]の発案により軍を動かし、北に囮部隊を配置して一気に南の領土を削り、領土の形を全体的に[[ロー・レアルス]]国を包囲する様に持っていこうとするが、密かに行動していたはずの[[ディグド]]部隊に、[[ロー・レアルス]]国の奇襲部隊が襲い掛かり、[[ディグド]]は傷を負いながらかろうじて撤退する。 このように、決戦前の謀略前哨戦は、[[ベルザフィリス]]国が次々と手を打つが、そのほとんどが[[ロー・レアルス]]国に看破される、という形が続いていた。 8月10日、直接戦闘中の国同士でも、季節の挨拶に使者を送りあうのはこの時代の礼儀となっていたが、この日は、軍師[[ディルセア]]が、周囲の制止を聞かず自らが使者となり、[[ロー・レアルス]]国国主[[メファイザス]]と会見し、自ら携えた書状を読み上げた。これが世に伝わる「[[斗陣の奏]]」である。 乱世に幕を下ろす決戦まで秒読み段階に入っているという高揚感からか、両国共に妙に芝居染みたこの会見ではあったが、この席で[[ディルセア]]と[[メファイザス]]は、決戦の前哨戦と称してまずは弁舌で勝負するが、これは互いに譲らず、続いて余興として、陣取りゲーム「[[カグルス]]」を行うが、これは[[メファイザス]]が勝利した。 [[ディルセア]]は後に、「戦には智と力と運が必要だ、私は[[メファイザス]]に智と力で及ばなかったが、運のみは勝っていた」と洩らしたことがあるという。 この間、[[ベルザフィリス]]国でも意見の分裂があった。 既に、この大陸の派遣は二大強国によって決定している。このまま、二国による共存をもって乱世の終決とする動きもあった。ただし、これは二国による「緊張状態」を維持することで保たれる平和であり、真の乱世の終決とはいえない。また、[[ベルザフィリス]]国には、もう広げるべき領土がないのに対して、[[ロー・レアルス]]国は、その気になれば大陸の南に新領土を求めることができる。その場合、将来両国の国力差は広がっていく一方となる。 やはり、乱世に終幕を打つ為にも、決着をつけるべき、という意見が採用された。 こうなると、どうしても戦いたいのは[[ベルザフィリス]]国の方で、[[メファイザス]]は「待ち」の体勢でよかった。 結局、痺れを切らして決戦への火蓋を最初に切ったのは[[ベルザフィリス]]国となる。 [[ディルセア]]は、城攻めより野戦を得意としていた為、なんとしても[[ロー・レアルス]]国軍が自ら出陣してくるように仕向けたかった。 12月16日、突如反乱を起こした[[ディグド]]を討伐すると称して、[[ガイヴェルド]]は全軍に出陣を命じる。 この[[ディグド]]の反乱は、[[ロー・レアルス]]国軍を動かすための芝居であったが、芝居とは思えないほどの本格的、かつ大人数の人間が動いた。[[メファイザス]]がこの策を看破しても、国境にいる最前線の将が全て[[メファイザス]]ほどの洞察力を持っているわけではない。この突然の軍事行動に、[[ガイズ]]、[[ファクト]]、[[バグゼス]]の3将は、好機到来と独自の判断で出陣。[[ベルザフィリス]]国軍が進軍するルートに伏せて、奇襲を仕掛けようとするが、一向に[[ベルザフィリス]]国軍は姿を現さない。 既に反乱を起こしたという「芝居」を解いた[[ディグド]]部隊と主力部隊が後方で合流していた為である。 その事実を知った3将は、今度は自分たちの退路が断たれると、援軍を要請、こうして両国は援軍に援軍を重ね、両国の主力部隊を出陣させ、天下分け目の決戦へ赴くこととなる。 &bold(){両軍集結} ---- 天下分け目の決戦の地として選ばれたのは、見通しの良い[[ヴァイグ高地]]であった。 続々と集結する両軍、そしてこの戦いは決戦に相応しく、いくつもの伝説を作った。 霧に包まれて道に迷った[[ルー]]部隊は、[[バイアラス]]部隊と遭遇してしまう。この時[[ルー]]は「そこを進むは[[グローリヴァス]]部隊か、返答がなければ敵とみなして攻撃する」と叫び、[[バイアラス]]部隊の前線に味方部隊と見せかけて、素早く霧の中に姿を消す。 また、[[リディ]]は最前線に陣を構えていたが、後続部隊が遅れていると知ると、わざと隙だらけの陣を敷いた。これを見た[[ロー・レアルス]]国軍は、罠を警戒して[[リディ]]陣に近づかず、結果的に[[ベルザフィリス]]国軍の集結まで手を出すことができなかった。 戦場で年は変わり、710年1月14日。 続々と集結する両軍は、にらみ合いと軍議を重ねていた。奇襲や夜襲で先手を打つという意見が出なかった訳ではないが、お互いどこまで兵力が集結するのか不透明な部分もあり、両軍は小競り合いこそあったものの、にらみ合いが続いていた。 [[ベルザフィリス]]国は、作戦を巡って[[ディグド]]と[[ディルセア]]が対立し、軍議に一瞬緊張が走る。[[ディグド]]はこの頃、2国がにらみ合いを続けた緊張状態を保ったまま戦乱を終わらせたいという思想を持っていた。かつて主[[メスロー]]に簡単に見捨てられた彼は、天下統一後の自分の身に不安を感じていた為である。 しかし、軍議は決戦で決まり、[[ディグド]]もこれに従うが、この行為は数年後に[[ディグド]]の命運に関わることとなる。 &bold(){両軍の戦力} ---- |>|>|>|>|BGCOLOR(#cccccc):CENTER:''攻撃側''|BGCOLOR(#cccccc):|>|>|>|>|BGCOLOR(#cccccc):CENTER:''守備側''| |>|>|>|>|CENTER:&ref(http://izayoi-moon.sakura.ne.jp/6-war/char/monsyou/beruzafirisu.PNG)&br()[[ベルザフィリス]]国軍|CENTER:''軍勢''|>|>|>|>|CENTER:&ref(http://izayoi-moon.sakura.ne.jp/6-war/char/monsyou/ro-rearusu.PNG)&br()[[ロー・レアルス]]国軍| |>|>|>|>|CENTER:総兵力270000|CENTER:''兵力''|>|>|>|>|CENTER:総兵力267000| |>|>|>|>|CENTER:[[ガイヴェルド]]|CENTER:''総指揮''|>|>|>|>|CENTER:[[メファイザス]]| |>|>|>|>|CENTER:[[ディルセア]]|CENTER:''軍師''|>|>|>|>|CENTER:[[リヴァドル]]| |>|>|>|>|>|>|>|>|>|>|BGCOLOR(#cccccc):CENTER:''主要参戦者''| |CENTER:&ref(http://izayoi-moon.sakura.ne.jp/6-war/kagerousenki/busyou/kao/gaiverudo.JPG,width=55,height=68)&br()[[ガイヴェルド]]|CENTER:&ref(http://izayoi-moon.sakura.ne.jp/6-war/kagerousenki/busyou/kao/delirusea.JPG,width=55