とある休日の昼下がり、私の家に駆け込んできたのは半泣きの澪だった。
「りづうううう……」
「…………」
玄関を開けた先。
困り果てたような顔で涙を浮かべる澪の胸に抱かれていたのは、ひとりの赤ん坊だった。
薄黄色のベビー服を身にまとったその子は、澪の声をかき消さんばかりに声をあげて泣いている。
私は澪に抱かれた赤ちゃんの小さな手をつんつんとつつきながら澪の顔を見ると、
「……………………澪の子?」
「ばか!」
両手が塞がっていたので思いっきり頭突きされた。
「りづうううう……」
「…………」
玄関を開けた先。
困り果てたような顔で涙を浮かべる澪の胸に抱かれていたのは、ひとりの赤ん坊だった。
薄黄色のベビー服を身にまとったその子は、澪の声をかき消さんばかりに声をあげて泣いている。
私は澪に抱かれた赤ちゃんの小さな手をつんつんとつつきながら澪の顔を見ると、
「……………………澪の子?」
「ばか!」
両手が塞がっていたので思いっきり頭突きされた。
リビングに澪をあげて、事情聴取を開始した。
聴くところによると、この子は親が預かってきた親戚の赤ん坊で、
急な用事が出来たおばさんの代わりに世話を任されてしまったとのことだった。
……てことはこの子には、澪と同じ血が流れているわけか。
ふむ、言われてみれば澪に似た美人さんな気もする。
「さっきからずっと泣きやまなくて困ってるんだよお……ムギとか梓にもメールで訊いてみたんだけど返事がなくて」
どれどれ、と澪の手から赤ちゃんを預かって、よちよちと体を揺らしてあやしてみる。
……あまり効果はないようだ。
聴くところによると、この子は親が預かってきた親戚の赤ん坊で、
急な用事が出来たおばさんの代わりに世話を任されてしまったとのことだった。
……てことはこの子には、澪と同じ血が流れているわけか。
ふむ、言われてみれば澪に似た美人さんな気もする。
「さっきからずっと泣きやまなくて困ってるんだよお……ムギとか梓にもメールで訊いてみたんだけど返事がなくて」
どれどれ、と澪の手から赤ちゃんを預かって、よちよちと体を揺らしてあやしてみる。
……あまり効果はないようだ。
「ミルクは?」
「さっきあげた」
「おむつは?」
「大丈夫だった」
「むう……」
どうしたもんかと首を捻り、とりあえず赤ん坊を澪の胸に返す。
どうやらこの子も澪と同じく人見知りのようで、私が抱いていたときよりも
澪の腕の中にいる時の方が幾分か落ち着いているように見えた。
「んじゃ、おもちゃとかであやすとか……ん?」
聡が昔使ってたおもちゃとかあったかな、などと考えていると、
赤ん坊が澪の腕の中で何やらもぞもぞと身動きしていることに気が付いた。
小さなもみじの手を精一杯伸ばしたその先にあったのは……。
「さっきあげた」
「おむつは?」
「大丈夫だった」
「むう……」
どうしたもんかと首を捻り、とりあえず赤ん坊を澪の胸に返す。
どうやらこの子も澪と同じく人見知りのようで、私が抱いていたときよりも
澪の腕の中にいる時の方が幾分か落ち着いているように見えた。
「んじゃ、おもちゃとかであやすとか……ん?」
聡が昔使ってたおもちゃとかあったかな、などと考えていると、
赤ん坊が澪の腕の中で何やらもぞもぞと身動きしていることに気が付いた。
小さなもみじの手を精一杯伸ばしたその先にあったのは……。
「ちょいと澪ちゃん」
「ん? なに?」
「ブラジャーとっていい?」
「はぁ!?」
澪は座ったまま器用にずっこけると、顔を真っ赤にして私を睨む。
「こ、こ、こ、こんなちっちゃな子がいる前でなに考えてるんだ! そそそれにまだお昼だしっ」
「いやそういうんじゃなくて……まあいいや、ちょっとごめんよ」
「あ、こら!」
赤ちゃんのおかげで両手が使えないのを良い事に、無抵抗な澪の背中に手を回してブラのホックをパチンと外した。
そのままシャツの裾をひょいとまくりあげてやる。……相変わらず奇麗な体だ。
