>>38

「お姉ちゃん、数学教えて」
悠貴はベッドに寝転んで漫画を読んでいる未来に話しかけた。
「もぉ、しょうがないわね。見せて」
と未来は寝転んだままベッドから手を差し出した。どうやらベッドから出てくるつもりはないらしい。
出無精星人になっちゃうよと言おうとしたが、機嫌をそこねてはいけないので悠貴は黙ってベッドの脇に腰を降ろした。

「ここなんだけど…」
「どれどれ…連立方程式じゃない。こんなの代入すればちゃちゃっと出来るわよ」
「そう…なの?」
「そうなの!ロボット博士になるんだったら数学とか理科はできなきゃダメでしょ!あぁもぉ、カエルの落書きばっかり…」
未来は飽きれ顔だ。
「僕、お姉ちゃんのカエル、大好きだから」
「いつまでたってもお子ちゃまねぇ。そんなんじゃ彼女できないよ」
「別にいらないもん。僕はお姉ちゃんが―」

その時…

ゴゴゴゴ…という音が遠くから聞こえ、やがて本棚やベッドがガタガタと揺れだした。大きな地震だ。

「っっっ!?」

幸い揺れはすぐに収まった。
「びっくりしたね、お姉ちゃん」「…………う…ぅ…」
「お姉ちゃん?」
未来は悠貴にギュッとしがみつき静かに震えていた。
「悠貴ぃ…怖いよぉ…」

あれから5年が経った。しかし心の傷、恐怖はなかなか消えるものではなかった。
それは悠貴も同じだが、男の子だし怖がってはがりはいられなかった。いつの間にか自分より背が低くなった姉を守らなければ、という使命感があった。

「お姉ちゃん、収まったから、もう大丈夫だよ」
「………ホント?」
「うん。僕がお姉ちゃんを守るから大丈夫だよ!」
「ふふ…悠貴の癖に生意気~」
未来はやっと笑顔になった。女らしくなった未来に悠貴はドキドキした。

「あんなちびっこだったのにねぇ」
と、未来は悠貴の頭を優しく撫でた。
「今はお姉ちゃんの方がちびっこだね!でも…胸はずいぶん大きくなったよね。当たってるよ」
「な…ななな…」
そこで未来はずっと悠貴にしがみついていたことに気付いた。どんっと悠貴を突き放す。
「もうちょっと抱き合っていたかったのに…」
「バカ!な…何言ってんの!?」
「僕はお姉ちゃんが好きなんだ!女の子として…」
悠貴は意を決して告白した。時間が止まったような気がした。
未来は息を飲んだ。実の弟にそんな告白をされるなんて思いもしなかった。
「悠貴、頭でも打ったんじゃないの?」
「打ったよ。5年前、東京タワーが崩れた時に」
「そうじゃなくてぇ…」
「お姉ちゃん!!」
悠貴は強引に未来を引き寄せ、ギュッと抱きしめた。
「悠貴…」
瓦礫の降り注ぐなか、体を張って自分を守ってくれた弟を愛おしく感じて、未来は悠貴を抱きしめ返した。

チッチッチッ…
静寂の中、カエルの時計が時間を刻む音だけが部屋に響く。
「悠貴~もう寝た~?」
未来が頭上に向かって囁いた。
「…………まだだよ」
ベッドの上段で悠貴も小さく答えた。
「お姉ちゃんは寝た~?」
「ふふっ…ま~だっ」
二人はクスクスと笑った。
「ねぇ悠貴、何考えてたの?」
「さっき教えてもらった連立方程式……じゃなくて、お姉ちゃんのこと…」
「あはっ、私も悠貴のこと…考えてた」
そして二人はまたクスクスと笑いだした。なんて心地良いのだろう。

