そしてまた、真っ白な朝

「悠貴…行かないで…」
 徐々に姿が薄くなっていく悠貴に、未来は涙をぽろぽろ零しながら絞り出すような声を出した。
「お姉ちゃん、大好き…」
 最後に聞こえた悠貴の声に、未来ははっと顔をあげた。「悠貴…行かないで悠貴…」手を伸ばす
未来の前で、悠貴の姿はさらに薄くなり…

「悠貴…行かな……」
「……ちゃん、お姉ちゃん?」
 誰かに呼ばれ、未来はぼんやりと目を覚ました。「……ん…?」涙に滲む目に、いつも見慣れた
二段ベッドの底の部分が映る。「……あれ?」未来は呆けた顔になると、上に向けて突き出していた
両手を、ぱたりとベッドに倒した。(…夢?)

 そうか、夢か…。未来は滲んだ涙をそっと拭いながら思った。今でも時々あの時のことを夢に見たり
思い出したりして、涙ぐんでしまうことがった。あの地震からもうすぐ二年、悠貴の三回忌も近い。
きっとそのせいもあるんだろう。(悠貴…)
「お姉ちゃん、どうしたの?」
「うきゃぁっ!?」
 その時、聞き覚えのある懐かしい声で呼ばれた未来は、奇妙な悲鳴をあげて跳び起きた。ベッドの
上をずささっと後ずさって奥の壁に背をつけ、ベッドの脇から自分に声をかけた人物を茫然と見つめる。
「…ゆ、悠貴!?」

イラスト:メンクイさん

 そこには、水色のパジャマ姿の彼女の弟・悠貴が跪き、驚いた顔で彼女を見つめていた。
「どうしたの?」
「へっ? えっ? あれっ? あんたなんで…? あれっ?」
「もう、なに寝ぼけてるの、お姉ちゃん」
 自分を指差して口をぱくぱくとさせている未来に、悠貴が困惑と苦笑いの入り混じった顔をする。
寝ぼけた…? それじゃ今のは夢…? いや、確かに夢だがそういうことではなく…。未来は身を
乗り出すと、恐る恐る悠貴に向けて手を伸ばした。
「悠貴…あんた本当に…」
 だが、戸惑った様子の悠貴の頬に、あとわずかで触れそうになったところで、未来はびくっとして
手を引いた。もし、触れなかったら…。また幻だったら…。
「いったいなんなの、お姉ちゃん?」
 奇妙な態度の姉に、悠貴が困ったような顔をする。どう見ても本物にしか見えない弟に、未来は
思い切って手を伸ばし、彼の頬に触れた。ぷにぷにと柔らかくて温かい感触が、掌に伝わってくる。

「あんた、本物なの?」
「えっ?」
 姉の言葉に、悠貴は困惑を隠しきれない顔をする。「まだ寝ぼけてるの、お姉ちゃん?」
「でも、だって…」ごにょごにょと言いかけ、未来は口をつぐんだ。そう、そうだ。夢だ。未来は
そこでようやく思い出した。あの時、悠貴は点滴を受けてすぐによくなり、一緒に帰ってきたんだった。

 未来はベッドの枠に取り付けてあるスタンドに手を伸ばしてスイッチを入れた。蛍光灯の灯りが
広がり、悠貴の顔を照らし出す。そして再度未来は弟の頬に触れて撫で回しながら、まじまじと彼を
見つめた。記憶にあるより顎が少しシャープになって、あどけなさと人懐っこさを残しつつも、少し
大人びて見える。肩幅も、以前より広くなっているようだ。しかしそれもそうだろう、悠貴ももうすぐ
11歳になるのだから。

「どうしたのお姉ちゃん、大丈夫?」
「ごめん、なんか変な夢見ちゃって…」
 未来は悠貴の頬から手を放すと涙を拭った。悠貴はきょとんとしたように未来に訊ねる。「夢?」
「うん。あの時の地震でね、悠貴が死んじゃった夢」
「ふふふっ、お姉ちゃん、よく変な夢見るもんね」
 くすくす笑う悠貴に、未来は少しカチンとした表情になったが、すぐに微苦笑すると恥ずかしそうに
ほっぺをかりかりと掻いた。「テスト勉強が大変だったんで、ちょっと疲れてたのかな?」
「お姉ちゃん、夜遅くまで頑張ってたよね」
「へへ、まあね」
 弟に言われ、未来がちょっと恥ずかしそうにぽりぽりと頬を掻く。未来も中三、エスカレーター式の
学校とはいえ、日頃あまり成績がよろしい方ではなく、あまりうかうかしていられないのだ。

