残暑(後編)

 その翌日は、前日と同じく真夏の日差しの降り注ぐ残暑の厳しい日だった。やはり短縮授業で
昼過ぎ頃の下校となった未来は、帰り道の途中にある小学校のそばまで来たところで足を止めた。
視線の先には、マロニエを植えた校舎裏がある。いつもならそこで待ち合わせて、マロニエ日記を
交換するのだが、昨日あんなことがあったせいで、今日は待ち合わせの約束などしていなかった。
(イツキ君、いるかな…?)
 いや、きっといないだろう。未来は思った。イツキが未来に腹を立てているだろうというのもあるが、
小学校と中学校では授業終了時刻が違うし、通学時間だって全然違う。事前に約束していなければ、
長時間待たされることになるか、あるいは行き違いになるかだ。昨日あんなことがあったうえ、
ただでさえこんな暑い日だ、イツキがずっと自分を待っててくれるなど、期待する方が間違いだろう。

(あ…!)
 だが、再び歩きだした未来は、ほどなくマロニエのそばに人影を認め、顔を輝かせた。イツキだ。
どこかつまらなそうな顔で、サッカーボールをぽんぽんとリフティングしている。
(よかった、イツキ君、あたしを待っててくれたんだ…)
 安堵のあまり思わず涙が浮かび、未来は慌てて手で拭った。そしてゆっくりと、イツキの方へ
歩み寄っていく。

「あ…」
 未来がイツキのところに着くよりも前に、イツキが彼女の姿に気付いて顔をあげた。ボールが
足からこぼれ、未来のほう、金網のフェンスのそばへと転がっていく。
「イツキ君…」
 未来はさらに何歩か進むと、金網越しにイツキの正面に立ち、少しはにかんだ笑顔を彼に向けた。
しかし、イツキは気まずそうに地面に視線を落とし、目を合わそうとはしない。

 俯くイツキの頬は赤く染まっていた。謝ろうと思っていたのに、いざ未来が来たら、昨日見てしまった
彼女の裸体がまた脳裏に浮かび上がってきて、まともに彼女の顔を見られなかった。それに、昨夜
布団の上でしたことも、はっきりとした理由は自分にも分からなかったが、恥ずかしさと罪悪感を
一層強くさせていた。
「う…あ…」
 謝りたいが謝れない。イツキはしばらく俯いたまま思い迷っていたが、やがて未来の視線に
いたたまれなくなり、転がっていったボールをそのままにし、横を向くと校門へ向かって駆けだした。
「あ、イツキ君!?」
 突然走りだしたイツキに、未来も慌てて金網越しに彼と並んで走り出す。「待って!」

 イツキが目指す校門は二人のすぐ先だった。ほとんど並走していることもあり、イツキがそこから
外に出ようとした時には未来もすでにそこに到達し、二人は向き合う形となった。
「あ…」
 未来の脇をすり抜けて外に出るのは不可能と見たイツキは、未来にくるりと背を向け、学校の奥へ
向かって走り始めた。未来は校門を走り抜けると、持っていたカバンを放り捨てて全力でその後を
追っていった。
 いくら未来が女のコであるとはいえ、相手はしょせん小学三年生だ、中一の彼女が本気で走れば、
イツキに追いつくのは難しい事ではなかった。すぐに二人の差は縮まり、未来は手を伸ばすと
イツキの腕を捉まえた。

「待ってってば!」
「離してよぉ!」
 腕を振りほどこうともがくイツキに、未来はぱっと手を放すと両手を合わせて頭を下げた。
「昨日はごめん!」
「……」
 謝りだした未来に、また逃げ出そうとしていたイツキの足が止まった。拝んだままぱちっと片目を
開けて彼を見る未来に、イツキは恐る恐る聞き返した。「怒ってないの、未来ねーちゃん?」
「ううん、怒ってなんかないよ。イツキ君が悪いわけじゃないんだから。それなのに酷い事言って
ごめん!」

 重ねて謝られ、ようやく平静を取り戻したイツキは、頭を下げる未来にこくりと肯いた。
「俺もゴメン。未来ねーちゃんのハダカ見ちゃって…」
 未来はちょっと頬を赤くすると、手を前に突き出してぱたぱたと横に振った。「謝らなくていいよ、
昨日はちょっと驚いちゃったけど、わたし全然平気だから」
 えっという顔になるイツキに、未来は思いっきり力をこめて言う。「ほんっと、全然気にして
ないから!」

「ホントに?」
「うん、ホントホント」
 不審そうなイツキに未来は笑顔を浮かべて言う。その笑顔は少し強張っていたが、それでも
イツキは心が軽くなったような気がした。未来のハダカを考えていたことで後ろめたく感じてたのが、
なんだかバカらしくも思えてきて、彼は思わずへへっと笑いを漏らした。
「ふふっ…」
 よかった、機嫌直してくれたんだ…。イツキの笑顔に、未来のほうも肩から荷が下りたような気分に
なり、今度こそ心からの笑みを浮かべた。

「ふう…」
 騒ぎが一段落つくと、未来は腕を伸ばして大きく息をつき、額の汗を拭った。安心したら、全身に
どっと汗が滲んできた。
「思いっきり走ったから汗かいちゃった」
 未来は胸元をパタパタとやって煽いだ。横目でじろっとイツキに目をやる。「もう、イツキ君が
逃げるから…」
「ごめん…」
 申し訳なさそうにイツキが謝る。未来はくすっと笑うと、少し屈んでイツキに顔を近づけて言った。
「…今日もプール寄って行こっか?」
「え…?」
 イツキがどきりとして顔を赤くするが、未来はお構いなしに先にすたすたと歩き始めた。「いこ」
「あ、待ってよ…」
 その後を、イツキは早足で追っていった。


