レザベリアスの戦い

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&bold(){概要} ---- レザベリアスの戦いとは、[[蜉蝣時代]]の戦乱の中で、[[アルファ]]692年8月、[[ロードレア]]国軍と[[ロー・レアルス]]国軍の間に起きた戦いである。 [[レイディック]]と[[カルディス]]の決着をつけた最後の決戦として知られている。 &bold(){戦闘に至るまでの背景} ---- &ref(http://izayoi-moon.sakura.ne.jp/6-war/kagerousenki/map/692-08.JPG,left) ▲692年8月における勢力図 &bold(){軍師現る} ---- [[ソフィス]]の戦死から数日、国境を巡っての混乱は、[[レイディック]]が[[ラディア]]を派遣したことにより、ようやく落ち着きを取り戻していた。 そんな中、[[レイディック]]は町で笛を嗜む少女と出会う。 [[レイディック]]は、その少女に[[ソフィス]]への鎮魂歌を頼み、少女もこれに応じて一曲披露した。[[レイディック]]は礼として彼女を城に招く。純粋に鎮魂の唄に対しての礼という意味もあったが、この時代、各地を旅する吟遊詩人は貴重な情報源として各国にて重宝されていた事もあり、情報と引き換えに食事に招くことは別段珍しいことではなかった。 少女の名は[[アレス]]。戦災孤児を集めて私塾を開いていた学者[[エザリアン]]の弟子であった。 [[エザリアン]]の元で共同生活を送っていた子供たちは、成長すると自立するためにそれぞれ旅に出る。[[アレス]]もその例に倣って各地を旅していた所であった。 会話を続けるうちに、彼女の才気に気付き始めた[[レイディック]]は、しばらく[[アレス]]を逗留させ、話し込んでいた。そんな中、[[バルド]]国4万の軍勢が[[ロードレア]]国首都を強襲して領土を二分させ、[[ロー・レアルス]]国と挟撃しようと軍勢を派遣する。その報告を聞いた時、[[レイディック]]は無意識のうちに[[アレス]]に意見を求めた。これは単に会話のきっかけとして、聞いてみた程度に過ぎなかったのだが、彼女は「[[バルド]]国の軍勢が[[ゼノグリア山地]]に差し掛かる時、大雨と霧に襲われるでしょう。そこを奇襲すれば撃退が可能です」と答えた。 [[アレス]]は居ながらにして既に周囲の状況と天候を把握していた。おそらくは同じ[[エザリアン]]の私塾で育った[[隠密]]と共同で動き連絡をとりあい、彼女独自の情報網を持っていたのだろうが、個人の力で把握できる情報は限られている。この時期に[[バルド]]国に情報網を集中させていたのは間違いなく[[アレス]]の指示であったと思われる。 はたして[[アレス]]が予期した通り、[[ゼノグリア山地]]に差し掛かった[[バルド]]国軍は、大雨と霧で一旦行軍を止めるが、そこを[[アリガル]]部隊に襲われて散々に打ち破られた。([[ゼノグリアの戦い]]) これをきっかけに[[レイディック]]は[[アレス]]を正式に軍師として招こうとするが、[[アレス]]は自分より優れた男がいると、同じ私塾出身の[[ヴェリア]]を推薦し、自らは副軍師の地位に留まった。 この報告を聞いた時、[[ロー・レアルス]]国最前線に駐屯していた軍師[[メファイザス]]は、本国で不穏な動きを見せる一派の掃討を口実に、[[ロードレア]]国との決戦に向けて続々と軍勢が終結する中、一人最前線から後方へ移動する。 [[メファイザス]]も[[エザリアン]]私塾の一人で、[[ヴェリア]]の才能を知り尽くしていた。その男が今度の戦いで[[ロードレア]]国の軍師として出陣する。それが意味する結末を予期した[[メファイザス]]は、「次の手」をうつべく動き出していた。 一方[[ロードレア]]国では、7月23日に[[ロッド]]国から[[ギザイア]]が使者として[[ロードレア]]国に赴く。同盟を更に強固にするため、[[ロッド]]国国主[[リヴァイルシア]]と[[レイディック]]の妹[[シルフィーナ]]の婚約話をまとめるためである。 この時点では[[ギザイア]]は単なる使者であるが、後にこの男こそ[[ロードレア]]国を傾ける存在になるとは知る由もなかった。 こうして8月3日に両国をあげた壮大な華燭の宴が行われるが、その一方、[[ロー・レアルス]]国がついに動き始めた。 [[蜉蝣戦記]]の著者にして、後世ではなく、リアルタイムに彼らと接してきた[[アルディア]]は、[[アレス]]との出会いは詳細に書き残しているが、[[ヴェリア]]との出会いについては簡潔に済ませている。 当初は[[アレス]]との出会いに匹敵するだけのページが出会い編として続いていたのに、そのページが原本から丸ごと破り捨てられていることが確認できる。 おそらく、晩年の[[ヴェリア]]の堕落に失望した[[アルディア]]が、自身の書いた本から、[[ヴェリア]]との出会いに関するページを破り捨てたと推測される。 その為、[[レイディック]]と[[ヴェリア]]の出会いは、その後の物語によって様々な形が存在する。 &bold(){両軍の戦力} ---- |>|>|>|>|BGCOLOR(#cccccc):CENTER:''攻撃側''|BGCOLOR(#cccccc):|>|>|>|>|BGCOLOR(#cccccc):CENTER:''守備側''| |>|>|>|>|CENTER:&ref(http://izayoi-moon.sakura.ne.jp/6-war/char/monsyou/ro-dorea.PNG)&br()[[ロードレア]]国軍|CENTER:''軍勢''|>|>|>|>|CENTER:&ref(http://izayoi-moon.sakura.ne.jp/6-war/char/monsyou/ro-rearusu.PNG)&br()[[ロー・レアルス]]国軍| |>|>|>|>|CENTER:総兵力112500|CENTER:''兵力''|>|>|>|>|CENTER:総兵力184300| |>|>|>|>|CENTER:[[レイディック]]|CENTER:''総指揮''|>|>|>|>|CENTER:[[カルディス]]| |>|>|>|>|CENTER:[[ヴェリア]]|CENTER:''軍師''|>|>|>|>|CENTER:[[ドルトン]]| |>|>|>|>|>|>|>|>|>|>|BGCOLOR(#cccccc):CENTER:''主要参戦者''| |CENTER:&ref(http://izayoi-moon.sakura.ne.jp/6-war/kagerousenki/busyou/kao/reidiku.JPG,width=55,height=68)&br()[[レイディック]]|CENTER:&ref(http://izayoi-moon.sakura.ne.jp/6-war/kagerousenki/busyou/kao