「お姉ちゃんが急に僕のこと呼んで騒ぎ始めたから、いったいどうしたのかと思っちゃったよ」
「ごめんね、起しちゃった?」
「ううん、いいよ別に。よくあることだし」
「う…。悪かったわね、寝言魔人で」
 渋い顔をする未来に、悠貴はまたくすくす笑いながら立ちあがった。「それじゃ、僕もういくね」
「え…」その言葉に、未来は不意に胸がズキンと痛んだ。「待って…!」
「なに、お姉ちゃん?」
 パジャマの裾を掴んで止める姉を、悠貴は不思議そうに振り返った。「あ…えぇと、その、ね…」
未来はちょっと顔を赤くし、言い淀んだ。“行く”って、上のベッドに戻るに決まってるのに、
夢のせいか、このまま悠貴がどこか遠くへ行ってしまうような気がして、つい呼び止めてしまった。

「?」
「え、えと…」
 未来は悠貴のパジャマの裾を掴んだまま、恥ずかしげに少し俯き、もじもじとする。悠貴は上の
ベッドに戻ろうとしているだけ。それはわかっているのに、どうしても手を放しがたかった。行かないで
ほしい、ずっとここに、一緒にいてほしい。しばし思いあぐねた末、未来は思い切って口を開いた。
「ね、悠貴…一緒に寝よ?」
「え…」
 姉の言葉に、悠貴がドキリとした顔をする。悠貴ももう思春期に入り始め、そして未来もすっかり
女らしくなり、そんな姉と一緒に寝るのは気恥ずかしいのかもしれない。
「お姉ちゃん、今日はなんか変だよ?」
「……ダメ?」

「…ううん、いいよ」
 だが、上目遣いで見つめる姉に、悠貴はこくりと肯いた。未来はぱぁっと顔を輝かせると、後ろに
どいてタオルケットを捲り、弟のためにスペースを作る。悠貴がベッドにうんしょと上がり込み、
ベッドにぺたんと座ると、未来はその顔をどこか不思議そうに見つめた。さっきの夢のせいで、
なんだか悠貴が三年生からいきなり五年生になったようで、変な感じだ。

「悠貴、あんた随分大きくなったよね」
「もう僕、五年生だもん。当たり前だよ」
「そっか、もう五年生なんだっけ…」
 どこか上の空でそう呟いて、未来はいま一度弟が本物か確かめるべく、その頬に手を伸ばした。
うん、ちゃんと触れる…。胸の内に、安堵と喜びがどっと込み上げてきて、ほっぺたを撫でられて
くすぐったそうにしている悠貴を見つめながら、未来は瞳を潤ませた。しかし悠貴が消えてしまう
のではないかという不安が、いつまでも心の片隅にこびりついて離れず、未来は悠貴のほっぺを両手で
挟むと、ほとんどくっつかんばかりに彼の顔を自分の方へ引き寄せ、まじまじと見つめる。
「悠貴、どこにもいったりしないよね?」

「僕、どこにもいかないよ。ずっとここにいるから」
 姉の態度に面食らったようにしながらも、悠貴がそう答えると、未来の中に安堵の気持ちが広がって
いった。彼女は悠貴にこつんとおでこをくっつけると、囁くように言った。「大好きだよ、悠貴…」
「僕もお姉ちゃん、大好き!」
 眩いばかりの笑顔を浮かべて言う悠貴に、未来の中で弟への愛おしさが膨れ上がり、堪え切れなく
なって彼女は目尻に大粒の涙を浮かべた。だが、愛おしさが強まっただけ、悠貴がいなくなることへの
不安も、いちだんと強くなる。未来は悠貴の存在を確かめるように、彼の背中に手を回すと強くぎゅっと
抱きしめた。

「悠貴…!」
「お姉ちゃん…」
 腕の中に確かに感じる弟の身体に、未来は悠貴にすがりついたまま肩を震わせた。悠貴はそんな姉を
安心させるように、その背中をぽんぽんと軽く叩く。その変わらない優しさが嬉しく、未来はますます
涙を零した。そして悠貴への愛おしさに突き動かされるがままに、未来は衝動的に弟に唇を重ねた。