「わあ…」
 途中で放り出していったカバンとサッカーボールを回収してから、二人はまたあの穴からプールへと
入り込んでいた。昨日と変わらず、無人のプールはきらきらと日差しに輝いている。未来は楽しそうな
顔でしばらく水面を見つめていたが、やがてサッカーボールを抱えているイツキのほうを振り向いて
言った。「さ、泳ご?」
 そして未来はカバンを置くと、セーラー服の裾に手をかけ、ばっと捲りあげた。実は中に水着でも
着けているんじゃないかとイツキは一瞬思ったが、下からは昨日と同じような、飾り気のない白の
ジュニアブラが姿を現した。そしてスカートも地面に脱ぎ落されると、下もやはり昨日のような白い
パンツだ。

「み、未来ねーちゃん…?」
 さっさと下着姿になってしまった未来に、イツキがどぎまぎと声をかける。今は濡れていないから
水着とさほど変わりはないが、水に入ったらまた…。
「さっき言ったでしょ、気にしてないって」
 なんでどぎまぎしているのかといった顔で未来は言うと、イツキが持っていたサッカーボールを
ひょいっと取り上げ、すたすたとプールの縁まで歩いていき、しゃがみ込んだ。

(う~。やっぱりちょっと恥ずかしいよぉ…)
 だが、プールに足を入れながら、未来は胸の中でそうこぼしていた。イツキに言った、驚いただけ、
怒ってない、気にしてないというのは、半分は本音だ。相手はまだ子供なのだ、恥ずかしがること
なんてなにもない。それを態度で教えようとこうしてまたプールに来たのだが、いざ下着になると、
どうしても恥ずかしさが募る。
 しかし、固唾を飲んで見守るイツキの視線を背中にひしひしと感じ、未来は無理矢理恥ずかしさを
押し隠し、プールの中に立った。ここで恥ずかしがる素振りをしたら、また気まずくなってしまいそうだ。
そう思って、未来は努めて平静を装いながら、数歩進むとボールを抱えてイツキを振り向いた。

「ほら、イツキ君もおいで」

「う、うん…」
 未来に呼ばれ、ぎくしゃくとイツキも服を脱ぎ始めた。昨日のように、トランクス一枚になると、
のろのろとプールに近付いていく。プールで待っている未来のパンツは早くも濡れて、秘裂を透け
させてしまっている。イツキは極力そこを見ないようにしながら、爪先を揃えてとぷんと水中に
入り込んだ。
 未来はそれを見届けると、水に肩まで浸かり、ボールを浮代りにつかまってばちゃばちゃとバタ足で
泳ぎ出した。パンツがぺったりと張り付いたお尻が水面を浮き沈みし、艶めかしい。未来はそのまま
数メートルくらい進むとそこで立ちあがり、イツキに振り向くとボールを放った。「ほら!」

 振り返った未来の下着はもはや上下とも完全に透け、昨日のように胸の蕾や股の間の黒いスジを
くっきりと浮かび上がらせていた。もちろん、本人もそれに気付いているが、それはまったく表情に
出さず、わずかに頬が紅潮しているだけだ。
 未来の努力はイツキに通じ、彼はおどおどしつつも、目の前に落ちたサッカーボールを拾うと、
未来に向けて投げ返した。少し横に落ちたボールに向かい、未来はじゃばじゃばと水をかき分けながら
進んでいき、それを両手で抱えあげるとイツキの方を向いて笑いかけた。

「……」
 未来を目で追っていたイツキが、ぽーっとした表情になった。透けた下着がまだ少し気恥ずかしい
というのもあるが、そのせいだけではない。水に濡れた未来の白い肌が、強烈な日差しを反射して
眩いくらいにきらきらと輝き、まるで全身から光を放っているようだった。(綺麗だなぁ…)
「はい、イツキ君!」
「あ…」
 ボールが投げ返され、未来に見惚れていたイツキは我に返ると慌てて拾いにいく。そしてボールを
掴むと、「それっ!」と未来に向かって元気よく投げた。イツキの心から気恥ずかしさが消えていく。
あんなに綺麗な未来と、ずっと一緒にこうやって遊んでいたいとイツキは思った。いつまでも、ずっと。

「あっ」
 未来がダイレクトでボールを取ろうとして受け損ね、ボールは明後日の方向へと飛んでいって水面に
落ちると、ぷかぷかと漂いだした。それを見たイツキは、ボール目がけて一目散に泳ぎ始めた。
負けじと未来も、ざばざばと水を掻き分けながらボールに走り寄っていく。
「取ったーっと」
 わずかに早くボールに追いついた未来が、ひょいと掴みあげると全然別の方へ飛ばす。イツキが
そちらへと泳ぎだすと、未来もボールを目指し、イツキと並ぶように水中を走る。やがて二人は、
最初の気まずさなどすっかり忘れ、歓声を上げながらボールを追い、投げ合った。

