けいおん!澪×律スレ @ ウィキ

歌詞

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匿名ユーザー

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律「えっ、ないっ?」
…机、ガタコト。鞄、ガサゴソ。教科書、ペラペラ…! ノート、バサバサッ!
唯「りっちゃーん」
ギクッ。
ムギ「部活いこっ」
放課後、あたしを囲むように微笑む二人。でも…えーと……。
律「あっあのさ、悪い! 和に出す書類今日までだったの忘れててさ、先行っててよ、うん」
唯「え~~~またぁ? りっちゃんの忘れんぼ!」
律「すぐに行くから。始めててよ、なっ!」
ムギ「わかった。唯ちゃん、先にいこっか」
唯「ぶ~…。みおちゃんにお説教してもらわなくちゃ、だね」
冬なのに、嫌な汗が背中をつーって流れた。教室から並んで出て行く背中が消えると、あたしは捜索を再開する。
ガタゴト、バラバラ、ゴソゴソ。
…ない。なんでないの? 学校にあるはずなんだ。読んでた記憶があるんだから、何回も。最後はどこで見たっけな・・・。
律「あ」
移動教室!

律「ないっ?! なんで!!?」
第二視聴覚室の保健体育の時間に読んだとこまで覚えてる。でも、あたしが座ってた席にない。どうしよう、どうしよう。
「あっ、律」
サアアアァァァッ。
和「探したわよ。唯から聞いたんだけど、提出書類なんて……(ドドドドドッ)ちょっ!?」
律「助けて和っ!!」


昨日、あたしはいつものように連絡せずに澪の家に転がり込んだ。
律「いや~、やっとるかね…ん?」
澪は机に向かって何か書いてた。頭にヘッドホン。…ムフ。そろりそろり…ふぅっ。
澪「ひゃうっ!」
律「うなじが無防備ですわん♪ 作詞? あたしにも見せイダァッ!!」
いつものスキンシップ。
律「ね~~~お~ね~が~い~みおぅ~~~」
澪「だめ」
律「そこをなんとか」
澪「笑うもん。やだ」
最近ムギが作った曲はまず澪の元にいく事になってるらしい。そこで澪が詞をつけて二人で相談した後、あたしたちに見せるようになった。なんでそんなことになったかって?
澪「いつも律と唯が邪魔するからだろ」
その通りです、はい。でもさ、部長だもん。少しぐらい。必死に拝み倒していると歌詞だけだからなと、やっと呆れてくれた。
今までいろんな歌詞を読んできたけど、それはあたしの中に真っ直ぐ心に響いた詞だった。中に出てくる、女の子の気持ちがあたしの中ですごく共感できたんだ。
律「この歌詞一日貸してくんない?」
澪「まだ未完成だよ」
律「すごく気に入ったの! 手元において読みたいの!」
すると澪も顔を赤くしながらうれしそうに笑って、明日の部活には必ず持ってくるという約束で渡してくれた。



今あたしたちは校舎裏のゴミ捨て場にいる。ゴミと一緒に捨てられたのかも、という和の意見を頼ってここに来たのだけど……。
律「この中に…」
和「他に心当たりないんでしょ?」
先週から残っているゴミ袋が山のように積みあがっていた。掛札を見ると収集は明日。
和「早くしないと日が暮れるわよ」
と、和は1つ目を開けだした。
律「そんな、悪いよ! あたしのせいで和がやることじゃないって」
和「その話は後」
と、飲みかけのジュースで汚れた袋を探り出す。
 プリントはもちろん、上履き、ノート、ジャージ、レシート、食べかけのお菓子…ゴミを見れば人がわかるってホントだな、なんて思ってたら、割れたガラスが無造作に出てきて寒気がした。
と同時に、和に申し訳なく思った。
 あーあたしのバカ。ほんっとバカ律。よりによってなんで歌詞なくすかな。何で覚えてないの。ゴミ山のてっぺんを睨みつける。
うぉりゃーって力任せに投げ飛ばしていた自分を小突いてやりたい。7つ目のゴミ袋に取り掛かった時、和の携帯が鳴った。

和「唯? ちょっと、食べながら話すの止めなさい。え、律?」
ぶんぶんぶんぶん!!
和「…ううん、見てないわ。今忙しいから切るね」
さっきからずっとあたしの携帯は鳴りっぱなしだった。あたしを責めてる様で、怖くて、出れなかった。
そんなあたしを気遣うことなく何もなかったかのようにまたゴミ袋の中を探し出す和のやさしさで、涙が出そうになった。
「和? 探し物?」
見上げるとソフトボール部の人がいた。あたしの知らない人。
和が事情を説明すると彼女はすぐに部員を呼んで、みんなで探すように声を出した。本当に申し訳なくって、お礼を言いながら必死に探した。