「!?」
 唇を奪われた悠貴が、目を見開いて身体を固くする。未来はしばらく弟に唇を押し付けて、やがて
そっと顔を離した。驚いて固まっている弟を、未来はぽろぽろと涙を零しながらじっと見つめる。
「好きよ悠貴…。好きなの…」
「お姉ちゃ……」
 未来は戸惑う悠貴に再び唇を重ねた。涙と共に、会えなかった二年間の切ない想いが一気に溢れてきて
止まらない。違う…。あれから毎日会ってるんだから、こんなふうに感じるなんておかしい…。心の
どこかで理性がそう訴えていたが、愛おしさと不安はどうしようもないほどに高まり、未来は自分を
抑えられなかった。もっと強く悠貴を感じたい。もっと強く、もっといっぱい。未来はキスをしながら
弟の手を掴むと、自分の胸へと導き、ぎゅっと押しつけた。

「ん…ん…」
 姉の行為に驚いたのか、悠貴が未来の腕の中でもがく。「お、お姉ちゃん…?」未来が唇を離すと、
悠貴は目を丸くして彼女を見た。
「悠貴、触って…」
 弟の手を胸に押し付けたまま、未来は言った。「悠貴のこと、いっぱいいっぱい覚えておきたいの…」
また悠貴が消えてしまう前に、いなくなってしまう前に…「だからお願い…!」
「お、お姉ちゃん…」
 涙を零しながら訴えるように言う姉に、悠貴は顔を赤くして少し困ったようにしていたが、やがて
こくんと小さく肯いた。
「い、いいの?」

「もちろんだよ、悠貴…」
 弟の返事に、未来は泣き笑いの表情を浮かべると、そっと身体を離した。そして着ていたピンクの
パジャマの胸元に手をやり、ボタンを一つずつ外していく。
「悠貴もお姉ちゃんのこと忘れないように、いっぱい触って…」
「う、うん…」
 悠貴はどぎまぎと肯き、妙にかしこまった姿勢に座り直すと、姉がボタンを外すのを息を飲んで
見守った。すぐに全てのボタンは外され、未来はパジャマの前を引き開くと、腕を滑らせて脱ぎ落とす。
中から現れた、白い飾り気のないブラジャーに包まれた二つの膨らみに、眩しそうにしている悠貴の
前で、未来は背中に手を回すとブラのホックを外し、そっと胸から取り去った。年の割にはやや小振り
だが、悠貴の手には十分余るほどの白い乳房がぽろりとまろび出る。

「悠貴…」
 未来ははにかんだ表情をしながら悠貴にいざり寄り、胸をそっと突き出した。「ほら、触ってみて…」
乳房に目を奪われている悠貴を未来が促すと、彼はその膨らみにそっと右手を伸ばし、軽く握るように
して乳肉を掴んだ。そしてその柔らかさを推し量るように、ためすつがめすぷにぷにと揉み、それから
左手も伸ばすと、もう一方の膨らみも同じようにして揉み始めた。悠貴の手の中で未来の乳房は自在に
形を変え、頂点の淡いピンクの蕾が踊るように揺れる。悠貴は身体を屈めて未来の胸に顔を寄せ、
自分の手の中で揺れる乳肉を見つめていたが、やがてそっと、ちっちゃな乳首に口付をした。

「ん…」
 悠貴の唇に乳首を挟まれた未来が、ピクンと小さく震えた。次いで、悠貴がちゅくちゅくとそこを
吸い始めると、全身に緊張が走り、背中がぎくんと反る。しかしすぐに、悠貴の柔らかな舌に弄られる
胸先から得も知れぬ心地よさが体中に広がり始め、未来は身体を弛緩させていった。
「あ、悠貴…」
 未来は悠貴の肩をそっと掴み、胸の中の彼を、潤んだ瞳でじっと見おろした。無心に乳を吸う弟が
可愛く、そして愛おしくて、乳首に感じる快感と混ざり合い、一気に全身を満たしていく。胸先の
蕾がそれに反応してきゅっと固く尖り、こりこりとした触感になった突起を、悠貴はいっそう強く
吸い立てた。乳肉をきゅむきゅむと揉み込みながら、ちゅぱちゅぱ音を立てて吸い付き、軽く歯を立て、
反対側の膨らみも、左手で熱心にこね回し、乳首を指の間に挟んできゅっと摘まむ。そして指先で
押さえると転がすように愛撫し、そっと摘まんでくりくりと扱き立てる。