「はい、取ったーっと」
 どれくらいそうして遊んでいただろうか。水面を漂うボールを競って追いかけていた二人が、
ほぼ同時にボールに飛びついた。一瞬早く未来がそれを掴み、持ちあげると、ボールを諦めきれない
イツキが未来の持ったボール目がけて飛びかかっていく。未来は頭の上に持ち上げてそれをかわすが、
イツキは思い切り飛びあがってまた飛びつき…「きゃっ!」「うわっ!?」
 目測を誤ったイツキが未来にぶつかり、二人は派手な水飛沫をあげて、もつれ合うようにして水中に
沈んでいった。細かな気泡の渦巻く水中で、イツキは昨日溺れかけた記憶が蘇り、大慌てで水底に手を
ついて身体を起こそうとした。

 ぐにゅ…

 しかしその時、彼はプールの底のコンクリートとはまるで違った、柔らかな感触を手に感じた。
次の瞬間、水中の気泡が消え去って視界が開け、イツキは自分が手を付いているものの正体に気付き、
目を見張った。

(あ…あ…)
 イツキの顔が水中でみるみる赤く染まる。彼の手の下には、白い布に覆われた小さな膨らみ…
未来の乳房があった。(はっ!?)
 数瞬遅れ、イツキは水底に押し倒されている未来が、目を丸くして自分を見ているのに気付いて、
慌ててそこから手を離すと、水面から頭を出した。
「ぷはっ」
 大きく喘ぐイツキの前に、少し遅れて未来も水から頭を出す。その顔は赤く染まり、唇がわなないて
いた。水中では胸の前で両腕をクロスさせてそこを隠している。

「あ…あ…ご、ごめんなさい…俺…」
「あ、い、いいの、気にしないで」
 よろよろと後じさりながら謝るイツキに、未来は慌てて胸を隠すのをやめると彼に言った。ここで
大騒ぎしてまたイツキを傷つけてしまったら元の木阿弥だ。「事故よ事故、イツキ君のせいじゃ
ないから」
「う、うん…」
 事故。それはわかっている。しかし女のコの…未来のおっぱいを触ってしまったという衝撃に、
イツキは赤くした顔をうなだれさせて、小さく肯くばかりだった。

「も、もう出よっか?」
「あ…うん…」
 話題を逸らそうと、未来はそそくさと立ちあがると、明るい声を作って言ったが、その声は
引きつっていた。肯くイツキも、その動作はぎこちない。二人はぎくしゃくとプールの縁に向かい、
揃ってプールサイドにあがると、無言で腰を下ろした。

「あ~、気持ち良かった~!」
 未来は内心の動揺を押し隠すように、ことさら大きな声でそう言うと、仰向けにプールサイドに
寝転がった。眩しい太陽を避けるように、両腕で目を覆う。
「ふぅ…」
 未来は腕の下で気だるげに瞳を閉じた。(触られちゃった…)。そっと胸の内で呟く。ほんの
一瞬だけ触れたイツキの掌の感触が、未だに胸に残り、未来は何度か大きく息を吸って鼓動を
鎮めようとするが、彼女の心臓はなかなか言う事を聞いてはくれなかった。

(おっぱい触っちゃった…)
 その右隣で体育座りをしていたイツキも、未だ未来の柔らかな胸の感触が消えない右の掌をじっと
見つめていた。
(柔らかかったなぁ…)
 ほんの一瞬のタッチだったが、その感触ははっきりとイツキの記憶に刻み込まれていた。女のコの…
未来ねーちゃんのおっぱいって、あんなに柔らかいんだ…。

 イツキは、ちらりと横で寝そべる未来を盗み見た。下着は相変わらずぴったりと肌にへばりついた
ままで、乳首やあそこの形をくっきりと浮立たせている。全然気にならなくなっていたのに、今は
それが物凄くエッチに見えて、イツキはごくっと息を飲み、慌てて眼を逸らした。昨夜のように、
急に胸がどきどきとなり、股間がむずむずと疼いてくる。

 イツキは視線をまっすぐに戻すと、くの字に曲げていた脚を胸元に引きよせ、縮こまった。
手持無沙汰に、しばらく身体を前後にゆらゆら揺すっていたが、やがて動きを止めると、再び
そろそろと未来のほうを盗み見た。
「……!」
 薄茶色の乳首が浮き見えている胸が、未来の荒い呼吸にあわせて大きく上下している様子に、
なぜか今さらのようにイツキは大きな衝撃を感じた。どぎまぎしつつ股間に目を移すと、くっきり
浮かび上がった割れ目に、パンツが少し食いこんでいるのが見える。

「…!?」
 その時未来がわずかに身じろぎし、イツキは慌てて目を逸らした。しかし、またすぐにその目は
彼女の肢体に戻っていく。見てはいけないとわかっていても、どうしてもイツキは未来の身体が
気になってしまう。いや、見るだけじゃなく、もう一度触ってみたいという淫らな想いがむらむらと
湧き起こって来る。一瞬触れたあの柔らかくて小さな膨らみを、もっとじっくりと触ってみたいと
イツキは思った。胸だけじゃない、他のところも、未来の身体中全てを、そしてアソコも…。
パンツから透けて見えるあの割れ目の中は、どうなってるんだろう、触ったらどんなだろう…?