「これ…ですか?」
探し始めてすぐに一人が言った。まさか。あたしは期待と不安で息を荒くしながらそれを受け取った。間違いなく探してた澪の詞だった。でも……見つけた興奮は一瞬で凍りついた。

『なにこのポエム?』
『かゆいかゆーい!』
『てか、イタイ(笑)』
『案外いけるかも』
『いや、おかしいでしょ』
『メルヘンだね~』
『この子恋愛したことないんじゃないの?』
『頭の中のぞいて見たいわー。ヒヨコ住んでそう(笑)』

授業中にまわし読みされたらしくて、空いてるところに好き勝手書かれてた。そして一番目立つところに

『もう少し現実を見ましょう』

ふざけるなよ。何でだよ。一生懸命書いた詞になんてことするんだよ! 
あたしは詞を抱きしめて叫んだ。そして思い出す。澪がふわふわ時間を書いてきてくれた時のこと。あたしもこれと同じことした。
一晩がんばって澪が書いてくれたのに、あたしは恥ずかしいって、もう少し考えようって…。何であの時、真っ先に褒めてあげれなかったんだろう。お礼が言えなかったんだろう。
自分の大切なものが汚される心の痛み。一年もたって、やっとあの時の澪の気持ちがわかった。それなのに、またあたしが澪を傷つけることになってしまった。
律「みお…ごめん……ごめん…」
たくさんの人に見つめられながらあたしは声を上げて泣いた。




 泣きじゃくるあたしの代わりに和がみんなにお礼を言ってくれて、散らばったゴミ袋を二人で元通りに戻した頃にはもう日が落ちかけていた。
ボロボロのあたしに連れ添いながら分かれ道、このことは軽音部のみんなには話さないように頼んだ。和は何か言いかけて、頷いて帰っていった。
「律!」
顔をあげると家の前に今一番会いたくない人がいた。しかもズンズン近寄ってくる。
澪「いったいこんな時間まで何してたんだ! 部活には来ない、電話に出ないしみんな……なにがあったの? どうしたんだその顔!?」 
泣いて腫れあがったあたしを見る、澪の視線からとにかく逃げたかった。でもすぐに澪の手があたしを捕まえる
澪「何もなかったなんて通らないからな」
律「…提出書類なくしちゃって、怒られた」
澪「何で制服そんなに汚れてるんだ?」
律「……バツで掃除当番」
テンパッててまともな言い訳が出てこない。澪が手を持ち上げた。ゴミをあさって傷だらけで汚れたあたしの手。ふりほどいてすぐに背中に隠す。
律「…連絡しなくてごめんな。わざわざ家まで来てくれてありがと」
そんな顔でこっち見るなよ。街灯に照らされた澪の顔が険しくて、取調べされてるみたいだ。ヤバい、話変えないと。
律「なんか用事あったの?」
澪「ん…ああ、昨日の歌詞ちょっと直そうと思って」
墓穴った…。
律「あ…ああ、ごめん! 後で教室戻ったらカギ閉まっちゃっててさ」
澪「…そっか」
あまりにもみじめなあたしの姿を見てか、もうそれ以上なにも言ってこなかった。

 次の日少し遅めに家を出た。 
一晩中かかって澪の字に似せて書きなおしたけど……バレバレだよな。いつもの待ち合わせの場所に行くのが怖かった。けど、なぜか今朝は澪がいなかった。結局出会えないまま教室に入る。
唯ムギ「りっちゃん!」
昨日みたく、あたしの机の前に二人がいた。よっ、て笑顔を作りながら席に座る。
唯「も~昨日ずっと待ってたんだよ」
ムギ「なにかあったの?」
律「なんでもないなんでも。今日はちゃんと…ん?」
携帯が鳴ってる。澪か? と思ったら『和』。お礼言わなくちゃな。
律「ああ和、昨日は」
和『ごめん律! バレた!』
え。
和『澪がそっちに』
バンッ!! 教室が震えるほどの勢いで扉が開いた。
律「澪」
教室中が静まり返った。こんなに怒った澪初めて見た。すごい勢いでこちらに近づいてくなりあたしの襟をつかんで無理やり立たせた。
律「痛い!」
澪「何で嘘ついたんだ」
側にいる二人も金縛りにあったように立ちすくんでいる。
澪「何とか言えよ!!」
唯「みおちゃん!」
ムギ「りっちゃん、とりあえず謝って!」
ドッドッドッドッ。みんなの心音が響く。
始業ベルが鳴った。少し迷うような表情を浮かべた後、澪はあたしを振り落とすようにイスに叩きつけると背中を返して出てった。