「はぁ…あ…」
 悠貴の愛撫に、未来が熱く深い吐息を漏らした。弟の肩を掴んでいた手を彼の首に回し、乳房に
押しつけるように引き寄せる。半ば乳肉に埋もれるようになりながら、悠貴は姉の胸を愛撫していたが、
ほどなく息苦しくなったのか、乳首を口から離すと顔をあげてぷはっと息をついた。熱っぽい瞳で
彼を見つめていた未来と視線がぶつかり、二人は荒い息をつきながら黙ったまま見つめ合っていたが、
どちらからともなく顔を近寄せ、唇を重ねた。

「ん…ふ…」
 ただ唇をつけるだけのキス。だが、軽い鼻息を漏らしながら長い間唇を合わせ、ちょっと離しては
またすぐに唇を擦りつけ合い、二人は長く長くキスを交わした。未来の胸に置かれたままだった
悠貴の手は、キスの間に再び動き始め、やわやわと乳丘を弄っていく。きゅむっ、きゅむっと
優しい手つきで柔らかな胸肉を揉みたて、先端のちっちゃな強張りを転がす。

「んふ…ん…ふぅん…」
 弟の愛撫に未来の興奮が高まり、呼吸がどんどん荒くなっていく。キスのせいで口は塞がり、しかし
鼻息を悠貴にかけてしまうのが恥ずかしくて、未来は必死に息を詰めていたが、やがて堪らず、
未来は弟から唇を離すと首をのけ反らせて大きく喘いだ。「ふぁ…!」

 はぁ、はぁ、と何度か大きく息を吸って呼吸を整えながら、未来は長いキスと柔らかな姉の身体の
感触に、ほわんとした表情をしている弟へと再び視線を戻す。
「悠貴…」
「お姉ちゃん…」
 悠貴を見つめながら、未来の中で情欲の炎が揺らいだ。まだだ。この二年間の寂しさは、これくらい
では全然埋まらない。もっともっと色んなことをしてほしい。色んなことをしたい…。

 未来はほとんど何も考えないまま、腰を浮かして膝立ちになると、下着ごとパジャマの下を引き
下ろした。姉を見つめていた悠貴の視線が、露わになった未来の白く滑らかな下腹部と、まだ淡い
ながらも艶々とした陰毛へと引き寄せられ、その口がぽかんとしたように開く。弟の視線を感じながら、
未来は膝を片方ずつあげて、せかせかとパジャマと下着を足から引き抜いた。
「お、お姉ちゃん…」
 未来が下も全て脱ぎ捨ててしまうと、悠貴は彼女の顔へとゆっくりと視線を戻していった。姉の
秘密の部分を見てしまったせいか、動揺した面持ちだ。
「悠貴…お姉ちゃんをもっと触って…」
「う、うん…」
 未来は訴えるような目で弟を見つめながら、彼の方へにじり寄った。悠貴も腰を浮かし、姉の方へ
身体を寄せる。そして二人は互いの肩を抱き合い、口付けを交わした。「んふ…ん…」と甘い鼻息を
漏らしながらくにくにと唇を擦り付け合いながら、二人はゆっくりとベッドに横になっていく。

「はぁ、あ、ん…ふぁ…」
 キスをしながら、悠貴の右手がそろそろと未来の胸へと移っていく。そして姉の控え目な膨らみを
探り当てると、愛おしそうにそっと揉みさする。やがて、悠貴は唇を姉の口からそっと外し、顎、
そして首筋、鎖骨へと唇を這わせていき、最後に乳丘へと口をつける。なだらかな膨らみをきゅ、きゅと
軽く揉みしだきながら、乳肌にキスをし、舐め、乳首を咥えてちゅぱちゅぱと吸い立てる。そして
そこの愛撫は口だけに任せ、悠貴は乳果を愛撫していた右手を、未来の柔肌を撫で擦りながら徐々に
下の方へと移動させていった。少しアバラの浮いた脇腹、きゅっとくびれたウェスト、腰…。
 愛おしそうに姉の肌を撫で回すその手は、ほどなく張りのある太股へと辿りついた。悠貴は外の
ほうから内腿に向けてゆっくりと手を這い進ませ、彼が股の付け根のあたりをさわさわと撫で擦ると、
その手の下で未来の太股の筋肉が緊張に強張る。