,height=68)&br()[[ディルセア]]|CENTER:&ref(http://izayoi-moon.sakura.ne.jp/6-war/kagerousenki/busyou/kao/renilira.JPG,width=55,height=68)&br()[[レニィラ]]|CENTER:&ref(http://izayoi-moon.sakura.ne.jp/6-war/kagerousenki/busyou/kao/baiarasu.JPG,width=55,height=68)&br()[[バイアラス]]|CENTER:&ref(http://izayoi-moon.sakura.ne.jp/6-war/kagerousenki/busyou/kao/rideli.JPG,width=55,height=68)&br()[[リディ]]||CENTER:&ref(http://izayoi-moon.sakura.ne.jp/6-war/kagerousenki/busyou/kao/mefaizasu.JPG,width=55,height=68)&br()[[メファイザス]]|CENTER:&ref(http://izayoi-moon.sakura.ne.jp/6-war/kagerousenki/busyou/kao/0.JPG,width=55,height=68)&br()[[リヴァドル]]|CENTER:&ref(http://izayoi-moon.sakura.ne.jp/6-war/kagerousenki/busyou/kao/zenosu.JPG,width=55,height=68)&br()[[ゼノス]]|CENTER:&ref(http://izayoi-moon.sakura.ne.jp/6-war/kagerousenki/busyou/kao/ruu.JPG,width=55,height=68)&br()[[ルー]]|CENTER:&ref(http://izayoi-moon.sakura.ne.jp/6-war/kagerousenki/busyou/kao/gaizu.JPG,width=55,height=68)&br()[[ガイズ]]| |CENTER:&ref(http://izayoi-moon.sakura.ne.jp/6-war/kagerousenki/busyou/kao/virugasu.JPG,width=55,height=68)&br()[[ヴィルガス]]|CENTER:&ref(http://izayoi-moon.sakura.ne.jp/6-war/kagerousenki/busyou/kao/ragobezasu.JPG,width=55,height=68)&br()[[ラゴベザス]]|CENTER:&ref(http://izayoi-moon.sakura.ne.jp/6-war/kagerousenki/busyou/kao/deligudo.JPG,width=55,height=68)&br()[[ディグド]]|CENTER:&ref(http://izayoi-moon.sakura.ne.jp/6-war/kagerousenki/busyou/kao/gizaia.JPG,width=55,height=68)&br()[[ギザイア]]|CENTER:&ref(http://izayoi-moon.sakura.ne.jp/6-war/kagerousenki/busyou/kao/romi.JPG,width=55,height=68)&br()[[ロミ]]||CENTER:&ref(http://izayoi-moon.sakura.ne.jp/6-war/kagerousenki/busyou/kao/meneva.JPG,width=55,height=68)&br()[[メネヴァ]]|CENTER:&ref(http://izayoi-moon.sakura.ne.jp/6-war/kagerousenki/busyou/kao/guroorivasu.JPG,width=55,height=68)&br()[[グローリヴァス]]|CENTER:&ref(http://izayoi-moon.sakura.ne.jp/6-war/kagerousenki/busyou/kao/fakuto.JPG,width=55,height=68)&br()[[ファクト]]|CENTER:&ref(http://izayoi-moon.sakura.ne.jp/6-war/kagerousenki/busyou/kao/baguzesu.JPG,width=55,height=68)&br()[[バグゼス]]|CENTER:&ref(http://izayoi-moon.sakura.ne.jp/6-war/kagerousenki/busyou/kao/0.JPG,width=55,height=68)&br()[[ガイアス]]| |||||||CENTER:&ref(http://izayoi-moon.sakura.ne.jp/6-war/kagerousenki/busyou/kao/ferisia.JPG,width=55,height=68)&br()[[フェリシア]]||||| &bold(){戦闘経緯} ---- &ref(http://izayoi-moon.sakura.ne.jp/6-war/kagerousenki/monogatari/map/61.JPG,left) [[ベルザフィリス]]国軍27万、[[ロー・レアルス]]国軍26万7千、両軍の全ての布陣は整い、天下分け目のヴァイグ決戦は刻々と迫りつつあった。 [[アルディア]]著、[[蜉蝣戦記]]の行雲編よりこの戦いを忠実に再現すると……710年2月15日に[[ベルザフィリス]]国は[[リディ]]を、[[ロー・レアルス]]国は[[ゼノス]]を先陣を出陣させたが、その直後に突然の大雨が[[ヴァイグ高地]]を襲い、視界は悪く、先陣として出陣したものの両軍共に脚踏み状態となってしまう。 「天下分け目の決戦に赴きながら、雨が降ったから引き換えした」では、兵士の士気に関わるということもあり、[[リディ]]は[[ゼノス]]に一騎打ちを申し込んだ。これならば、両軍共に「決戦前の余興」として兵を動かしたことの名分が立つ。 こうして、両軍の兵士が見守るなか、[[リディ]]と[[ゼノス]]は壮絶な一騎打ちを繰り広げる。この一騎打ちは互いに顔を立てるため、おそらく本気ではなかったのだろうか、勝敗はつかなかった。それでも両軍の兵士の大歓声が上がり、士気だけを上げて引き上げた。 そして雨もあがった翌16日、今度は正真正銘決戦の幕は開け、正面より激突する。 [[リディ]]と[[ゼノス]]が、今度は本気でぶつかり合い、[[ヴィルガス]]、[[ギザイア]]、[[ラゴベザス]]の三将がその横をすり抜けて一気に前線を上げる。対する[[ロー・レアルス]]国は[[ガイズ]]、[[メネヴァ]]、[[ファクト]]、[[ガイアス]]、[[バグゼス]]部隊が動き出し、両軍の大決戦が幕を開けた。 &ref(http://izayoi-moon.sakura.ne.jp/6-war/kagerousenki/monogatari/map/62.JPG,left) 再び小雨が降りしきる中、[[リディ]]と[[ゼノス]]は、前日に引き続き一騎打ちを繰り広げる。今回は昨日の一騎打ちとは異なり、周囲で大混戦が起こり、誰一人見守らない中行われた本気で相手を討ち取るまで終わらない激しい戦いであった。 しかし、[[リディ]]は[[バイアラス]]が到着するまで時間を稼げばよいので、[[ゼノス]]の猛攻を紙一重で凌ぐ。 10時20分、[[リヴァドル]]は、[[バイアラス]]の猛攻を警戒し、本陣の防衛に動く。 続いて10時40分、その[[バイアラス]]部隊が、一気に均衡を崩すべく最前線へと移動。[[リディ]]と合流した[[バイアラス]]は、[[ゼノス]]に挑みかかる。 &ref(http://izayoi-moon.sakura.ne.jp/6-war/kagerousenki/monogatari/map/63.JPG,left) かつて[[ラディア]]と[[バイアラス]]を同時に相手した[[ゼノス]]は、この懐かしき好敵手の出現に心を躍らせながら、今度は[[リディ]]と[[バイアラス]]を同時に相手して互角に戦った。 10時57分、最初に大きな動きを見せたのは[[ガイズ]]部隊と[[ギザイア]]部隊であった。 [[ギザイア]]の波状攻撃によって、[[ロー・レアルス]]国軍の[[ガイズ]]部隊が戦線を維持できず崩壊。 11時6分に遊撃部隊として待機していた[[グローリヴァス]]部隊が出陣するが、彼の到着とほぼ同時に[[ガイズ]]は戦死、部隊は完全に壊滅する。 更に前進する[[ギザイア]]部隊だが、[[グローリヴァス]]部隊が到着と同時に猛反撃を仕掛け、[[ギザイア]]部隊は大きく押し戻され、[[ガイズ]]部隊との戦いで既に半壊状態だったこともあり、11時41分に[[ギザイア]]部隊は壊滅、そのまま戦線離脱していく。 &ref(http://izayoi-moon.sakura.ne.jp/6-war/kagerousenki/monogatari/map/64.JPG,left) そして、誰もがこの戦線だけは持ちこたえると信じていた[[ゼノス]]部隊で変化が訪れる。 [[バイアラス]]と激しい戦いを繰り広げていた彼だが、ここ数年の病と身体の衰えはついに隠しきれなくなっていた。 [[リディ]]と[[バイアラス]]の攻撃により、ついに彼が後退。しかし、猛将の名をほしいままにしてきた[[ゼノス]]にとって、後退は敗北よりも屈辱であった。 彼は踵を返すと、再突撃を仕掛け、思う存分最後の戦いを暴れると、最後は名もなき兵卒に討ち取られたという。 12時23分[[ゼノス]]戦死。 [[ゼノス]]の養女であった[[フェリシア]]も、その直後に討たれ、これにより[[バイアラス]]部隊が前進し、12時30分、[[リヴァドル]]部隊と交戦状態となる。 &ref(http://izayoi-moon.sakura.ne.jp/6-war/kagerousenki/monogatari/map/65.JPG,left) [[ヴィルガス]]の攻撃を支えていた[[バグゼス]]部隊も、13時42分に戦線を維持できず崩壊すると、[[ガイアス]]部隊が[[ヴィルガス]]部隊と正面からあたる。これを救出するべく[[ルー]]部隊が沈黙を破って動き出すが、それは敵を欺く擬態であった。 [[ルー]]の真の目的は、[[ガイヴェルド]]本陣であった。彼は本陣が狙える瞬間までひたすらこの決戦を見守り続け、ついにその時が来たと13時49分、一気に軍勢を動かす。 この突撃を食い止めようと[[レニィラ]]が立ちはだかるが、[[ルー]]の鬼気迫る突撃によって[[レニィラ]]部隊は崩壊し、[[ルー]]は[[ガイヴェルド]]本陣にまで迫った。 そして、それこそが[[ルー]]の思惑であった。[[ガイヴェルド]]本陣に敵兵迫る、この報告が前線に伝わると、諸将は急いで本陣を救援するべく軍勢を一旦下げようとする。その乱れを逃さず[[ロー・レアルス]]国軍が一気に押し戻す。いくら本陣にたどり着いたといっても、[[ガイヴェルド]]部隊は健在であり、[[ルー]]一人で壊滅できるものではない。しかし、相手が各戦線で動揺してくれれば、戦いそのものが有利に傾く。この戦局の逆転こそが、[[ルー]]の真の狙いであった。 たった1部隊で、まるで人形劇の様に決戦に参戦していた多くの部隊を操った[[ルー]]の突撃は、後世まで語り継がれることとなる。 &ref(http://izayoi-moon.sakura.ne.jp/6-war/kagerousenki/monogatari/map/66.JPG,left) だが、たった一人だけ、[[ルー]]の思惑と、真逆の行動をとった将がいた。 その将こそが[[リディ]]である。 彼女は、[[ルー]]の策を見抜いた訳ではなかった。ただ、[[リディ]]は[[隠密]]出身という特殊な立場から、自分の生命すら道具と見る事ができる、冷静な現実主義者であった。 自分の位置からして、本陣救援に向かっても間に合わない事を悟った彼女は、他の将なら「間に合うかどうかは問題ではない」と駆けつけるべきところを、意味を持たない本陣救援より、目の前の敵を撃破することに集中するべきと判断。結局、この決断が決戦の行方を左右することとなる。 &ref(http://izayoi-moon.sakura.ne.jp/6-war/kagerousenki/monogatari/map/67.JPG,left) 15時13分、[[ファクト]]部隊を撃破した[[リディ]]が、[[メファイザス]]本陣へと迫る。 こうなると、今度は[[ロー・レアルス]]国の諸将の間に迷いが生じる。[[メファイザス]]本陣を救援すればいいのか、このまま[[ベルザフィリス]]国軍を押し込めばいいのか、この迷いは[[ベルザフィリス]]国の将軍が立ち直るには十分な時間であった。各地で戦線は再び互角の戦いとなり、一進一退の攻防が続く。 一方、既に天下統一を意識して、疑心暗鬼な性格が僅かながら出始めていた[[ガイヴェルド]]は、開戦から動きを見せない[[ディルセア]]に不安を感じていた。しかし、[[ディルセア]]は戦線が落ち着くこの時期をひたすら待ち続け、部隊を未だ動かそうとしなかった。 彼は、智の戦いも力の戦いも[[メファイザス]]に勝てないことを悟り、運の戦いに持ち込もうとしていた。ひたすら自分に都合のよい戦局に動くことを待ち続け、[[ガイヴェルド]]からの出陣要請すら無視して沈黙を守り続けていた。これが、後の二人の決別に繋がることとなるが、それでも[[ディルセア]]は待ち続けた。 そして、運命の女神はそんな[[ディルセア]]についに微笑みかけようとしていた。 &ref(http://izayoi-moon.sakura.ne.jp/6-war/kagerousenki/monogatari/map/68.JPG,left) 決戦は一気に消耗戦へと突入する。 