 後で聞いた話だと、和が教室に入るなり待っていた澪がいきなり突っかかったらしい。あたしがあんなふうになるまで罰与えるなんて、どういうことだって。
あたしに口止めされてる以前にちゃんと口裏合わせてないから、和には澪が何を言っているのかさっぱりわからない。何も答えられない和にますます澪が怒ったところで騒ぎを聞きつけたソフトボール部員が仲裁に入ったらしい。

 放課後、部室であたしは本当のことを全部話した。机の上に落書きだらけの歌詞が出したところでみんなが息を呑む音がして、あたしの声はますます小さくなる。
「ごめんなさい」
向かいに座る澪の手は震えていて、それだけでどれだけ澪が傷ついたのかわかったあたしの目からも涙がこぼれて、顔をあげられなかった。
ビリッ。
唯「あっ!」
梓「ダメですっ!」
ビリッ。さらに歌詞を破る澪の手を梓が止めた。
梓「ダメです! せっかく書いた歌詞破っちゃダメです!」
澪「でも…でも……!」
クスンクスンと澪も泣き出した。部室の中にあたしたちの嗚咽が混ざって、苦しくって、それを作った原因があたしで。もう、どうしたらいいのか……。
カチッ。
知らない曲が突然流れ出した。破れた歌詞がムギの前にあって、流れる曲に合わせて歌いだした。
すぐにこの歌詞のものだって気づいた。途切れ途切れに少し鼻歌が混ざって、でもサビに入ると続けて歌いだして。ムギの後ろに回った唯が歌おうとするけどうまくいかなくて。
2番まで歌い終わった時には、あたしも澪も顔をあげていた。
ムギ「うん、歌詞バッチリだよ澪ちゃん! 完成!」
澪「…ムギ」
ムギ「私のイメージ通り。この曲にはこの詞しかないんだよ」
澪「でも、私の歌詞……」
ムギ「私も恋愛した事ないよ。でもね、澪ちゃん」
立ち上がったムギが澪を抱きしめた。
ムギ「恋愛って初恋とか片想い、両想い、すれ違い、失恋とかたくさん。いろんな形があるんだよ。経験しないとわからないものだと思うし背伸びして詞にしてもきっと、伝わらないと思う。私は澪ちゃんが書いてくれたこの詞、心に染み込んで、伝わったよ。」
ムギの胸に顔を寄せたまま少しだけ澪が頷く。
ムギ「澪ちゃんがその時経験して感じた気持ちを歌詞にしてくれたら、私も曲を作るし、みんなも演奏するから」
唯「そうだよ。みおちゃんが作ってくれた歌詞が放課後ティータイムの歌詞なの! 他の誰がなにを言っても気にする事ないの!」
カチッ。曲が流れてムギが歌いだす。
唯「あっ! ムギちゃんばっかりずるーい! 次はわたしだよ!」
梓「先輩、その前に楽譜作りましょうよ。 私も早く演奏したいんですから!」
ムギ「澪ちゃん」
流れるテープにあわせて即興で梓がギターを弾いて、唯が歌いだす。
ムギ「りっちゃんを許してあげて」
澪「……」
ムギ「りっちゃんも澪ちゃんが、がんばってくれた作った事知ってるから、昨日ずっと探してくれたんだよね?」
唯「りっちゃん、ぎゅ~~~」
ぎゅう。
唯「和ちゃんが言ってたよ。りっちゃん暗くなるまで探してたって」
何も言えずに下を向くあたし。すると澪が立ち上がった。
澪「昨日は練習してないからな。今日は気合い入れてやるぞ。…………バカ律」
律「……澪」
唯「ドラム叩いてよ、りっちゃん! 元気になるよ!」


律「いろいろ迷惑かけちゃって、ごめんな」
和「澪にも散々言われたからもういいわよ。でも、なんかうらやましかった」
別の日の放課後、部室に行く途中まで。
律「え?」
和「人のためにあんなに怒れるなんて、なかなか出来ないわよ?」
と、この話はこれでおしまいと言うふうに彼女はクルッと廊下を曲がって行った。


  • 実際詩がかける人ってすごいと思うんだが... -- 名無しさん (2011-12-01 16:14:29)
  • つうか澪の歌詞特徴掴んでて良いと思うのは俺だけ...?? -- 名無しさん (2012-01-08 14:13:19)
  • これだから女は怖い… -- 名無しさん (2012-05-09 04:29:54)
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