/veria.JPG,width=55,height=68)&br()[[ヴェリア]]|CENTER:&ref(http://izayoi-moon.sakura.ne.jp/6-war/kagerousenki/busyou/kao/aresu.JPG,width=55,height=68)&br()[[アレス]]|CENTER:&ref(http://izayoi-moon.sakura.ne.jp/6-war/kagerousenki/busyou/kao/radelia.JPG,width=55,height=68)&br()[[ラディア]]|CENTER:&ref(http://izayoi-moon.sakura.ne.jp/6-war/kagerousenki/busyou/kao/arigaru.JPG,width=55,height=68)&br()[[アリガル]]||CENTER:&ref(http://izayoi-moon.sakura.ne.jp/6-war/kagerousenki/busyou/kao/karudelisu.JPG,width=55,height=68)&br()[[カルディス]]|CENTER:&ref(http://izayoi-moon.sakura.ne.jp/6-war/kagerousenki/busyou/kao/0.JPG,width=55,height=68)&br()[[ガイアス]]|CENTER:&ref(http://izayoi-moon.sakura.ne.jp/6-war/kagerousenki/busyou/kao/zenosu.JPG,width=55,height=68)&br()[[ゼノス]]|CENTER:&ref(http://izayoi-moon.sakura.ne.jp/6-war/kagerousenki/busyou/kao/zoi.JPG,width=55,height=68)&br()[[ゾイ]]|CENTER:&ref(http://izayoi-moon.sakura.ne.jp/6-war/kagerousenki/busyou/kao/doluba.JPG,width=55,height=68)&br()[[ドゥバ]]| |CENTER:&ref(http://izayoi-moon.sakura.ne.jp/6-war/kagerousenki/busyou/kao/baiarasu.JPG,width=55,height=68)&br()[[バイアラス]]|CENTER:&ref(http://izayoi-moon.sakura.ne.jp/6-war/kagerousenki/busyou/kao/medeli.JPG,width=55,height=68)&br()[[メディ]]|CENTER:&ref(http://izayoi-moon.sakura.ne.jp/6-war/kagerousenki/busyou/kao/0.JPG,width=55,height=68)&br()[[エルジレア]]|CENTER:&ref(http://izayoi-moon.sakura.ne.jp/6-war/kagerousenki/busyou/kao/borugosu.JPG,width=55,height=68)&br()[[ボルゴス]]|CENTER:&ref(http://izayoi-moon.sakura.ne.jp/6-war/kagerousenki/busyou/kao/aruvadosu.JPG,width=55,height=68)&br()[[アルヴァドス]]||CENTER:&ref(http://izayoi-moon.sakura.ne.jp/6-war/kagerousenki/busyou/kao/0.JPG,width=55,height=68)&br()[[ザウグ]]|CENTER:&ref(http://izayoi-moon.sakura.ne.jp/6-war/kagerousenki/busyou/kao/0.JPG,width=55,height=68)&br()[[レザリア]]|CENTER:&ref(http://izayoi-moon.sakura.ne.jp/6-war/kagerousenki/busyou/kao/0.JPG,width=55,height=68)&br()[[ワイヴァ]]|CENTER:&ref(http://izayoi-moon.sakura.ne.jp/6-war/kagerousenki/busyou/kao/0.JPG,width=55,height=68)&br()[[リヴァドル]]|| |CENTER:&ref(http://izayoi-moon.sakura.ne.jp/6-war/kagerousenki/busyou/kao/boluru.JPG,width=55,height=68)&br()[[ボゥル]]|CENTER:&ref(http://izayoi-moon.sakura.ne.jp/6-war/kagerousenki/busyou/kao/firisu.JPG,width=55,height=68)&br()[[フィリス]]|CENTER:&ref(http://izayoi-moon.sakura.ne.jp/6-war/kagerousenki/busyou/kao/0.JPG,width=55,height=68)&br()[[ノース]]|CENTER:&ref(http://izayoi-moon.sakura.ne.jp/6-war/kagerousenki/busyou/kao/reiasu.JPG,width=55,height=68)&br()[[レイアス]]|CENTER:&ref(http://izayoi-moon.sakura.ne.jp/6-war/kagerousenki/busyou/kao/zarusu.JPG,width=55,height=68)&br()[[ザルス]]||||||| |CENTER:&ref(http://izayoi-moon.sakura.ne.jp/6-war/kagerousenki/busyou/kao/roluzu.JPG,width=55,height=68)&br()[[ロゥズ]]||||||||||| &bold(){前哨戦} ---- &ref(http://izayoi-moon.sakura.ne.jp/6-war/kagerousenki/monogatari/map/10-1.JPG,left) [[レザベリアス平原]]を中心に、北にエルザイア山脈、南にローザメス山地、ムゥルの森を挟んで、[[ラディア]]が駐屯する[[ガルヴァウド城]]、そして国境最前線に[[エルザイア城]]。これがレザベリアスの戦い前哨戦の舞台となる。 