「あ…」
 乳首をしゃぶられる快感と、ほどなく訪れるであろう一番大事な部分へのタッチへの期待と興奮、
そして恥じらいの気持ちに、未来はぶるっと身震いして、乳房を吸う悠貴の頭にぎゅっとしがみついた。
そしてそれを合図にでもしたかのように、悠貴は掌を姉の股間へ押し当てた。

「ん…」
 悠貴は恥ずかしげに身じろぎする姉の秘所を、掌全体を使って撫で回した。ぷっくりとした淫唇や
柔らかな恥毛を、しゅっしゅっと繰り返し擦りたて、そして次第に中指を折り曲げてスリットに
食い込ませていき、秘肉の間で指を泳がせる。しっとりと湿り気を帯びた柔肉をくにくにくちゅくちゅと
こね回し、勃起して皮のカバーの下から顔を覗かせたクリトリスを、指先でそっと擦り立てる。
「あ…悠貴…そこ…」
 敏感な突起を触られ、未来は声を震わせながらもさらなる愛撫を弟にねだる。「ここ? ここが
気持ちいいの、お姉ちゃん?」
 胸の蕾を口から放し、顔をあげて聞き返す悠貴に、未来は羞恥で顔を真っ赤にしながら、こくんと
肯いた。「うん、そこ…いいの…。もっと触って、悠貴」

 姉に言われ、悠貴はその部分を集中的に弄り回した。指先で器用にクリトリスの包皮を捲って完全に
露出させると、しゅっしゅ、しゅっしゅと何度も指の腹で擦り、軽く押さえつけ、きゅっと摘まんでくりくりと
扱く。「はっ、あ…ふぁ…そこっ、いいのっ! 悠貴ぃ…」快感に腰をぶるぶる震わせて甘えた声を出す
未来に、悠貴は再び胸に顔を埋めて乳房や乳首を吸い回し、割れ目の中を何度も何度もなぞり上げ、
ちっちゃな淫核を指先でくすぐる。そして悠貴は、とろとろと蜜を滴らせている膣穴を探り当てると、
その中にゆっくりと中指を侵入させた。

「あっ…」
 悠貴の指が胎内に入り込むと、未来の肩がびくんと跳ねて膣がきゅっと締まる。姉の反応に驚いた
のか、悠貴は慌てて指を引き抜き、乳首を吸うのをやめて顔をあげた。「大丈夫、お姉ちゃん?」
「ん…平気よ…。続けて悠貴」
 未来がふるふる首を振ると、悠貴はちょっと考える素振りを見せ、姉から身体を離してむくりと
起き上がった。そして未来の下腹部へ目を向けると、左手を伸ばして太股に置き、ぐいっと押しやる。
されるがままに、未来が身体を仰向けにして軽く膝を曲げて脚を広げると、悠貴は上体を屈め、姉の
股間にぐっと顔を近寄せた。ゆっくりと両手をそこへ伸ばし、姉の白く滑らかな下腹部に生えた、
薄目の恥毛の向こうに走る割れ目の両脇に指先をかけると、悠貴はくいっとそこを押し広げた。

 中からしっとりと濡れた淫花が姿を現し、悠貴ははぁ、はぁと荒い息をつきながら、そこをじっと
見つめていたが、やがてスリットを広げるのを左手だけに任せると、右手をそっと姉の割れ目の内部へと
はべらせていった。襞状の肉をくにょくにょと弄り、しこり切って皮のカバーの下から完全に姿を
現しているクリトリスを擦り、そしてさっき指を挿入しかけた秘口に指先を持っていき、再び指を
姉の胎内に潜らせる。

「あっ、あ…ん…」
 未来は恥ずかしげに呻いて腰をびくっびくっと震わせながら、悠貴の指を受け入れていった。弟の
指が、胎内のぬるつく襞肉をさすりながら奥へ進んでくるのが、未来にははっきりと感じられる。
「あは…っ!」
 弟に弄られるのが恥ずかしく、そして無性に嬉しく、戦慄にも似た高揚を覚えて未来は胸の下で腕を
組むと、ぶるるっと胴ぶるいをした。新たな蜜が分泌され、悠貴の指が嵌った秘口からとろりと垂れる。

 悠貴は愛液の溢れる処女道に指を根元まで入れてしまうと、ゆっくりと指の抽送を始めた。ぐちゅ、
ぐちゅという湿った音をたてながら、うねる秘肉を掻き分け、膣壁を擦り立て、指をぐりぐりと捻って
中を掻き回す。割れ目をくつろげている左手も、指を器用に動かしてしこりきったクリトリスを擦り、
扱き立てている。