「律! ほんとに怒る…………あ」
「おお、大正解!」
リビング中に響いていた泣き声がぴたりと止んだのと、赤ん坊が澪の胸の先端をぱくりと咥えたのは同時のことだった。
赤ちゃんは両目を閉じて澪の胸に手を添えると、ちゅうちゅうと器用に口を動かしている。
「ん? なに?」
「ブラジャーとっていい?」
「はぁ!?」
澪は座ったまま器用にずっこけると、顔を真っ赤にして私を睨む。
「こ、こ、こ、こんなちっちゃな子がいる前でなに考えてるんだ! そそそれにまだお昼だしっ」
「いやそういうんじゃなくて……まあいいや、ちょっとごめんよ」
「あ、こら!」
赤ちゃんのおかげで両手が使えないのを良い事に、無抵抗な澪の背中に手を回してブラのホックをパチンと外した。
そのままシャツの裾をひょいとまくりあげてやる。……相変わらず奇麗な体だ。
「律! ほんとに怒る…………あ」
「おお、大正解!」
リビング中に響いていた泣き声がぴたりと止んだのと、赤ん坊が澪の胸の先端をぱくりと咥えたのは同時のことだった。
赤ちゃんは両目を閉じて澪の胸に手を添えると、ちゅうちゅうと器用に口を動かしている。
「泣きやんだ……」
「おっぱいが欲しかったんだな」
「そっか、おしゃぶりとか持ってこれば良かったな。……ていうか、これものすごい恥ずかしいんだけど……」
「けど、赤ちゃん安心した顔してるな」
「……うん」
「………………母乳、出てる?」
「出るか!」
ツッコミの拍子に赤ちゃんの口から澪のおっぱいがぽろりとこぼれて、澪は慌てて体勢を整える。
赤ん坊が再び口を動かし始めると、澪はほっとしたように息を吐いた。
「…………」
なんか、こうやって赤ちゃんのこと見つめてる澪を見てるのって新鮮だ。
いつもに比べて大人っぽいというか、いつもに増して美人というか……、そうかどこかお母さんっぽく見えるんだ。
「おっぱいが欲しかったんだな」
「そっか、おしゃぶりとか持ってこれば良かったな。……ていうか、これものすごい恥ずかしいんだけど……」
「けど、赤ちゃん安心した顔してるな」
「……うん」
「………………母乳、出てる?」
「出るか!」
ツッコミの拍子に赤ちゃんの口から澪のおっぱいがぽろりとこぼれて、澪は慌てて体勢を整える。
赤ん坊が再び口を動かし始めると、澪はほっとしたように息を吐いた。
「…………」
なんか、こうやって赤ちゃんのこと見つめてる澪を見てるのって新鮮だ。
いつもに比べて大人っぽいというか、いつもに増して美人というか……、そうかどこかお母さんっぽく見えるんだ。
「律、どうかした?」
「え、あ、いや、なんていうか、リビングで澪がおっぱい出してるのって新鮮だなと思って」
「なっ……」
「私の部屋でしか見たことないしな、あはは……」
「照れるくらいなら言うな、ばか」
「ごもっとも……」
誤魔化すために咄嗟に出た言葉で自分の首を絞める私。大馬鹿すぎる。
とはいうものの、まあ確かにこんな風に普段家族と過ごす場所で澪が肌を出しているというのは、
なんだか妙にこう……気持ちが高ぶるというか、その。
家族が誰もいなくて良かったと思うばかり。
……まあ誰かいたらそもそも服脱がしたりしないけど。
「え、あ、いや、なんていうか、リビングで澪がおっぱい出してるのって新鮮だなと思って」
「なっ……」
「私の部屋でしか見たことないしな、あはは……」
「照れるくらいなら言うな、ばか」
「ごもっとも……」
誤魔化すために咄嗟に出た言葉で自分の首を絞める私。大馬鹿すぎる。
とはいうものの、まあ確かにこんな風に普段家族と過ごす場所で澪が肌を出しているというのは、
なんだか妙にこう……気持ちが高ぶるというか、その。
家族が誰もいなくて良かったと思うばかり。
……まあ誰かいたらそもそも服脱がしたりしないけど。
「……澪」
「なんだ?」
「お邪魔します」
「へ? ……うひゃっ」
ぱくりと空いてる胸をいただいた。