8月9日、[[カルディス]]が18万の軍勢を率いて[[エルザイア城]]に接近すると、この城を任されていた[[ザルス]]と、副将[[ロゥズ]]は、戦わずして降伏を決意。[[エルザイア城]]を拠点とするはずだった[[ロードレア]]国軍は、急遽[[ガルヴァウド城]]を拠点に変更、この城に駐屯する[[ラディア]]と合流した。 こうして両軍は[[レザベリアス平原]]を挟んでにらみ合い、ここに謀略においての前哨戦が始まった。 まず仕掛けたのは[[ヴェリア]]。[[ロードレア]]国から寝返った[[ザルス]]は、実は密命をうけていて、決戦時には[[ロー・レアルス]]国軍を挟み撃ちする策だという噂が[[ロー・レアルス]]国軍の陣中に流れた。その様な重要な策があっさりと洩れるのも不思議な話であり、[[カルディス]]は即座にこれが敵の謀略と看破、この時点で[[ヴェリア]]の名前すら知らない[[カルディス]]は、[[レイディック]]の策と信じ込み、「[[ソフィス]]を失ったから、策の質が落ちた」と呟き、これを逆手にとって罠を仕掛けた。 今度は[[ロードレア]]国軍陣地に噂が流れる。[[ザルス]]は挟み撃ちの策が発覚して[[カルディス]]に処刑され、副将[[ロゥズ]]は命からがら脱出、[[レイディック]]の元に帰参する。 勿論、[[ザルス]]は処刑などされておらず、[[ロゥズ]]の帰参も[[カルディス]]からの埋伏の毒であった。それを看破している[[ヴェリア]]は、更に次の段階へと赴く。お互いが相手の策を見破った上で、だまされたふりをして相手を策に落とそうとするだましあいが続く。 [[ヴェリア]]は次に、[[レイアス]]将軍を呼ぶと、書状を持たせて[[カルディス]]の元へ派遣する。その書状は[[ロゥズ]]からの書状という形で、決戦時における反乱の打ち合わせについてだった。一度はこれを偽書状と見破った[[カルディス]]だが、[[レイアス]]の説得によって心が傾き始める。その瞬間を狙って絶妙な書状が[[カルディス]]の元に届く、それは[[レイディック]]から降伏を促した書状であった。これに怒り狂った[[カルディス]]は、[[レイアス]]の説得を鵜呑みにする。 こうして虚虚実実の謀略戦が続く中、[[ラディア]]が自分の副将[[バイアラス]]を将軍に昇格させる様[[レイディック]]に進言する。 これまで無名だった[[バイアラス]]がいかなる将か興味をもった[[レイディック]]に、[[ラディア]]はこの2ヶ月前に行われた小競り合いの話を聞かせた。 6月20日、[[ロー・レアルス]]国軍は、[[ガイアス]]、[[ゼノス]]が2万5千の兵を率いて[[エルザイア城]]へ迫っていた。僅か3千しか守備兵がいなかった[[ザルス]]は、[[ラディア]]に2万という援軍を要求、[[ガルヴァウド城]]のほぼ全軍というこの援軍要請に他の将軍は反対するが、[[ラディア]]は自ら軍勢を率いて[[エルザイア城]]へ出陣。隙をついて[[ガルヴァウド城]]へ向かう[[ゼノス]]別働部隊に奇襲を仕掛けて撃退すると、[[エルザイア城]]防衛では自ら最前線に立ち指揮を振るった。この戦いで流れ矢を受けて負傷した[[ラディア]]を守って城内まで運んだのが、一兵卒だった[[バイアラス]]だった。 この働きで[[ラディア]]は彼を副将に抜擢、翌日には1千の兵を率いて敵を翻弄させ、援軍をほぼ無傷のまま[[ガルヴァウド城]]へ帰還させた。 決戦を前にそれほどの将を手に入れた[[レイディック]]は幸運であった。 話は戻って8月21日、もはや用済みとなった[[ロゥズ]]に、[[ヴェリア]]は最後の仕上げを仕掛ける。 [[ロゥズ]]は[[ロー・レアルス]]国から共につれて来た兵を率いて最前線へ送られる。帰参を証明するため、最前線を偵察すればよいとだけ[[ヴェリア]]に伝えられた[[ロゥズ]]は、言われるがまま行軍する。しかしそこには猛将[[ゼノス]]が控えていた。[[ゼノス]]の哨戒に見つかった[[ロゥズ]]は、瞬く間に討たれる。[[ロー・レアルス]]国からつれて来た兵を[[ロー・レアルス]]国に討たせ、裏切り者[[ロゥズ]]を処断し、また[[カルディス]]に、[[ロードレア]]国軍はうかつな行動をしているという印象を与える[[ヴェリア]]の策であった。 こうして決戦の8月22日を迎えようとしていた…… &bold(){戦闘経緯 1日目} ---- &ref(http://izayoi-moon.sakura.ne.jp/6-war/kagerousenki/monogatari/map/10-2.JPG,left) [[レザベリアス平原]]を舞台に、配置された両軍。 [[ヴェリア]]は、[[アレス]]にムゥルの森に火を付ける様に指示する。火を避けて[[レザベリアス平原]]に移動したところを待ち伏せする為である。しかし、真の目的は更に次の段階であった。この火攻めによる誘き出し作戦は、[[カルディス]]に見破られる事を見据えていた。[[ヴェリア]]は謀略による前哨戦の段階から、とにかく[[カルディス]]に「自分は相手の策をことごとく見破っている」と思わせ、[[カルディス]]が自分こそ主導権を握っていると思わせた形で戦いを進めていく様に仕向けていた。見破られることを前提にしながら、簡単すぎても疑念を招く、[[カルディス]]の器を測った上での、この絶妙のさじ加減を[[ヴェリア]]は見事にやり遂げていた。 8月22日、[[アレス]]が望む風がなかなか吹かず、予定より遅れながらも、火攻め部隊がムゥルの森に火をつけ、この炎が[[ロー・レアルス]]国軍の後方を襲う。[[カルディス]]は瞬時にして待ち伏せを見抜き、[[ゼノス]]部隊に逆に突撃を命じた。この突撃で待ち伏せ部隊を「演じていた」[[アリガル]]部隊が予定通り演技の後退、これに呼応して[[ロードレア]]国軍が全軍守備を固める。必要以上の深追いを避けた[[ゼノス]]だが、初戦の戦果は十分、[[カルディス]]も全軍を押し上げ、[[ロードレア]]国軍は逆に徐々に後退、ローザメナス山地へと布陣していく。 &bold(){戦闘経緯 2日目} ---- &ref(http://izayoi-moon.sakura.ne.jp/6-war/kagerousenki/monogatari/map/10-3.JPG,left) 互いの布陣は大きくその配置を変えていた。一言で言うならば[[ロードレア]]国軍は、ローザメナス山地まで押し込まれ、[[ロー・レアルス]]国軍は追い詰めたという形となる。しかし、地形は[[ロードレア]]国軍がはるかに優勢な上、全ては[[ヴェリア]]の仕掛けた罠であったことに、勝ちに乗っていた[[ロー・レアルス]]国軍はまだ気づいていない。 決戦2日目の朝、[[カルディス]]は[[ゾイ]]に先陣を任せると、彼を[[ロードレア]]本陣に、[[ゼノス]]部隊を[[ラディア]]部隊へと出陣させた。 この戦いでは、[[ゼノス]]が自ら名乗り出て、[[ラディア]]に一騎討ちを要求する、2ヶ月前の戦いで敗れた遺恨を晴らすための独断行動だが、この時代、名乗りを上げての一騎討ちは、合戦の華だったこともあり、特に珍しい光景ではなかった。