15時26分、連戦に疲労の極地に達した[[バイアラス]]部隊もついに戦線より離脱。 15時29分には[[メネヴァ]]部隊が後退。 そして15時49分、ついに[[ディルセア]]部隊が動き出すと、一気に[[メファイザス]]本陣に総攻撃を仕掛ける。 16時30分、[[リヴァドル]]部隊が戦線離脱すると、[[グローリヴァス]]部隊も戦線を維持できなくなり、[[メファイザス]]本陣は[[ラゴベザス]]、[[リディ]]、[[ディグド]]、[[ディルセア]]の4部隊に完全に包囲される。 [[メファイザス]]は、この波状攻撃を食い止めると、包囲を突破して撤退を開始する。 [[メファイザス]]本陣の撤退を知った[[ルー]]も、敗北を悟り全軍を統率して後退を開始するが、皆が南へ向かう中、彼だけが北へと脱出する。 本国への最短ルートを狙って南に逃れた[[ガイアス]]は追撃によって捕えられたが、あえて遠回りのルートを選んだ[[ルー]]は無事本国へ戻ることができた。 &ref(http://izayoi-moon.sakura.ne.jp/6-war/kagerousenki/monogatari/map/68.JPG,left) そして、[[メファイザス]]は追撃を逃れて国境守備部隊の待つ城へと撤退に成功するが、そこで待っていたのは矢の雨であった。 城兵は[[ベルザフィリス]]国の総攻撃を恐れ、[[メファイザス]]を売ることを決意。 [[メファイザス]]はそれを聞いた瞬間、自分がかつて[[カルディス]]の死をまって国を奪った光景を思い出すと、「国を盗んだ男は、国を盗まれて終わるのか」と、自嘲の笑みを浮かべた。 その数日後、[[メファイザス]]は退路もなく、残党狩りに捕えられる事となる。 &bold(){戦いの結末} ---- 天下分け目のヴァイグの戦いに勝利を収めた[[ベルザフィリス]]国軍は、[[ガイヴェルド]]を先頭に凱旋した。 [[ロー・レアルス]]国軍は壊滅し、[[メファイザス]]、[[ガイアス]]、[[バグゼス]]は囚われた。 処刑の前日、[[メファイザス]]の希望により[[ガイヴェルド]]、[[ディルセア]]と別々に彼は面会した。 それこそが、[[メファイザス]]が「死に行くものは嘘はつかない」という、生者が勝手に妄想した美談を最大限に利用した最期の策であるということを知らずに…… [[メファイザス]]は、まず[[ガイヴェルド]]と会見すると、ヴァイグの戦いでは[[ディルセア]]が日和見を決め込み、最後の勝利だけを奪った策であり、あれは戦局が逆転していればいつでも矛先を[[ガイヴェルド]]に向けていただろうと告げる。かつての[[ガイヴェルド]]ならば、その様な流言に惑わされることもなかったが、既に天下統一を目前に控えて、権力に取り憑かれ、部下という存在を信じなくなってきていた彼は、再三の出陣要請を無視した[[ディルセア]]の行動に心当たりを感じずに入られなかった。 続いて[[メファイザス]]は[[ディルセア]]と出会う。 まずは自らの敗北を認めるが、[[ディルセア]]は、智と力で勝てなかった為、「策を捨てた策」をしたまでだと語る。 共に死力を尽くした者同士、そこに遺恨はなく、純粋に互いの力を認め合っていた。だが、[[メファイザス]]は、その感情に流されることなく最後の策を実行する。彼はこれで天下を取った[[ガイヴェルド]]によって、[[ディルセア]]は用無しとなり捨てられるであろうと同情した。 これは、[[ガイヴェルド]]と[[ディルセア]]に不信感を植え付ける離間の策であったが、それと同時に死力を尽くして戦った[[ディルセア]]に対しての、善意の忠告でもあった。 こうして2月22日、[[メファイザス]]は、[[ガイアス]]、[[バグゼス]]と並んで処刑された。 だが、これで戦乱が終わる……という訳ではなかった。 [[ベルザフィリス]]国は、[[ディグド]]、[[ギザイア]]を中心とした和平派と呼ばれる派閥が出来つつあった。彼らは[[ロー・レアルス]]国を滅ぼさず、このまま均衡状態を維持して外交によって平和的に二国共存をもって戦乱の時代を終わらせるという主張を持っていた。 それに対して二国の共存は、いずれ禍根を作るかもしれないという理由から、あくまでも[[ベルザフィリス]]国の天下統一にこだわる[[ガイヴェルド]]、[[ディルセア]]、[[バイアラス]]を中心とした交戦派が正面より対立する。 その一方、国主を失った[[ロー・レアルス]]国も同様の火種を抱えていた。 [[メファイザス]]亡き後、[[ロー・レアルス]]国は[[ベルザウス]]、[[ルー]]、[[ドゥバ]]、[[リヴァドル]]の4人を中心としつつ、それを[[グローリヴァス]]、[[ロードレア]]国滅亡後にその配下となった[[メネヴァ]]達が補佐して統治していた。 彼ら個々の能力と人徳もあり、比較的まとまっていたこの時代を、国主不在の[[ロー・レアルス]][[将星将軍]]統率時代と呼ぶ。 その彼らにしても、外交により生き残る道を探そうとする[[ベルザウス]]、[[グローリヴァス]]の和平派、徹底抗戦を訴える[[ドゥバ]]達交戦派が存在していたが、元々彼らに選択の余地がなかったこともあり、[[ベルザフィリス]]国の対立とは違い、彼らはとりあえず団結していた。 710年の秋、この年から徐々にこの地方に寒波が襲い始める。 各地で不作が続き、食料を失った[[ロー・レアルス]]領土の村人が、国境を越えて[[ベルザフィリス]]国領土の村を襲った。これを鎮圧するべく[[ベルザフィリス]]国の国境守備部隊が動き、[[ロー・レアルス]]領土の村を攻め滅ぼす。 これに怒った部隊が動き始め、両国は上層部の意向を無視して臨戦態勢となる。 こうなると、最早時代の流れが彼らを動かしていると自らを納得させ、両国の交戦派が動き出し、[[ベルザフィリス]]国軍は[[ロー・レアルス]]国軍を完全に沈黙させる最後の決戦へと出陣した。 迎え撃つ[[ロー・レアルス]]国は、かつて[[ルディック]]国の首都であり、この大陸を一度は統治していた[[ルディック城]]を最後の拠点として、全軍を集結させた。 ここに、[[ルディックの陣]]が幕を開ける。 &ref(http://izayoi-moon.sakura.ne.jp/zairyou/50.GIF,left)
