荒廃した大地を獣が駆ける。
乾ききった大気に身を委ね、怪鳥が空を舞う。
仲間の亡骸を踏みつけて、小鬼が慟哭する。
そして一本の剣を背に、冒険者が立ち上がる。
石壁に囲まれた交易都市を荷馬車が往く。
道端の露店から声がとどろいた。
照りつける太陽を身に受けて、車夫は思わず手をかざす。
荒れた地面に馬がつまづき、車の荷物がガタンと揺れた。
冷や汗が流れ落ちる。この積み荷だけは傷つけてはならない。
目の据わっている車夫の、荷馬車の目的地は、まだまだ遠かった。
覆い茂る木、木、木。
蒸し暑いこの樹海の中で、フードの女は立っていた。
全身を漆黒のマントで包み、耳を澄ませて待っていた。
虫の音が、風の音が、彼女の長い耳をくすぐる。
微かに聞こえた、草の根をかき分ける音。
刹那、取り出した杖から閃光が走り、あたりを覆う。
落雷音が鳴り止むと、翼の生えた生き物が、彼女へと飛びかかった。
はぎ取った獣の外骨格。
軽くて丈夫なその骨は、どんなものにも換えられた。
一角獣のツノは剣に。頭突獣の頭蓋は壺に。
そして大きな骨格は、大きな像を組み立てる。
相容れぬ鍛冶と錬金術の集合体へと進化する。
王の下に跪く従者。
民意と外交の板挟みにされているこの国は、もはや自由に動けない。
栄華を誇ったこの歴史、今にも閉じられようとしている。
王の決断は、
この国の未来を作るのか。
この国に悪夢を喚ぶのか。
それは、だれにもわからない。
砂漠に倒れる冒険者。
あともう少しでたどり着く。
愛する人の元へとたどり着く。
なのに体が動かない。まるで石になってしまったかのように。
いや。本当に石化しているのだ。呪われたオアシスに立ち寄ってしまったばかりに。
視界に映る自分の腕が、どんどん固くなっていく。
そして呪いが心臓を蝕んだとき。
冒険者は塵となって消えた。
灰は風の向くままに。
風は神の意のままに。
遙か虚空へ旅出った。