 いつしか、イツキはすっかり未来の身体に見入ってしまっていた。加えて、未来の身体に触りたい
という抑えきれない誘惑に、膝を抱えていた左手が我知らずふっと動いた。しかしそれを行動に移して
しまう前に、イツキはなんとか自制して手を膝に戻した。もしそんなことをしたら、ぜったい
未来ねーちゃんに嫌われる。いくばくかの理性と、触りたい、見ていたいという抗いがたい欲求が、
イツキの身体の中で激しく渦巻いて、頭が真っ白になっていく。

(…イツキ君、わたしの身体見てる…)
 その様子を、未来は腕の下でそっと薄目を開けて伺っていた。彼の手が、いかにもこちらを触りた
そうにそわそわ動いているのも、未来にはしっかりと見えていた。さっきのアクシデントのせいで、
イツキもこちらのことを意識してしまっているのだろうと、未来は彼の心中を推し量った。
(弱ったな~)
 見られても平気だと言った手前、見るなとも言い出せず、未来は困り果てた。それに、下手に注意
して、また昨日のように気まずい別れになるのも嫌だ。未来は、さりげなくを装って顔を覆っていた
腕を下ろして胸の前で組み、乳房を隠した。さらに右脚をくの字に曲げ、右隣にいるイツキの視界から
アソコを遮る。
「はっ!?」
 しかしイツキは、未来がそこを隠そうとしたのを鋭敏に感じ取り、ショックを受けたような表情に
なると、慌てて彼女から顔を背けた。そして気まずそうにもじもじそわそわと身体を揺らし始める。
 まずい…。未来の額にたらりと汗が浮かんだ。めちゃくちゃ気にしてる…。

「お、俺、もう帰る!」
 気まずさが限界に達したイツキが、叫ぶように言うとそそくさと立ちあがった。このままここに
いたら、未来に嫌われてしまいそうな気がする。イツキは未来に顔も合わせようとはせず、脱いだ
服の方へと駆けだそうとした。「あ、待って!」
 だが一瞬早く、未来が身体を起こしてその腕を掴んだ。「わたし、全っ然気にしてないから。ね?」

 腕を掴まれ、困ったように彼女を見るイツキに、未来はさらに言った。「イツキ君にだったら、
触られたってへっちゃらだから…」
「え?」
 どきりとなるイツキに、未来は心の中で付け加える。だから行かないで…。

「み、未来ねーちゃん…?」
 逃げだそうとしていたのを忘れ、どぎまぎと未来を見るイツキの前で、彼女は女の子座りになると
背中に手を回した。他にどうすればイツキを引き止められるのか思いつけず、思い余った未来は
ブラのホックを外すと、はらりと下着を取り外した。
「!?」
 剥き出しになった未来の白い双丘に、イツキは目を見開いた。今まで薄い布越しでしか見れなかった
なだらかな乳丘と、その頂点でツンと立っている、茶色がかったピンク色をした小振りな乳首に、
イツキはしばらくの間見入っていたが、やがて我に返ると恐る恐る未来の顔色を伺った。
「いいよ、触っても…」だから行かないで…。
「未来ねーちゃん…」
 未来に訴えるような瞳で見つめられ、イツキはふらふらと彼女の横に膝をついた。

 右脇でイツキが跪くと、未来は軽く後ろ手をついてわずかに上体を後ろに傾け、足をまっすぐに
伸ばした。かしこまったように座っていたイツキは、強調するかのようにツンと突き出された、
小振りな胸の膨らみに息を飲み、それからそろそろと、その膨らみに手を伸ばしていく。
「あ…」
 イツキは右手を未来の右の胸に置いた。小さな吐息を漏らす彼女の胸を、イツキはそっと撫でる。
乳肉の柔らかさを推し量るように軽く押さえ、円を描くように回し、きゅっきゅとわずかに握りしめ、
そしてまた押さえ…。さっき下着越しに一瞬触れただけよりも、ずっとはっきり感じられる官能的な
手触りに、イツキはすぐに片手だけでは物足りなくなり、右手を向こう側の乳房に移すと、左手を
空いたほうの乳房へ伸ばし、両手で未来の両の膨らみを揉み始めた。

「んっ…」
 両方の胸の果実を掴まれ、未来は軽く首をのけ反らせた。イツキの指が乳肉に食い込み、じんじんと
甘く疼く。もちもちとした弾力を楽しむように、指は何度も何度も繰り返し食いこみ、掌がぐいぐいと
押し込むように肉果を擦り立てる。もどかしげに肉丘をまさぐる指は、乳肌をなぞっていき、淡い色を
した乳頭を捉えると、冷たい水で固くなっていたそこをきゅっと摘まみ、クリクリと捻った。
「はぁ、はぁ…」
 イツキの指に乳果を弄ばれる未来の呼吸が徐々に荒いでいく。その小さな指で乳蕾を摘ままれるたび、
そして胸肉を揉み握られるたびに、得も知れぬ悦びを胸の内に感じてしまう。「んんっ…!」
 イツキが乳輪ごと乳首をきゅっと摘まみあげ、未来はビクンと背中を反らせた。イツキの指は乳頭を
軽く摘まんで引っ張り、離すとすぐに指の腹で押さえて転がし、爪先でかりかりと甘く引っ掻き、
乳輪の中にくいっと押し込む。快感が電流のように未来の体内を駆け巡り、地面について身体を支える
腕が、ガクガクと震えた。

「ひへっ!?」
 その時、イツキが左手を乳房からどかすと、胸の蕾にキスをしてきて、未来は呂律の回らない悲鳴を
漏らした。「ちょ、ちょっと…!」
 慌てる未来を気にもかけず、イツキはその小さな突起をちゅっちゅっと音を立てながら吸い始めた。
「あっ、やっ…」
 未来は思わずイツキの肩を掴み、押し返そしそうになったが、すんでのところで自制した。そのまま
イツキの肩を抱き、未来は彼の行為を黙って受け入れた。

