けいおん!澪×律スレ @ ウィキ

カレシ

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匿名ユーザー

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最近、歌詞を書けなくなった。

律は「動物ネタに走るのだけは、やめてくれ」と釘を差して来たが。
最早、動物ネタとかの問題ではない。

私は歌詞を書く時、大概律をイメージする。
幼馴染みなので気心も知れているので「もし律が○○だったら」とか。色々想像しやすい。

恋愛をテーマにした歌詞を書く時も同様だ。
律は同性だから変に意識する事も無いし、活発でボーイッシュなイメージが先行する律を想像の中で活用してきた。


が、ソレが出来なくなった。


律がこんなだったらな~……とか考えるだけで胸がドキドキしてくる。
今まで味わった事のない気分だった。
私は自室の机の前で葛藤しながら、呟いた。


「恋?…まさかな……」


胸の高鳴りは止まなかった。


歌詞が書けない日が続く中。また別の問題が頭を悩ませた。
ある日の放課後。
ガチャッ
「あ、澪ちゃん!」
私は遅れて部室にやってきた。
ケーキに夢中だった唯が何故か一番先に気付いた。
「皆、お待たせ」
私はベースをケースのまま置いて、席に着いた。
「意外と早かったなー」
「う、うん…」
ティーカップを片手に話し掛けてくる律に何とか返事をする私。やっぱり意識してしまう。
恋……なのか?
「はい、澪ちゃん」
「あ、ありがとう」
悶々としそうになった頭をムギの紅茶で何とか晴らそう…。
「澪先輩…風邪ですか?顔、赤いですけど」
梓の一言が悶々を呼び戻した。
「あー、梓には言ってなかったな…」
律がフォローに入った。
「…澪な、告白されてきたんだ」
「へっ!?」
声が裏返る梓。同時に顔が真っ赤になった。
律はフォローを続けた。
「よくあるだろ?放課後に呼び出されてーってさ」
「は、はい…」
「去年からずっとなんだけどな。よく先輩に呼び出されてさ。最初は「まさか、シメられる…?」とか、皆で心配して隠れて見に行ったら告られててさ」
「へぇ…」
「今年、私達二年だろ?今度は後輩からも呼び出されるよーになってんだよ」
「まぁ…噂には聞いてましたが…」
「ま、そゆ事なんで、たまーに澪、遅れて来るからさ。あんま気にしないよーにな!」
「確かに綺麗ですからね、澪先輩」
「ごめん、やめてくれ…」
梓は誉めてくれたが、私は色々と頭が一杯だった。
「澪が顔真っ赤にして照れないとは…相当参ってるな…」
律が心配してくれた。
…くれた、なんて考えてる時点でやっぱり…アレだよな…。





「でもさ。りっちゃんもたまーに告白されてるよね!」
唯がフォーク片手に話に入ってきた。
「たまーに、な」
「そういえば、りっちゃんは澪ちゃんみたいに遅くなんないよね?」
「まぁ、ゴメンナサイして終わりだからな」
「女泣かせですなぁ~♪田井中殿~♪」
「唯ー、適当な事言うのやめようなー♪」
「はーい♪」
いつもの軽音部のやりとりを眺めていると、私の心も少しは落ち着いてきた。
「でも、確かに何で遅くなるんですか?」
梓が聞いてきた。
「あ、あぁ…」
「梓…澪の性格ぐらい少しは分かってきただろ…」
またもやフォローに入ってくれる律。
「……恥ずかしがりやって事ですか?」
「そんな澪がスムーズにごめんなさ~い♪なんて断れると思うか?」
「ムリ、でしょうね…」「澪ちゃん、恥ずかしがりやさんだもんね~」
ん~、と一同が沈黙すると
「…そうだ!」
ムギが何かを思い付いた。
「澪ちゃん、りっちゃんにレッスンしてもらったら?スムーズにお断りする、レッスン!」
『へ?』
私と律は同時に反応した。
「ムギちゃん、ナイスアイデアだね!」
「確かに、スムーズに行けば澪先輩もすぐ部室に来れますもんね!」
盛り上がる三人。
「お…お願いしていいか?律」
私は思い切って聞いてみた。
「まぁ……な。確かに、部活に影響しちゃってるからなー」
「きまりだね!」
「決まりね!」
何故か喜ぶ唯とムギ。
「じゃ、部活終わったらウチで特訓、だな」
律はやれやれ、と言った表情で両手を頭の後ろに回した。
「それにしても……ホントにあるんですね。女子校で告白、とか…」
梓が顔を赤くしながら話し出した。
「あるのよ~♪」
ニッコニコのムギ。
「噂程度には知ってましたが……こんな身近に居て、驚きました…」
ティーカップを両手で持ち恥ずかしそうに下を向く梓。
そこへ
「あずにゃんは誰にも渡さないよー♪」
唯が飛び込んできた。
「わあっ!」
思わず傾く梓。ティーカップはなんとか死守した。
「唯のはなんか……違うけどな」
「確かに、ね…」
律と私は呆れ気味に唯と梓を眺めた。
「あーずーにゃーん♪」
「皆さん、見てないで助けて下さいよ!!」
「うふふ♪」
相変わらずニッコニコのムギ。
「……じゃ、練習するぞー」
いい加減にしろ、と唯の首根っこを掴み、梓から剥がす律。
「わぁー!たすけてー!あずにゃーん!」
「寧ろ助かりましたよ…」





