けいおん!澪×律スレ @ ウィキ

ろくがつ

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mioritsu

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六月も最後の日。
講義もサクっと終わらして。HTTの練習も終了し。さーて帰ろうか、というトコロで。
「‥うひゃー。こりゃスゴいな」
私は絶え間なく、容赦無く降り注ぐ雨粒を見て、思わず声を上げた。
「天気予報で降るとは言ってたけど…流石にこんなに降るなんてな」
澪も少し呆然とした。
すると
「…律」
「‥ん?」
「‥ほら」
澪は、傘を差すと、私の腕を引いた。
「おっと‥」
私は澪と共に傘の中に収まった。
「‥お前朝、傘持ってなかっただろ?」
「あぁ‥」
確かに、持ってきてなかった。
「じゃ、帰るぞ?」
澪と私は相合傘で大学を出た。

昔から、私が傘を忘れて澪と半ば無理矢理相合傘で帰る、なんて事はよくあった。

今や澪から傘の中に私を入れてくるまでになった。

ま、付き合い長いし。こうもなるか。

背中では唯とムギの生温かい視線を感じていた。

高校の頃はよく相合傘をネタにからかわれていたが、この二人も今や「当たり前」とばかりに見守る程になった。

………他の学生からは注目の的、だが。

「律ー」
「なにー?」
「晩御飯の食材、まだあったよな?」
「…多分」
「じゃ、このまま真っ直ぐ帰ろうな」
澪と私は、両方の身体を少し濡らしながら帰宅した。
…こう強い雨足だと、どうしても濡れる。ましてや、相合傘だし。



濡れつつ、帰宅。
私と澪はバスタオルで雨水を拭き取りつつ、着替えた。
「あー。もう六月も終わるのになー」
まだジメジメしてんだよなー、と私はぼやいた。
「…りつー?」
澪は、キッチンの冷蔵庫を見ながら声を掛けてきた。
「どうしたー?」
私はキッチンへと向かった。
「…コレで、晩御飯。作れるか?」
澪は、飲み物を残してほぼ空の冷蔵庫を指差しながら聞いてきた。
「…あ」
今週の食事当番は、私。
節約の意味も込め「有り合わせで色々作ってみようキャンペーン」を開催していた。
料理は得意なのでバリバリ作っていたのだが。

…そういえば、今朝の朝食で食材を使い切ったコトをすっっっかり忘れていた。

帰宅途中に澪に食材の在庫聞かれた時も、雨でソレどころじゃなかったしなぁー…。
「‥流石に、無理」
私は、素直に降参した。
「ん~…」
澪は黙り込んだ。食材買いに行くにも、この雨だ。
私と澪の心中は単純に「出たくない」だったに違いない。
「‥出前でも、取るか?」
私は苦肉の策を提案した。
「…そうだな」
たまには、イイか、と澪は承諾した。この雨で、私を責める気力も落ちていてんだろう。
「おう。じゃ、早めにオーダーしとかなきゃなー。この雨だし」
私はリビングのソファに座りつつ、携帯を開いた。
「携帯?」
澪はキッチンからリビングに来ると私に声を掛けた。
「あぁ。前に唯から聞いたんだー。ネットで注文出来るって」
「そうなんだ」
「便利になったよなー、ホント」
私はポチポチと携帯をいじりつつ
「澪、ピザでも食べるか?」
聞いてみると
「…う、うん‥」
少し気の引けたような様子で澪は答えた。
カロリー、気にすんだろうなーとすぐに察しが付いた。


