紬の「ポッキーゲームしましょう」の提案を受けて始まった競技も、
律と澪のチームを残すのみとなった。
始めに純と梓がチャレンジして、残り1cmの記録。
続く唯と憂のチームが残り5mmで、今の所1位である。
「舐めてたね。もっといけば良かった」
残念そうに口にした純に、梓は悔しさを隠して言葉を返す。
「でも、最下位は免れると思うよ。
澪先輩シャイだから」
「あはは、でも憂がトップかー」
「姉妹だからしょうがないよ」
視線を移せば、
既に唯は優勝を確信しているのか胸を張って鼻息を荒げている。
「ふんすっ」
そんな余裕の態度を示す唯に、律が声を荒げる。
「おまっ。見てろよ、必ず勝ってやるからな」
けれども、梓には強がりにしか見えない。
澪の羞恥心が邪魔をする、そう踏んでいたのだ。
そしてその読みは、
ポッキーへと伸ばした律の手を澪が抑えた事によって確信へと変わる。
(って、試合すら放棄か。
澪先輩、ちょっと度胸無さ過ぎだよ)
拍子抜けすら覚える澪の姿に、律も業を煮やしたように抗議の声を発した。
「おい、澪。ポッキー取らないと」
けれどもその抗議の声は、すぐに塞がれる事になる。
「要らないだろ?」
その声と共に、澪の唇が律の唇を塞いでしまったのだから。
「っ」
律は絶句と共に頬を染めて、顔を逸らしてしまった。
何も言葉を発する事のできない律に変わって、
澪が高らかに勝ちを宣告する。
「私達の優勝でいいな?」
梓はあまりにも鮮やかな澪の口付けに見惚れてしまっていて、
反応する事すら暫し忘れて呆けた。
律と澪のチームを残すのみとなった。
始めに純と梓がチャレンジして、残り1cmの記録。
続く唯と憂のチームが残り5mmで、今の所1位である。
「舐めてたね。もっといけば良かった」
残念そうに口にした純に、梓は悔しさを隠して言葉を返す。
「でも、最下位は免れると思うよ。
澪先輩シャイだから」
「あはは、でも憂がトップかー」
「姉妹だからしょうがないよ」
視線を移せば、
既に唯は優勝を確信しているのか胸を張って鼻息を荒げている。
「ふんすっ」
そんな余裕の態度を示す唯に、律が声を荒げる。
「おまっ。見てろよ、必ず勝ってやるからな」
けれども、梓には強がりにしか見えない。
澪の羞恥心が邪魔をする、そう踏んでいたのだ。
そしてその読みは、
ポッキーへと伸ばした律の手を澪が抑えた事によって確信へと変わる。
(って、試合すら放棄か。
澪先輩、ちょっと度胸無さ過ぎだよ)
拍子抜けすら覚える澪の姿に、律も業を煮やしたように抗議の声を発した。
「おい、澪。ポッキー取らないと」
けれどもその抗議の声は、すぐに塞がれる事になる。
「要らないだろ?」
その声と共に、澪の唇が律の唇を塞いでしまったのだから。
「っ」
律は絶句と共に頬を染めて、顔を逸らしてしまった。
何も言葉を発する事のできない律に変わって、
澪が高らかに勝ちを宣告する。
「私達の優勝でいいな?」
梓はあまりにも鮮やかな澪の口付けに見惚れてしまっていて、
反応する事すら暫し忘れて呆けた。
「い、いや。まだだもんっ。
澪ちゃんとりっちゃん、ポッキー使ってないもんね。
反則だよ、ポッキーゲームなんだから」
唯が澪と律の優勝に異議を唱える声で、梓は正気を取り戻した。
(ああ、そうか。確かにあの二人がやったのはポッキーゲームじゃない。
でも……私、純の事好きだけど人前でキスはできないよ。
澪先輩の事侮ってた。完敗なんだよ、唯先輩)
梓は既に負けを認めていた。
けれども唯は食い下がる。
「だから、優勝は私と憂。だよね?ムギちゃん」
「分かったよ、唯。このポッキーを使えばいいんだろ?」
「今更遅いよ。さっきので反則で失格だし」
「さっきのは、ただキスしただけ。
ポッキーゲームとは無関係って事で。
なら、反則にはならないよな?」
唯の反論を軽くいなすと、
澪はポッキーを一本全て口に含んで咀嚼した。
「って、澪ちゃん、ルール分かってる?
二人でポッキー食べなきゃ意味無いんだよ?」
澪は唯を無視して、律の顎に手を当てた。
そして、律の唇に再び自身の唇を重ねた。
(えっ?)