「私が高校に入学した時さ、年頃だしってお母さんが部屋を別々にしようって言ったじゃない?」
「うん。でもお姉ちゃん、今のままでいいって言ったんだよね。どうして?」
「…………………ゆ、悠貴と一緒が良かったの!」
数秒の沈黙の後未来はぶっきらぼうに答えた。
「あんた、目を離すとすぐどこか行っちゃうんだから…。私がちゃんと見ていなきゃダメなの!」
「もう大丈夫なのに、いつまでも子供扱いするんだから」
悠貴はちょっと不満げに言った。
「たまにね…怖い夢を見るんだ…。悠貴が繋いでいた手を離してどこかへ向かって走っていってしまうの。悠貴、悠貴って叫んで一生懸命追いかけるんだけど、悠貴はどんどん遠くへ離れていくの。そしてずうっと向こうで悠貴が振り向いて何か言ってるの…たぶん、さよならって…」
しんと静まりかえった部屋に未来が鼻をすする音が微かに聞こえた。
自分を思って泣いてくれる姉を悠貴は愛おしく感じた。
「大丈夫だよ、お姉ちゃん!ちゃんと一緒に帰ってきたじゃないか。これからもどこにも行かないよ!」
「グスっ…嘘ついたら…怒るからね!」
「うん」
「悠貴……」
「ん?何、お姉ちゃん?」
「そっち、行ってもいい?」
「え……え…?」

「だから……その……一緒に…寝たい…」
「っ!?」
悠貴は動揺を隠せなかった。二段ベッドがガタガタと大きく揺れる。
スー、ハー…。平常心を取り戻すため大きく深呼吸をした。
「で……でも……」
「嫌?」
「嫌じゃないけどさぁ…」
もちろんうれしかった。うれしすぎてカエルみたいにぴょんぴょん跳ねてしまいそうだ。しかし思春期に入った少年は、色っぽくなった少女が真横にいる状況になったら、どうなってしまうかわからなかった。
「今日だけ。また地震がきそうで怖いんだもん」
……そうだ。ずっと姉を守ると誓ったのだ。悠貴はぐっと拳を握りしめた。
「上は結構揺れるから……僕がお姉ちゃんの所に行ってもいい?」
ほらっ、と悠貴が体を揺すると年季の入ったベッドはギシギシと鈍い音をたてた。
「う…うん」
「よいしょ…」
暗闇の中、下段のベッドに横たわる姉の存在を全身に感じながら悠貴は梯をゆっくりゆっくり降りていった。
「お、お姉ちゃん……」
「う、うん…」
ドキドキドキドキ…。心臓の音が未来に聞こえてしまいそうで悠貴は焦った。しかしそれは未来も同じだった。
「は、入っていいの?」
「おいで…悠貴…」
と未来は悠貴に優しく手を差し出した。
「お邪魔します…」
「ふふっ、どーぞっ」
今まで未来のベッドは近いようで遠い存在だった。悠貴は一度たりとも使ったことがない、まるで違う国、違う世界…。そこに今、足を踏み入れようとしていた。

ゴン!!

鈍い大きな音が部屋に響いた。悠貴がベッド上段に頭をぶつけたのだ。
「っっっ!?」
「ちょっと大丈夫、悠貴?」
「へへっ、大丈夫…大丈夫…」
「もぅ…ほらっ、痛いの痛いの飛んでいけ~」
そういって未来は悠貴の頭を優しく撫でた。
「すぐ子供扱いするんだから…でも、お姉ちゃんに頭撫でられると安心する」
「そう?じゃあもっとしてあげる。よしよし…悠貴く~ん」
「やっぱりちょっと悔しい…」

並んで寝転ぶとやっぱり狭かった。でもそれが心地良い。お互いの体温を感じながら、二人は手を繋いだ。
「悠貴……好き……」
「僕も……大好きだよ」
「私の方が、大好きなんだからね」
「僕の方が。だって僕の方が背高いじゃん」
「それは関係ないでしょ!?」
「へへへ…」「ふふふ…」
なんだかおかしくなって二人はしばらくの間笑っていた。