[[ゼノス]]の猛攻には、さすがの[[ラディア]]も支えきれず、勝負はあったかと思われたが、これを[[バイアラス]]が救出。[[ゼノス]]は自らの武勇に絶対の自信を持ち、二人同時に相手をすると宣言、この壮絶な戦いを合図に各地で交戦が開始される。一騎討ちを終え、それぞれの軍勢指揮に戻った[[ラディア]]、[[バイアラス]]。[[ゼノス]]も今度は軍勢をもって正面から激突。[[ヴェリア]]の策により、[[ラディア]]・[[バイアラス]]部隊は後退し、追撃してきた[[ゼノス]]を石の下敷きにして打ち破る。[[ラディア]]は、「軍師の策でなければこんな戦いは絶対したくなかった」とつぶやいたという。 しかし、[[ゼノス]]本人は不死身とも見紛う生命力でこの罠を掻い潜り、[[バイアラス]]がこれを食い止める為踏みとどまり、両軍は泥沼の戦いへともつれ込む。([[ゼノス]]はこの戦いで一時生死不明となり、[[メファイザス]]の政変後に再び姿を現すこととなる) 一方で、[[ゾイ]]を中心とした主力部隊は、[[アリガル]]部隊を突破、[[ボルゴス]]部隊も突破して、[[ロードレア]]国軍を追い詰めていく。更に[[リヴァドル]]部隊から「[[ロードレア]]国軍本陣で混乱発生」という報告を受けた[[カルディス]]は、これこそ内通の約束をしていた[[ロゥズ]]の働きだと確信。[[ゾイ]]、[[リヴァドル]]部隊に総攻撃を命じる。更にこれが罠だったとしても対処できる様に、[[レザリア]]部隊、[[ドルトン]]部隊の進軍速度を落とさせる周到さも見せる。 [[ロードレア]]国軍本陣に一気に迫る[[ゾイ]]だが、ここまで守りに徹していた[[ロードレア]]国軍が突如として反撃、[[ゾイ]]部隊を完全に包囲して壊滅させる。この戦いで、建国時代から苦楽を共にした[[ゾイ]]を失った[[カルディス]]は、彼にしては珍しく取り乱し、戦死の報告を信じようとしなかった。 しかし、[[ロードレア]]国軍が更に後退したと聞かされると、今度は復讐の表情を見せ、[[ゾイ]]の弔いも兼ねた追撃を命じる。 &bold(){戦闘経緯 6日目} ---- これまでの動から、一転して静の戦いが始まる。 山頂に陣を構えた[[ロードレア]]国軍は、完全に守りの体勢をとり、[[カルディス]]も容易に手が出せなくなった。 そんな中、山頂から出陣の合図である鬨の声が上がり、すぐさま迎撃の準備をとる[[ロー・レアルス]]国軍。しかし一向に[[ロードレア]]国軍は動かない。鬨の声の発生位置を探ろうにも、山々に木霊した声は、どこから発せられているのか見当もつかず、結局[[ロー・レアルス]]国軍は姿の見えない敵を警戒したまま時間だけが過ぎる。 こんなことが三日三晩続き、山頂から見下ろされた[[ロー・レアルス]]国軍は徐々に疲労を蓄積していった。将兵の疲れに、決戦を焦った[[カルディス]]は、自ら敵陣を視察、山の地形を見事に利用した布陣から、正面からの攻撃を断念すると、ローザメナス山脈の名前の由来ともなっているローザメナス山に目をつけた。 8月27日、篝火、キャンプ、旗を残したまま、全軍を3ルートにわけ、闇夜に乗じて密かに移動した[[カルディス]]だが、見渡しのいい高地に到着した[[カルディス]]は、そこで信じられないものを見せられる事となる。 大木を使って作られた「墓」であり、そこには[[カルディス]]の名が刻まれていた。 その瞬間、[[カルディス]]は全てを悟った、すべては自分をここにおびき寄せる策だったことに……そして、草むらから次々と姿を現す伏兵が、一斉に火矢を放った。 8月27日深夜、[[カルディス]]はこの地で完全包囲され、炎の中で壮絶な戦死を遂げた。 この戦いの特徴は、両軍あわせて数十万という大合戦だったにも関わらず、[[ヴェリア]]は袋の中の石からたった一つの玉を掴むかの様に、[[カルディス]]本隊だけを最初からターゲットとしていた。 [[ロー・レアルス]]国は[[カルディス]]個人の強烈な個性によって保たれた部分がある。彼さえ討てば、あとは[[ロー・レアルス]]国は内紛を起こし弱体するというのが[[ヴェリア]]の狙いであった。 巨大な国を正面から討つより分裂させて各個撃破する。次の段階を見据えた[[ヴェリア]]の策であった。 だが、この策だけは、もう一人の「先を見据えた男」[[メファイザス]]によって実現を妨げられる事となる。 &bold(){戦いの結末} ---- この後、[[レイディックの東征]]により、[[ロー・レアルス]]国の北東部は完全に切り取られた。 [[カルディス]]戦死により混乱が続いていた[[ロー・レアルス]]国だが、北東部を切り捨てる事により、新たな国境最前線を建て直し、[[ロードレア]]国軍をそれ以上は侵入させず、ようやく落ち着きを取り戻した。 次に[[ロー・レアルス]]国の新たなる国主探しが始まる。[[カルディス]]の叔父[[ブウゲイド]]が候補として上がる。叔父とはいっても、養子に出されていた彼は、[[カルディス]]と直接の面識もなく、最近では[[カルディス]]の叔父という立場すら、捏造だったのではないかと言われている。 ともかく、彼を国主として担ぎ出し傀儡として自らが国を操ろうとしていた一派がいた事は確かである。その中心人物が[[ゾルド]]と[[リィド]]であったが、[[ブウゲイド]]を招いたまさにその日、突如城に潜入した兵士達によって彼らは討ち取られる。 そこに姿を現したのは、[[カルディス]]の軍師を務めた[[メファイザス]]であった。 彼は色めき立つ他の将を制して、自らが[[ロー・レアルス]]国を継ぐと宣言する。[[ブウゲイド]]を平民として一応の礼節をもって軟禁。既に多くの将に根回しがされていた[[メファイザス]]のクーデターは思いのほか簡単に成功することとなる。 翌年の1月3日には、レザベリアスの戦いで戦死したと思われていた[[ゼノス]]が奇跡の生還を果たし、[[メファイザス]]の元へ姿を現す。 [[カルディス]]信望者でもあった彼は、[[メファイザス]]の裏切りともとれるこの行為を許せるはずもなく、早速彼に面談する。だがその問いを待つより早く[[メファイザス]]は、彼に逆に問いかけた。[[カルディス]]の望みは一族の繁栄か、それとも乱世の終結か、一族の反映を目指すなら血族である[[ブウゲイド]]を立てて私を討つがよい。乱世の終結ならば私と共に[[カルディス]]の遺志を継ぐがよい……と。 そう言われると、[[ゼノス]]は熟慮の末、[[メファイザス]]の旗下に入るしかなかった。まさに相手の性格を熟慮した上の[[メファイザス]]の説得術であった。 そもそも乱世では血統より実力が重視されている。[[メファイザス]]が国主となることを望む将が多かった事も事実であった。 &ref(http://izayoi-moon.sakura.ne.jp/zairyou/50.GIF,left)