&bold(){概要} ---- ヴァイグの戦いとは、[[蜉蝣時代]]の戦乱の中で、[[アルファ]]709年12月(対陣は12月だが、決戦が行われたのは710年1月)、[[ベルザフィリス]]国軍と[[ロー・レアルス]]国軍の間に起きた戦いである。 群雄割拠の時代は終わりを告げ、二つの強国に絞られた状況下で起きた、「天下分け目の大決戦」である。 &bold(){戦闘に至るまでの背景} ---- &ref(http://izayoi-moon.sakura.ne.jp/6-war/kagerousenki/map/709-05.JPG,left) ▲709年5月における勢力図 [[ベルザフィリス]]国と[[ロー・レアルス]]国、地図は二色に彩られ、互いに最後の戦いが近づいたことを意識していた。 そして、この日から水面下で激しい謀略戦が幕を開けることとなる。 まずは[[ディルセア]]の指示により、隠密[[リディ]]が各地に現れ、流言を飛ばして[[ロー・レアルス]]国を攪乱する。その間に[[ディルセア]]は、[[ロー・レアルス]]国の将で、[[メファイザス]]と不仲だった[[リューズ]]将軍に、反乱を起こすように使者を送る。 だが、それまで流言を殆ど無視していた[[メファイザス]]が、この[[リューズ]]への使者のみ捕らえる。彼には[[ディルセア]]の狙いが、最初から自分と不仲な[[リューズ]]だったことを見破って、そこを集中的に見張っていた。 また、6月には[[ディグド]]の発案により軍を動かし、北に囮部隊を配置して一気に南の領土を削り、領土の形を全体的に[[ロー・レアルス]]国を包囲する様に持っていこうとするが、密かに行動していたはずの[[ディグド]]部隊に、[[ロー・レアルス]]国の奇襲部隊が襲い掛かり、[[ディグド]]は傷を負いながらかろうじて撤退する。 このように、決戦前の謀略前哨戦は、[[ベルザフィリス]]国が次々と手を打つが、そのほとんどが[[ロー・レアルス]]国に看破される、という形が続いていた。 8月10日、直接戦闘中の国同士でも、季節の挨拶に使者を送りあうのはこの時代の礼儀となっていたが、この日は、軍師[[ディルセア]]が、周囲の制止を聞かず自らが使者となり、[[ロー・レアルス]]国国主[[メファイザス]]と会見し、自ら携えた書状を読み上げた。これが世に伝わる「[[斗陣の奏]]」である。 乱世に幕を下ろす決戦まで秒読み段階に入っているという高揚感からか、両国共に妙に芝居染みたこの会見ではあったが、この席で[[ディルセア]]と[[メファイザス]]は、決戦の前哨戦と称してまずは弁舌で勝負するが、これは互いに譲らず、続いて余興として、陣取りゲーム「[[カグルス]]」を行うが、これは[[メファイザス]]が勝利した。 [[ディルセア]]は後に、「戦には智と力と運が必要だ、私は[[メファイザス]]に智と力で及ばなかったが、運のみは勝っていた」と洩らしたことがあるという。 この間、[[ベルザフィリス]]国でも意見の分裂があった。 既に、この大陸の派遣は二大強国によって決定している。このまま、二国による共存をもって乱世の終決とする動きもあった。ただし、これは二国による「緊張状態」を維持することで保たれる平和であり、真の乱世の終決とはいえない。また、[[ベルザフィリス]]国には、もう広げるべき領土がないのに対して、[[ロー・レアルス]]国は、その気になれば大陸の南に新領土を求めることができる。その場合、将来両国の国力差は広がっていく一方となる。 やはり、乱世に終幕を打つ為にも、決着をつけるべき、という意見が採用された。 こうなると、どうしても戦いたいのは[[ベルザフィリス]]国の方で、[[メファイザス]]は「待ち」の体勢でよかった。 結局、痺れを切らして決戦への火蓋を最初に切ったのは[[ベルザフィリス]]国となる。 [[ディルセア]]は、城攻めより野戦を得意としていた為、なんとしても[[ロー・レアルス]]国軍が自ら出陣してくるように仕向けたかった。 12月16日、突如反乱を起こした[[ディグド]]を討伐すると称して、[[ガイヴェルド]]は全軍に出陣を命じる。 この[[ディグド]]の反乱は、[[ロー・レアルス]]国軍を動かすための芝居であったが、芝居とは思えないほどの本格的、かつ大人数の人間が動いた。[[メファイザス]]がこの策を看破しても、国境にいる最前線の将が全て[[メファイザス]]ほどの洞察力を持っているわけではない。この突然の軍事行動に、[[ガイズ]]、[[ファクト]]、[[バグゼス]]の3将は、好機到来と独自の判断で出陣。[[ベルザフィリス]]国軍が進軍するルートに伏せて、奇襲を仕掛けようとするが、一向に[[ベルザフィリス]]国軍は姿を現さない。 既に反乱を起こしたという「芝居」を解いた[[ディグド]]部隊と主力部隊が後方で合流していた為である。 その事実を知った3将は、今度は自分たちの退路が断たれると、援軍を要請、こうして両国は援軍に援軍を重ね、両国の主力部隊を出陣させ、天下分け目の決戦へ赴くこととなる。 &bold(){両軍集結} ---- 天下分け目の決戦の地として選ばれたのは、見通しの良い[[ヴァイグ高地]]であった。 続々と集結する両軍、そしてこの戦いは決戦に相応しく、いくつもの伝説を作った。 霧に包まれて道に迷った[[ルー]]部隊は、[[バイアラス]]部隊と遭遇してしまう。この時[[ルー]]は「そこを進むは[[グローリヴァス]]部隊か、返答がなければ敵とみなして攻撃する」と叫び、[[バイアラス]]部隊の前線に味方部隊と見せかけて、素早く霧の中に姿を消す。 また、[[リディ]]は最前線に陣を構えていたが、後続部隊が遅れていると知ると、わざと隙だらけの陣を敷いた。これを見た[[ロー・レアルス]]国軍は、罠を警戒して[[リディ]]陣に近づかず、結果的に[[ベルザフィリス]]国軍の集結まで手を出すことができなかった。 戦場で年は変わり、710年1月14日。 続々と集結する両軍は、にらみ合いと軍議を重ねていた。奇襲や夜襲で先手を打つという意見が出なかった訳ではないが、お互いどこまで兵力が集結するのか不透明な部分もあり、両軍は小競り合いこそあったものの、にらみ合いが続いていた。 [[ベルザフィリス]]国は、作戦を巡って[[ディグド]]と[[ディルセア]]が対立し、軍議に一瞬緊張が走る。[[ディグド]]はこの頃、2国がにらみ合いを続けた緊張状態を保ったまま戦乱を終わらせたいという思想を持っていた。かつて主[[メスロー]]に簡単に見捨てられた彼は、天下統一後の自分の身に不安を感じていた為である。 しかし、軍議は決戦で決まり、[[ディグド]]もこれに従うが、この行為は数年後に[[ディグド]]の命運に関わることとなる。 &bold(){両軍の戦力} ---- |>|>|>|>|BGCOLOR(#cccccc):CENTER:''攻撃側''|BGCOLOR(#cccccc):|>|>|>|>|BGCOLOR(#cccccc):CENTER:''守備側''| |>|>|>|>|CENTER:&ref(http://izayoi-moon.sakura.ne.jp/6-war/char/monsyou/beruzafirisu.PNG)&br()[[ベルザフィリス]]国軍|CENTER:''軍勢''|>|>|>|>|CENTER:&ref(http://izayoi-moon.sakura.ne.jp/6-war/char/monsyou/ro-rearusu.PNG)&br()[[ロー・レアルス]]国軍| |>|>|>|>|CENTER:総兵力270000|CENTER:''兵力''|>|>|>|>|CENTER:総兵力267000| |>|>|>|>|CENTER:[[ガイヴェルド]]|CENTER:''総指揮''|>|>|>|>|CENTER:[[メファイザス]]| |>|>|>|>|CENTER:[[ディルセア]]|CENTER:''軍師''|>|>|>|>|