 イツキは羞恥の涙を浮かべる未来の乳首を吸い立て、舌先で舐めくすぐり、唇でぷにぷにさせ、
そして乳輪ごと口の中に吸い入れる。乳首だけでなく、周りの乳肌にも下を這わせ、唇を押し付けて
いく。もう片方の胸を弄っている指先とはまるで違う感触の、わずかにざらついた柔らかな舌や唇に、
勃起して敏感になっている胸の蕾を優しく転がされ、未来の背筋を悪寒とも快感ともつかぬものが
ぞわぞわと駆け上がっていく。イツキの肩に置かれた手に、ぐぐっと力が入る。
 しかし、未来がその愛撫を黙って耐えているうちに、恥ずかしさは次第に静まり、イツキの肩を掴む
手の力は徐々に弱くなっていった。逆に、まるで異なる刺激が左右の胸に与えてくる甘美な刺激が、
その手だけではなく、未来の全身から力を奪っていく。中一の少女には過剰なほどの快美感に、羞恥の
涙が浮かぶ目がとろんとなり、口がだらしなく開き始める。未来はイツキの肩を掴んでいた手を再び
地面につけ、崩れ落ちそうになる身体をかろうじて支えた。

「あ…ん…ふぁ…」
 その口の端から、舌っ足らずな喘ぎが漏れる。性的な悦びもあったが、まるでイツキが自分に甘えて
いるようで、未来にはそれが嬉しかった。
「ん…はっ、あ…イツキ…くん…」
 抑えきれない悦びに、未来の口からはとめどもなく甘い喘ぎが漏れていった。その切なげな声を
聞きながら、イツキは乳房を弄っていた手を徐々に下の方へと移していく。未来の滑らかな白い肌の
手触りを感じつつ、わずかに肋骨の浮かぶ脇腹、くぼんだおヘソ、ややぽっちゃりとした下腹へと、
手は撫で進んでいき、ほどなくイツキは指先に、皮膚とはまるで異なる、わずかにざらついた感触を
感じ取った。未来のパンツだ。そこには女のコの…未来の秘密の割れ目がある。乳首をしゃぶるのに
夢中になったイツキの頭の片隅に、ぼんやりとそのことが浮かんだ。イツキはさらに手を進めると、
割れ目のあたりを薄い布地の上からすっすっとさすり始めた。

「んんっ…!」
 誰にも触らせたことのない場所を触られ、未来は太ももをびくんと跳ねさせた。足は、じれったそうに
何度も曲げ伸ばしされる。しかしすぐに、その動きは徐々に動きを緩め、イツキの邪魔にならない
ようにと、足は次第に開け広げられていった。
 広げられた股の間を、イツキはすっすっと指先で何度も擦り立てた。そしてボトム部分をとんとんと
軽く叩き、そしてぐいぐいと下着の布地ごと指を割れ目に押し込む。下着に、プールの水とは別の
液体が、じゅわっと滲んだ。

「はっ、はっ…」
 イツキは息を荒げながらそこを弄り回していたが、その指がふっと股間から離れたかと思うと、
パンツの上部から中に潜り込んだ。恥丘に生え始めたばかりの、しょりしょりとした産毛の上を這って、
手は下着の奥の方へと差し込まれていく。すぐに指は閉じ合わさった肉唇を探り当て、下着の上から
していたように、そこをぎこちなく撫で擦り始めた。手の形に盛り上がった白い下着が、その動きに
あわせてもこもこと淫猥に蠢く。

「あっ、ひっ…」
 秘所を擦る指がくいっと曲がり、淫唇を割り込んで中に侵入してきて、未来が小さな悲鳴をあげた。
割れ目の中に忍びこんだ指は、くにゅくにゅとまとわりつく秘肉を掻き分け、淫花の底の粘膜を
上から下まで余すことなく這い回った。熱い。それにプールの水や汗とは違う粘液で、ぬるぬると
しているのもイツキはしっかりと感じ取っていた。もっとも、未来には幸いなことに、初めて女のコの
そこに指を入れたイツキは、それが普通なのだろうと、たいして気にも留めずにその中をまさぐり
続けた。
(ん…なんか…ある…)
 濡れた秘肉の合間の上の方に、薄皮に包まれたくりくりとした芯のような物があるのをイツキは
感じ取った。下の方には、肉がきゅっと窄まった穴のような存在を指先に感じる。その感触を元に、
イツキは頭の中でそこの様子にあれこれ思いを巡らせてみたが、自分のモノとはまるで異なる
手触りに、まるで想像がつかない。

「はっ、はっ…」
 乳首を舐め回していたイツキが、ぱっとそこから顔を離した。パンツの中に入れていた手も
引き抜かれる。触って想像するだけじゃなくて、ちゃんと見てみたい。未来ねーちゃんのアソコを…。
 イツキは息を荒げながら未来のパンツに手を掛けると、それを乱暴に引き下ろそうとしたが、お尻の
下敷きになっているせいで、容易には下がってくれなかった。イツキがもどかしげに下着をぐいぐい
引っ張っていると、イツキに触られて頭の芯が痺れ、自分でも何をしているのかほとんど理解しない
ままに、未来がお尻を浮かせてそれを助ける。抵抗のなくなった下着は、一気に彼女の太股まで
引き下ろされた。