私は何とか演奏に集中したが。練習中、意識はドラムにばかり向いていた。

「澪ちゃん、つかれてるんだねぇ」
「レッスン、頑張ってね!!」

唯とムギにはお見通しだったらしい。



部活後、律の部屋。
「さーて、どーしよっか」
ベッドの上で律が胡座を欠いて困った顔をしていた。
実は、胡座を欠いている脚ですら、今の私には刺激的だった。
明らかにおかしいぞ、私。
「ん~…」
私は悶々とした頭を整理出来ないまま、唸るしかなかった。
「とりあえず、シミュレーションしてみるか」
「…シミュレーション?」
私は首を傾げた。
「私が告白するからさ。澪はソレ」
「こっ、こくはくっ!?」
私は思わず律の説明を遮った。声が上擦った。
「…ご、ごめん」
「…まぁ、仕方無いだろ」
仕切り直して。
「私は、澪に告白する相手の役な?ソコで澪は、バッサリと断る!」
「ムリ!!」
私は思わず声を上げた。
……二つの意味で。
「まったく…やらなきゃ今と変わらないぞ?澪だけのせいじゃないけど、軽音部に迷惑掛けてんだからさ」
律は困り顔だった。何気に部長らしい事、言うようになったな、と感心した。
「うん……やってみる」



律は得意の声真似で「後輩っぽい」声真似で言った
「秋山さん、好きです!」
「……ありがとう」
「違う!ソコでありがとうって言うから勘違いされるんだよ!」
「あ、そっか…」
「勘違いされて、弁解しようにも出来なくて、面倒臭くなるんだよ!何回私が相手んトコに説明しに行ったと思ってるんだ!?」
「うん……」
実は、今回に限らず律には事ある毎に世話になっていた。
「ありがとう、じゃなくてごめん!」
「ごめん、か…」
「そして決まり文句!」
「決まり文句?」
「好きな人、いるからさ…って」
「マジで!?」
「私の話じゃなくて!」
「あ、ごめん…」
「好きな人がいるって言えばさ。相手は大抵諦めるんだよ」
「へぇ…」
私は律の徹底したレクチャーを受けた。

律は声真似を駆使して先輩バージョン、同級生バージョン、後輩バージョンと様々なキャラクターで告白してきた。
私は……恥ずかしくて上手く断れなかった。

「……一休み、するか」
「うん……」
やっぱり、私の胸の中は律の事で一杯だった。





律はカレーライスとサラダ。ソレに加えてジュースを持って現れた。
「澪ー晩御飯ー」
「え?あ、そんな時間?」
一休み、と言われたが。もう晩御飯の時間だった。
「私も母さんに言われて気付いてさ。食べてくだろ?」
「う、うん。家にメールしとく」
「一応、母さんも気遣ってくれたみたいでさ。澪んちに連絡はしたって」
「ありがとう…」
互いの家にお邪魔して遅くなる、なんて今まで何度もあったが。
いざ意識すると、何か恥ずかしい。
……とにかく、メールを済ませ、晩御飯。
「いただきますっ!」
「いただきます」
一緒に晩御飯。やっぱり意識してしまう。
カレーライスは甘口だった。
「澪、さ」
「なに?」
「告白されてOKしたりしないのか?」
「なっ……なんでだよ!」
「そんな赤くなるなよ…いや、さ。こんだけ告られてんだから、何かあってもおかしくないって思うのが普通じゃないか?」
「んー、確かに」
自分で言うのも何だが、今まで何人に告白されたかなんて、憶えてない。
「ラブレターとかも貰うじゃん?」
「うん」
「女同士だからとか関係無くさ。誰か意識してる人とかいんじゃないかなー、とかさ。周りは思うワケよ」
「あぁー」
冷静に考えれば、そうだ。
と、言うか。律と食事している内にリラックスしている自分に気付いた。
……それでも、胸の中は目の前の律の事で一杯である事に変わりはなかったが。
「で、誰か。居るの?」
「え?え、いや、うん」
いざ律に質問された私は、曖昧さに満ちた返答をするのが精一杯だった。
「…そっか。カレー、冷めるぞ?」
律はニコッと笑い残りのカレーを平らげに入った。
律の意味深な笑顔が、私のリラックスした気持ちを引き摺り下ろして行った。



律は空いた食器を下げて、部屋にやってきた。
私は読んでいた雑誌を置いた。
「さーて、レッスンしよっか」
「うん」
「とは言っても……ホントに恥ずかしがり屋で照れ屋だからなぁ…澪は」
律は腕を組んで苦笑した。
「うん…」
私は申し訳無さで下を向くしかなかった。
「……じゃあ、最強手段だ!!」
「最強…手段?」
私は律を見上げて首を傾げた。