「悠貴…」
未来は身体を起こし、悠貴の頬にそっと手を添えた。顔はよく見えないが、微かな吐息をお互い感じ合っていた。
大好き。

「………」「………」

二人はキスをした。唇と唇が触れ合うだけの優しいキス…。

「お…お姉ちゃん…」
悠貴はベッドの上で固まり、未来は枕に顔を埋めた。
「あぁもぅ!は、初めてのキスだったのよ。光栄に思いなさい」
「そうなんだ…お姉ちゃん、ラブレターとか貰って結構モテるから…もしかしたらしたことあるのかなって思ってた」
「バカ!そんなわけないじゃない!」
「ありがとう。でも…お姉ちゃん、あのね……実は僕…初めてじゃないんだ…」
「……え!?」
未来は動揺を隠せず、目を大きく見開いた。

「う……嘘…。そうなんだ……」
「……うん」
お互い初めて同士。そんな風に思っていた未来のショックは大きかった。悠貴が……そんな……。
「ゆ、悠貴って……結構、も…モテるんだね。ぜん…ぜん知らなかったよ…」
声が震えて泣きそうになった。悠貴の唇に…触れた女の子がいる。悔しさ、そしてなんとも言えない寂しさが未来を包んだ。
そして未来は悠貴に背を向けうずくまり枕に顔を埋めた。

「お姉ちゃん?」
「………」
「僕……その子のこと、今でも好きなんだ」
「………酷いよ……悠貴…」
未来は肩を震わせた。思わせぶりなことを言っておいて、好きな女の子、いるんじゃない…。
いつも読んでいる少女マンガを思い出した。主人公の女の子には、ライバルがいて、いっぱい傷つきながら障害を乗り越えて好きな男の子と結ばれる。紆余曲折があるからこそ恋愛マンガは面白いのだ。
「でも…そんな紆余曲折、私にはいらないわよ…」
しばらくの沈黙の後、悠貴は口を開いた。未来は枕に顔を埋めたままだ。
「お姉ちゃん、あのね…」
「………ん…」
「僕が初めてキスしたのって…」
悠貴のファーストキスの相手って誰だろう…。どんな女の子かな。いつか悠貴が連れてきたら、ちょっといじめてやろう……って、嫌な私…。

「お姉ちゃん…だよ」
「……………へっ!?」
「だから、お姉ちゃんとキスしたんだ」
「え……え…?」
未来は枕から顔をあげたしばらくの間ポカーンとしていた。

悠貴ったら何言ってるの…私?

「やっぱり忘れてるし…。僕が3歳くらいの頃、よくおままごとしてたよね?」
「え……あぁ!!」

そうだ。パパとママの結婚式の写真を見てお嫁さんに凄く憧れた時期があった。ちびっこの悠貴を相手にして、よく結婚式ごっこをしたっけ…

「誓いのキス、僕はずぅっと覚えてたんだ」
「あああ…もぉそんなこと…恥ずかしいから忘れてよね!!」
「へへっ、嫌だよ~。一生忘れないよ!昔も今もこれからも、お姉ちゃんのこと大好きだから」
「もぉ!悠貴が他の女の子とキスしたって思ったら…すごく…すごく辛かったんだからね!」
未来は顔を埋めていた枕で悠貴をバシバシと叩いた。
「ごめん。ごめんってお姉ちゃん」
「ダメ!許さない!」
と未来はそっぽを向いた。悠貴は弱っておどおどしている。
「お姉ちゃん。どうしたら許してくれる?」
「…………知らないっ」
「僕、なんでもするよぉ…。そうだ!とっておいたプリンあげるよ」

