>>25

「おねえちゃん、あのね……」
「なに、悠貴?」

 後ろから声をかけられ振り向いたら、悠貴がぎゅっと背中のあたりに手を回して抱きついてきた。
思ったよりも力が強くて、引きはがしてもすぐにギュッとされるのを繰り返していた。

「ちょっと悠貴! 怒るよ!」
「えへへ~、おねえちゃあああん」
「離しなさいよ! おかあさあああん!」
「未来、喧嘩しちゃ駄目よ。 お父さんがそろそろ帰ってくるんだから」

 悠貴は私の肩辺りに、あごを乗せて頭をグリグリとすり寄せてきた。

「くすぐったい~! コラ!ちょっと、悠貴ったら!」
「おねえちゃん、大好き!」
「何よ!頭でもぶつけたの? ちょっと! おかあさーん!」
「仲良くしなさい、ほら、未来も手伝って」
「無理、悠貴が、もう!」

 力を抜いた瞬間、悠貴に裏返されてチュー……って何やってるのよ! 悠貴お酒くさい!

「お母さん!悠貴お酒飲んじゃってるよ! もう~、離してよ~」
「悠貴! ああ、お父さんのチューハイ飲んじゃったのね。 こっちにはビールの……」

 悠貴は私を抱きしめたまま眠ってしまった。 翌日、二日酔いから目覚めた悠貴はなぜかニコニコしていた。
何かいい夢を見ていたみたい。 ……ああ、何で弟とあんな! もう、お願いだから忘れててよ!

おわり
最終更新:2010年03月11日 16:00
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