CENTER:[[リヴァドル]]| |>|>|>|>|>|>|>|>|>|>|BGCOLOR(#cccccc):CENTER:''主要参戦者''| |CENTER:&ref(http://izayoi-moon.sakura.ne.jp/6-war/kagerousenki/busyou/kao/gaiverudo.JPG,width=55,height=68)&br()[[ガイヴェルド]]|CENTER:&ref(http://izayoi-moon.sakura.ne.jp/6-war/kagerousenki/busyou/kao/delirusea.JPG,width=55,height=68)&br()[[ディルセア]]|CENTER:&ref(http://izayoi-moon.sakura.ne.jp/6-war/kagerousenki/busyou/kao/renilira.JPG,width=55,height=68)&br()[[レニィラ]]|CENTER:&ref(http://izayoi-moon.sakura.ne.jp/6-war/kagerousenki/busyou/kao/baiarasu.JPG,width=55,height=68)&br()[[バイアラス]]|CENTER:&ref(http://izayoi-moon.sakura.ne.jp/6-war/kagerousenki/busyou/kao/rideli.JPG,width=55,height=68)&br()[[リディ]]||CENTER:&ref(http://izayoi-moon.sakura.ne.jp/6-war/kagerousenki/busyou/kao/mefaizasu.JPG,width=55,height=68)&br()[[メファイザス]]|CENTER:&ref(http://izayoi-moon.sakura.ne.jp/6-war/kagerousenki/busyou/kao/0.JPG,width=55,height=68)&br()[[リヴァドル]]|CENTER:&ref(http://izayoi-moon.sakura.ne.jp/6-war/kagerousenki/busyou/kao/zenosu.JPG,width=55,height=68)&br()[[ゼノス]]|CENTER:&ref(http://izayoi-moon.sakura.ne.jp/6-war/kagerousenki/busyou/kao/ruu.JPG,width=55,height=68)&br()[[ルー]]|CENTER:&ref(http://izayoi-moon.sakura.ne.jp/6-war/kagerousenki/busyou/kao/gaizu.JPG,width=55,height=68)&br()[[ガイズ]]| |CENTER:&ref(http://izayoi-moon.sakura.ne.jp/6-war/kagerousenki/busyou/kao/virugasu.JPG,width=55,height=68)&br()[[ヴィルガス]]|CENTER:&ref(http://izayoi-moon.sakura.ne.jp/6-war/kagerousenki/busyou/kao/ragobezasu.JPG,width=55,height=68)&br()[[ラゴベザス]]|CENTER:&ref(http://izayoi-moon.sakura.ne.jp/6-war/kagerousenki/busyou/kao/deligudo.JPG,width=55,height=68)&br()[[ディグド]]|CENTER:&ref(http://izayoi-moon.sakura.ne.jp/6-war/kagerousenki/busyou/kao/gizaia.JPG,width=55,height=68)&br()[[ギザイア]]|CENTER:&ref(http://izayoi-moon.sakura.ne.jp/6-war/kagerousenki/busyou/kao/romi.JPG,width=55,height=68)&br()[[ロミ]]||CENTER:&ref(http://izayoi-moon.sakura.ne.jp/6-war/kagerousenki/busyou/kao/meneva.JPG,width=55,height=68)&br()[[メネヴァ]]|CENTER:&ref(http://izayoi-moon.sakura.ne.jp/6-war/kagerousenki/busyou/kao/guroorivasu.JPG,width=55,height=68)&br()[[グローリヴァス]]|CENTER:&ref(http://izayoi-moon.sakura.ne.jp/6-war/kagerousenki/busyou/kao/fakuto.JPG,width=55,height=68)&br()[[ファクト]]|CENTER:&ref(http://izayoi-moon.sakura.ne.jp/6-war/kagerousenki/busyou/kao/baguzesu.JPG,width=55,height=68)&br()[[バグゼス]]|CENTER:&ref(http://izayoi-moon.sakura.ne.jp/6-war/kagerousenki/busyou/kao/0.JPG,width=55,height=68)&br()[[ガイアス]]| |||||||CENTER:&ref(http://izayoi-moon.sakura.ne.jp/6-war/kagerousenki/busyou/kao/ferisia.JPG,width=55,height=68)&br()[[フェリシア]]||||| &bold(){戦闘経緯} ---- &ref(http://izayoi-moon.sakura.ne.jp/6-war/kagerousenki/monogatari/map/61.JPG,left) [[ベルザフィリス]]国軍27万、[[ロー・レアルス]]国軍26万7千、両軍の全ての布陣は整い、天下分け目のヴァイグ決戦は刻々と迫りつつあった。 [[アルディア]]著、[[蜉蝣戦記]]の行雲編よりこの戦いを忠実に再現すると……710年2月15日に[[ベルザフィリス]]国は[[リディ]]を、[[ロー・レアルス]]国は[[ゼノス]]を先陣を出陣させたが、その直後に突然の大雨が[[ヴァイグ高地]]を襲い、視界は悪く、先陣として出陣したものの両軍共に脚踏み状態となってしまう。 「天下分け目の決戦に赴きながら、雨が降ったから引き換えした」では、兵士の士気に関わるということもあり、[[リディ]]は[[ゼノス]]に一騎打ちを申し込んだ。これならば、両軍共に「決戦前の余興」として兵を動かしたことの名分が立つ。 