&bold(){概要} ---- レザベリアスの戦いとは、[[蜉蝣時代]]の戦乱の中で、[[アルファ]]692年8月、[[ロードレア]]国軍と[[ロー・レアルス]]国軍の間に起きた戦いである。 [[レイディック]]と[[カルディス]]の決着をつけた最後の決戦として知られている。 &bold(){戦闘に至るまでの背景} ---- &ref(http://izayoi-moon.sakura.ne.jp/6-war/kagerousenki/map/692-08.JPG,left) ▲692年8月における勢力図 &bold(){軍師現る} ---- [[ソフィス]]の戦死から数日、国境を巡っての混乱は、[[レイディック]]が[[ラディア]]を派遣したことにより、ようやく落ち着きを取り戻していた。 そんな中、[[レイディック]]は町で笛を嗜む少女と出会う。 [[レイディック]]は、その少女に[[ソフィス]]への鎮魂歌を頼み、少女もこれに応じて一曲披露した。[[レイディック]]は礼として彼女を城に招く。純粋に鎮魂の唄に対しての礼という意味もあったが、この時代、各地を旅する吟遊詩人は貴重な情報源として各国にて重宝されていた事もあり、情報と引き換えに食事に招くことは別段珍しいことではなかった。 少女の名は[[アレス]]。戦災孤児を集めて私塾を開いていた学者[[エザリアン]]の弟子であった。 [[エザリアン]]の元で共同生活を送っていた子供たちは、成長すると自立するためにそれぞれ旅に出る。[[アレス]]もその例に倣って各地を旅していた所であった。 会話を続けるうちに、彼女の才気に気付き始めた[[レイディック]]は、しばらく[[アレス]]を逗留させ、話し込んでいた。そんな中、[[バルド]]国4万の軍勢が[[ロードレア]]国首都を強襲して領土を二分させ、[[ロー・レアルス]]国と挟撃しようと軍勢を派遣する。その報告を聞いた時、[[レイディック]]は無意識のうちに[[アレス]]に意見を求めた。これは単に会話のきっかけとして、聞いてみた程度に過ぎなかったのだが、彼女は「[[バルド]]国の軍勢が[[ゼノグリア山地]]に差し掛かる時、大雨と霧に襲われるでしょう。そこを奇襲すれば撃退が可能です」と答えた。 [[アレス]]は居ながらにして既に周囲の状況と天候を把握していた。おそらくは同じ[[エザリアン]]の私塾で育った[[隠密]]と共同で動き連絡をとりあい、彼女独自の情報網を持っていたのだろうが、個人の力で把握できる情報は限られている。この時期に[[バルド]]国に情報網を集中させていたのは間違いなく[[アレス]]の指示であったと思われる。 はたして[[アレス]]が予期した通り、[[ゼノグリア山地]]に差し掛かった[[バルド]]国軍は、大雨と霧で一旦行軍を止めるが、そこを[[アリガル]]部隊に襲われて散々に打ち破られた。([[ゼノグリアの戦い]]) これをきっかけに[[レイディック]]は[[アレス]]を正式に軍師として招こうとするが、[[アレス]]は自分より優れた男がいると、同じ私塾出身の[[ヴェリア]]を推薦し、自らは副軍師の地位に留まった。 この報告を聞いた時、[[ロー・レアルス]]国最前線に駐屯していた軍師[[メファイザス]]は、本国で不穏な動きを見せる一派の掃討を口実に、[[ロードレア]]国との決戦に向けて続々と軍勢が終結する中、一人最前線から後方へ移動する。 [[メファイザス]]も[[エザリアン]]私塾の一人で、[[ヴェリア]]の才能を知り尽くしていた。その男が今度の戦いで[[ロードレア]]国の軍師として出陣する。それが意味する結末を予期した[[メファイザス]]は、「次の手」をうつべく動き出していた。 一方[[ロードレア]]国では、7月23日に[[ロッド]]国から[[ギザイア]]が使者として[[ロードレア]]国に赴く。同盟を更に強固にするため、[[ロッド]]国国主[[リヴァイルシア]]と[[レイディック]]の妹[[シルフィーナ]]の婚約話をまとめるためである。 この時点では[[ギザイア]]は単なる使者であるが、後にこの男こそ[[ロードレア]]国を傾ける存在になるとは知る由もなかった。 こうして8月3日に両国をあげた壮大な華燭の宴が行われるが、その一方、[[ロー・レアルス]]国がついに動き始めた。 [[蜉蝣戦記]]の著者にして、後世ではなく、リアルタイムに彼らと接してきた[[アルディア]]は、[[アレス]]との出会いは詳細に書き残しているが、[[ヴェリア]]との出会いについては簡潔に済ませている。 当初は[[アレス]]との出会いに匹敵するだけのページが出会い編として続いていたのに、そのページが原本から丸ごと破り捨てられていることが確認できる。 おそらく、晩年の[[ヴェリア]]の堕落に失望した[[アルディア]]が、自身の書いた本から、[[ヴェリア]]との出会いに関するページを破り捨てたと推測される。 その為、[[レイディック]]と[[ヴェリア]]の出会いは、その後の物語によって様々な形が存在する。 &bold(){両軍の戦力} ---- |>|>|>|>|BGCOLOR(#cccccc):CENTER:''攻撃側''|BGCOLOR(#cccccc):|>|>|>|>|BGCOLOR(#cccccc):CENTER:''守備側''| |>|>|>|>|CENTER:&ref(http://izayoi-moon.sakura.ne.jp/6-war/char/monsyou/ro-dorea.PNG)&br()[[ロードレア]]国軍|CENTER:''軍勢''|>|>|>|>|CENTER:&ref(http://izayoi-moon.sakura.ne.jp/6-war/char/monsyou/ro-rearusu.PNG)&br()[[ロー・レアルス]]国軍| |>|>|>|>|CENTER:総兵力112500|CENTER:''兵力''|>|>|>|>|CENTER:総兵力184300| |>|>|>|>|CENTER:[[レイディック]]|CENTER:''総指揮''|>|>|>|>|CENTER:[[カルディス]]| |>|>|>|>|CENTER:[[ヴェリア]]|CENTER:''軍師''|>|>|>|>|CENTER:[[ドルトン]]| |>|>|>|>|>|>|>|>|>|>|BGCOLOR(#cccccc):CENTER:''主要参戦者''| |CENTER:&ref(http://izayoi-moon.sakura.ne.jp/6-war/kagerousenki/busyou/kao/reidiku.JPG,width=55,height=68)&br()[[レイディック]]|CENTER:&ref(http://izayoi-moon.sakura.ne.jp/6-war/kagerousenki/busyou/kao/veria.JPG,width=55,height=68)&br()[[ヴェリア]]|CENTER:&ref(http