けいおん!澪×律スレ @ ウィキ

13日の金曜日

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mioritsu

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今日は、大学生活最初の13日の金曜日。
まぁ、気にしない人にとっちゃ只の13日。只の金曜日。
けど、私にとっては色々と特別な日。

澪が、何かと大人しくなる日なのである。



先月、澪が頼み事をして来た。
「律…来月の13日なんだけど…」
「何?」
「バイト、休めないかな?」
「え?」
「週末で忙しいとか、わかるんだけど…おねがいっ!」
私は大学入学と同時に居酒屋の厨房でバイトを始めた。
確かに週末休むのは気が引けたが、一応希望シフトも集めてるし…
「うん、分かった。一応、シフト開けてもらえるように頼んでみる」
澪が低姿勢で頼んできてるんだし、
「ありがとう!」
そんな笑顔でお礼言われるって分かってるし、断れない。
「一緒に、過ごしたいんだろ?」
「うん!」
可愛い笑顔だ。普段、大学やHTTの面々にも見せない、子供っぽい笑顔。

晴れて私は希望シフト通りに休みを取れた。

澪が今月の13日に一緒に過ごしたい理由。
それは、13日の金曜日だから。
怖がりな性格も手伝って、この日は澪が異様に萎縮する日。
更に、特別な理由がある。

私達がまだ中学生だった頃、私が澪の家に遊びに行った時の話。
「澪!DVD、持ってきた!」
「何の?」
「じゃーん!13日の金曜日!!」
「ひぃっ!!」
「こわいだろ~」
「こっ、怖いに決まってるだろっ!!」
「でもさ、澪。私達ももう中学生だろ?」
「う、うん」
「中学出れば高校だし。子供じゃないんだから、そろそろ怖がりも卒業しなきゃならないだろ?」
「ま、まぁ…そうだけど…」
「じゃあ、コレくらい、見られるようじゃなきゃな!」
「う、うん…」
「だからそんなに怖がるなって…私も隣に座ってみるからさ?な?」
「わかった…」
「よーし!じゃ、部屋も暗くしよー!」
「えぇ!?それは、ムリ!」
「せっかくなんだからさぁ」
「ムリ!!」
「…じゃ、電気は点けたままな」
「…う、うん…」
「じゃ、再生するぞー♪」

ピッ

澪は最初こそ「きゃっ!」とか「ひぃ!」とか悲鳴を上げながらも画面を見ていた。
…だが、中盤からは私の肩にしがみついて震えっぱなしだった。
エンドロールが流れる頃には、私の胸の中で震えていた。
DVDを止めても澪は涙目で震えっぱなし。
見兼ねた私は澪の母さんに事情を説明し、家に連絡をして澪の家に泊まった。
その夜、澪は震えっぱなしで私はずっと澪を抱きかかえて眠った。
翌朝には落ち着いていたが、それ以来澪は「13日の金曜日」は一人で過ごせなくなったのであった。
私は責任を感じ、その度に丸一日、澪と一緒に過ごしている。


そして、今日。大学生になってもやっぱり澪は澪だった。
私と一緒に居られる分には良いが、トイレでは私が個室から出るまでトイレの中の鏡の前で待ってたり。
逆に澪が個室に入った時は私がトイレの中で待ってたり。
HTTの練習中も唯に「澪ちゃん、りっちゃんの事大好きなんだね!!」と事あるごとに言われ。
普段は顔を真っ赤にしながら声を上げる筈が、無言でモジモジしてしまっていた。
まぁ、皆事情を知っているので不思議がらずに梓は「リズム隊が固まってると、安心します!」とフォローしてくれた。
ムギは「仲良しって、いいわね♪」とか言っていつも以上にニコニコしていた。

帰り道。バイトも休みだし、時間はたっぷりある。という事でDVDを借りて帰ろう、て事になった。
店内を物色していると
「ねぇ、律…」
「ん?」
「…13日の金曜日、借りない?」
「へ!?」
私は、目が点になった。
「…なんで?」
「…んー」
澪は、モジモジしながら話し出した。
「もう、大学生だし…」
「うん」
「怖がり…克服しなきゃなって思って…」
澪なりに、考えたんだろう。私は感心した。
「よし、じゃ、借りるか?」
「…うん」
「私も一緒だしな!」
「…うん!」
澪は子供っぽい笑顔で頷いた。
私達は「13日の金曜日 PART1」を借りて、一緒に住むアパートに帰った。



夕飯を済ませ、私達はテーブルを挟み液晶テレビと対峙した。
「…じゃ、見るぞ?」
「…うん」
澪は私の隣で私の肩をぎゅっと掴んだ。身体は怖がっているが、顔は一応画面を向いていた。

ピッ



「…」
私は「13日の金曜日 PART1」をエンドロールまで観終え、リモコンの入力切替ボタンを押した。
「…みおー?」
澪は、私の腕の中で、寝ていた。
最初こそは見ていたが…やっぱり途中から震えながら悲鳴を上げて私の腕の中に逃げ込んだ。
そして、私が気付いた頃には寝ていた。


「…ん?」
「…終わったよ、DVD」
「…あっ!!」
ちょっと涙目の澪は「はっ」と目を覚ました
「…まったく」
「…ごめん」
澪は、涙目を伏せた。
私は、澪の頭を撫でた。
「せっかく見ようと、思ったのにな…」
澪はぽふっ、と私の胸に寄り掛かった。
「ホントに、な」
私は澪の頭をポンポン、と叩いた。
すると
「…りつがわるい」
「…え?」
「りつが優しくするから、見られないんだ…」
「……じゃ、もっかい見るか?」
「……」
澪は、無言で首を振った。

「…律」
「なに?」
「…ずっと一緒に、居てくれる?」
「…」
私はやれやれ、と溜め息をつき

「…当たり前だろ?」
私は澪の頭を撫でた。

「ずっと、一緒だよ」
「……」
澪は恥ずかしそうに、私の胸に頭を擦り付けてきた。

「…じゃあ、一生見られないかも…怖いやつ」
「…そうかもな…」
「でも、いいや…」
「ん?」
澪は、私の顔を見上げ

「律と、いっしょなら」

子供っぽい顔で、笑った。


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