こうして、両軍の兵士が見守るなか、[[リディ]]と[[ゼノス]]は壮絶な一騎打ちを繰り広げる。この一騎打ちは互いに顔を立てるため、おそらく本気ではなかったのだろうか、勝敗はつかなかった。それでも両軍の兵士の大歓声が上がり、士気だけを上げて引き上げた。 そして雨もあがった翌16日、今度は正真正銘決戦の幕は開け、正面より激突する。 [[リディ]]と[[ゼノス]]が、今度は本気でぶつかり合い、[[ヴィルガス]]、[[ギザイア]]、[[ラゴベザス]]の三将がその横をすり抜けて一気に前線を上げる。対する[[ロー・レアルス]]国は[[ガイズ]]、[[メネヴァ]]、[[ファクト]]、[[ガイアス]]、[[バグゼス]]部隊が動き出し、両軍の大決戦が幕を開けた。 &ref(http://izayoi-moon.sakura.ne.jp/6-war/kagerousenki/monogatari/map/62.JPG,left) 再び小雨が降りしきる中、[[リディ]]と[[ゼノス]]は、前日に引き続き一騎打ちを繰り広げる。今回は昨日の一騎打ちとは異なり、周囲で大混戦が起こり、誰一人見守らない中行われた本気で相手を討ち取るまで終わらない激しい戦いであった。 しかし、[[リディ]]は[[バイアラス]]が到着するまで時間を稼げばよいので、[[ゼノス]]の猛攻を紙一重で凌ぐ。 10時20分、[[リヴァドル]]は、[[バイアラス]]の猛攻を警戒し、本陣の防衛に動く。 続いて10時40分、その[[バイアラス]]部隊が、一気に均衡を崩すべく最前線へと移動。[[リディ]]と合流した[[バイアラス]]は、[[ゼノス]]に挑みかかる。 &ref(http://izayoi-moon.sakura.ne.jp/6-war/kagerousenki/monogatari/map/63.JPG,left) かつて[[ラディア]]と[[バイアラス]]を同時に相手した[[ゼノス]]は、この懐かしき好敵手の出現に心を躍らせながら、今度は[[リディ]]と[[バイアラス]]を同時に相手して互角に戦った。 10時57分、最初に大きな動きを見せたのは[[ガイズ]]部隊と[[ギザイア]]部隊であった。 [[ギザイア]]の波状攻撃によって、[[ロー・レアルス]]国軍の[[ガイズ]]部隊が戦線を維持できず崩壊。 11時6分に遊撃部隊として待機していた[[グローリヴァス]]部隊が出陣するが、彼の到着とほぼ同時に[[ガイズ]]は戦死、部隊は完全に壊滅する。 更に前進する[[ギザイア]]部隊だが、[[グローリヴァス]]部隊が到着と同時に猛反撃を仕掛け、[[ギザイア]]部隊は大きく押し戻され、[[ガイズ]]部隊との戦いで既に半壊状態だったこともあり、11時41分に[[ギザイア]]部隊は壊滅、そのまま戦線離脱していく。 &ref(http://izayoi-moon.sakura.ne.jp/6-war/kagerousenki/monogatari/map/64.JPG,left) そして、誰もがこの戦線だけは持ちこたえると信じていた[[ゼノス]]部隊で変化が訪れる。 [[バイアラス]]と激しい戦いを繰り広げていた彼だが、ここ数年の病と身体の衰えはついに隠しきれなくなっていた。 [[リディ]]と[[バイアラス]]の攻撃により、ついに彼が後退。しかし、猛将の名をほしいままにしてきた[[ゼノス]]にとって、後退は敗北よりも屈辱であった。 彼は踵を返すと、再突撃を仕掛け、思う存分最後の戦いを暴れると、最後は名もなき兵卒に討ち取られたという。 12時23分[[ゼノス]]戦死。 [[ゼノス]]の養女であった[[フェリシア]]も、その直後に討たれ、これにより[[バイアラス]]部隊が前進し、12時30分、[[リヴァドル]]部隊と交戦状態となる。 &ref(http://izayoi-moon.sakura.ne.jp/6-war/kagerousenki/monogatari/map/65.JPG,left) [[ヴィルガス]]の攻撃を支えていた[[バグゼス]]部隊も、13時42分に戦線を維持できず崩壊すると、[[ガイアス]]部隊が[[ヴィルガス]]部隊と正面からあたる。これを救出するべく[[ルー]]部隊が沈黙を破って動き出すが、それは敵を欺く擬態であった。 [[ルー]]の真の目的は、[[ガイヴェルド]]本陣であった。彼は本陣が狙える瞬間までひたすらこの決戦を見守り続け、ついにその時が来たと13時49分、一気に軍勢を動かす。 この突撃を食い止めようと[[レニィラ]]が立ちはだかるが、[[ルー]]の鬼気迫る突撃によって[[レニィラ]]部隊は崩壊し、[[ルー]]は[[ガイヴェルド]]本陣にまで迫った。 そして、それこそが[[ルー]]の思惑であった。[[ガイヴェルド]]本陣に敵兵迫る、この報告が前線に伝わると、諸将は急いで本陣を救援するべく軍勢を一旦下げようとする。その乱れを逃さず[[ロー・レアルス]]国軍が一気に押し戻す。いくら本陣にたどり着いたといっても、[[ガイヴェルド]]部隊は健在であり、[[ルー]]一人で壊滅できるものではない。しかし、相手が各戦線で動揺してくれれば、戦いそのものが有利に傾く。この戦局の逆転こそが、[[ルー]]の真の狙いであった。 たった1部隊で、まるで人形劇の様に決戦に参戦していた多くの部隊を操った[[ルー]]の突撃は、後世まで語り継がれることとなる。 &ref(http://izayoi-moon.sakura.ne.jp/6-war/kagerousenki/monogatari/map/66.JPG,left) だが、たった一人だけ、[[ルー]]の思惑と、真逆の行動をとった将がいた。 その将こそが[[リディ]]である。 彼女は、[[ルー]]の策を見抜いた訳ではなかった。ただ、[[リディ]]は[[隠密]]出身という特殊な立場から、自分の生命すら道具と見る事ができる、冷静な現実主義者であった。 自分の位置からして、本陣救援に向かっても間に合わない事を悟った彼女は、他の将なら「間に合うかどうかは問題ではない」と駆けつけるべきところを、意味を持たない本陣救援より、目の前の敵を撃破することに集中するべきと判断。結局、この決断が決戦の行方を左右することとなる。 &ref(http://izayoi-moon.sakura.ne.jp/6-war/kagerousenki/monogatari/map/67.JPG,left) 15時13分、[[ファクト]]部隊を撃破した[[リディ]]が、[[メファイザス]]本陣へと迫る。 こうなると、今度は[[ロー・レアルス]]国の諸将の間に迷いが生じる。[[メファイザス]]本陣を救援すればいいのか、このまま[[ベルザフィリス]]国軍を押し込めばいいのか、この迷いは[[ベルザフィリス]]国の将軍が立ち直るには十分な時間であった。各地で戦線は再び互角の戦いとなり、一進一退の攻防が続く。 一方、既に天下統一を意識して、疑心暗鬼な性格が僅かながら出始めていた[[ガイヴェルド]]は、開戦から動きを見せない[[ディルセア]]に不安を感じていた。しかし、[[ディルセア]]は戦線が落ち着くこの時期をひたすら待ち続け、部隊を未だ動かそうとしなかった。 