://izayoi-moon.sakura.ne.jp/6-war/kagerousenki/busyou/kao/aresu.JPG,width=55,height=68)&br()[[アレス]]|CENTER:&ref(http://izayoi-moon.sakura.ne.jp/6-war/kagerousenki/busyou/kao/radelia.JPG,width=55,height=68)&br()[[ラディア]]|CENTER:&ref(http://izayoi-moon.sakura.ne.jp/6-war/kagerousenki/busyou/kao/arigaru.JPG,width=55,height=68)&br()[[アリガル]]||CENTER:&ref(http://izayoi-moon.sakura.ne.jp/6-war/kagerousenki/busyou/kao/karudelisu.JPG,width=55,height=68)&br()[[カルディス]]|CENTER:&ref(http://izayoi-moon.sakura.ne.jp/6-war/kagerousenki/busyou/kao/0.JPG,width=55,height=68)&br()[[ガイアス]]|CENTER:&ref(http://izayoi-moon.sakura.ne.jp/6-war/kagerousenki/busyou/kao/zenosu.JPG,width=55,height=68)&br()[[ゼノス]]|CENTER:&ref(http://izayoi-moon.sakura.ne.jp/6-war/kagerousenki/busyou/kao/zoi.JPG,width=55,height=68)&br()[[ゾイ]]|CENTER:&ref(http://izayoi-moon.sakura.ne.jp/6-war/kagerousenki/busyou/kao/doluba.JPG,width=55,height=68)&br()[[ドゥバ]]| |CENTER:&ref(http://izayoi-moon.sakura.ne.jp/6-war/kagerousenki/busyou/kao/baiarasu.JPG,width=55,height=68)&br()[[バイアラス]]|CENTER:&ref(http://izayoi-moon.sakura.ne.jp/6-war/kagerousenki/busyou/kao/medeli.JPG,width=55,height=68)&br()[[メディ]]|CENTER:&ref(http://izayoi-moon.sakura.ne.jp/6-war/kagerousenki/busyou/kao/0.JPG,width=55,height=68)&br()[[エルジレア]]|CENTER:&ref(http://izayoi-moon.sakura.ne.jp/6-war/kagerousenki/busyou/kao/borugosu.JPG,width=55,height=68)&br()[[ボルゴス]]|CENTER:&ref(http://izayoi-moon.sakura.ne.jp/6-war/kagerousenki/busyou/kao/aruvadosu.JPG,width=55,height=68)&br()[[アルヴァドス]]||CENTER:&ref(http://izayoi-moon.sakura.ne.jp/6-war/kagerousenki/busyou/kao/0.JPG,width=55,height=68)&br()[[ザウグ]]|CENTER:&ref(http://izayoi-moon.sakura.ne.jp/6-war/kagerousenki/busyou/kao/0.JPG,width=55,height=68)&br()[[レザリア]]|CENTER:&ref(http://izayoi-moon.sakura.ne.jp/6-war/kagerousenki/busyou/kao/0.JPG,width=55,height=68)&br()[[ワイヴァ]]|CENTER:&ref(http://izayoi-moon.sakura.ne.jp/6-war/kagerousenki/busyou/kao/0.JPG,width=55,height=68)&br()[[リヴァドル]]|| |CENTER:&ref(http://izayoi-moon.sakura.ne.jp/6-war/kagerousenki/busyou/kao/boluru.JPG,width=55,height=68)&br()[[ボゥル]]|CENTER:&ref(http://izayoi-moon.sakura.ne.jp/6-war/kagerousenki/busyou/kao/firisu.JPG,width=55,height=68)&br()[[フィリス]]|CENTER:&ref(http://izayoi-moon.sakura.ne.jp/6-war/kagerousenki/busyou/kao/0.JPG,width=55,height=68)&br()[[ノース]]|CENTER:&ref(http://izayoi-moon.sakura.ne.jp/6-war/kagerousenki/busyou/kao/reiasu.JPG,width=55,height=68)&br()[[レイアス]]|CENTER:&ref(http://izayoi-moon.sakura.ne.jp/6-war/kagerousenki/busyou/kao/zarusu.JPG,width=55,height=68)&br()[[ザルス]]||||||| |CENTER:&ref(http://izayoi-moon.sakura.ne.jp/6-war/kagerousenki/busyou/kao/roluzu.JPG,width=55,height=68)&br()[[ロゥズ]]||||||||||| &bold(){前哨戦} ---- &ref(http://izayoi-moon.sakura.ne.jp/6-war/kagerousenki/monogatari/map/10-1.JPG,left) [[レザベリアス平原]]を中心に、北にエルザイア山脈、南にローザメス山地、ムゥルの森を挟んで、[[ラディア]]が駐屯する[[ガルヴァウド城]]、そして国境最前線に[[エルザイア城]]。これがレザベリアスの戦い前哨戦の舞台となる。 8月9日、[[カルディス]]が18万の軍勢を率いて[[エルザイア城]]に接近すると、この城を任されていた[[ザルス]]と、副将[[ロゥズ]]は、戦わずして降伏を決意。