「お姉ちゃん…お姉ちゃんのここ…凄く綺麗…」
「あはっ、あっ…悠貴ぃ…ん、あ!」
 姉の生殖器を弄り回しながら、悠貴がうっとりしたように呟く。愛しい弟に見られ、触られる悦びに、
あっという間に未来は官能に溺れていった。焦点の定まらない目で虚空を見つめながら、呂律が回らない
喘ぎ声を漏らしてぴくんぴくんと小さく身体を震わせる。そして我知らず腰をくねらせ、悠貴の指を
より深くまで飲み込んでいった。姉の興奮が悠貴にも伝わったのか、指の出し入れが激しくなって、
秘口からはぐちゅぐちゅぬちゅぬちゅと、一段と大きな音が響く。

「はっ、あっ…あ、あふっ、んっ、あ…あっ、あひっ、あっ、んっ!」
 弟の指の動きと共に未来の喘ぎ声のピッチはあがっていき、そして悠貴がきゅっと強く淫核を
摘まんだ瞬間、彼女はか細い悲鳴を漏らしてぐっと腰を突き上げた。身体の奥からとぷっと大量の蜜が
溢れ、秘肉が締まって悠貴の指をきゅうっと強く締め付ける。そしてわずかの間ぶるぶると腰を震わせた
のち、未来はすぅっと身体を弛緩させ、お尻をベッドに下ろした。悠貴の指が秘口から抜け、後から
愛液がとろとろと流れ落ちていく。

「お姉ちゃん…?」
 くたりとなった未来に、悠貴が心配そうに声をかける。未来はしばらくぼおっと天井を見上げて
胸を大きく上下させていたが、やがて大儀そうに身体を起こして、少しやつれたような笑顔を悠貴に
見せた。「良かったよ、悠貴…」
 そして未来は悠貴に両手を差し伸べて肩を抱き、弟を抱き寄せるとそっとキスをした。そして唇を
合わせたまま、未来は弟を抱いて再びベッドに背中をつけていき、完全に横たわってしまうと静かに
唇を離した。
「ね、悠貴…。悠貴のおちんちん、ちょうだい…」
 すぐ間近から、熱く潤んだ瞳で見つめられながら言われた悠貴は、顔を強張らせた。そしてぐびっと
喉を鳴らして、こくんと小さく肯いた。「わ、わかったよお姉ちゃん」

 悠貴は立ち膝になると、パジャマの下とパンツを一緒に引き下ろした。自分からねだっておきながら、
未来は恐怖と恥ずかしさとで弟の性器を直視することができず、彼女は視線を泳がせて視界の端だけで、
悠貴の股間にそそり立った肉色の棍棒をチラ見する。
 悠貴はそれを揺らしながら未来の太股を跨ぎ、脚の間に入ると、彼女の両脇に手をついて身体を重ねて
いった。すぐに二人の身体に隠れて、未来からは弟のペニスは見えなくなったが、代わりに股間に
ごりごりとした固いものが押し当てられるのを彼女は感じた。(あ…悠貴のおちんちん…当たって…)
それは未来の割れ目の中を探るように上下に動いていたが、ほどなく膣口を見つけ出すとそこに固定
される。

「お姉ちゃん…ここ?」
「う、うん、そうだよ悠貴」
 暫し二人はじっと見つめ合っていたが、やがて悠貴は思い切ったように腰を押し出した。

「ん…!」
 太くて固いモノが、誰にも許したことのない処女道を押し広げ、中に入り込んでくる感触に、緊張と
恐怖、期待、歓喜、興奮…様々な想いが渦巻き、未来は悠貴の腕にすがりついた。緊張に強張る未来の
胎内を、悠貴はゆっくりと分身を進めていく。ずずっ、ずずっと、ゆっくりと、しかし確実に肉茎は
未来の中に飲み込まれていき、そしてほどなく、未来と悠貴は完全に一つにつながった。