「はぁっ、はぁっ、はぁっ…」
 中からはっきりと姿を現した陰毛と亀裂を注視しつつ、イツキはパンツを掴んだまま後ずさっていき、
足首まで下ろしたところで、あとは未来が自ら片方ずつそこから足を引き抜いた。
 完全に生まれたままの姿となって、軽いM字開脚の格好をする未来を、イツキは脱がしたパンツを
手に握ったまま、しばしぼぉっと眺めた。濡れ輝く白い肌、荒い呼吸にあわせて大きく上下する小さな
膨らみと、その頂点のちっちゃな乳首。そして何も邪魔するものがなくなった脚の間で、白い肌に
くっきりと浮かぶ萌え始めたばかりの陰毛や、今さっき彼が弄っていた割れ目も、しっかり姿を
見せている。

 イツキは掴んでいたパンツをぽとりと落とすと、膝で歩きながらゆっくりと未来の股の間に入って
いき、四つん這いになると未来の性器に顔を近づけた。割れ目の間からわずかに見え隠れする
薄桃色の肉に、イツキは一度ほぅっと溜息を洩らし、それからそろそろと手を伸ばした。
「んっ…」
 イツキの両手の先が、肉唇の両脇に添えられると、未来の爪先がぐっと伸びた。二人のはぁはぁ
という息遣いがさらに荒くなる。そしてわずかな躊躇いののち、イツキはぐいっとそこを押し広げた。
「うわぁ…」
 イツキの口から感嘆の声が漏れた。ぬめぬめと濡れ光った薄いピンクの花びらのような肉が、
その中でひくひくと蠢いていた。これがさっき自分が触っていた柔らかい肉の正体かと、イツキは
そこを見つめたまま、しばし感慨にふけった。恥ずかしく濡れそぼった秘花を凝視され、未来は
悩ましげに睫毛を震わせた。

 やがて、イツキは意を決すると、そこを広げるのを左手だけに任せて、右手の先をその中にそっと
はべらせた。ひくひくと震える淫花を、つつっと指先でなぞる。柔らかい…下手に力を入れると破れて
しまいそうだ。手探りで弄っていた時よりも遥かに繊細そうに感じられ、イツキは慈しむように、
優しく、ゆっくりと秘花をなぞり回した。
 やがて、その指は二枚の肉襞の間の下端付近にある、ぬるりとした粘液を涎のように垂らしている
肉の窄まりに留まった。さっき手探りしていた時に感じた穴だろうとイツキは察しをつける。
(これが“ちつ”ってやつか?)
 イツキは、保健の授業で教わった言葉を思い出した。赤ちゃんが出てくる場所、そして赤ちゃんを
作る時におちんちんを入れる場所…。こんな小さな穴から赤ちゃんが産まれるのか…。好奇心に
導かれるまま、イツキはその中にそっと人差し指の先を沈めた。
「んんっ!」
(うわっ)
 途端に、未来の小さな悲鳴と共に入口がきゅっと締まり、イツキは思わず手を止めた。まるで口に
咥えられたようだ。だがすぐに締め付けは弱まり、イツキはそろそろと挿入を再開した。狭い処女口で
せめぎ合う、熱く濡れる秘肉を掻き分けるようにして、ゆっくりゆっくり進めていき、やがて指は
根元まですっぽりと未来の胎内に収まった。
 イツキはしばらくじっと指に意識を集中し、ぬるついた襞肉が、ぐぐっ、ぐぐっときつく指を
締めつけてくるのを味わい、それからそっと指先で未来の胎内を撫であげた。

「ふぁ…」
 身体の奥に蠢くイツキの指を感じ、未来が深い吐息を漏らす。指は狭い処女道の襞々を丹念になぞり
ながら、徐々に引き抜かれていった。愛蜜に濡れた指が少しずつ未来の中から姿を現し、第一関節近く
まで外に出たところで、またずぶりと突き入れられていく。根元まで入れてしまうと、ぐりぐりと
捻って360度ぐるりと感触を確かめ、再び引き抜いていくと、今度はじゅぷっじゅぷっと何度か
抜き差しを繰り返してみる。

「ふぁ…ん…」
 また未来が悩ましげな吐息を漏らした。イツキに触れられる胎内の奥深くが、かぁっと熱くなって
くる。イツキの指が出入りする膣口から、とろとろと愛蜜が溢れ落ち始め、指の動きにあわせて
くちゅくちゅと淫らな音を奏でる。
 官能に溺れる未来の耳には、イツキのはぁはぁという荒い息遣いが聞こえていた。熱く湿った吐息が
秘花にかかり、くすぐったくもあり、そして気持ちよくもあった。その合間に、途切れ途切れに
「うわぁ…」とか「すごい…」というイツキの興奮混じりの呟きも聞こえてきて、それがより一層
未来の興奮を掻き立てた。

 イツキは指を粘液に塗れさせ、夢中になって未来の奥を突いては掻き回し、膣壁をくすぐるように
擦りあげ、時に外の淫花を指先でこねるように弄ぶ。未来の身体の奥からとめどもない官能感が
込み上げ、それに呼応するように溢れ出る愛蜜の量も増えていく。
「あっ、はぁっ、あんっ、あ…」
 イツキに奥まで指を突き入れられ、そしてぐりぐりと胎内を掻き回されて、未来の悦びの喘ぎは
徐々に大きく、熱を帯びていき、無人のプールサイドに響き渡った。

「はぁ、はぁっ、はぁっ…」
 四つん這いになって夢中で未来の生殖器を弄り回しているうちに、イツキのパンツの前がびんびんに
突っ張っていった。股間の強張りに、イツキは次第に腰を引いて、お尻を突き上げるような格好に
なるが、それだけでは違和感を拭いきれず、イツキは未来の秘裂をくつろげていた左手をそこから
離してしまうと、自分の股間へぎゅっと押し当て、揉みほぐすようにもみもみとさせる。

