けいおん!澪×律スレ @ ウィキ

普通の晩餐

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mioritsu

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今夜は、私が食事当番。
晩御飯は、魚介スパゲティのペスカトーレ。
手鍋にサラダオイルとニンニクスライス、鷹の爪を投入して、少し火に掛ける。
もう一方の鍋ではパスタを茹でる。麺カゴをセットして。ザラッ、と音を立てつつ麺、投入。
手鍋のニンニクが色づいたあたりで、ムール貝とアサリを放り込む。
加熱して、アサリが開いて。いい感じに油の匂いがしたあたりで、トマトソースを投入。
冷蔵庫に余ってたボイルイカとツナ缶も投入して、ササッとかき混ぜつつ、煮込む。
グツグツグツグツ。
トマトソースの赤が滲んだ赤になってきたら、イイ感じ。
ソースを仕上げて、コンロの前でパスタをかき回しつつ。茹で上がるのを待っていると
「‥りぃつー」

だきっ

「‥ん?」
澪が背中に抱き着いてきた。
「まだ出来てないぞー?」
大人しく待ってなさい、と私が注意すると
「んー…」
澪は更に抱き締めてきて
「美味しそうな匂いだなー、って思ってさ」
手鍋で麺の投入を待つパスタソースに目をやった。
「‥はいはい」
私は澪に構わず、菜箸でパスタをかき回した。
すると澪は
「‥律、も」

ちゅっ

「いい匂い、だけどな!」
頬に、キスしてきた。
「…わかったから。座って待ってろって‥」
私は熱湯と恥ずかしさで頬を赤くしながら、背中から澪を引き剥がした。
「はーい」
澪は、鼻歌混じりでリビングへ戻った。
「…まったく」
私は呆れ気味で、鍋の中で踊るパスタをかき回した。
普段恥ずかしがり屋の澪が、やけに絡んでくる日がたまにある。
付き合ってからそれなりに経つし、積極的になるのも当然っちゃ、当然か。
私は麺を一本箸で摘み、口に含んだ。
「‥っし、と」
麺が丁度アルデンテになったのを確認して、鍋の中のパスタを麺カゴで掬い、よーく湯を切って

カチャッ

ばしゃっ

パスタソースが入ってる手鍋に火を入れ、麺を投入。塩と胡椒、ソレと味の素を適量振り入れて。
すかさず、手鍋を振りつつ菜箸でかき混ぜる。手鍋を縦に振ると、パスタがソースと共に宙を舞う。
ザッ、ザッ、と音を立てていると、リビングから澪の視線を感じた。毎度の事だから、もう気にならないけど。
手鍋を傾けてソースの濃度を見て、差し湯で調節しつつ。また混ぜる。よーく混ぜる。
頃合いを見て、味見。
「…よし」
火を止めて、大きめの器に盛り付け。
麺を山なりに盛って。具の魚介を麺に飾り付けて。それらの上からソースを流しこんで。
器の端に飛んだ汁を、ちょちょいと拭きとって、完成!!
「みおー!出来たぞー!!」
私が声を掛けると、澪はもうすぐソコに居た。
「わぁ!美味しそう♪」
満面の笑みで声を上げる澪。
まだ食べてないのに、こんな笑顔を貰える。嫁冥利に尽きますよ、ホント。
「じゃ、持ってって、待っててな」
私は、すぐに手鍋に水を流して洗いに入る。
手鍋のソースはすぐ洗い流すのが吉。
鍋が熱い内に洗った方が、汚れも落ちやすいし。


チャチャっと済ませてリビングに向かうと、澪がフォークとスプーン。取り分け用の皿を用意して待っていた。
「飲み物。ジュースでいい?」
「あぁ」
私が返事をすると、澪は冷蔵庫からオレンジジュースを持ってきて、グラスに注いだ。
手際良く用意しただけあり、器のペスカトーレはまだ湯気を上げていた。
「よーしよーし」
私が着座すると、テーブル越しに澪も座った。
「いい匂い♪」
笑顔の澪。
「じゃ‥」
私が両手を合わせると、澪も呼応するように、手を合わせた。
「いただきまーす!」
「いただきます!」
いただきますの、挨拶。
私はすかさずフォークとスプーンを握り、
「今日は私が取り分けるぞー?」
皿にペスカトーレを取り分けた。
「ちゃんと具の量同じにしてよー?」
澪が指図した。
「へいへい」
私はサクサクと取り分けた。
‥まぁ。すぐ、器から直でつつく事になるんだけど。
「んー、おいしーい♪」
澪が満面の笑みで感想を述べた。
「そ、そうか?」
いつものコトなんだけど。やっぱ、褒められると照れる。
「うん。もっと作っても良かったよ?」
澪はどんどん食を進めた。
「…太るぞ?」
私の忠告にも、澪は怯まず
「ん?」
フォークを口に含みながら、私の顔を見た。
「‥いや、食べ過ぎても太るぞー?ってさ」
「ん~」
澪はパスタをモグモグ、とよく噛んで飲み込むと。
「律が悪いんじゃん」
「へ?」
「こんなに美味しいゴハン作ってくれて、さ」
澪はまたパスタにフォークを伸ばした。
「お、おう‥」
私は、赤面した。
「それに、さ」
「‥ん?」
「ちゃんと食べとかないと。旦那様の夜のお相手、出来ませんからねー?」
私の口調を真似て、澪はからかってきた。
「…なんだよ、ソレ」
私は、頬が赤くなった。
「赤くなるなよぉ」
澪はケラケラ、と笑い
「…いっぱいお相手しますから、ね?」
ボイルイカをフォークに通し、差し出してきた。
「…」
私は無言でボイルイカを食べた。
澪はフォークを引き戻し、ニコッと微笑んだ。
「おいしい?」
「…うん」
「明日は、私が食事当番かぁ」
なにつくろっかなー、とぼやきながら。澪はペスカトーレをたいらげた。

何気ない、晩餐。

いつもどおり、という幸せを感じながら。
私もペスカトーレをたいらげた。


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