けいおん!澪×律スレ @ ウィキ

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匿名ユーザー

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「マスター‥」
「‥はい?」
「もう一杯‥」
「…」
私は無言で、澪が差し出したグラスを手に取った。
澪はだいぶくたびれた顔で、虚ろな目をしていた。
少し赤くなった肌色が、その顔を艶やかに魅せていた。

今年で28歳になった私は、バーの雇われ店長を務めていた。
若い頃に始めたバーテンのバイトを長く続けてる内に、気が付いたら常連客から「マスター」と呼ばれるようになっていた。
私の恋人の秋山澪は、大学を卒業して某企業に就職した。
毎週末、私が居るバーに飲みに来ていた。

今夜の澪は、疲れていた。
仕事が上手く行っていないようで、愚痴を聞きつつ。「もう一杯」と言われる度に飲み過ぎないように注意を促していた。
一人で来店していたが、途中でさわちゃんがやってきた。
丁度店も混んできた所で、私が澪の前から離れてからはさわちゃんと色々と話し込んでいた。
客足が落ち着いたあたりで、私も混じえて三人で談笑した。

~♪

不意に、さわちゃんの携帯が鳴った。
メールを確認すると、お迎え来ちゃったから、チェックで♪と、ルンルン気分で会計を済ませ
「結婚式、ちゃんと呼んでね♪」
と言い残し、ベージュ色の長髪の恋人の元へ向かった。



だいぶ夜も更け。
閉店の時間も過ぎていたので、大方作業を済ませた従業員を先に帰した。
バーの中には、マスターと澪。二人だけ。
店内の照明を落とし、カウンターとエントランスのみ。明かりを灯していた。
澪が、口を開いた。
「‥マスター」
「‥はい?」
私と澪は、仕事中はあくまでマスターと客として接するように決めていた。
「…」
澪はグラスのの中で溶けかけた氷を揺らして
「…酔っぱらっちゃった‥」
ふっ…っと、溜め息を漏らした。
自分に呆れたのか。口元には笑みを浮かべていた。
「でしょうね‥」
私は腕を組み、少し笑ってあげた。
「‥ひとりじゃ、帰れないかも…」
グラスを差し出すと澪はふっ、と息をつき。体を脱力させた。
「…やれやれ」
私はグラスを手に取り、締めの作業に入った。
澪は、頬杖を突いて私の動きをぼんやりと目で追っていた。



閉店作業を済ませ。
私は左腕に澪を絡ませながら、店の施錠をし、セキュリティのセットをした。
「りつー‥」
すっかり私に支えられた澪が、話し掛けてきた。
「‥ん?」
「‥お疲れ様」
ぐっ、と私の腕を握った。
「‥ありがと」
私は鍵をバッグに仕舞い、澪の黒髪を撫でた。
私と澪は、エレベーターで一階へ向かった。

ビルのエレベーターホールを出ると、週末らしい喧騒が飛び込んでくる。
街はまだまだ賑わっていた。
千鳥足のサラリーマン。カラオケから出てきた若者グループ。
ナンパ交渉中の男子と、どっちつかずな女子。明らかにワケありな年の差カップル。
私はくったりした澪を片腕に、すり抜けて歩いた。
「あ!律さん!お疲れ様です!!」
キャッチの兄ちゃんが礼をしてきた。
夜の仕事をしてると、自然と顔が広くなる。
雇われ店長ともなると、流動的な夜の街では古株だった。
「おー、おつかれー」
私がキャッチの兄ちゃんに声を掛けると、向こう側で客引きのキャバ嬢がヒソヒソと何か話してた。
私はもう何も気にせず澪を連れて歩いているが、私達はそれなりに評判らしい。
「‥律」
「んー?」
「コンビニ寄りたい」
「わかった」
私と澪は、ローソンに立寄り。二人で住むマンションに帰った。


マンションに着き、私は寝室に向かった。
澪はもうすぐにでも寝付きたそうだったし。
明日は澪は休みだし、お風呂は二人で起きてから一緒に済ませればイイかって思って。
「ほら、澪。ベッドだぞー?」
私は荷物を降ろしつつ澪をベッドに寝かせた。
澪はゴロン、と寝転んだ。
仰向けでふぅー、と息をついた。
「‥飲み過ぎたからなぁ」
私は澪の黒髪を撫で、トイレに向かおうとした。

その刹那。

ぐいっ

澪に腕を引かれた。
私は澪の上に飛び込まされた。

どさっ

「おわっ!とっ」
私は澪の上に覆い被さった。
澪は徐ろに私の首に腕を回した。
欲しがってる、仕草だ。
「…りぃつぅ‥」
案の定、口を尖らせつつ、せがんできた。
「‥なに?」
シーツに散らかった黒髪を摘みながら私が聞くと
「………したい」
澪は首に回した腕を締めてきた。
私の身体と、澪の身体が、近付いた。
私の顔と、澪の顔が、近付いた。
「…シャワー浴びてないし」
私は一応拒否の姿勢を示した。
「…ん?」
すると澪は私の身体を抱き寄せ、私の顔を黒髪の脇に置いた。
澪は私の茶髪を撫でながらクンクン、と息をして
「…律の匂い、好きだし‥」
唇で大雑把に茶髪を退かした。
私の耳に、茶髪がカサカサと触れ、すぐに澪の唇が触れた。
「はぁっ…」
私は不用意な声を漏らした。
澪は構わずに
「‥いつも、してるじゃん?」
囁くように、言った。耳元で囁かれると、弱い。
「律だって‥さ」
ふっ、と澪は私の耳に息を吹いた。
「んんっ‥!」
私は身体を震わせた。
澪は、私の身体をしっかりと捕まえつつ
「‥私の匂い。好きって言って、さ」
こうやって…、とクンクン、と言いながら耳を噛んできた。
歯を立ててきた。

私は、墜ちた。


私は身を捩ったが、澪は回した腕で私を離さなかった。
歯を立てつつ、舌を這わせた。
澪はそのまま顔を下降させ、首筋を捕らえた。
「あぅっ‥!!」
もう、私は目を思っきし閉じて、澪に委ねる他なかった。

んちゅうっ

澪は、首筋に吸い付いた。

キスマークを、付けていた。

唇に掴まれた皮膚が、徐々に痺れてくる。

自分の目が、虚ろになるのを感じた。

「みお…」

私は、自然と口を開いていた。

「‥ん?」

私の首筋の一部分を内出血させている澪が、斜め後ろから声を返してきた。

「‥キスマーク、やめて‥」

私は精一杯の声を振り絞った。

「…」

澪は、無言で吸った。

「‥やめて‥」

私は、無い力を出し尽くして、言った。


「ココに、キスして‥」


  • 鼻血が止まらん... -- 名無しさん (2011-08-03 01:07:45)
  • 最後可愛い -- 名無しさん (2012-05-14 20:21:33)
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