「もぉ、また食べ物でご機嫌とるつもり?あの時とちっとも変わらないのね。いつまでもお子ちゃま」
未来はそっぽを向いたままぶっきらぼうに答えた。
「あの時……?」
「………あっ!?」
しまった!と未来は焦った。思い出したくもない、恥ずかしい出来事だ。
「あの時って…」
「ど、どうでもいいわよそんなこと。も、もう許したから。ねっねっ」
必死にごまかすがそれも虚しく…
「ああ!!お姉ちゃんがお腹痛がってた時だよね!?携帯トイレってすごいよね!僕驚いちゃった」
悠貴がポンっと手を叩いた。
間髪入れず未来は再び悠貴をポカポカ殴る。
「痛いっ痛いよお姉ちゃん」
「っっっっ……」
悠貴が思い出しちゃった…。
未来も女の子だ。たとえ弟でも、外で用をたしたことなんて思い出して欲しくなかった。暗いのが幸いだが、羞恥心で未来の顔は真っ赤に染まり涙で滲んでいた。
「………お、お姉ちゃん?」
悠貴も少なからず未来の羞恥心を悟ったようだ。デリカシーがなかったと申し訳なくなり恐る恐る未来に話しかけた。
「………」
悠貴はたまらなくなり手の平をパンと合わせ土下座した。
「お姉ちゃん、この通り!」
「どの通りよ?暗くて見えないわよ…」
「へへへ…」

「不公平よ!悠貴の…は、恥ずかしい秘密も…教えなさいよね」
「え?恥ずかしい秘密……かぁ。たまにだけど……お姉ちゃんの寝言を聞くのを楽しみにしてること…とか」
「な……な……悠貴!!」
一際大きな声が部屋に響いた。「お、お姉ちゃん!お父さんたち、起きてきちゃうよ!」
あっ、と未来は口に手を当てた。
「ゆ、悠貴が変なこと言うからじゃない!!それに恥ずかしいのは私だし…」
「ご、ごめん…。もっとあるよ!ノートに未来って書いてニヤニヤしたり、携帯の壁紙、お姉ちゃんの写真にしたり…この前イツキ君に見られちゃった。へへっ」
「もぉ、なにやってんのよぉ」
悠貴の恥ずかしい秘密を聞いていたのに自分が恥ずかしくなっては意味がない。しかし悠貴が自分のことを想ってくれているということが分かり未来はくすぐったい、心地良い恥ずかしさを感じていた。

「後ね……もうひとつ……」
「なぁに?お姉ちゃんにいってみな」
未来はすっかり上機嫌だ。それに反して悠貴はどこか緊張し、もじもじしていたが、しばらくして恐る恐る小さな声を発した。
「僕の身体…なんか…最近おかしいんだ…」
「えっ!?」
二人の間に重たい沈黙が流れた。
「悠貴!どこか…痛いの?」
未来は悠貴の肩をガシッとつかんだ。悠貴は昔から周りに気を遣い具合が悪くても我慢してしまう性格だった。
「正直にお姉ちゃんに言ってみな!」
悠貴はう~ん…と困ったような声を漏らした。
「具合が悪いとかではないと思うんだけど…」
「だったらどこがおかしいのよ?」
「……………身体が…むずむずして…変な気持ちになる……」
「え?」
ハァ…ハァ…と悠貴の呼吸が荒くなった。
「お姉ちゃん、家の中だと…ずいぶん薄着だよね」
「え…まぁ、自分の家だしね」
悠貴の呼吸はさらに荒くなる。
「お姉ちゃんの胸の膨らみとか、お尻とか、脇とか見たら…なんか身体がビリビリ痺れて、すごく…切なくなるんだ。こんなの初めてだよ」
「ゆ、悠貴ったら…お姉ちゃんの身体見て、そんなになってたの?」
未来にはだいたい状況が飲み込めていた。悠貴が思春期になったということなのだろう。

私にアレが来るように…悠貴にも…

「お風呂上がりのお姉ちゃんの匂いをかいだり、後ろ姿を見ると、無性に抱きつきたくなっちゃうんだ」
悠貴は羞恥心に耐えながら告白し、体をもじもじと揺らした。
未来も同様に体を揺さぶる。なんだか熱い…

