律「さみー!!」
放課後。
いつもの帰り道。
その日も寒くて寒くて、あたしは家路をたどりながら凍えていた。
もちろん一人なわけじゃない。
大親友の澪と一緒にだ。
そして、馬鹿なあたしは今冬、最も寒いと言われている日に手袋を忘れるという大変なことをしでかしてしまった。
そのせいで寒さは三割増し。
さっきから寒さで体が高速でふるえております。あ、鼻水垂れてきた。
なのに隣の澪しゃんてば、さぞ暖かそうな手袋をつけて平然と歩いてる。
むむむ、そりゃ手袋忘れたのはあたしが悪いし、馬鹿だけどさああああ…
ほら、ひとつぐらい貸すとかさ、あるんじゃないんすか、澪さん。
いつもの帰り道。
その日も寒くて寒くて、あたしは家路をたどりながら凍えていた。
もちろん一人なわけじゃない。
大親友の澪と一緒にだ。
そして、馬鹿なあたしは今冬、最も寒いと言われている日に手袋を忘れるという大変なことをしでかしてしまった。
そのせいで寒さは三割増し。
さっきから寒さで体が高速でふるえております。あ、鼻水垂れてきた。
なのに隣の澪しゃんてば、さぞ暖かそうな手袋をつけて平然と歩いてる。
むむむ、そりゃ手袋忘れたのはあたしが悪いし、馬鹿だけどさああああ…
ほら、ひとつぐらい貸すとかさ、あるんじゃないんすか、澪さん。
澪「今日は寒いなー」
律「そーだな」
律「そーだな」
ぷくー。
少しふてくされたみたいにしてみる。
少しふてくされたみたいにしてみる。
澪「…」
あれ、澪だまっちゃった。
ちぇ、楽しくないのー。
ちぇ、楽しくないのー。
既に寒くて麻痺してしまった両手を、ポケットに放り込む。
ポケットの中は少しだけ暖かくて、けど冷たかった。
あーこんな寒い日にこそ、一肌が恋しいっていうかさ、ぬくもりが欲しくなるよな。
はー、ちっちゃな溜息をつけば、ひょい、と右手が持ち上げられる感覚。
ん?と思って右を見れば、真赤な顔した澪がいた。
あたしの右手は澪の左手に包まれていて、本来の温度を取り戻そうとしていた。
みれば澪が左手用の手袋をあたしに差し出していた。
ポケットの中は少しだけ暖かくて、けど冷たかった。
あーこんな寒い日にこそ、一肌が恋しいっていうかさ、ぬくもりが欲しくなるよな。
はー、ちっちゃな溜息をつけば、ひょい、と右手が持ち上げられる感覚。
ん?と思って右を見れば、真赤な顔した澪がいた。
あたしの右手は澪の左手に包まれていて、本来の温度を取り戻そうとしていた。
みれば澪が左手用の手袋をあたしに差し出していた。
澪「ん」
律「…澪」
澪「さ、寒そうにしてたから」
律「…澪」
澪「さ、寒そうにしてたから」
左手に手袋をつければ、澪の温もりが残っていて。
思わず、クスリと笑った。
思わず、クスリと笑った。
澪「な、なに笑ってるんだよ」
律「んー?澪の左手あったかいなと思って」
律「んー?澪の左手あったかいなと思って」
真赤になってうつむく澪が、本当に愛おしく思えた。
律「ありがと」
澪「…ん」
澪「…ん」
手袋忘れてよかったなんて思った、ある日の冬の日。