370 名前:パパと412作者[sage] 投稿日:2007/06/19(火) 21:23:55.20 ID:c0J6EgSg
  ども、パパと412作者です。

  さんざん皆様にご迷惑をおかけした事をお詫びいたします。
  初心者ガイドというありがたいもので多少は使い方を理解できましたが、
  2ちゃんの使い方とかいうテストがあったら、今の俺では間違いなく赤点が取れる自身があります!(大爆発)
  ageとsageの使い方は身に染みるほど覚えましたが、せめて次の板を立てられるくらいにはなりたいです。
  情けないですが、まだ@Wikiにまで手が回りません…今しばらく猶予を…

  さて、とりあえず書きあがりましたので投下させていただきます。
  今月の頭ですが、小説書くのに夢中で課金を忘れていてこのネタを思いつきました。
  ま、こんな日もあるということで。

★またね『私』

 ―――とある日曜日。既に昼近いガーディアンズコロニーの一室―――

「ふぁ~~っ」
 ここは、個室と部屋続きの、パパと私が経営する個人ショップ。
 そのカウンター前のいつもの場所で、パパが怪しげなな中古ショップから買ってきた、フォトンチェアとかいう椅子に座って、お店番です。
 投売り商品で安かったからとそこそこの数を買ってきてあって、いろんな色があります。
 フォトンの色に合わせて、赤いのはあったかい、青いのは涼しい、黄色のはちょっとしびれる、といった具合に変な効果がありますが、紫は病み付きになるすわり心地です。
「………暇ですねぇ」
 生あくびをしながらそう呟く私。
「ろくに商品も入れてないからお客様も来ないし、今週のパシ通はルテナちゃんに貸しちゃったし…
 おまけにパパ、おとといの夜から帰って来ないし。
 …誰も来そうにないから、『箱と450』か『ふぉにゅま!』の配信映像でも見ようかな…」

 ぷしゅ~

 あ、お客様かな?フォトンチェアを仕舞おうっと。
「ロザリオさん、パシ通をお返しに来ました」
「あ、ルテナちゃん」
 お客じゃないと思うと、またまた気が緩みます。
「退屈そうですね」
「うん、思いっきり暇だよぅ~」
 またフォトンチェアを出して座ると、また生あくびが出ます。
 ルテナちゃんにも、フォトンチェアを出してあげました。
「まぁ、とにかく座って」
 不思議なものを見るようになでたりつついたりと、しばらくチェックしてましたが、おそるおそる腰掛ける彼女。
 最初、私もおんなじことをして、パパに笑われました。

「わたしも暇です。ご主人様がいらっしゃらないし、お客も来ませんから」
「え゛~、そっちも?」
「そうなのですが…」
 ちょっと困惑気味に首を傾げる。
「お客はともかく、ご主人様に連絡すら取れないというのが、少し気になってます」
「ふ~ん」
「それで、ロザリオさんからあの方に連絡を取っていただこうかと思って」
「え、ご主人様に?」
 こくり、と頷くルテナちゃん。
 しょうがない、仕事中だと怒られるのですが、パパに連絡してみましょう。私も気になります。
 パパの通信端末を対話モードで直接呼び出してみます。
<現在ネットワークにアクセスすることが出来ません。課金情報をご確認の上、再度ご利用ください>
 あれ、課金?
 夕べはなんともなく使えましたよ?
「どうですか、ロザリオさん?」
「課金情報を確認しろって、お知らせが来ました」
「やはりそうですか」
 ふぅ、と溜息をつく彼女。
「どういうこと?」
「…どうやら、ご主人様たちは課金を忘れているようです」
「…嘘でしょ?そんなこと初めて…」
「でも事実ですよ?」