隣の赤ん坊と同じように口を動かすと、澪が押し殺した声で身をよじらせる。
「ままーなんでそんな声だしてるの?」
「あ、赤ん坊がそんな舌使いするかっ!」
言いながらも私のことを突き飛ばさないでいてくれるあたりに愛を感じる。
それにしても、なんだかこうやって澪の胸に身を寄せていると、ものすごーく安心する。
この子があっという間に泣きやんだ理由も今ならよく分かる気がした。
「なんだ?」
「お邪魔します」
「へ? ……うひゃっ」
ぱくりと空いてる胸をいただいた。
隣の赤ん坊と同じように口を動かすと、澪が押し殺した声で身をよじらせる。
「ままーなんでそんな声だしてるの?」
「あ、赤ん坊がそんな舌使いするかっ!」
言いながらも私のことを突き飛ばさないでいてくれるあたりに愛を感じる。
それにしても、なんだかこうやって澪の胸に身を寄せていると、ものすごーく安心する。
この子があっという間に泣きやんだ理由も今ならよく分かる気がした。
「…………なんか」
ぽつりと呟いて、澪の手が私と赤ん坊を柔らかく抱きしめた。
「律も赤ちゃんみたい」
くすりと笑う。
あったかいな、澪の胸。大好きだな、と強く思う。
澪のこと、大好きだな。
ぽつりと呟いて、澪の手が私と赤ん坊を柔らかく抱きしめた。
「律も赤ちゃんみたい」
くすりと笑う。
あったかいな、澪の胸。大好きだな、と強く思う。
澪のこと、大好きだな。
「……律、ごめんね」
「なんで謝ってんのか分かんないけど、澪のこと大好きだぞ」
「ふふ、ありがと。でもこんな体勢で言ってもちょっとカッコ悪いね」
「うるさいよ」
あったかい空気に包まれて、隣の赤ちゃんがうつらうつらと寝息を立て始める。
すごいな澪。立派なお母さんじゃん。
そんなことを思っていたら、私もなんだか眠くなってきて、そっと目を閉じた。
「律、眠いの?」
「んー……」
「なんか私も眠くなってきちゃったな……」
澪の言葉が遠くの方で聞こえて、そのまま私の意識は途絶えた。
「なんで謝ってんのか分かんないけど、澪のこと大好きだぞ」
「ふふ、ありがと。でもこんな体勢で言ってもちょっとカッコ悪いね」
「うるさいよ」
あったかい空気に包まれて、隣の赤ちゃんがうつらうつらと寝息を立て始める。
すごいな澪。立派なお母さんじゃん。
そんなことを思っていたら、私もなんだか眠くなってきて、そっと目を閉じた。
「律、眠いの?」
「んー……」
「なんか私も眠くなってきちゃったな……」
澪の言葉が遠くの方で聞こえて、そのまま私の意識は途絶えた。
目が覚めたのは、それから一時間経った後のことだった。
三人そろって爆睡と言う微笑ましい状況ではあったけれど、物議を醸し出したのは一枚の毛布だった。
「……澪、これ、誰がかけてくれたんだと思う?」
「さ、聡……とか?」
「でも玄関に靴ないし……ていうか聡に見られたら私はこのまま死んでしまう」
「律のおばさんとか……一回帰ってきたのかも」
「どっちにしろ私は死ぬしかないみたいだな」
三人そろって爆睡と言う微笑ましい状況ではあったけれど、物議を醸し出したのは一枚の毛布だった。
「……澪、これ、誰がかけてくれたんだと思う?」
「さ、聡……とか?」
「でも玄関に靴ないし……ていうか聡に見られたら私はこのまま死んでしまう」
「律のおばさんとか……一回帰ってきたのかも」
「どっちにしろ私は死ぬしかないみたいだな」
翌日から梓がまともに目を合わせてくれなくなるとは、この時の私たちは思ってもみなかった。
おわり
- wwwwwwwww -- 名無しさん (2011-05-08 17:11:51)
- あずにゃんかよ!ww -- 名無しさん (2012-01-21 13:37:56)
- うわぁ/// -- アクティブ (2012-03-10 12:58:25)
- 私も見たかったわ〜 -- 琴吹紬 (2012-07-24 23:52:00)