「悠貴…」
 はぁはぁと肩で大きく息をしながら、未来は熱く潤んだ瞳で弟を見つめた。アソコの中に、熱く逞しい
悠貴の存在を感じ、涙が溢れる。
「大丈夫お姉ちゃん、痛くない?」
 女の子は初めての時は痛いというのをどこかで耳にしたのだろうか、悠貴が気遣わしげに訊いてくる。
弟の優しさと、そんな彼と一つになれた嬉しさで、未来はさらに胸を熱くした。
「ううん、平気だよ」
 未来は涙をこぼしながらも笑みを浮かべ、かぶりを振った。実際、初めてなのに不思議と全然痛みは
感じない。彼女の中にあるのは、ただ愛しい悠貴と結ばれたことへの嬉しさだけだった。例え痛みを
感じたとしても、相手が悠貴だったら我慢できる…。
 未来は弟の首に手を回して彼を引き寄せると、自分も顔を少し上げ、チュッとキスをした。そのまま
暫く唇を合わせてからそっと離れると、未来は弟に囁いた。「悠貴、動いて。もっと悠貴を感じさせて…」

「う、うん…」
 悠貴は肯くと、ぎこちなく腰を動かし出した。ゆっくり、そっと、姉の中を探るように慎重にペニスの
抜き差しを繰り返していたが、次第にその速度は速くなっていく。ペニスの動きで未来の内部の粘膜が
巻き込まれ、そして捲りあげられて、彼女は恐怖とも興奮ともつかない、昂った声を漏らした。
「ひっ、あっ…」
「あ、あ…お姉ちゃん…」
 悠貴も興奮を覚えているのだろう、上ずった声で姉を呼びながら、どんどん腰の動きを強めていく。
悠貴の分身が激しく膣壁を擦り立て、その先端が子宮口を突き上げ、打ち当る恥骨がクリトリスを
押しひしゃげさせて、未来の官能を苛烈なまでに掻き立てる。
「あっ、ひっ、ふぁ…ゆ、悠貴…っ」
 未来は涙をぽろぽろ零しながら悦びの声を上げ、弟の肉棒を求めてはしたなく腰をくねらせた。
悠貴の分身がより深く、より強く胎内の奥へ打ち込まれ、痺れるほどの快感の波が全身に広がっていく。

「あっ、あっ、お、お姉ちゃん、お姉ちゃん…っ!」
「あっ、悠貴凄いのっ、悠貴っ、あっ、あっ…!」
 弟の肉棒を貪るように激しく腰を振る未来に、悠貴が半分泣いているような声をあげる。応じるように
未来も弟の名を何度も何度も叫ぶ。「あぁっ、凄い…っ! 悠貴っ、悠貴…っ!」
「お姉ちゃん、お姉ちゃんっ!」
「悠貴、イっちゃう、イっちゃうよぉ悠貴ぃ…」
「お、お姉ちゃん…僕も、もう…!」
 余りに激しい動きに、二人は数分と経たずに一気に昇りつめていった。迫りくる絶頂の予感に、
二人はぎゅっと目をつぶり、しっかりとお互いを抱きしめて、最後のスパートをかけるが如く、一層
激しく腰をぶつけあった。

「あっ、あ、お、お姉ちゃん…っ!!」
「悠貴、悠貴っ、あっ、あぁぁっ、あーっ!?」
 そして身体の中で快感が弾け飛び、二人の背中がきゅーっと弓なりに反り返った。ぎゅっと押しつけ
あった腰がぶるぶると震える。最奥まで突き入れられた弟の分身の先っぽから、熱いモノが子宮に
注がれるのを、未来はエクスタシーに霞む意識の片隅でぼんやりと感じていた。(あ…これって…
射精してるの? 悠貴…)
 弟が自分の中でイった事に、未来は絶頂に打ち震えながら、うっすらと満足げに微笑んだ。

「……ん…」
 朝の光がカーテンの隙間から差し込み始めた頃、未来はぼんやりと目を覚ました。そしてすぐ、昨夜の
出来事を思い出して顔を赤くした。(わたし…悠貴とエッチしちゃったんだ…)
「悠貴…」
 未来ははにかみながらそっと顔を横に向けた。が、そこで寝ているはずの弟の姿はなく、彼女は
慌てて身体を起こした。「悠貴?」
 弟を呼びながら、未来はベッドから足を下ろした。上の段に戻ったんだろうか? 「悠貴…?」