[[エルザイア城]]を拠点とするはずだった[[ロードレア]]国軍は、急遽[[ガルヴァウド城]]を拠点に変更、この城に駐屯する[[ラディア]]と合流した。 こうして両軍は[[レザベリアス平原]]を挟んでにらみ合い、ここに謀略においての前哨戦が始まった。 まず仕掛けたのは[[ヴェリア]]。[[ロードレア]]国から寝返った[[ザルス]]は、実は密命をうけていて、決戦時には[[ロー・レアルス]]国軍を挟み撃ちする策だという噂が[[ロー・レアルス]]国軍の陣中に流れた。その様な重要な策があっさりと洩れるのも不思議な話であり、[[カルディス]]は即座にこれが敵の謀略と看破、この時点で[[ヴェリア]]の名前すら知らない[[カルディス]]は、[[レイディック]]の策と信じ込み、「[[ソフィス]]を失ったから、策の質が落ちた」と呟き、これを逆手にとって罠を仕掛けた。 今度は[[ロードレア]]国軍陣地に噂が流れる。[[ザルス]]は挟み撃ちの策が発覚して[[カルディス]]に処刑され、副将[[ロゥズ]]は命からがら脱出、[[レイディック]]の元に帰参する。 勿論、[[ザルス]]は処刑などされておらず、[[ロゥズ]]の帰参も[[カルディス]]からの埋伏の毒であった。それを看破している[[ヴェリア]]は、更に次の段階へと赴く。お互いが相手の策を見破った上で、だまされたふりをして相手を策に落とそうとするだましあいが続く。 [[ヴェリア]]は次に、[[レイアス]]将軍を呼ぶと、書状を持たせて[[カルディス]]の元へ派遣する。その書状は[[ロゥズ]]からの書状という形で、決戦時における反乱の打ち合わせについてだった。一度はこれを偽書状と見破った[[カルディス]]だが、[[レイアス]]の説得によって心が傾き始める。その瞬間を狙って絶妙な書状が[[カルディス]]の元に届く、それは[[レイディック]]から降伏を促した書状であった。これに怒り狂った[[カルディス]]は、[[レイアス]]の説得を鵜呑みにする。 こうして虚虚実実の謀略戦が続く中、[[ラディア]]が自分の副将[[バイアラス]]を将軍に昇格させる様[[レイディック]]に進言する。 これまで無名だった[[バイアラス]]がいかなる将か興味をもった[[レイディック]]に、[[ラディア]]はこの2ヶ月前に行われた小競り合いの話を聞かせた。 6月20日、[[ロー・レアルス]]国軍は、[[ガイアス]]、[[ゼノス]]が2万5千の兵を率いて[[エルザイア城]]へ迫っていた。僅か3千しか守備兵がいなかった[[ザルス]]は、[[ラディア]]に2万という援軍を要求、[[ガルヴァウド城]]のほぼ全軍というこの援軍要請に他の将軍は反対するが、[[ラディア]]は自ら軍勢を率いて[[エルザイア城]]へ出陣。隙をついて[[ガルヴァウド城]]へ向かう[[ゼノス]]別働部隊に奇襲を仕掛けて撃退すると、[[エルザイア城]]防衛では自ら最前線に立ち指揮を振るった。この戦いで流れ矢を受けて負傷した[[ラディア]]を守って城内まで運んだのが、一兵卒だった[[バイアラス]]だった。 この働きで[[ラディア]]は彼を副将に抜擢、翌日には1千の兵を率いて敵を翻弄させ、援軍をほぼ無傷のまま[[ガルヴァウド城]]へ帰還させた。 決戦を前にそれほどの将を手に入れた[[レイディック]]は幸運であった。 話は戻って8月21日、もはや用済みとなった[[ロゥズ]]に、[[ヴェリア]]は最後の仕上げを仕掛ける。 [[ロゥズ]]は[[ロー・レアルス]]国から共につれて来た兵を率いて最前線へ送られる。帰参を証明するため、最前線を偵察すればよいとだけ[[ヴェリア]]に伝えられた[[ロゥズ]]は、言われるがまま行軍する。しかしそこには猛将[[ゼノス]]が控えていた。[[ゼノス]]の哨戒に見つかった[[ロゥズ]]は、瞬く間に討たれる。[[ロー・レアルス]]国からつれて来た兵を[[ロー・レアルス]]国に討たせ、裏切り者[[ロゥズ]]を処断し、また[[カルディス]]に、[[ロードレア]]国軍はうかつな行動をしているという印象を与える[[ヴェリア]]の策であった。 こうして決戦の8月22日を迎えようとしていた…… &bold(){戦闘経緯 1日目} ---- &ref(http://izayoi-moon.sakura.ne.jp/6-war/kagerousenki/monogatari/map/10-2.JPG,left) [[レザベリアス平原]]を舞台に、配置された両軍。 [[ヴェリア]]は、[[アレス]]にムゥルの森に火を付ける様に指示する。火を避けて[[レザベリアス平原]]に移動したところを待ち伏せする為である。しかし、真の目的は更に次の段階であった。この火攻めによる誘き出し作戦は、[[カルディス]]に見破られる事を見据えていた。[[ヴェリア]]は謀略による前哨戦の段階から、とにかく[[カルディス]]に「自分は相手の策をことごとく見破っている」と思わせ、[[カルディス]]が自分こそ主導権を握っていると思わせた形で戦いを進めていく様に仕向けていた。見破られることを前提にしながら、簡単すぎても疑念を招く、[[カルディス]]の器を測った上での、この絶妙のさじ加減を[[ヴェリア]]は見事にやり遂げていた。 8月22日、[[アレス]]が望む風がなかなか吹かず、予定より遅れながらも、火攻め部隊がムゥルの森に火をつけ、この炎が[[ロー・レアルス]]国軍の後方を襲う。[[カルディス]]は瞬時にして待ち伏せを見抜き、[[ゼノス]]部隊に逆に突撃を命じた。この突撃で待ち伏せ部隊を「演じていた」[[アリガル]]部隊が予定通り演技の後退、これに呼応して[[ロードレア]]国軍が全軍守備を固める。必要以上の深追いを避けた[[ゼノス]]だが、初戦の戦果は十分、[[カルディス]]も全軍を押し上げ、[[ロードレア]]国軍は逆に徐々に後退、ローザメナス山地へと布陣していく。 &bold(){戦闘経緯 2日目} ---- &ref(http://izayoi-moon.sakura.ne.jp/6-war/kagerousenki/monogatari/map/10-3.JPG,left) 互いの布陣は大きくその配置を変えていた。一言で言うならば[[ロードレア]]国軍は、ローザメナス山地まで押し込まれ、[[ロー・レアルス]]国軍は追い詰めたという形となる。しかし、地形は[[ロードレア]]国軍がはるかに優勢な上、全ては[[ヴェリア]]の仕掛けた罠であったことに、勝ちに乗っていた[[ロー・レアルス]]国軍はまだ気づいていない。 決戦2日目の朝、[[カルディス]]は[[ゾイ]]に先陣を任せると、彼を[[ロードレア]]本陣に、[[ゼノス]]部隊を[[ラディア]]部隊へと出陣させた。 この戦いでは、[[ゼノス]]が自ら名乗り出て、[[ラディア]]に一騎討ちを要求する、2ヶ月前の戦いで敗れた遺恨を晴らすための独断行動だが、この時代、名乗りを上げての一騎討ちは、合戦の華だったこともあり、特に珍しい光景ではなかった。