「ん…」
 ペニスを揉みほぐしながら、イツキは昨夜のような快感が股間から込み上げてくるのを感じた。
イツキは次第に目をとろんとさせ、小さく喘ぎながら、右手の指では未来の胎内をまさぐり、
左手で自分の股間を必死に揉みにじった。

「はぁっ、はぁ……」
 だが、未来と自分、両方の股間を懸命に弄り回していたイツキの動きが不意に緩んだ。とろんと
なった目が、自分が指を挿入させている、涎のようにとろりとした粘液を垂らす未来の秘口に、
ぼんやりと向けられる。授業で習った、おちんちんを入れる場所…。イツキがそっと指を引き抜くと、
ぽっかりと口を開けたままのそこは、彼を誘うようにひくひくとひくついていた。

 イツキはほとんど自分でも意識しないままに、身体を起こして立ち膝になると、あたふたと
トランクスをずり下ろした。その下から、屹立してもなお先っぽまで皮に覆われているペニスが、
ぴょこんとまろび出る。イツキは片方ずつ膝をあげてトランクスから脚を引き抜くと、ぽいと脇に
放り捨て、未来ににじり寄っていった。

「未来ねーちゃん…」
「えっ? あ…!?」
 快美感で頭がぼーっとなっていた未来は、イツキがくっつかんばかりに近寄ってきたところで、
ようやく彼が何をしようとしているのかに気付き、官能にとろけさせていた表情を凍りつかせた。
「あ、ちょ、ちょっと…」
 身体を触らせてあげる決意はしたものの、まさか小学三年生のイツキに、セックスまで求められる
とは思ってもいなかった未来は、焦りながらずりずりとお尻を這わせて後ずさるが、イツキはその分、
身を寄せてくる。
「み、未来ねーちゃん、俺…俺…」
 泣きそうな声でイツキが言う。声が震え、そこでいったん言葉は途切れたが、イツキは一度唾を
飲み込むと、後を続けた。「俺、未来ねーちゃんにチンチン入れてみたいんだ!」

「……!」
 イツキにはっきりと言われ、未来の目が見開かれた。みるみるその顔が真っ赤に染まる。
「あ…えと…」
 赤くなりながら、未来は弱ったように視線をきょどきょどと左右に泳がせた。そんな、セックス
なんてまだ早い…。どきどきと心臓の鼓動が耳の奥で鳴り響き、口の中がからからに乾いていく。
どうしよう、どうしよう…。

 未来はしばらく押し黙って目を泳がせていたが、やがて彼女の返事を待っていたイツキをじっと
見つめると、ゆっくりと肯いた。「……誰にも言っちゃダメだからね?」
 その言葉に、イツキはぱぁっと顔を輝かせた。「…うん!」

「未来ねーちゃん…」
 イツキの下半身が未来の下半身に押し付けられた。皮を被った亀頭が、未来の性器をぐいぐいと
つつく。イツキは膣を探して、ペニスの先っぽで未来の割れ目をなぞりながら徐々に位置をずらして
いき、未来も腰を動かして、イツキが早くそこに辿りつくように協力する。
(あ…!)
 ほどなく、イツキはペニスの先が目的の肉の窄まりを探り当てたのを感じた。(こ、ここか…?)

「ん…っ!」
 イツキが思い切って腰を前に出すと、包皮を被った亀頭が未来の中にずにゅりと潜り込んだ。
未来の下腹が緊張でびくんと震える。イツキはそろそろと、さらに腰を突き出し、ペニスを未来の
胎内に押し進めていく。
「はぁっ、はぁっ…んっ、く…」
 狭量な処女道に怒張した肉棒が押し入って来る感触に、未来の身体が強張った。まだ小さなペニス
だが、胎内を擦り剥いたような微かな痛みを感じる。痛みと緊張、恥ずかしさと期待感が入り混じり、
未来の頬に涙が伝う。

「あ、は、入った…」
 イツキの分身は、せめぎ合う襞肉を掻き分けながら未来の中を押し進んでいき、やがてすっぽりと
根元まで納まった。未来の胎内の柔らかな肉が、はちきれんばかりにパンパンに膨れた肉胴を
ぎゅうぎゅう締め付けてきて、それだけでも手や布団に擦りつけているより何倍も心地いい。
だけど…
「あっ…くっ…」
 イツキが、さらなる快感を求めてペニスをゆっくりと抽送を始め、ひりつく膣内を固く膨れた亀頭で
擦りたてられた未来が、太股を強張らせる。
「あっ、す、凄いや、未来ねーちゃん…」
 ひくつきながらきゅうきゅうと締め付けてくる未来の襞肉に、イツキは嘆声を漏らしながら腰を
前後させた。びくびく、ひくひくと蠢く柔肉の中でペニスを動かすと、昨夜布団に擦りつけて得られた
ものとは比べ物にならないほど強烈な快感が股間に込み上げてくる。快感を感ずるがまま、イツキは
どんどん腰の動きを強めていった。