梓は二人の口の動きから、何をしているのかが分かった。
唯も分かったらしく、絶句したきり黙りこんで二人を見つめていた。
澪は口腔にある咀嚼したポッキーを、
律の口腔へと移しているのだ。
受ける律の頬は朱を更に増し、瞳は蕩けたように虚空に漂っている。
律の喉が嚥下の音を鳴らしたタイミングで、澪は唇を解放した。
糸を引いて唇が離れた後、
呆けている律を抱きかかえた澪が唯に尋ねた。
「これで文句は無いな?」
唯の顎が下がった。
それは、肯定を示す仕草だった。
「ゆ、優勝は澪ちゃんとりっちゃんのチーム、ね……」
澪と律の優勝を宣告する紬の呂律は乱れていた。
(無理もない。それほどまでに、ディープな瞬間だった。
百合大好きなムギ先輩がうろたえてしまう程に)
梓とて、衝撃的な瞬間を目の当たりにして心が震えているのだ。
「で、でも澪ちゃん。澪ちゃんって、恥ずかしがり屋さんだよね?
なのに、何で、そんな芸当できるの?」
言葉を失っていた唯ではあったが、回復は早いらしい。
もう問いを放てるまでに立ち直っていた。
「律の事では堂々としていたいからさ」
そう言い切った澪が浮かべる表情の凛々しさに、
梓は暫し見惚れていた。
「あ、優勝……おめでとうございます」
祝辞の言葉が遅れる程に。
澪ちゃんとりっちゃん、ポッキー使ってないもんね。
反則だよ、ポッキーゲームなんだから」
唯が澪と律の優勝に異議を唱える声で、梓は正気を取り戻した。
(ああ、そうか。確かにあの二人がやったのはポッキーゲームじゃない。
でも……私、純の事好きだけど人前でキスはできないよ。
澪先輩の事侮ってた。完敗なんだよ、唯先輩)
梓は既に負けを認めていた。
けれども唯は食い下がる。
「だから、優勝は私と憂。だよね?ムギちゃん」
「分かったよ、唯。このポッキーを使えばいいんだろ?」
「今更遅いよ。さっきので反則で失格だし」
「さっきのは、ただキスしただけ。
ポッキーゲームとは無関係って事で。
なら、反則にはならないよな?」
唯の反論を軽くいなすと、
澪はポッキーを一本全て口に含んで咀嚼した。
「って、澪ちゃん、ルール分かってる?
二人でポッキー食べなきゃ意味無いんだよ?」
澪は唯を無視して、律の顎に手を当てた。
そして、律の唇に再び自身の唇を重ねた。
(えっ?)
梓は二人の口の動きから、何をしているのかが分かった。
唯も分かったらしく、絶句したきり黙りこんで二人を見つめていた。
澪は口腔にある咀嚼したポッキーを、
律の口腔へと移しているのだ。
受ける律の頬は朱を更に増し、瞳は蕩けたように虚空に漂っている。
律の喉が嚥下の音を鳴らしたタイミングで、澪は唇を解放した。
糸を引いて唇が離れた後、
呆けている律を抱きかかえた澪が唯に尋ねた。
「これで文句は無いな?」
唯の顎が下がった。
それは、肯定を示す仕草だった。
「ゆ、優勝は澪ちゃんとりっちゃんのチーム、ね……」
澪と律の優勝を宣告する紬の呂律は乱れていた。
(無理もない。それほどまでに、ディープな瞬間だった。
百合大好きなムギ先輩がうろたえてしまう程に)
梓とて、衝撃的な瞬間を目の当たりにして心が震えているのだ。
「で、でも澪ちゃん。澪ちゃんって、恥ずかしがり屋さんだよね?
なのに、何で、そんな芸当できるの?」
言葉を失っていた唯ではあったが、回復は早いらしい。
もう問いを放てるまでに立ち直っていた。
「律の事では堂々としていたいからさ」
そう言い切った澪が浮かべる表情の凛々しさに、
梓は暫し見惚れていた。
「あ、優勝……おめでとうございます」
祝辞の言葉が遅れる程に。
<FIN>
- 澪がちょいイケメンすぎるけどイイ...すごくイイ!! -- 名無しさん (2012-01-06 01:43:44)
- 澪格好良いな、確かに男前すぎるが -- 名無しさん (2012-04-07 01:17:42)
- 何言ってんだイケメン澪良いじゃないっすかぁ -- 名無しさん (2012-07-29 01:28:52)
- キャラ崩壊は勘弁してほしいっす -- 名無しさん (2012-08-16 11:51:39)