「澪、立って」
「あぁ」
律は私の手を取り、立たせた。
手を握った瞬間、胸の奥から何かが込み上げた。必死に抑えた。
「コレはな。一撃で相手をノックダウンさせる最強手段だ!」
「ノックダウンさせたくはないんだけど…最強手段ってよくわかんないし…」
「澪は、そんくらいしないとさ。いつまで経っても変わらないぞ?」
「う、うん……」
私は両手を胸の前で握った。
「じゃ、行くぞ…」
「うん…」
律は一旦振り返り
「すぅーはぁー…」
深呼吸した。
「よしっ」
律は気合いを入れると、私の方へ振り返った。



律は、凛々しい顔をしていた。
広い額に滑らかに、斜めに通った眉。
澄んだ茶色い瞳。
幼くも、可愛らしく、綺麗な顔立ち。
それらを額縁の様に型どる明るい茶髪。

私は、見惚れた。
胸の中が、私の中が。
律への思いで一杯になった。
思いを抑えるだけで、立って居られるか不安になった。
だが、その不安すら断ち切る思いが、私の中では巡っていた。

「秋山、澪さん!」

律の通る声で私の意識は戻った。
律の瞳を見詰めるだけで、何故か泣きそうになった。
私は、堪えた。

「貴方の事が、好きです」

その声は、律の声だった。
誰の声真似でも無い。
田井中律。彼女の声だった。
言葉に嘘が無い事が、伝わった――――

「…………っ!!」

私は、左手で口を押さえ、目から涙が溢れ、腰から崩れ落ちた。

「――――!!」

律が私の名前を呼ぶ声が、聞こえた気がした。





「…………?」
私は、我に帰った。
「澪…?」
律が、声を掛けて来た。
私は、温かい、腕の中に居た。
「律…?」
腕の主に問い掛けた。
「よかったぁ……」
腕の主は、静かに安堵の声を上げ。
ぎゅっ
優しく、抱き締めてきた。
私と律は、律の部屋の床に座り込んでいた。
「律……?」
私は、また問い掛けた。
「なに……?」
「私…」
おぼえてない。そういうと
「…どこから?」
律は優しく聞いてきた。
「…律が振り返って、私の事っ…」
思い返してみたら、また涙が出てきた。
「…そこから?」
おぼえてないの?と律は優しく聞いてきた。
「うん……」
ぐすっ、と私は律の腕の中で涙を拭った。
「澪……」
「……ん?」
「…好き」
「………っ」
また、涙が溢れてきた。
私は、静かに泣いた。
律は、優しく背中を撫でてくれた。
「…澪」
「…なぁに?」
涙声で私は聞いた。
「…澪さ。私が告ったらさ、泣いちゃってさ」
「うん…」
「そのまま倒れそうになったの。憶えてる?」
「ちょっとだけ…」
「私、倒れないように、澪に抱き着いた」
「うん…」
「そしたらさ、澪、ありがとう、ありがとうって。泣きながら言って来たんだよ?」
「………うん」
「ずっと泣いててさ…」
「うん…」
「泣き止んだと思ったら、寝ちゃった」
「ごめん…」
私は何度も涙を拭いながら、謝った。
「でも…」
律は、右手で私の顔を上げた。
「よかった」

ちゅっ

唇を、私の唇にくっつけた。
「澪がちゃんと起きて、よかった」
律はいつもの顔でニコッと笑った。
「……私も、よかった…」
私はまた涙を拭いて
「…律が告白してくれて、本当によかった……っ…」
声を絞り出すと、また涙が溢れて来た。
律は、私を抱き締めた。
涙が、律のシャツに滲みた。
「…ありがとう」
律は、ありがとうをくれた。
律のシャツが私の涙で濡れ、肩に張り付いた。
「…大好きっ…」

私は涙声で大好きを、あげた。





数日後。の、放課後。
ガチャッ
「あ、りっちゃんと澪ちゃーん」
部室に入ると、唯が出迎えた。
部室には唯、一人だった。
「ムギと梓は?」
私が聞くと
「ムギちゃんはもうすぐ来るよー。あずにゃんは、わかんない」
「そっか」
私と律は席に着いた。
「澪ちゃん、呼び出し。もうおわったの?」
「あぁ、終わったよ」
私が答えると
「レッスンの、成果だな!!」
律はニヒヒ、と笑った。
「まぁな…」
私が少し照れると
「澪のヤツな、告白された瞬間、何て返したか分かるかー?」
律が唯にけしかけた。
「えーなになにー?てゆーか、りっちゃん見てたんだ?」
「…律……?」
私が睨むと
「あー見てない見てない。私、なーんも見てない聞いてなーい」
律は手の平を返した。
「えー?ずるいよー教えてよぉー」
「見てなーいから知らなーい」
律はしらばっくれた。

律の最強手段の効果はテキメンだった。
今日、私が告白された時に返した言葉。

「ありがとう。でも……」


「私…大好きな人がいるんだ。ごめんな」


  • なんか感動した -- 名無しさん (2011-08-05 15:22:36)
  • いいなぁこういうの -- 名無しさん (2011-08-23 04:30:19)
  • これはイイ! -- 名無しさん (2012-01-21 16:29:15)
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