「今度から、我慢しないで抱きついて良いからね」
悠貴が愛おしい…。なにをされても許してしまいそうだ。
「お姉ちゃん!!」
悠貴はたまらなくなり未来を強く抱きしめた。身体全体が密着する。
「………あ………」
未来は下腹部に違和感を覚えた。何か…硬い何かが当たっている…。これが…悠貴の…
「ん…悠貴……っ!?」
突然悠貴が下半身を揺らし未来に擦り付けだしたのだ。絹の擦れる音と二人の呼吸が響く。
「ご、ごめ…ん。お姉ちゃん。僕…こんなになっちゃって……身体が勝手に……病気かなぁ」
悠貴が不安そうに聞いた。吐息がかかり未来は身体を強張らせる。
「違うよ……習ったでしょ?悠貴はね、赤ちゃんを作れる身体になったの」
「あ、赤ちゃん?どうやって?」
「その……男の人と…女の人が…愛し合うと…できるみたい」
「愛し合うって?キスとか?」

ああもぉ!!この子はなんて純粋なんだろう…。なんで私がそういうこと教えなきゃならないのよ!?お母さんとか、ませたクラスの友達とかの役目でしょ!!
未来はハァ…と深いため息をついた。

「悠貴。セ……セックスって…知ってる?」
ああ、恥ずかしい…
「せっくす?う~ん…そういえば…保健でやったかも…でも良くわかんないや…」
「その……男の人の…おち…おち……おちおち………」
「お姉ちゃん?」
未来はプルプルと震えた。
「ダメ!!私には無理!!」
そう言うと未来はベッドからはい出て部屋の明かりを付けた。それからごそごそと本棚をあさり始めた。
「…………あった!」
一冊の本を取り出し、それをベッドに横たわる悠貴に突き付けた。
「これは…」
本には「新しい保健体育」と書かれている。未来の高校の教科書だ。
「これを読んで勉強しなさい。ちょっと……トイレ……」
そういうと未来は足早に部屋を出ていき、取り残された悠貴は、せっくすせっくす…と索引のページに目を通すのであった。
「スゥ……ハァ……スゥ……ハァ……」
便座に腰掛けた未来は大きく深呼吸をした。身体の奥が熱い…
「うぅ…悠貴があんなこと言うから…。なんか…変な感じ…」
未来は無意識に右手を下腹部へ伸ばしていた。
クチュ…と湿り気を帯びた音が狭い空間に響く。
「こ、こんなに…濡れてる…」
右手から粘り気のある液体が滴り落ちた。

悠貴のオ…オチンチン…すごく…硬くなってた。あんなになっちゃうんだ…

未来は悠貴が身体を密着させ、下半身を擦り付けてきた感触を思い出していた。再び無意識に自らの秘部へ手を伸ばす。

あんなのが、私の中に入ったら…どうなっちゃうんだろう…

未来は昔毎日のように見ていた両親の結婚当時の写真を思い出した。また、幼い頃家族でお風呂に入った時の両親の裸を思い浮かべた。

「パパの硬くなったオチンチンが…ママのアソコに入ったり出たり…出たり入ったり…。そしてパパのオチンチンが入った、ママのアソコから…私や悠貴はでてきたんだ………すごい………」

普段何気なく接してきた両親が、そういうことを経験していたのだ。改めて考えるとすごく恥ずかしく、そして少し寂しくもあった。

「私の知らないパパとママ…。キスをして、服を脱いで……セックス……したんだ…」
未来は息を荒くしながら秘部を刺激し続けた。頭がぼぉっとする…。

クチュクチュ……

淫靡な音に未来は高まっていく。いつしか未来は思い浮かべていた両親の交わりを自分と悠貴に置き換えていた。
四つん這いになった未来が後ろから悠貴に突かれている。苦しいようなうれしいような表情で喘いでいる。いやらしい…

「ハァ……ン……、悠貴ぃ、もっと……突いて…悠貴、悠貴!」
「何、お姉ちゃん?」
「っっっ!!!???」

心臓が止まるかと思った。扉の向こうから悠貴の声がしたのだ。
「ゆ、ゆゆゆ悠貴……いつからそこに?」
「え?今来たばっかりだよ。お姉ちゃん、戻ってこないから具合悪いのかなって…」

良かった…。聞かれてなかったみたい。

「だ、大丈夫だから……今戻る」「わかった……あっ!?」
遠くから足音がした。

パパかママが起きてきたんだ。
「悠貴!!」
未来はとっさにドアを開け、廊下に立っていた悠貴をトイレの中に導いた。
「お……お姉ちゃん?」
「はっ!?」

何も隠れる必要ないじゃない!?しかもトイレに二人……私のバカバカ!!