「!?」
 そっと上のベッドを覗きこんだ未来の目が、愕然と見開かれた。そこにも弟の姿はなかった。いや、
それどころかベッドの中には毛布もマットもなく、ただ底板が剥き出しになっているだけだった。
うっすらと埃が積もり、もう長い間そのままの状態だったことが一目でわかる。
 よろよろと後じさった未来は、はっとして悠貴の机へ目をやった。机の上は綺麗に整理されているが、
整理されすぎていて、まったく使用感がない。棚に並んでいる教科書は、よく見れば三年生の時のもの
ばかりで、五年生の教科書は一冊として見当たらなかった。

「そん…な…」
 真相を悟った未来は、ぺたんと床に座り込んだ。茫然と見開かれた瞳に、みるみる涙が溜まっていく。
「言ったのに…ずっとここにいるって…」
『泣かないで、お姉ちゃん』
 だが、涙が零れ落ちそうになったその時、どこからか弟の声が聞こえた気がして、未来ははっとして
部屋を見回した。「…悠貴?」
『ちゃんとここにいるよ…』きょろきょろする未来の耳に、また微かな弟の声が聞こえる。『だから
泣かないで…』

「悠貴…」
 思わず零れそうになる涙を、未来は歯を喰いしばって堪えた。ずずっと洟をすすり、パジャマの袖で
目の端に浮かんだ涙を拭うと、ふらりと立ちあがる。「うん…うん、そうだね…」
 そうだ、この二年間、いつだって悠貴はそばにいてくれた。嬉しい時も悲しい時も、どんな時も。
だから、泣いたりして悠貴を困らせちゃいけない。悲しくて苦しくてたまらなくなったら、きっとまた
慰めにきてくれる。夕べのように。だって悠貴は優しいから…。

 未来はそっと窓に近寄ると、閉まっているカーテンを掴んだ。窓の外に、にこにこ笑っている悠貴が
見えるような気がして、彼女は勢いよくカーテンを引き開けた。眩しい朝日に思わず腕で目をかばい、
それからそっと腕をどけると、未来は窓の外を見やった。

 …そこには、普段と変わらぬ街並みが広がっているだけだった。だが、窓から差し込んできた朝の
真っ白な光は、まるで悠貴のように暖かく、そして優しく未来を包みこんだ。



 おしまい









※おまけ

「……ん…」
 朝の光がカーテンの隙間から差し込み始めた頃、未来はぼんやりと目を覚ました。
そしてすぐ、昨夜の
夢を思い出して顔を赤くする。(わたし…あんなエッチな夢を…)あの地震からもうすぐ二年、悠貴の
三回忌も近い。きっとそのせいだろう。それにここのところ、テスト勉強も大変だったし…。
「ふぅ…」と溜息をついてふと横に顔を向けた未来は、そこで弟の寝顔と出くわし、跳ね起きた。
「うきゃぁっ!?」

「……ん…?」
 未来の奇妙な悲鳴に悠貴も目を覚まし、目を擦りながらのそりと身体を起こした。「おはよう、
お姉ちゃん」
「な、な、な…」照れ臭そうな顔をして挨拶をする悠貴に、未来はわなわなと震える指を突き付けて
喚いた。「なんであんたそこにいんのよっ!?」

「なんでって…」悠貴が不思議そうな顔をする。「昨日お姉ちゃんが一緒に寝ようっていうから…」
「へっ? えっ? いやそうじゃなくて…えっ?」未来の顔が赤くなり、次いで青くなった。
「あ、あれって夢じゃなかったのっ!?」
「お姉ちゃん、まだ寝ぼけてるの?」
 困ったように笑いながら悠貴が言う。そして彼は頬を赤らめ、上目遣いで姉を見つめた。
「そしたらお姉ちゃんが僕にキスして、それから…あれってセックスって言うんだよね、僕知ってるよ。
セックスってすごく気持ちいいんだね、またしようねお姉ちゃん」
「ひ、ひぃぃぃぃぃ、やめてやめて、言わないでっ!」
 興奮気味に早口で言う悠貴に、未来は小さな悲鳴をあげると、青くなっていた顔をまた赤くさせた。
目をぐるぐるさせて両手で耳を塞ぎ、喚き立てる。
「だってはいはいどうせ夢でしょってそれでわたしせっかくだからあんたとそんでだから○×△□……」

「ホントに変なお姉ちゃん」
 朝の真っ白い光が差し込み始めたベッドの中、支離滅裂なことを言いながら、目まぐるしく顔色を
赤くしたり青くしたりしている姉を、悠貴はにこにことしながらずっと眺めていた。



 おしまい
最終更新:2010年03月15日 00:06
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