[[ゼノス]]の猛攻には、さすがの[[ラディア]]も支えきれず、勝負はあったかと思われたが、これを[[バイアラス]]が救出。[[ゼノス]]は自らの武勇に絶対の自信を持ち、二人同時に相手をすると宣言、この壮絶な戦いを合図に各地で交戦が開始される。一騎討ちを終え、それぞれの軍勢指揮に戻った[[ラディア]]、[[バイアラス]]。[[ゼノス]]も今度は軍勢をもって正面から激突。[[ヴェリア]]の策により、[[ラディア]]・[[バイアラス]]部隊は後退し、追撃してきた[[ゼノス]]を石の下敷きにして打ち破る。[[ラディア]]は、「軍師の策でなければこんな戦いは絶対したくなかった」とつぶやいたという。 しかし、[[ゼノス]]本人は不死身とも見紛う生命力でこの罠を掻い潜り、[[バイアラス]]がこれを食い止める為踏みとどまり、両軍は泥沼の戦いへともつれ込む。([[ゼノス]]はこの戦いで一時生死不明となり、[[メファイザス]]の政変後に再び姿を現すこととなる) 一方で、[[ゾイ]]を中心とした主力部隊は、[[アリガル]]部隊を突破、[[ボルゴス]]部隊も突破して、[[ロードレア]]国軍を追い詰めていく。更に[[リヴァドル]]部隊から「[[ロードレア]]国軍本陣で混乱発生」という報告を受けた[[カルディス]]は、これこそ内通の約束をしていた[[ロゥズ]]の働きだと確信。[[ゾイ]]、[[リヴァドル]]部隊に総攻撃を命じる。更にこれが罠だったとしても対処できる様に、[[レザリア]]部隊、[[ドルトン]]部隊の進軍速度を落とさせる周到さも見せる。 [[ロードレア]]国軍本陣に一気に迫る[[ゾイ]]だが、ここまで守りに徹していた[[ロードレア]]国軍が突如として反撃、[[ゾイ]]部隊を完全に包囲して壊滅させる。この戦いで、建国時代から苦楽を共にした[[ゾイ]]を失った[[カルディス]]は、彼にしては珍しく取り乱し、戦死の報告を信じようとしなかった。 しかし、[[ロードレア]]国軍が更に後退したと聞かされると、今度は復讐の表情を見せ、[[ゾイ]]の弔いも兼ねた追撃を命じる。 &bold(){戦闘経緯 6日目} ---- これまでの動から、一転して静の戦いが始まる。 山頂に陣を構えた[[ロードレア]]国軍は、完全に守りの体勢をとり、[[カルディス]]も容易に手が出せなくなった。 そんな中、山頂から出陣の合図である鬨の声が上がり、すぐさま迎撃の準備をとる[[ロー・レアルス]]国軍。しかし一向に[[ロードレア]]国軍は動かない。鬨の声の発生位置を探ろうにも、山々に木霊した声は、どこから発せられているのか見当もつかず、結局[[ロー・レアルス]]国軍は姿の見えない敵を警戒したまま時間だけが過ぎる。 こんなことが三日三晩続き、山頂から見下ろされた[[ロー・レアルス]]国軍は徐々に疲労を蓄積していった。将兵の疲れに、決戦を焦った[[カルディス]]は、自ら敵陣を視察、山の地形を見事に利用した布陣から、正面からの攻撃を断念すると、ローザメナス山脈の名前の由来ともなっているローザメナス山に目をつけた。 8月27日、篝火、キャンプ、旗を残したまま、全軍を3ルートにわけ、闇夜に乗じて密かに移動した[[カルディス]]だが、見渡しのいい高地に到着した[[カルディス]]は、そこで信じられないものを見せられる事となる。 大木を使って作られた「墓」であり、そこには[[カルディス]]の名が刻まれていた。 その瞬間、[[カルディス]]は全てを悟った、すべては自分をここにおびき寄せる策だったことに……そして、草むらから次々と姿を現す伏兵が、一斉に火矢を放った。 8月27日深夜、[[カルディス]]はこの地で完全包囲され、炎の中で壮絶な戦死を遂げた。 この戦いの特徴は、両軍あわせて数十万という大合戦だったにも関わらず、[[ヴェリア]]は袋の中の石からたった一つの玉を掴むかの様に、[[カルディス]]本隊だけを最初からターゲットとしていた。 [[ロー・レアルス]]国は[[カルディス]]個人の強烈な個性によって保たれた部分がある。彼さえ討てば、あとは[[ロー・レアルス]]国は内紛を起こし弱体するというのが[[ヴェリア]]の狙いであった。 巨大な国を正面から討つより分裂させて各個撃破する。次の段階を見据えた[[ヴェリア]]の策であった。 だが、この策だけは、もう一人の「先を見据えた男」[[メファイザス]]によって実現を妨げられる事となる。 &bold(){戦いの結末} ---- この後、[[レイディックの東征]]により、[[ロー・レアルス]]国の北東部は完全に切り取られた。 [[カルディス]]戦死により混乱が続いていた[[ロー・レアルス]]国だが、北東部を切り捨てる事により、新たな国境最前線を建て直し、[[ロードレア]]国軍をそれ以上は侵入させず、ようやく落ち着きを取り戻した。 次に[[ロー・レアルス]]国の新たなる国主探しが始まる。[[カルディス]]の叔父[[ブウゲイド]]が候補として上がる。叔父とはいっても、養子に出されていた彼は、[[カルディス]]と直接の面識もなく、最近では[[カルディス]]の叔父という立場すら、捏造だったのではないかと言われている。 ともかく、彼を国主として担ぎ出し傀儡として自らが国を操ろうとしていた一派がいた事は確かである。その中心人物が[[ゾルド]]と[[リィド]]であったが、[[ブウゲイド]]を招いたまさにその日、突如城に潜入した兵士達によって彼らは討ち取られる。 そこに姿を現したのは、[[カルディス]]の軍師を務めた[[メファイザス]]であった。 彼は色めき立つ他の将を制して、自らが[[ロー・レアルス]]国を継ぐと宣言する。[[ブウゲイド]]を平民として一応の礼節をもって軟禁。既に多くの将に根回しがされていた[[メファイザス]]のクーデターは思いのほか簡単に成功することとなる。 翌年の1月3日には、レザベリアスの戦いで戦死したと思われていた[[ゼノス]]が奇跡の生還を果たし、[[メファイザス]]の元へ姿を現す。 [[カルディス]]信望者でもあった彼は、[[メファイザス]]の裏切りともとれるこの行為を許せるはずもなく、早速彼に面談する。だがその問いを待つより早く[[メファイザス]]は、彼に逆に問いかけた。[[カルディス]]の望みは一族の繁栄か、それとも乱世の終結か、一族の繁栄を目指すなら血族である[[ブウゲイド]]を立てて私を討つがよい。乱世の終結ならば私と共に[[カルディス]]の遺志を継ぐがよい……と。 そう言われると、[[ゼノス]]は熟慮の末、[[メファイザス]]の旗下に入るしかなかった。まさに相手の性格を熟慮した上の[[メファイザス]]の説得術であった。 そもそも乱世では血統より実力が重視されている。[[メファイザス]]が国主となることを望む将が多かった事も事実であった。 &ref(http://izayoi-moon.sakura.ne.jp/zairyou/50.GIF,left)

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