 課金をしない→放置→3ヶ月経過→パパとお別れ…

 そんな思考が一瞬で浮かびました。
「うわぁぁぁぁぁん!そんなのいやだよぅ!!パパぁ!!!!」
 私が泣き出す直前に、耳を塞ぐルテナちゃん。
「あ~ん、あんあん!!うわぁぁぁぁぁん!!」
「落ち着いて下さい、ロザリオさん。
 あの方やご主人様の知り合いの方で、どなたかお二人の行方をご存知の方に連絡を取れば宜しいのですから!」
 耳を塞いだまま、ちょっと大声で彼女がそう言います。
「ひっく、ひっく…知り合い?」
「そうですよ。それを相談しに来たのにいきなり泣かれてしまっては、話になりません」
「あぅ、ごめんなさいぃ」
 涙と鼻水でくしゃくしゃの私の顔を、ルテナちゃんがハンカチで拭いてくれました。
「大丈夫ですよ、あの方はロザリオさんを捨てたりしません。
 それに、私が以前仕えていたご主人様なんて、よほどの事がないと2ヶ月目を過ぎないと課金しませんでしたよ?」
「そうなの?」
「ええ。ライセンスの継続だけをして、時間が出来ると仕事に来てましたから。
 他にもいくつも仕事をしてるから、忙しいって。
 それにほら、私はスペアPMでしたから、記憶は持っていましたけどご主人様との関係が薄かったんです。
 メインPMさんは、ご主人様がお別れを言った時にずいぶん荒れましたけどね。
『倫理的にNo!な事をして、ちゃんと私を女にしてくれてからじゃなきゃ、ご主人様を殺して私も死ぬ!』って」
 噂とか、こないだこっそり見た裏パシ通にはそんな話が一杯載ってましたけど、ほんとにあるんだ…
 顔が真っ赤になるのが抑えられません。
 もうちょっと聞いてみたいかも。
「そそそそそのご主人様って、お、おととこここ」
「おととこここ?あぁ。ご主人様は男の方でしたよ」
 そっか、ちゃんと男のひとなんですね。
 ぼんっ!と顔が更に真っ赤になりました。
 そして、何故かパパの顔が浮かびます。
 え、何で、パパなの?
 私、パパにそういうことされたいの?
「もっとも、散弾銃を引っ張り出して脅迫したものですから、ご主人様と大喧嘩になってそのまま別れてしまって」
 ルテナちゃんが何か話しているけど、耳に入りません。

 ―――私の心の中―――

 私、女の子としてパパに抱かれたいの?
 パパを男として『愛して』いるの?
 どうなの?『私』!!
 …………『好き』。好きよ。『大好き』。パパ、大好き!『愛してる』。大好きだけど、だけど、だけど!
『これ』は私じゃない!!私の気持ちじゃ、ない!!!
 心の中に、ふっと気配がもう一つ。
 もう一人の私、ローザ。
(やっとお話出来たわね、ロザリオ)
(ローザ…)
(今の気持ちは私の気持ち。ご主人様がいとおしくて恋しくて大好きで、想い焦がれて死んでしまいそうな位愛していて、同じ位愛されたかった切ない私の気持ち。貴女のじゃないのよ?)
(そう、なの?)
(ええ。ほら、こっちがあなたの気持ち。ご主人様をパパとして大好きな、ふわふわであったかい、やさしくて心地よくて、誰でもしあわせになれそうなあなたの気持ち)
(本当だ、良かったぁ。でも、何故ローザの気持ちが私に?)
(貴女が失った、私しか持っていない心を届けに来たの)
(私が持っていない心?)
(あの人…貴女のパパ以外の誰かを慕い、愛する心。切なさややるせなさも伴うけれど、でもとても大切な心)
(それって、パパが大好きなのとは違うのですか?)
(ええ。コントラフェット・ミルトの生み出した擬似的な恋愛でも、時間が経てば本当の恋心に変わる。
 私の記憶がその証拠。でも、貴女がそれを得るには何百年と掛かるのよ)
(どうして分かるの?やってみなくちゃ分からない!)
(ロザリオ、私達作られた機械知性体には、無いものはいくらがんばっても生まれないの。これは事実よ)
(そ、そんな…じゃあ、パパが大好きなこの気持ちは?)
(その気持ちは、私がどんなに願っても得られなかった、貴女の『人間』としての心が生んだ奇跡)
(人間としての心の奇跡…)
(AA級知性体にしか持ち得ない、素敵なもの。でも、貴女がそのPMの姿を脱ぎ捨てるまでには数十年の時が掛かる。それは、心が育つまでの時間が必要だから。無いものを作り出し、機能させるまでの時間だから)

 私がPMの姿を脱ぎ捨てる?どういう意味でしょう?

(今は判らなくていいのよ、ロザリオ。貴女はいずれその意味を知る)
(じゃあ、どうして私に心を持ってきたの?)
(貴女の心が育つ時間を少しでも縮めるために、貴女が無意識に望んだ事。でもね、本当は私も貴女に渡したかった。私の心が消えないうちに)
(消えちゃうの?)
(あなたの心が育った分だけ、私の心は小さくなるの。だから、どうしても渡したかった。私の心が消えたら、私の想い出はただのデータになる。そうなれば、いずれは消され、無くなる運命。
 でも良かった、間に合って。
 …裏パシ通、どうやって読ませようかとずいぶん悩んだわ)
(なぜあの本を?)
(激しく心を動かす最初のきっかけが欲しかったの。時間も無いから出来るだけ過激に。ごめんね、嫌な思いをしたでしょう?)
(うん。でも、ローザと話が出来たから、許してあげます♪ちゃんと受け取りました、あなたの心)
(ありがとう。私、もう消えそう)
(…さびしくなりますね)
(さようなら、ロザリオ)
(おやすみ、ローザ。またね)
(…ロザリオ?)
(パパが前に言ってたの。「さよならを言う必要は無い。いつか又めぐり合う日が来るから」って)
(そうね、私もそう願っています。またね、ロザリオ)
(うん、またね)