「あっ、痛っ…あっ、ひっ、んっ…」
 ひりつく処女道をぱんぱんに膨れた亀頭で擦られ、疼くような痛みを感じて未来はびくっびくっと
腰を震わせ、小さく悲鳴を漏らした。その彼女をイツキは何度も何度も突きあげる。本能の赴くままに、
腰をグラインドさせ、熱くぬるつく秘肉を肉棒で掻き回し、引いては突き、突いては引き、未来の
秘肉を貪るかのように己の分身をぐいぐいと動かす。激しい動きに、ペニスがぎっちりと嵌り込んだ
肉門の隙間から、わずかに破瓜の血の混じった愛液が、じゅぷっじゅぷっと音をたてて溢れ落ちていく。
「あっ、凄い、凄いっ!」
「あっ、イツキ君…っ、あっ、ひっ!」
 うわ言のように叫びながら、イツキは激しく未来を突き上げ、がくがくと頭を揺さぶられた未来は、
身体がふわりと宙に浮くような飛翔感を覚えた。地面について身体を支えていた腕から力が抜けていき、
未来は徐々に身体を後ろに倒すとべったりと背中を地面につけ、イツキに身体の奥を突かれるたびに
ひっ、ひっと片息を漏らす。

(あっ、また…なんか…)
 やがてイツキは、じんじんという腰の疼きが急速に強まってくるのを感じた。昨夜経験した、快感が
炸裂しそうな予感に、腰を振りながらぶるるっと身震いする。そして未来の腰に手を回し、自分の腰に
引き寄せると、一段と激しくペニスを突き入れた。
「あっ、あんっ…」
 ずん、ずんっと激しく突き上げられながら、未来が喘ぎを漏らす。「あっ、イツキ君…っ!」
すがるように、その手がイツキの腕をぎゅっと掴んだ。「あっ、あっ…!」

「あっ? み、未来ねーちゃんっ!!」
「ふぁっ!?」
 そして最後に、イツキはひときわ大きな声で未来の名を呼ぶと、ぐんっと背中を反らして腰を
突き出し、未来の中に深々とペニスを突き立てた。次の瞬間、未来の胎内でイツキのペニスが
びゅくん! と激しく脈動した。イツキの急激な反応に目を見開く未来に、イツキは腰をきつく
押しつけながらぶるぶると小刻みに震える。びゅくっ、びくっ、びゅくん、びくっ、びくっ……と、
ペニスの脈動は徐々に小さくなっていき、やがてイツキは、未来の上にゆっくりと崩れ落ちた。

「はぁっ、はぁっ、はぁっ、はぁ…はぁ…」
「イツキ君…」
 未来は、自分の上にのしかかって、精も根も尽き果てたように荒い息をつくイツキの髪をそっと
撫でた。彼女はまだ最後まで到達していなかったが、イツキさえ満足してくれれば、それで自分も
十分に満足だった。未来がイツキの小さな身体を優しく包み込むように抱きしめると、イツキも
すがりつくように、そっと未来の身体を抱き返した。

「……汗、かいちゃったね」
 やがて、未来がぽつりと言った。胸の中に抱いたイツキの身体から、汗の匂いが立ち上っている。
いや、イツキだけでなく自分の身体からもだ。真夏のような太陽の下で激しい愛の営みを交わし、
気がつけば二人とも全身に汗だくだった。
「もっぺん泳ごうか?」
「うん…」
 気だるげに身体を起していう未来に、イツキものそりと身体を起こしながら肯いた。そして二人は、
脱ぎ捨てた下着はそのままにして、生まれたままの姿で連れ立ってプールへと入っていった。

「ふぅ…」
 プールに入った未来は、仰向けになって水面を漂いながら、ぼぉっと空を見上げていた。まさか
こんなところで、イツキ相手に初体験するなんて…。頭の中にまだ半分霞がかかり、まるで夢でも
見ていたかのような気分だったが、股間にイツキのペニスの感触が生々しく残っていて、あれが
夢ではなかったことを教えてくれていた。

 未来のすぐそばで、そのイツキはボールを浮き代りに掴まって、なにをするでもなくぼぉっと波に
揺れていた。頭の中は、やはり未来と同じく、たった今経験したセックスのことでいっぱいだった。
未来ねーちゃんの中があんなに気持ちいいなんて…。それだけではない、胸も、その身体のどこもが
柔らかかった。(あ…)
 未来の身体の感触を思い起こしていたイツキは、また股間がむずむずとするのを覚えてわずかに
赤面した。ボールを手放して股間をぎゅっと押さえてみるが、一度頭をもたげ始めた彼の分身は、
イツキの言う事を聞いてくれそうにはなかった。
「……」
 イツキは水中に座り込み、しばし恥ずかしげにペニスを押さえこみながら何か考えこんでいるような
様子を見せていたが、やがてふらりと立ちあがった。

「…イツキ君?」
 ぼぉっと空を見上げていた未来は、傍らにイツキがやってきたのに気付き、プールの底に立ち膝を
ついた。「どうしたの?」
 しかし未来の問いかけに、イツキは黙ったまま、なにか熱っぽい視線を彼女の向けてくるだけだ。
ふと視線を下に向けた未来は、水中で彼のペニスがそそり立っているのに気付いて頬を赤らめた。
「……イツキ君、またしたくなっちゃったんだ?」
「……」
 恥ずかしげに無言で肯くイツキに、未来は立ち上がると手を差し伸べた。「…うん、いいよ…」
そして二人は手を繋ぎ、プールサイドへと上がっていった。

 二人の熱い日は、まだまだ終わりそうになかった。

イラスト:名無しさん

 おしまい
最終更新:2010年03月15日 00:05
ツールボックス

下から選んでください:

新しいページを作成する
ヘルプ / FAQ もご覧ください。
添付ファイル