湿り気を帯びた未来の下半身に、悠貴はゴクリと固唾を飲むのであった。

「す、すごい……」
悠貴の口から感嘆の言葉が漏れた。
「な、なにが………ひっ!?」
やっと下半身があらわになっていること、そしてそれを悠貴が凝視していることに気付いた未来の顔が凍りついた。
咄嗟に股を閉じる。
「ゆ、悠貴!!こっちみな…んむ!?」
突然悠貴が手の平で未来の口を塞いだのだ。
「お姉ちゃん、気づかれちゃうよ」
小声で悠貴が囁く。

そうだ…。弟と二人でトイレに篭っているなんて知られたら…
未来がゾワっと身震いした。親睦を深めるために一緒にトイレに入ったりなんかしない。

何とか機をみつけて脱出しないと…。

その時、近づいていた足音が扉の向こうで止んだ。未来と悠貴に緊張が走る。
「誰か、入ってるの?」

ママだ…。

「わ、私だよ。ママ」
「未来。夜中起きるなんてめずらしいわね。具合、悪いの?」
「ううん。だいじょう…ふぁ!?」
いきなり未来は口調を乱した。
思春期真っ盛りの好奇心に耐えられなかったのだろう。悠貴が未来の太ももを壊れ物を扱うように優しく撫でていた。

ゆ、悠貴ぃ~!!

声を発さず口だけ動かして悠貴を怒鳴りつける。しかし悠貴の意識は未来の身体にだけ向けられていた。息が荒い。
「未来?やっぱり体調悪いんじゃない?」
未来の母が心配そうに言った。
違うのママ!悠貴が!悠貴が!!

「だ…だい…じょうぶ…ふっ…だか…らぁ…んん!?」
とうとう悠貴の右手は未来の秘部へと伸びていった。
この状況が興奮するからわざとちょっかいを出すという感情は悠貴にはなかった。ただただ姉の未知の領域に対する好奇心や憧れがそういう行動をとらせていたのだ。
指先で未来のアソコを優しく撫でる。
「ふ……あぁ…ん…はぁ…はぁ…」
未来から甘い声が漏れた。

ダメ。止めて悠貴!!

「すごいよお姉ちゃん。ねばねばしたお汁が出てきてる」
目を大きくし、感動を伝えようと悠貴は濡れた手の平を未来にかざした。

ゆ…悠貴ぃ……
恥ずかしさで未来の目に涙が溢れる。

ゴン!!
そして鈍い音がトイレに響いた。

いい加減頭にきた未来が悠貴を殴ったのだ。
「いてっ」
思わず悠貴は少し大きな声をあげてしまった。慌てて口を塞ぐ。
「未来?」
不思議に思った母が未来に話しかけた。
「じ、実は……ちょっと頭が痛くて……。ママ、悪いんだけど頭痛薬出してくれない?」
「そうなの。勉強忙しいからってあんまり無茶しちゃダメよ。今お薬とお水用意してくるね」
そういうと母はリビングへ歩いて行った。パタパタというスリッパの音が遠ざかる。

「先に部屋に戻ってな!!」
未来はドアを開けて左右を確認すると、強引に悠貴を追い出した。

ふぅ……なんとかなった……

ぴちゃんっ。
秘部から滴り落ちた液体が水面に波紋を作る。
それを見てなんとも言えない興奮を覚える未来であった。
最終更新:2010年03月11日 16:10
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