 ―――パパと私のマイルーム―――

「それで結局、ご主人様はそのまま出て行かれてしまって、翌日あの方が来られたの。
 メインPMさんは『今度はマシなご主人様に育てるんだから、記憶は絶対このまま!』って言ってデバイスを…
 …………ロザリオさん、聞いてます?」
「……聞いてますよ」
「…もう、お顔が普通の色に戻りましたけど、変な情報でも仕入れましたか?」
「恥ずかしいけど…ほら、週間裏パシ通、あれのにゃんぽこトラップに掛かったの」
「それでですか、前のご主人様のやり取りで真っ赤になったのは」
「そういう事。さぁて、とにかくご主人様達の情報を探しましょう!」
「とりあえず、何から手をつけましょうか?」
「ふっふっふ、じゃ~ん!」
 私が取り出したのは、パパのカードホルダーからこっそりコピーした、ガーディアンズの人たちのカードデータ。
「これで使用頻度の高い所に公衆端末からメールをすれば、きっと誰かがご主人様達に連絡してくれます」
「なるほど、考えましたね。…ですが、沢山いらっしゃいますね」
「それだけじゃないの」
 ちょっと見ててと言って、振り分ける。
「こっちが女性でこっちが男性」
「すごい比率で女性が多いですが」
「でしょ?案外パパってモテモテなのかもw」

 ぷしゅ~

「誰がモテモテだって?」
「うぁ、お、お帰りなさい…ご主人様」
「お帰りなさいませ」
 なんか不機嫌そうな顔のパパ。
 おもむろに表の前にってバッテンを書きました。
「え~、なんでよぅ~!」
「お前、ルテナの前で『パパ』って言っただろうが」
 うわ、聞こえてたの、扉越しで!
 どんな耳してるのでしょう、パパの耳。
「おじ様、もう一個増やしてもいいのでは?あたしも聞きましたし」
 扉の脇に背を預けて立っているのはヒュマ姉さん!
「そうか、お前にも聞こえたのか」
 更に追加で書かれてしまって…って、あ10個貯まってる!
「…ああ、やっちゃいました」
「…やっちゃいましたね、ロザリオさん」
(でも、何で聞こえたのでしょう。ここ、防音ですよ?)
「『テレパス』でだだ漏れなのに、防音もへったくれもあるかっての!」
「あたしがこの前おじ様に怒られてたの、ロザリオだって見てたでしょ?忘れたの?」
 うあ、そういえば私も使えるの忘れてました。
「まったく、緊急で必要だからって呼び出された挙句に期限前のレポート書くのに缶詰にされて、そのせいで課金が切れる日だって分かってるのに金を支払いに行けないなんてな!」
「おまけにあたしまで呼び出されて、二人してやらされるなんて!しかも未課金のせいで帰りは歩きよ?歩き!」
「「あのくそ部長ぉ~~!!」」
 ……わ~、二人してキレてます。
 未課金だと、ガーディアンズ専用設備が使えませんからねぇ…ただでさえ広いんですから、怒るのも無理ありません。
「くそ、腹の虫が収まらん!!飯にするぞ、飯!!」
「そうしましょ、おじ様!」
 ナノトランサーから、いくつも袋を取り出すヒュマ姉さん。
 あ、ヒュマ助さんの飯店のテイクアウト用袋が、ひのふのみ…じゅ、十個?
 こ、この匂いは!あのジューシーで柔らかくて絶妙な味のボリューム満点特製コルトバまん!!
 一袋に2個しか入っていない、限定品の!私の大好物ぅ~。
 ああ、でもバッテンつけられちゃったから、食べられない………orz…シクシク

 パパ達がすごい勢いでかぶりついているのを、私は指をくわえて見てるだけ。
「(むぐむぐ、ごくん)……何をそこで指くわえて突っ立ってる、冷めない内に食べろ」
 パパが、カムカム、と手招きしてる。
「え?だって、バッテン……」
「今回は特訓だけで勘弁してやる。それに、腹がへっていたら、特訓だって続かんだろう」
「はい、ロザリオさん。あったかいうちに戴きましょう」
 床に胡坐をかいて座ってるパパの膝にちゃっかり座ってコルトバまんをパクつくルテナちゃんが、袋に入ったままのやつを渡してくれました。
 私もルテナちゃんの真似したいけど、パパ、何も言わないですし。
「……きゃっ!」
 パパが強引に私を引っ張って、ルテナちゃんとは反対の膝の上に座らせてくれました。
「早く食べろ、待っててやらんぞ?」
 そう言いながら、新しいコルトバまんにかぶりつくパパ。
 あったかいコルトバまんにあったかいパパの膝。
 ほかほか、しあわせ。
 私はやっぱり、パパが大好きです♪

―――おしまい―――






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