彼は、智の戦いも力の戦いも[[メファイザス]]に勝てないことを悟り、運の戦いに持ち込もうとしていた。ひたすら自分に都合のよい戦局に動くことを待ち続け、[[ガイヴェルド]]からの出陣要請すら無視して沈黙を守り続けていた。これが、後の二人の決別に繋がることとなるが、それでも[[ディルセア]]は待ち続けた。 そして、運命の女神はそんな[[ディルセア]]についに微笑みかけようとしていた。 &ref(http://izayoi-moon.sakura.ne.jp/6-war/kagerousenki/monogatari/map/68.JPG,left) 決戦は一気に消耗戦へと突入する。 15時26分、連戦に疲労の極地に達した[[バイアラス]]部隊もついに戦線より離脱。 15時29分には[[メネヴァ]]部隊が後退。 そして15時49分、ついに[[ディルセア]]部隊が動き出すと、一気に[[メファイザス]]本陣に総攻撃を仕掛ける。 16時30分、[[リヴァドル]]部隊が戦線離脱すると、[[グローリヴァス]]部隊も戦線を維持できなくなり、[[メファイザス]]本陣は[[ラゴベザス]]、[[リディ]]、[[ディグド]]、[[ディルセア]]の4部隊に完全に包囲される。 [[メファイザス]]は、この波状攻撃を食い止めると、包囲を突破して撤退を開始する。 [[メファイザス]]本陣の撤退を知った[[ルー]]も、敗北を悟り全軍を統率して後退を開始するが、皆が南へ向かう中、彼だけが北へと脱出する。 本国への最短ルートを狙って南に逃れた[[ガイアス]]は追撃によって捕えられたが、あえて遠回りのルートを選んだ[[ルー]]は無事本国へ戻ることができた。 &ref(http://izayoi-moon.sakura.ne.jp/6-war/kagerousenki/monogatari/map/68.JPG,left) そして、[[メファイザス]]は追撃を逃れて国境守備部隊の待つ城へと撤退に成功するが、そこで待っていたのは矢の雨であった。 城兵は[[ベルザフィリス]]国の総攻撃を恐れ、[[メファイザス]]を売ることを決意。 [[メファイザス]]はそれを聞いた瞬間、自分がかつて[[カルディス]]の死をまって国を奪った光景を思い出すと、「国を盗んだ男は、国を盗まれて終わるのか」と、自嘲の笑みを浮かべた。 その数日後、[[メファイザス]]は退路もなく、残党狩りに捕えられる事となる。 &bold(){戦いの結末} ---- 天下分け目のヴァイグの戦いに勝利を収めた[[ベルザフィリス]]国軍は、[[ガイヴェルド]]を先頭に凱旋した。 [[ロー・レアルス]]国軍は壊滅し、[[メファイザス]]、[[ガイアス]]、[[バグゼス]]は囚われた。 処刑の前日、[[メファイザス]]の希望により[[ガイヴェルド]]、[[ディルセア]]と別々に彼は面会した。 それこそが、[[メファイザス]]が「死に行くものは嘘はつかない」という、生者が勝手に妄想した美談を最大限に利用した最期の策であるということを知らずに…… [[メファイザス]]は、まず[[ガイヴェルド]]と会見すると、ヴァイグの戦いでは[[ディルセア]]が日和見を決め込み、最後の勝利だけを奪った策であり、あれは戦局が逆転していればいつでも矛先を[[ガイヴェルド]]に向けていただろうと告げる。かつての[[ガイヴェルド]]ならば、その様な流言に惑わされることもなかったが、既に天下統一を目前に控えて、権力に取り憑かれ、部下という存在を信じなくなってきていた彼は、再三の出陣要請を無視した[[ディルセア]]の行動に心当たりを感じずに入られなかった。 続いて[[メファイザス]]は[[ディルセア]]と出会う。 まずは自らの敗北を認めるが、[[ディルセア]]は、智と力で勝てなかった為、「策を捨てた策」をしたまでだと語る。 共に死力を尽くした者同士、そこに遺恨はなく、純粋に互いの力を認め合っていた。だが、[[メファイザス]]は、その感情に流されることなく最後の策を実行する。彼はこれで天下を取った[[ガイヴェルド]]によって、[[ディルセア]]は用無しとなり捨てられるであろうと同情した。 これは、[[ガイヴェルド]]と[[ディルセア]]に不信感を植え付ける離間の策であったが、それと同時に死力を尽くして戦った[[ディルセア]]に対しての、善意の忠告でもあった。 こうして2月22日、[[メファイザス]]は、[[ガイアス]]、[[バグゼス]]と並んで処刑された。 だが、これで戦乱が終わる……という訳ではなかった。 [[ベルザフィリス]]国は、[[ディグド]]、[[ギザイア]]を中心とした和平派と呼ばれる派閥が出来つつあった。彼らは[[ロー・レアルス]]国を滅ぼさず、このまま均衡状態を維持して外交によって平和的に二国共存をもって戦乱の時代を終わらせるという主張を持っていた。 それに対して二国の共存は、いずれ禍根を作るかもしれないという理由から、あくまでも[[ベルザフィリス]]国の天下統一にこだわる[[ガイヴェルド]]、[[ディルセア]]、[[バイアラス]]を中心とした交戦派が正面より対立する。 その一方、国主を失った[[ロー・レアルス]]国も同様の火種を抱えていた。 [[メファイザス]]亡き後、[[ロー・レアルス]]国は[[ベルザウス]]、[[ルー]]、[[ドゥバ]]、[[リヴァドル]]の4人を中心としつつ、それを[[グローリヴァス]]、[[ロードレア]]国滅亡後にその配下となった[[メネヴァ]]達が補佐して統治していた。 彼ら個々の能力と人徳もあり、比較的まとまっていたこの時代を、国主不在の[[ロー・レアルス]][[将星将軍]]統率時代と呼ぶ。 その彼らにしても、外交により生き残る道を探そうとする[[ベルザウス]]、[[グローリヴァス]]の和平派、徹底抗戦を訴える[[ドゥバ]]達交戦派が存在していたが、元々彼らに選択の余地がなかったこともあり、[[ベルザフィリス]]国の対立とは違い、彼らはとりあえず団結していた。 710年の秋、この年から徐々にこの地方に寒波が襲い始める。 各地で不作が続き、食料を失った[[ロー・レアルス]]領土の村人が、国境を越えて[[ベルザフィリス]]国領土の村を襲った。これを鎮圧するべく[[ベルザフィリス]]国の国境守備部隊が動き、[[ロー・レアルス]]領土の村を攻め滅ぼす。 これに怒った部隊が動き始め、両国は上層部の意向を無視して臨戦態勢となる。 こうなると、最早時代の流れが彼らを動かしていると自らを納得させ、両国の交戦派が動き出し、[[ベルザフィリス]]国軍は[[ロー・レアルス]]国軍を完全に沈黙させる最後の決戦へと出陣した。 迎え撃つ[[ロー・レアルス]]国は、かつて[[ルディック]]国の首都であり、この大陸を一度は統治していた[[ルディック城]]を最後の拠点として、全軍を集結させた。 ここに、[[ルディックの陣]]が幕を開ける。 &ref(http://izayoi-moon.sakura.ne.jp/zairyou/50.GIF,left)

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