「…みーお」

ぐいっ

「わっ」
私は澪の手を引いてソファに座らせ
「ちょっとぐらい、大丈夫だよ」
黒髪を撫でた。
「…そうか?」
「そうそう。いつもちゃーんとカロリー計算して、調理してますから!!」
私は無い胸を張った。
「…じゃ、安心だな!」
澪は可愛く、笑った。
まぁ、どうなろうが私の嫁が可愛い事には代わりは無い。
「じゃ、あー。何にする?」
「えーと…あ、シーフード食べたい」
「お、イイねぇ~…ハーフ&ハーフ、とかあるな」
「あ、味が半分ずつのやつ?」
「そーそ」
「じゃ、もう一つは律が選びなよ」
「そうだな~。チキンマヨ、とかあるなぁ~」
「カロリー高そうだな‥」
「‥どーせ夜減らすだろー?」
「なにが?」
「なにがって‥夜の営み、とかさ」
「私は営んでるつもりはないんだけどな~」
「‥ウチのカミさんは誘い受けが上手いからな~」
「誘いにホイホイ付いてくるダンナも大概だけどな~」
「いや、据え膳食わぬはって、言うだろ?」
「……イイから。早く選ぼ?」
「あ、そうだった‥」
私と澪は夫婦漫才を終了させた。
「‥マルゲリータで、いっか」
「あ、イイかも」
「じゃ、オーダーすんね。コーラも頼むか?」
「そうだな~。オレンジジュースとかも、ある?」
「おお。あるある。」
「二つくらい、頼んどこっか。飲み物足りなくなるかもだし」
「了解!!」
私はポチポチと入力を済ませ、オーダーを完了させた。
「ホント、便利になったね~」
感心する澪。
「あぁ、まったく」
私が携帯をテーブルに置き、両手を頭の後ろで組んでソファに背中を押し付けると
「……」
澪は、少し黙り込んだ。
「…律?」
「…ん?」
「もう、6月。終わるね」
「あぁ、もう30日かぁ」
「6月って言えばジューンブライドだよな」
「そう‥だな‥」
「…」
「…」
「…律?」
「…なに?」
「いつ…結婚、する?」
澪は頬を赤くしながら、聞いてきた。

ロマンチストな澪の事だ。今月に入ってから、ずっと考えてたんだろう。
言い出したくても言い出せなくて。最後の30日にやっと…言い出せたんだろう。
同性だろ?なんて野暮な事は言わない。
勿論同性婚は一般的じゃない。けど、幸い今の時代に生まれて。
認知はされてきてる…んだと、思う。最近じゃニューヨークでも認められるようになったし。
…かと言って移住する予定とか、そんな考えは今の所無い。
今、澪と二人で居られるってだけで満足だから。

でも、澪との結婚は夢見る。未来は、何があるか分からない。
現実的な事では無いけど、私は澪の質問に答えた。
「‥んー、大学出たら結婚したいなーとは、思ってるぞ?」
「ホントに!?」
澪は滅茶苦茶嬉しそうに身を乗り出してきた。
…私の質問に多少、不安も混じってたんだろうな。
「…嘘ついてどーすんだよ」
私は黒髪を撫でた。
「うん…」
澪は口角を上げて俯いた。
「‥大学出てー、すぐの6月。かな」
澪もジューンブライドを望むだろうし。
「…うん!」
澪は少し涙目で、微笑んできた。
余程………嬉しいんだろうな。
「…ふふっ」
私は少し笑って
「みーおっ」

だきっ

澪を、抱き寄せた。


「んんっ」
澪は身を縮めて、私の胸に飛び込んで来た。
「澪の花嫁姿、楽しみだなー」
黒髪を撫でながら私が言うと
「……律は、タキシードか?」
澪が聞いてきた。
「…そうなる、かな」
澪が花嫁なら、私は花婿だし。
「………」
澪は私の胸に顔を埋め、少し考え
「……律のウェディングドレス姿も、見てみたいかも」
頭を少し傾け、私を見上げた。
「…」
…まぁ、私も女だし…。
「……じゃあ、澪のタキシード姿を拝める訳か…」
逆だと、そうなる。
「…お姫様だっこすればいい?」
悪戯に澪が聞いてきた。
「…キスも、してもらおっかな…」
私は、反撃した。
「…………もうっ」
澪は、私の首に腕を回すと

ちゅっ

キスした。
「…まだお姫様だっこも、してないだろ?」
私は顔を真っ赤にして、狼狽えた。
「ん~‥」
澪は少し考え
「‥キス、したくなったんだもん…」
顔を背けて、言った。
照れてる澪は、ものすんごく可愛かった。

と、ココで

ピンポーン

インターホンが、鳴った。

『っ!!』

イチャイチャムードの私と澪は、素に戻った。
あそらく、ピザの出前が届いた。
速いか遅いかなんて、よく分からなかった。
私と澪が時間を忘れていた事は、確かだった。
「‥わ、私。取ってくるな!」
澪は慌てつつ立ち上がり、財布を片手に玄関へ向かった。
「‥わ、わかった!」
私は、返事をした。
私と澪は、顔が真っ赤だった。
「‥‥‥」
私は、玄関へ向かう澪を見送った。

澪が会計を済ます少しの間、結婚式を夢想した。

…ま、どっちが花嫁でも、花婿でも。

嬉しくて、泣いちゃうんだろうな。

澪も、私も。


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